ホーム > インタビュー&レポート > 技巧者たちによるコメディエンヌ決定戦がまもなく開催!
10月23日、大阪市内にて『エミィ賞グランプリ2023』の予選会が行われ、11月20日(月)に行われる決勝大会に出場する6人のコメディエンヌが決定した。
『エミィ賞グランプリ』とは、2017年から始まったコメディエンヌ決定戦で、コメディ女優の故・牧野エミさんの業績を記念して始まった。優勝者には金のエミィ像と副賞が授与される。
今年で6回目の開催となる本大会。約70名と全国から過去最多の応募者があり、予選会では第一次審査を経て予選に進出した20人が大激戦を繰り広げた。当日は、A~Dの4ブロックに分かれて、制限時間10分の一人芝居を披露。俳優の川下大洋やラジオDJの加美幸伸ら6名の審査員に5名のクラウドファンディング支援者の審査を加え、ファイナリストを選出した。
決勝大会進出が決定した福田恵、延命聡子、澤井里依、三原悠里
予選会のトップバッターを務めたのは内田敦美。とある周年記念公演の一幕を熱演。豊かな感情表現で様々な役に扮し、最後は髪を振り乱してのダンスも披露した。西山ともかは葬儀屋のスタッフの設定で、故人が生前に用意していた葬儀プランを巡るひとコマを。"間"を巧みに使い、故人の人となりを想起させ笑いを誘った。前田茉羽は稽古場での新人女優の様子を描いた芝居を披露。初々しさと泰然自若とした様を面白おかしく演じわけ、観客を引き込んだ。澤井里依は小説家志望の女性が主人公というホラーサスペンステイストの芝居を展開。緩急自在に会場の空気を操り、恐怖と笑いの渦を巻き起こした。「お母さん」と題した芝居を見せたのはAブロック最後のもえりーぬ。割烹着姿で登場し、会場の空気を一気に塗り替えた。
Bブロックは魔王様の秘書に扮しためぐみのゆりの芝居からスタート。萌え×魔界の組み合わせで、コメディタッチのダークファンタジーを構築した。べべは蜘蛛に扮し、とある人物への恋心を表現。切なさとおかしみをにじませた。喫茶店のウェイトレスに扮した中谷桜は、落ち着いた声色で自分の世界へと引き込んでいく。リアリティある場面展開ながらも、余白を残し、見る者の想像力を掻き立てた。ラジオパーソナリティー役を演じた関森絵美は強い目力とパワフルな言動で笑いを誘い、会場を自分の色に染め上げた。三原悠里は星条旗をモチーフにした衣装で、アメリカンなスタンドアップコメディを熱演。生き生きと演じ、キャラクターに息を吹き込んだ。
Cブロックは、宮永かなの「四十九日」と題した切ない愛の芝居からスタート。続く黒住萌は白猫に扮し、モノローグを展開。猫目線で描き、独特の感性を披露した。夏之ちまきは朗読から物語を展開。「七夕伝説」をベースに織姫と彦星のなれそめを透き通った声色でコミカルに描いた。福田恵は、帰宅後に強盗に遭遇した妻という設定の芝居を。笑いあり、涙ありの物語で、喜劇の醍醐味を十分に味わわせた。七味まゆ味はオンラインで参加。シェイクスピアの「夏の世の夢」を10分で表現。息つく間もなく猛スピードで走り抜け、会場を圧倒させた。
オンラインで参加した七味まゆ味
最終のDブロックへ。近藤夏子はストリートミュージシャンの物語を。主人公の本音が爆発するシーンでは熱演、会場の意識をグッと引き寄せた。「かつて私は死んだ...」というセリフから始まるオカルトテイストの芝居で魅せたのは延命聡子。絶妙な間とワードチョイス、そして確かな演技力で"こわおもろい"世界を構築した。噺家の桂文りんは嫁姑問題を「いびりスクール」という場を介在して表現。噺家らしく、しっかりとしたオチで笑わせた。白鳥がついた白のドレス姿で登場した清水爽香は、新郎の村の習わしに振りまされる新婦をかわいげと毒を織り交ぜて熱演。予選会で唯一の男装で登場し、男子学生の冒険譚を軽やかに演じたのは嘉納みなこ。大ラスながらも観客の想像力を駆り立て、めくるめく奇妙な世界旅行へといざなった。
各ブロックとも演技終了後にはテーマに沿った1分間の自己PRもあり、それぞれ個性を生かした自己紹介でアピールした。
そして審査の結果、福田恵(劇団レトルト内閣)、七味まゆ味(柿喰う客)、延命聡子(中野劇団)、近藤夏子(ASOBI SYSTEM)、澤井里依(舞夢プロ evkk)、三原悠里(Cheeky☆Queens ライターズカンパニー)が決勝進出。決勝もこの順番で登場する。
審査を経て「今回は作品の力に感動しました。皆さん全然、差がありませんでした。素晴らしい作品をありがとうございました」と加美。川下も「本当にみんな出てほしい。決勝進出者の枠を増やせないのかと議論していたぐらいです。作品力、笑いの力、演技力、プラスアルファのアピールポイントを皆さんもっていらして、それをさらに超越した6名が選ばれたと思っています。決勝進出の6人は皆さんの代表です」と鼓舞した。
会場には俳優で『エミィ賞グランプリ』実行委員長の升毅の姿もあり、次のように挨拶した。「一次予選から70名近くの方が参加してくださり、予選進出者を選ぶ段階でもかなりもめました。皆さんのレベルが高くて、面白くて、全員、お客様の前でやってほしいと思うくらいのハイレベルの戦いでした。11月20日(月)にはグランプリが決まります。本選はどんなパフォーマンスか期待したいと思います」。
『エミィ賞グランプリ2023』決勝戦は11月20日(月)に扇町ミュージアムキューブ CUBE01で開催。審査員には、土田英生(劇作家・演出家/MONO 代表)、茂山千之丞 (大蔵流狂言師)、三船美佳(俳優)、星璃(俳優/劇団Patch)、たくませいこ(俳優/2017・初代No.1コメディエンヌ)、そして升毅が名を連ねる。また、会場の観客も投票に参加できる。チケット発売中。
取材・文/岩本
(2023年11月 8日更新)
チケット発売中 Pコード:651-875
▼11月20日(月)18:30
扇町ミュージアムキューブ CUBE01
全席自由-3500円(整理番号付)
[出演]福田恵(劇団レトルト内閣)/七味まゆ味(柿喰う客)/延命聡子(中野劇団)/近藤夏子(ASOBI SYSTEM)/澤井里依(舞夢プロ/evkk)/三原悠里(Cheeky☆Queens/ライターズカンパニー)/西原希蓉美(2021年No.1コメディエンヌ)
※未就学児童は入場不可。チケットお買い求めのお客様には決勝大会・審査投票権を進呈いたします。
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公式サイト
http://emi-award.com/