ホーム > インタビュー&レポート > あべのハルカス美術館で開催中! 絵本作家・安野光雅展の見どころを林綾野が解説!
安野光雅 津和野町立安野光雅美術館提供
1926年(大正15年)、島根県津和野町に生まれた安野光雅。画家になるのが少年の頃からの夢だった安野は23歳で上京し、美術教員のかたわら本の装丁などを手がけます。
デビューは遅く、42歳のとき。教え子の保護者が福音館書店の編集者で、「おもしろい美術教員がいる」とその才能を見出しました。そして生まれたデビュー作が『ふしぎなえ』です。
左:林綾野さん(フリーキュレーター、アートキッチン代表)
林綾野:安野先生が今までにない絵本をつくりたい、文字のない、絵を見る絵本をつくりたいとお考えになってできたのが『ふしぎなえ』です。エッシャーの世界観に影響を受けて、安野風不思議ワールドにアレンジしてできたのがこの作品です。
林綾野:この絵に安野さんの魅力がいっぱい詰まっています。まず2冊の本を見てください。クイーンのトランプを見ると、本の厚みは同じなのに、奥を見ると高低差が出来ていますね。そして、トランプが切り取られて本のプールのコース台になっている。絵の中のはさみとテープを使ってこの楽しい世界観が出来上がっていますが、この不思議な世界は四角の線で囲まれた本の世界だけの空間なんです。
林綾野:こちらは初期三部作のひとつ、『ふしぎな さーかす』です。この絵は、ゆがみ絵というだまし絵の一種です。絵のこちらから見ると...
林綾野:こどもたちが紙の絵本を実際に手に取ってめくりながら、いろんな角度で楽しめるように、という工夫をこらしてあるんです。
そして林さんからもう1冊、『蚤の市』をご紹介いただきます。
林綾野:『蚤の市』は、ある市場の様子を朝から夕方まで追ったものです。本当にありとあらゆる物が売られていまして、安野さんの本もあるんです。私、本当にこの本が好きで、安野光雅さんにどうやって描いたんですか?って聞いたことがあるんです。「左上から描き始めて、どんどんどんどん描き進めて、最後は右隅でピタッと終わるように描くんだ。これが職人技で醍醐味なんだ」っておっしゃっていました。全ページがそのように描かれているんですね。安野さんのそういう姿を思い浮かべながら、この作品を見ていただきたいです。
特別出品:『旅の絵本Ⅹ』からも原画2点を展示しています。
(2023年10月18日更新)
チケット発売中 Pコード:686-444
▼11月12日(日)まで開催中
あべのハルカス美術館
当日一般-1600円 当日大高生-1200円 当日中小生-500円
※開館時間:火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00。最終入館は閉館30分前まで。休館日:10/16(月)。未就学児童は入場無料。親子券をご購入の方は観覧当日同時入場。期間中1回有効。混雑時には入場をお待ちいただく場合がございます。
[問]あべのハルカス美術館■06-4399-9050