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開館6周年の「絹谷幸二 天空美術館」が、
世界的建築家 安藤忠雄を迎えて第1回対談イベントを開催

梅田スカイビルにある「絹谷幸二 天空美術館」では、社会人の学びの場として毎回テーマを設定した対談イベントを企画、その第1回開催として6月8日(木)18時より世界的建築家の安藤忠雄を迎え、梅田スカイビル(タワーイースト36階・スカイルーム)で「想像力の鍛え方」をテーマに対談イベントが開催された。文化勲章受章者2人による貴重な対談企画とあって注目度も高く、定員240名(参加費2000円・「絹谷幸二 天空美術館」入館券付き)は早々に受付終了となり、急きょ準備された追加席と別室でのモニター視聴参加席(100席)も満席になるほど、大盛況のイベントとなった。

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今回の会場のある「梅田スカイビル」をはじめ大阪の代表的な建築物も解説

まずは安藤忠雄講演会からスタート。「梅田スカイビル」をはじめ大阪のランドマーク的な建築物の紹介をはじめ、安藤が世界各地で手がけた建物物や瀬戸内海にある香川県・直島で展開するアートプロジェクト、島内にある自身の設計した建築物をスライドで紹介しながら、設計当時のエピソードをまじえながら解説した。またお互いリスペクトしあうという絹谷幸二との関係性も含め、語りかけるような安藤の気さくな口調とユーモアをまじえた話に時折笑いがおこるほどで、会場内は独特の安藤ワールドに包まれた。

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安藤は手掛けた建築物のエピソードなどを、ユーモアを交えて紹介

また、今回のテーマである「想像力の鍛え方」については、「人間は幾つになっても何事にも好奇心と勇気を持つこと。青春というのは心の持ちよう」「日本人にはもっとユーモアが必要」と熱い口調で語り、自身の若い頃の体験や手掛けてきた設計の発想ポイントなども合わせて紹介。会場内では安藤忠雄の一言ひとことに頷く人や熱心にメモを取る人も多く見られた。

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絹谷幸二は、モノの見方や考え方も含め幅広い内容を授業形式で解説

続いて行われた絹谷幸二講演会では、安藤忠雄建築の特徴とフレスコ画の意外な共通点の話や人間の頭の中を図解しながらモノの見方・考え方を紹介。テーマも多岐にわたり時間が経つのも忘れるほど幅広い内容だった。講演の最後には、「絹谷幸二 天空美術館」で7月2日まで開催していた特別展『不二法門』のテーマでもある「時代やものごとを双眼的にとらえること」や「好きなことをすること」「平和への想い」が大切だと訴え、絹谷幸二講演パートが終了した。

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「歩くと歴史的な建築や遺跡も楽しめる」ともっと歩くことをアピール

続いてメインの絹谷幸二と安藤忠雄の対談コーナーがスタート。今まで行った都市と比較しても「大阪が一番いい街」だという安藤は、日本に観光に来る外国人はよく歩くけど、日本人は歩かなくなったという話に。「京阪神は歴史もありモダンな建物が多いので歩きながらの発見もあり、また現在進んでいるウメキタⅡ期工事は森づくりがテーマなので、完成したら皆さんも歩きながら森も感じて」とアピール。今回のテーマの"想像力"の極意について、安藤は「環境の問題は人間の問題。今はそれが想像力の原点」と話し、絹谷は「安藤先生と同じく、好きなことをやるということ。今は4時に起きて10時に学校に遊び(授業)に行く。時間がある時は寝ている。寝かせて醸造させるワインと同じく人も横になって休息することも大事だ」と話し、会場内を沸かせていた。また数年前に2度の大病を患った安藤は「毎日朝昼晩30分の食事時間と1時間の読書、必ず1万歩歩く」ことが今も元気に活動する秘訣だと打ち明けた。現在81歳の安藤と80歳の絹谷は、ともに来場者に向け「みなさんも100歳まで頑張りましょう」とエールを贈り、会場全体からの大きな拍手で今回の対談を締めくくった。
 
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めったにない2人の貴重な対談に会場内は魅了された

イベントの最後には、ともにサインが入った安藤忠雄の著書『安藤忠雄の建築5』と絹谷幸二の著書『絹谷幸二 自伝』が当たる抽選会も実施され会場内が盛り上がった。なかなか聞く機会のない巨匠2人の貴重な講演と対談、「絹谷幸二 天空美術館」入館チケット付きのお得なイベントに、来場者もとても満足な表情で会場を後にしていた。

各界の著名人を招いて行われる対談イベントの次回以降の内容・受付については、「絹谷幸二 天空美術館」公式サイトや公式SNS(Instagram)で告知されるので、随時チェックしてみて。

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絹谷藝術の原点を振り返る特別展『ヴェネツィア祝歌』を開催(写真は『ヴェネツィア朝陽・希望』)

「絹谷幸二 天空美術館」では、世界を舞台に活躍する文化勲章受章画家で同館名誉館長・絹谷幸二の、70年代初期の貴重なアフレスコから若き日のヴェネツィア留学での体験の記憶を辿って描かれた近作を展示する特別展『ヴェネツィア祝歌(いわいうた)』を7月7日(金)から開催する。本展覧会は奈良県立万葉文化会館で開催予定の『飛鳥の祝歌 絹谷幸二展』(10月7日~12月3日)との連携展示で、古都奈良とヴェネツィアという東西の美意識が交錯した絹谷藝術の原点を辿る展示となっている。ほかにも同館では迫力満点の3D映像体験や絹谷幸二のアトリエ訪問ができるVR映像体験、フレスコ(壁画)体験ができるワークショップ(要予約・開催日は公式サイトを参照)なども開催。この機会に絹谷ワールドを心ゆくまで堪能して。特別展『ヴェネツィア祝歌』は12月10日(日)まで。

取材・文・撮影:滝野利喜雄




(2023年7月 7日更新)


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特別展『ヴェネツィア祝歌』

開催期間:7月7日(金)~12月10日(日)
会場:絹谷幸二 天空美術館
(大阪市北区大淀中1-1-30 梅田スカイビル タワーウエスト27F)
開館時間:10:00~18:00(金・土・祝前日は~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜(祝日の場合は開館、翌平日が休館)、年末年始、展示替え期間
入館料:一般1000円、大学・高校・中学生600円、小学生以下無料
※団体・障碍者割引あり
問い合わせ:06-6440-3760(開館時間内)

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