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恐ろしいほど美しい「幕末土佐の天才絵師 絵金」後期展示が始まる!

あべのハルカス美術館で開催中の「幕末土佐の天才絵師 絵金」。謎の天才絵師とも呼ばれる土佐の絵師・金蔵は、幕末から明治初期にかけて数多くの芝居絵屏風を残し、「絵金さん」の愛称で親しまれてきた。絵金の作品群がこれほどまとまって見られるのは、地元・高知でもめったにないと話題を集めている。展示室には高知の夏祭りの環境が再現されており、写真撮影を楽しむこともできる。

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5月22日(月)に展示替えを行い、いよいよ後期展示が始まった。後期から展示する24点の中から主要な作品をご紹介しよう。(作品点数97点の内、前期のみ21点、後期のみ24点)

[第1章 絵金の芝居絵屏風]

高知には現在、約200点の芝居絵屏風が現存しているが、その中で圧倒的な質と量を誇るのが、香南市赤岡町の絵金蔵の23点。本展ではそのうち21点をお借りすることができた。こんなにも多くの芝居絵が大阪に来るという、破格のスケール感が伝わるだろうか。
前期の11点(河田小龍の作品1点を含む)を全部入れ替え、後期は10点を展示。ポスター・チラシのメインビジュアル「伊達競阿国戯場 累」がいよいよ登場する。前期作品と同様に、絵金蔵の白眉ともいえる芝居絵屏風がいくつも含まれている。前期にいらした方も、まだ見ていないという方も、後期展示をお見逃しなく!

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花衣いろは縁起 鷲 (高知県指定文化財)二曲一隻屏風・紙本彩色
香南市赤岡町本町二区

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伊達競阿国戯場 累 (高知県指定文化財)二曲一隻屏風・紙本彩色
香南市赤岡町本町二区

第1章では、芝居絵屏風以外の絵金の作品もご紹介しているが、後期には下記の作品を展示。
芝居絵を得意とし、町絵師として名を知られた絵金だが、「朝比奈奮戦図」は、故事人物を狩野派風の様式で描いており、若い頃、御用絵師であった絵金の、狩野派の絵師としての実力を知ることのできる作品だ。「大原女図」には、京・大坂の系統の絵師たちの画風の影響が見られ、絵金が多様な様式を独学した跡が見られる。

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朝比奈奮戦図 枠貼、絹本彩色
高知県立美術館

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大原女図 軸、紙本彩色
高知県立美術館

[第2章 高知の夏祭り]

絵馬提灯の一部が展示替えとなった。高知の夏祭りの情景の中で、絵金作品をお楽しみください。

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[第3章 絵金と周辺の絵師たち]

第3章に登場する「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」は男の子の初節句に贈られた横幟だ。紙に描かれているため、現存する作品が非常に少なく、「菖蒲打 まさりをとりもなかりけり 友竹」と絵金の句と画号の署名が添えられていることも貴重な作品となっている。

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近江源氏先陣館 盛綱陣屋 横幟、紙本彩色
原利夫(香南市赤岡町)

この章では、絵金の周辺の絵師や弟子の作品をご紹介しているが、後期には、香美郡佐古村深渕(現・野市町)の紺屋で本名が金蔵であったことから「野市絵金」とも呼ばれた野口左巌の2点の芝居絵屏風を展示する。「伊達競阿国戯場 累」は、同じ画題の絵金蔵の作品が第1章に展示されているので、違いを比較してみると面白いのではないだろうか。

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野口左巌 伊達競阿国戯場 累 二曲一隻屏風、紙本彩色
深渕神社(高知県立歴史民俗資料館寄託)




(2023年5月30日更新)


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「幕末土佐の天才絵師 絵金」

チケット発売中 Pコード:686-274
▼6月18日(日)まで ※後期展示
あべのハルカス美術館
当日一般-1600円 当日大高生-1200円 当日中小生-500円
※開館時間:火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)。
※未就学児童は入場無料。期間中1回有効。
[問]あべのハルカス美術館■06-4399-9050

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