ホーム > インタビュー&レポート > 7/2(日)まで特別展『不二法門』を開催中の 「絹谷幸二 天空美術館」体験レポート!
色彩豊かでエネルギッシュな絹谷幸二ワールドへ
まずは、梅田スカイビル タワーウエストの高層用エレベーターで27階へ。受付へ向かうと、絹谷幸二氏の世界観を象徴するダイナミックな太陽の絵が迎えてくれる。
受付で3D映像鑑賞用メガネを受け取り、スタート地点となるシンボルゾーンへ。
天空をイメージした空間に飾られているのは、2013年の作品「祝・飛龍不二法門」。
勇ましく描かれた龍の口からは、開催中の特別展のタイトルでもある「不二法門」という文字が飛び出している。
不二法門とは「善と悪、生と死、強と弱など相反する2つの概念は別々のものではなく、1つのものの部分である」という、双眼で見ることの大切さを説いた「維摩経(ゆいまきょう)」の教え。
芸術もまた、人間の善悪や美醜、長所短所など相反するすべてを包み込むものでなければならないという絹谷氏の信念を象徴する言葉でもある。
まるで遊園地のアトラクション
世界初の絵の中に飛び込む3D映像を体験!
これから始まる絹谷ワールドへの期待に胸をふくらませながら、3D映像ルームへ。こちらの美術館の目玉とも言えるのが、この3D映像。
高さ約3m、幅約14mの巨大なラウンドスクリーンに大迫力の3D映像が映し出される演出は唯一無二。3D鑑賞メガネをかけて、いざ!
音楽が流れ、映像が始まると同時に意識は絵画の世界にダイブ...!
目の前には大きく口を開いた龍が現れ、体が飲み込まれる。ひらひら舞い散る花びらは、手をのばせば掴めそうだ。富士山の火口に吸い込まれていく時などはまるで天地がひっくり返るようで、さながら遊園地のアトラクション!
す、すごい...!
芸術とアミューズメントとの融合がこんなに興奮するものだとは...!
原色の世界の中に自分が溶け込んでいくような、これまで味わったことのない高揚感。これは絶対に体験してみてほしい! (正直、これを観るだけでも入館料分の価値はあると思った。)
目から色彩を取り入れる、青と赤に分かれた展示室へ
映像を観た後は、3Dの衝撃を引きずりながら展示エリアへ。
「青」の展示ゾーンには、繊細かつダイナミックな色彩の絵画が並んでいる。特別展「不二法門」のメインビジュアルにもなっている「黒谷光明寺 降臨 文殊菩薩」はこちら。
エリア内には立体作品も展示中。こちらは、梅田スカイビルに寄り添うように龍が絡み付く彫刻作品。龍の眼力とオーラがすごい!
続いて「赤」の展示ゾーンへ。こちらには、絹谷幸二のルーツとも言えるアフレスコ(壁画の古典技法)やイタリア留学時の作品が展示されている。
先の3D映像にも登場する「黄金背景富嶽旭日・風神・雷神」は圧巻。
絹谷氏の作品は技法や表現方法がさまざまで、絵画の中に文字が入っていたり、七福神が波乗りを楽しんでいるユニークなものがあったり、同じ作家が生み出したと思えないほど多種多彩。
そこには「芸術の世界というのは自由なもので、正解も表現方法も1つではない。人と同じである必要はなく、自分が描きたいものを自分なりの方法で表現することが大事」という絹谷氏の想いが詰まっているのだ。
27階からの絶景を眺めつつ天空カフェでティータイム
展示を満喫した後は、カラフルでポップなムードの天空カフェへ。
アップルパイやフォンダンショコラ、空をイメージした天空ソーダやソムリエ厳選のワインなどのメニューが揃うこちらのカフェ。1番の特長は、なんと言ってもこの絶景!
窓際の席は、大阪の街並みから遠くは明石海峡大橋、淡路島まで眺められるスペシャルシート。刺激的なアート体験の余韻を楽しむのにぴったりだ。
こちらは、カフェのみの利用であれば入館料は無料とのこと。都心でこの眺望を楽しめるカフェはかなり貴重なのでぜひ覚えておきたい。
(ちなみに現在、美術館に入館して写真または動画をSNSにアップすると、天空カフェにてワンドリンク(コーヒーor紅茶orオレンジジュース)プレゼントしてもらえるキャンペーンを実施中だそうです)
今回の滞在時間は約2時間。あっという間だった。
「絹谷幸二 天空美術館」を体験して思ったのは、「大阪駅から徒歩10分の場所にこんなに面白い体験型ミュージアムがあること、知らないのはもったいない...!」ということ。
今回ご紹介したほかにも、絹谷氏のアトリエを訪問している気分になれるVR(仮想現実)や、毎月開催されるアフレスコ(壁画)ワークショップなど、遊びゴコロのある仕掛けがいっぱいある。そのひとつひとつに、絹谷幸二氏の芸術愛やユーモア、次世代にアートを繋げようとする情熱、そしてここにやってくる訪問者への愛を感じ、すっかりファンになってしまった。
次は家族を連れて行こう。このカラフルでパワフルなアートの世界、子どもたちも好きになるに違いない。
取材・文/ぴあ編集部
(2023年3月 1日更新)
絹谷幸二 天空美術館
住:大阪市北区大淀中1-1-30 梅田スカイビル タワーウエスト27階
電:06-6440-3760
休:火曜(祝日の場合は開館、翌休)、年末年始、展示替え期間
営:10:00~18:00(土日祝は~20:00)※入館は閉館30分前まで
料:一般1000円、大学・高校・中学生600円、小学生以下無料
公式HP
https://www.kinutani-tenku.jp/