アートを鑑賞しながら尼崎の街が持つ多彩な魅力に出会える
「あまがさきアート・ストロール
~ Produced By 六甲ミーツ・アート芸術散歩~」開催中!
多様な個性がそれぞれ尊重され、人々が等身大で暮らす街・尼崎。その魅力をより多くの人に知ってもらおうと、毎年秋に六甲山で開催されている「六甲ミーツ・アート芸術散歩」のコンセプトを基に、尼崎の街の至る所に展示された現代アート作品を自由に「ストロール(散歩)」しながら鑑賞できる展覧会を開催。駆け足でまわると1日で、歴史博物館や尼信会館の企画展や特別展も合わせてじっくり鑑賞するなら2日間で楽しめる内容となっている。ぜひ、商店街で尼崎名物を買い食いしながら、春めく尼崎と現代アートのコラボレーションを満喫しに出かけてみよう。その他大覚寺や貴布禰神社、尼崎えびす神社で購入できる特別御朱印、フリーマーケットや大道芸、ストリートライブなどの関連イベントもありアート鑑賞以外の楽しみも盛りだくさんだ。注目の作品を一部ご紹介。
中尾純 「女王戦」
―見る側の想像力を掻き立てる作品―
学校の教室の趣が残る空間には、クリアフォルダーで制作された大きな2人の女王が展示されている。女王たち当人はゲームに熱心な様子だが、見ているものにはどのようなルールで行われているのか想像がつかない。教室という人間関係渦巻く空間も手伝って、相互理解のコミュニケーションの難しさを伝えている。
奥中章人 「INTER-WORLD/SPHERE」
―人間の関係性を虹色の球体で表現―
歴史博物館の中庭に鎮座する、偏光フィルムで制作された巨大な球体。晴れた日はビビットカラー、曇った日や雨の日はパステルカラーと天気によって色が変化。また、見る人の角度によっても全く違う色に見える。人と接するとき、自分自身のコンディションはもちろん、相手のコンディションやまわりの環境、相手の印象が変わることを表現している。会期中に開花が期待される桜とのコラボレーションを考え、青空のシアンから桜のマゼンダの領域で色が変わるように計算されているのも見どころ。
史枝 「きっかけの木」
―尼崎の人たちの濃く、温かいキャラクターからインスパイア―
尼崎に1か月間滞在し制作した100%「made in Amagasaki」な作品。古道具屋、たこ焼き屋、旅館の女将、パッチワーク講師という尼崎にゆかりのある4人を取材し、その時に浮かんだ図柄をパッチワークに起こしている。お世話になった方々との出会いという「きっかけ」を木に「ひっかけ」、展示するというダジャレも盛り込まれている。アート・ストロールの会場としては1番東の位置にあり、ベンチもある静かな環境なのでゆっくり鑑賞するのがおすすめ。
佐藤圭一 「おねすと」
―笑ったり、喜んだり、怒ったり…。人間のストレートな感情を表現―
一昨年、岡本太郎現代芸術賞展の入選作品。昨今、コロナ禍でマスクをしているため相手の表情が分かりにくいことを実感する機会が多いが、以前から人は社会生活を営むにあたり、感情を抑えることが非常に多く、もっとストレートに自分の気持ちを表現したいという作者の想いから生まれた彫刻作品。出会った瞬間は作品の大きさや色合いから受ける強いインパクトに驚くが、その飾らない表情に対して憧れに近い感情を抱く人も多いだろう。
しみずきみこ 「ひとりオリンピック」
―写真の中でなら叶う、夢のオリンピック出場―
尼崎城の1階、2階に展示されている「ひとりオリンピック」は日本広告写真協会「APA AWARD 2020」写真作品部門の奨励賞を受賞した作品。シンクロナイズドスイミングはラップを頭に巻いて鼻は洗濯ばさみでつまむ、重量挙げのダンベルは手作りするなど身近にあるものを駆使して独自でオリンピック種目を表現し、セルフスイッチで撮影したポートレイト写真。一見ふざけているようだが、実は大まじめにリアルを突き詰めて創作された、非常に臨場感のある作品だ。
German Suplex Airlines 風間天心 「Opposite Site」
―中古の提灯をリメイクした異次元なクラブハウス―
作者がお盆のお参りの際、各家庭にある提灯からインスピレーションを感じて生まれた作品。提灯の上物をはがし、光量をかなり強くすることで妖艶な光を放ち、不思議な世界へと誘ってくれる。投影する絵柄は花、果物などを用い、かつての市場のにぎわいを再現。サイケな雰囲気ではあるが、提灯の回転がテクノロジーではなく上昇気流により生み出されることが人の感覚に合うのか、不思議と落ち着く空間となっている。
(2022年3月24日更新)
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