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去る5月末、大阪で行われた増子兄ィのトークイベントの模様をレポート!
スペシャル動画シリーズ『俺達の怒髪天』は、the pillows 山中さわお氏が登場

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Profile

怒髪天

どはつてん
’84年に札幌で結成。増子直純(vo/通称兄ィ)を中心に上原子友康(g/通称 王子)、清水泰而(b/通称シミさん)、坂詰克彦(ds/通称坂さん)の4人組で活動中。オトコくさくも人情味溢れる独特の音世界に支えられた圧巻のライブアクトで人気急上昇中のロックバンド。

オフィシャルサイト http://dohatsuten.jp/

Release

Album『プロレタリアン・ラリアット』
発売中
インペリアルレコード

プロレタリアン・ラリアット 白盤[初回限定盤]
白盤[初回限定盤](CD+DVD)
2600円 TECI-1250

プロレタリアン・ラリアット 青盤[通常盤]
青盤[通常盤](CD)
2100円 TECI-1251

1.GREAT NUMBER  
2.労働CALLING    
3.マン・イズ・ヘヴィ  
4.全人類肯定曲  
5.よりみち  
6.うたのうた  
7.セバ・ナ・セバーナ  

Live

『プロレタリアン・ラリアット tour 09 <ワンマン>』
▼6月21日(日) 18:00
心斎橋クラブクアトロ
チケットの詳細はコチラ

 


the pillows

同郷であり、古くからのおつきあいがあるというthe pillows。「結構頻繁に会うから恥ずかしいんだけど!」とテレながらも増子兄ィにメッセージを贈ってくれた山中さわお氏のコメントをどうぞ。


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 今号の@ぴあ関西・怒髪天連載は、5月24日(日)、大阪・アメリカ村のdigmeout (※1)で行われた、我らが増子兄ィのレコ発記念トークイベントをレポートします! と、その前に…読者ご招待へのご応募、ありがとうございました! 皆様からのご感想が何よりの励みです。今後ともよろしくお願いいたします! そして、大人気!スペシャル動画シリーズ『俺達の怒髪天』、今号は怒髪天といえばこの方、北の大地が生んだ不屈のロッカー!the pillows 山中さわお氏からのメッセージです!

 

5月24日(日)、digmeoutには“俺達界隈 (※2)”の仲間たちが大集合! 男女比5:5、増子兄ィの登場を今か今かと待ちわびるその熱気が、開演前の店内を包んでおりました。また、当日は午後過ぎまであいにくの雨でしたが、立見が出るほどの大盛況でした!

午後5時の増子兄ィの登場、イベントスタート! 拍手喝さいで迎えられる増子兄ィの姿がそこに! まずは、集ったことを祝ってドリンクで乾杯! もちろん増子兄ィの片手にはビール! ビール・オア・ダイ!! 生きててよかった!

まずは、イベントのちょうど1週間前、大阪城野外音楽堂で行われた『SWEET LOVE SHOWER』を振り返ったり、フェスの楽しみ方を聴いたりなんかしたのち、コーナー①に突入! 昔の怒髪天の写真を振り返る!! 残念ながら、当日会場にいた人たちだけのお楽しみということで写真そのものはアップできませんが、増子兄ィの解説を再現しますので、どうか思いっきり、想像してください!

【01】
これ、'86年、札幌にいる頃だね。Gジャンの背中に自分で絵を描いたりしてたね。そのGジャンもボロボロだったけどね。今みたいに、もみ上げもないね。

【02】
これは'87年。ベッシーホール (※3)でのライブの写真だね。怒髪天だけど、メンバーは今と違うよ。俺は、髪はバンダナ巻いてて…、ピストルズがそんなことやってて。'87年っていくつだ俺…。(客席から間髪いれずに「21!」)21か。って早いね、計算(笑)。

【03】(メンバーは現在の怒髪天に一新)。
これもベッシーホールだね。シミー、ベースの位置が微妙に高いよね。友康が今、メインで使ってるギターも、この頃買ったものだよ。新品で買ったのに、20年経ったからもう、ビンテージになってるよね(笑)。俺のシャツ(色は黒)、袖の部分に金色で刺繍してんだよね、「怒髪天」って。まあ……何ともいえないよね~。

【04】
'89年。坂さんの長髪時代。友康も格好どうなんよと。赤いジャケットに金色のシャツて。…まあ、俺のコーディネートなんだけどね、ちょっと間違ってたよね(笑)。俺の格好もどうよって感じだけどね。首に数珠だからね。数珠に荒縄にニッカポッカって。これ観るとわかるように、JAPAN-狂撃-SPECIAL (※4)のこと何もいえないよね。気持ちはよ~くわかる。やってること、ほとんど同じだからね。こんなときもあったね。

【05】
俺、マチャアキみたいだね。昔よく、似てるって言われてたけど、これ見たらちょっとわかる(笑)。よゐこ・濱口くんも入ってるよね。眉毛ぶっといな!

【06】
これは友康。レコーディングを山中湖でしたときに、「自分のギターと機材を並べて写真撮りたい」つって、自分で並べて。でもなぜか、手にしてるのはウクレレ。こうやって見ると若いよね、友康。ちょ、息子みたいだ(笑)。まだ見ぬ友康の息子のようだね。

【07】
俺、ひどい!! どっかの戦国武将でしょ(笑)。坂さんは、ちょっといい男風だよね。この坂さんのジャンバー、袖が短いのよ。でも、ボロボロになって擦り切れて、裏地が出てきてちょうどいい長さになってんだよ。俺、犬みたいな表情してるよね。ん? みたいな。………これはよくないな~俺!

【08】
これひどいよ。(会場はどよめきと笑いが渦巻く)これね、もう来るところまで来たころの写真だね。シミーすごい! ジャージの上に袖を切った鋲つき革ジャン! 俺は、長髪で、さらし巻いて、髭はやして、薄い茶色のサングラス! 坂さんは…これもう、ただの相撲取りだもんね。パンパンだね! このときはまだ90年だから、いくつ? 20…(お客さん、24と即答)24だよね。早い!(笑) そうか、24か。ちょっと信じられない24歳。本当にこれがカッコイイと思ってたからね。いやまあ、インパクトはあるけどね。でも、こんな格好で今とそんなに変わらない曲をやってるわけじゃない。もうお客さん、笑っていいんだか何なんだか、判断に困るよね(笑)。これもベッシーの楽屋だね。

【09】
これは下北沢の屋根裏 (※5)だね。俺、長髪で、手が前に垂れて、エリマキトカゲが走ってるみたいだよね。よく見たら坂さん、サングラスしてるね。たむけんみたいなの! かっこ悪い~~~(笑) シミも長髪だ。この二人が今や丸坊主だからね、月日は流れたね~(笑)

【10】
これどこだ? Fandangoか? シミ、ヒッピーみたいな長髪だよね。坂さんは……パジャマ着てるよ(笑)。お父さん、起きてきちゃった!みたいな。友康も日焼けしてるな~。友康のシャツのセンスもどうよ? カーペットみたいなの着てるよ!

【11】
これは'93年。友康が革ジャンを着てるっていう珍しいパターンだね。これも時代を感じるね。バンドブームって感じだよね。’93年ってことは何歳だろう。(すかさずお客さんが「27!」と)。27、27……計算早いな~(笑)。27か。シミなんて25だよ。どうですか? 無駄に若いよね。すごいな~、人に歴史ありだね。

【12】
最後の1枚! あ、『痛快!ビッグハート維新'95』 (※6)の頃ね。これもう、大変ですから。坂さんの生気のなさったら! ぼんやりしちゃって。友康も長髪だからね。シミ、丸坊主でさ。当時ね、大変だったんだから、すごかったから。'95年っていろいろあったじゃない? 街を歩いてたら警察にマークされちゃって(笑)。俺のジャージにネクタイっていうスタイルも新しいよね(笑)。流行ると思ってたけど全然、流行らなかったよ。この頃、ぶっ飛んだセンスを見せてやろうと思ってて。で、ジャージにネクタイで、下はチノパンで、スリッポンをはいてたの。しかもサイズ違いの。でも、細かすぎて誰も気づいてくれなかったよ。もうね、行き過ぎたオシャレだったね。何でわかんないのかなって思ってたけど、今考えたら分かるわけないよね!

 以上、9年間にわたる怒髪天のすさまじい変貌ぶりを写真で振り返ったわけですが、皆さん、想像できましたでしょうか? 最後は「ベスト・オブ・いい写真」を決めることに…。増子兄ィが選んだのは【09】のどよめきが起こった写真! その理由は?
「アー写がこれだったらちょっと引くよね。ライブに行きたいって思わないよね、もう…。この頃ね、ほんっと、対バンのヤツは楽屋に来なかったからね。対バンで楽屋にいたの、ミッシェル (※7)だけだったからね。特にウエノとキューは本当に喜んでくれた。あいつらだけだったね、シャレをわかってくれたのは…」

 

続いてのコーナーは、増子兄ィへの質問。ダイジェストに送ります!(兄さん、ビール2杯目)

Q:メンバーの中で一番哀愁を感じる人は誰ですか?
A:この人しかいないでしょう(といって指差した先には、ポスターの坂さんが)。哀愁っていうか、加齢臭っていうか…。なんかもう、大変ですからね。リハで練習してたときに、自分で気持ちよくなっちゃったらしくて、すっごいテンポが遅くてなって。でもノリノリで目をつぶって叩いてんだよ。それで、友康が、坂さんに気づいてもらおうと思って何回も合図送ってんだけど、全然気づかなくて。しまいにはマイクで怒られてた!『坂さん!!遅い!!』って。いきなり怒鳴られて、『うああああ!!』って言ってた(笑)。この人はね、友康のギターが大好きだからね。俺は小言のうるさいオヤジ。シミのことは犬か何かと思ってる。でも、友康のことは大好き。……坂さんの話をすると長いよ!

Q:増子さんにとってのヒーローは誰ですか?
A:そうだね…、ウルトラマンとか仮面ライダーとかと並んで、キヨシローってヒーローだから。死ぬとかあり得ないからね。清志郎さん (※8)と何回か会わせていただいて、一緒に共演もさせてもらって、僕のことを覚えてもらってね。それで“清志郎さん”っていう状態がここ何年かあったんだけども。訃報を聞いてから、CDとかは聴けなかった。映像も観れなかった。そんな状況でね、ツアー中に後輩からメールが来て、「今日、NHKで特番やりますよ」って、完全版のやつ放送するっつうから、ホテルの部屋で見たら、普通に見れたの。そのときね、思った。元に戻っただけなんだなって。僕と清志郎さんとの距離感って、僕にとっては元々、テレビで観てる人だから。完全にヒーローなの。そこに戻っただけなんだなって。“清志郎さん”って呼んでたのが、俺の中で“キヨシロー”に戻っただけなんだって。俺の中では、やっぱりヒーローだよね。

Q:メンバーと出会ったときのエピソードを教えてください。

これは長いので、かなりのダイジェスト版、箇条書きにします!

・高校生のときに友康とは会っていた。
・それから怒髪天のメンバーを全員、クビにした後に、友康とフロイドなどの曲でセッションをやり始めた。
・友康はギターがすごくうまかった。
・俺はただのチンピラ。
・最初はヘルプでメンバーを入れていたが、ドラムにいいのがいると耳にした。
・坂さんだった。
・友康と一緒にライブを見に行き、打ち上げにも出た。そこで誘った。
・そしたら「いや、大学から一緒にやっているバンドがある」と言ってきた。
・翌日、友康と2人で坂さんの家に押しかけた。
・坂さんは、エアコンのないめっちゃくちゃ暑い部屋で、だっくだくの汗かいてカレーを食べているところだった。
・その場で坂さんのもといたバンドへ電話をかけさせ、「バンドを辞める」と言った(言わせた?)。
・坂さんが「増子さんの怒髪天っていうバンドに入る」と言うと、メンバーは「じゃあ、いいよ」と即答した。
・その時の帰り、ガソリン代5000円を坂さんに借りた。
・その5000円はまだ返していない。
・それからしばらくして、シミに会う。
・シミは怒髪天が好きで、よくライブを観に来ていた。
・その頃、ベースを変えようという話になっていたので、ベーシストを探すことにした。
・坂さんと友康は、うまいのがいいと言った。
・俺はバカがよかった。
・楽器はやればやるほどうまくなるが、バカは天賦の才、努力してもなれないからだ。
・二人はう~ん……と考えていた。
・シミを誘った。
・シミは本当にめちゃくちゃだった。自分のバンドのライブでも、ボーカルより前に出ていた。
・それでいて、全然ベースを弾かない。
・なんなのよ、こいつと思ったが、バカだからどうしようもないなとも思った。
・シミ、誘いを1回断る。自分の好きなバンドには入れませんと。
・実家まで押しかけた。
・観念し、入りますと言った。
・全員、揃った。

鉄壁の怒髪天が生まれた!

と、ここで坂さんネタに突入…
「これまたね、坂さんが前にいたバンドがね、ちょっとヴィジュアル系が入ったバンドだったの。だからね、坂さん、化粧させられ…ぶっ@J##$)!#AA)$!!(笑いをこらえられず、噴き出して言葉にならない)。ヒーー!! その頃の写真、いつか見せてあげたいと思うんだけど、完全にもう、操り人形だったね。一人だけ、あからさまにおかしいんだもん! ジュゴンちゃんみたいなんだもん。2丁目かよ(笑)」

Q:有吉弘行さん風に、メンバーにあだ名をつけるとしたら?
A:友康…「ギター脳」 ギターのことしか考えられない。
シミ…「泥酔園芸男」 最近、野菜作ってるから(笑)。酒飲んで、朝、野良猫にえさやりながら、畑作って…。作ったきゅうりを坂さんにあげてたよ。コンビニの袋に入れて。「おいしいよ、これ!」って。それを観た友康は、「もう来るところまで来たなって思った」って。「もう、ダメだこりゃと」(笑)。
坂さん…もうね、もう何でもいいの。すべてを許容する男だからね。じゃあ、「すべてを許容する男」。

という具合に進行し、あっという間に1時間が経過。お別れの時間がやってきました。増子兄ィ、最後はこんな言葉で、締めくくりました!
「大阪はほら、ワンマン (※9)やるので。セットリスト、ハンパじゃないからね! 俺、大丈夫なの!?っていうくらい。それは、メンバー2人の意向でね。この人(と、ポスターの坂さんを指差す)以外の意向。非常に濃い内容になってるので、お、この曲来んの!?みたいな。出し惜しみなし! それらが今回出したアルバムの曲と入り混じって、非常にいい流れになってるから。お楽しみに!」

セバ・ナ・セバーナ! ライブでまたお会いましょう! とにかく、ビール片手に話しまくってくれた増子兄ィ、その一言一句を文字に起こすと15000字に! ボリュームがよくわかりませんが、怒髪天の歴史を総ざらいをした60分でもありました。次号は再び、ナニワ珍遊道。増子兄ィが行く××××です! どこへ行ったかは、次回までのお楽しみに!!

 

本文補足

※1 digmeout
心斎橋はアメリカ村内にある、24時間営業の眠らないカフェ&ダイナー。大阪の名物ラジオ局FM802と密接な関係にあり、イベントも数多く開催されている。

※2 俺達界隈
怒髪天を愛する人々のこと。また、彼らと同じ志を持ち音楽のフィールドで戦うバンドたちのことを指すことも。

※3 ベッシーホール
札幌にある老舗ライブハウスのひとつ。上京前の怒髪天はここで数多くのライブ経験を積んだ。

※4 JAPAN-狂撃-SPECIAL
読み方はジャパン・くるう・スペシャル。昨年メジャーデビューを果たし、音楽シーンを震撼させた“パンク+ヤンキー” ロックバンド。怒髪天のライブには必ずといっていい程足を運んでおり、バンド同士はその仲のよさからまるで兄弟のような関係である。

※5 屋根裏
下北沢にある老舗ライブハウス。

6 『痛快!ビッグハート維新’95』

‘95年リリースの怒髪天のアルバム。eastern youthのボーカル吉野など豪華なゲストも迎えた名盤に。この作品からしばらく怒髪天は活動を休止することとなる。

※7 ミッシェル
日本を代表するロックバンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのこと。’03年の解散後も、個々に活動を展開し音楽シーンに多くの伝説を残している。

※8 清志郎さん
今年5月2日に惜しまれつつ亡くなったロックスター、忌野清志郎のこと。’70年に、RCサクセションとしてシングル『宝くじは買わない』でデビューして以来、多くの人々の心を掴む音楽的偉業を残し続けている。代表曲はRCサクセション『雨上がりの夜空に』『スローバラード』、覆面バンド、ザ・タイマーズ『デイ・ドリーム・ビリーバー』など数多に及ぶ。

※9 ワンマン
左上にもあるけどもう一度おさらいをば!
▼6月21日(日) 18:00
心斎橋クラブクアトロ
オールスタンディング3500円
チケットは絶賛発売中です。
この日来ないと増子兄ィがあなたの家の前で待ち伏せしていることでしょう。
詳細はコチラまで

 


 「増子直純のガッカリだよ!!(微妙に古い)不定期シリーズ 第1弾!!」

本 日 休 業 !!

★大阪プロレスの拠点へ足を向けたものの、試合のためお休みでした。残念!

the pillows

(取材・文 岩本和子)


次回は、6月16日(火)更新予定です。お楽しみに!!
本コーナーに関するご意見・ご感想を、こちらまでお寄せください。

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