Jリーグのファン、サポーターにとって待ちわびた新シーズンが今週末に開幕を迎える。

今シーズンのJリーグは、J1のみ1st、2nd各17節に分けた2ステージ制で開催され、J2はこれまで通り1シーズン全42節で実施。関西4チーム中、昨シーズンに三冠を達成したガンバ大阪はリーグ連覇、ヴィッセル神戸は初タイトル獲得を目指し3月7日(土)にスタートするJ1に臨む。そして、17位に沈み降格を味わったセレッソ大阪、2011年からJ2暮らしが続く京都サンガは、上位2チームと3～6位によるプレーオフ勝者に与えられるJ1昇格をかけて3月8日(日)から始まるJ2での戦いに挑む。

2月28日に行われたカップ戦『ゼロックススーパーカップ』で浦和レッズを2－0で倒し、早くも一冠目を獲得したガンバ。長谷川体制3年目となる今シーズンはユースから4名がトップに昇格し、即戦力としてベガルタ仙台からFW赤嶺真吾、横浜F・マリノスからMF小椋祥平、ジュビロ磐田からGK藤ヶ谷陽介が移籍加入した。戦術に大きな変化はないが、プレーの質と精度、量、頻度を増やすことをテーマに、これまで築いてきたサッカーのさらなるクオリティアップに着手。選手個々のプレーレベルを引き上げることでのチーム力強化を図っている。その中で活躍が期待されるのは、エース。FW宇佐美貴史だろう。｢個人タイトルとして得点王を狙いたい｣と公言し、ゼロックス杯で得点を決めていることから、ケガで出遅れた昨シーズン以上のゴールを挙げる可能性は高い。

クラブ創設20周年を迎え悲願のタイトル獲得を目指すヴィッセル神戸は、昨シーズンまで柏レイソルで指揮を執っていたネルシーニョ監督を新指揮官に招聘。さらに、FC東京からFW渡邉千真、サガン鳥栖から左サイドバックのDF安田理大、新外国人MFフェフージンら移籍加入5選手に、東福岡高校でプレーしていたMF増山朝陽、ユースから昇格したDF山口真司らルーキー3人の計8選手が新たな戦力として加わった。｢強いヴィッセル神戸として、勝者として、今季を締めくくっていければと思います｣(ネルシーニョ監督)。前線には昨シーズン14得点のFWマルキーニョス、13得点をマークしたFWペドロ･ジュニオールを擁し、積極的補強で戦力を整えた神戸に注目だ。

例年以上の激戦となることが予想される今シーズンのJ2。1年でのJ1復帰を逃したジュビロ磐田、降格組の大宮アルディージャと徳島ヴォルティス、プレーオフで涙を飲み続けるジェフ千葉らと、セレッソ大阪はJ1昇格を争うことになる。戦力はあったものの、逆境をはねのけることができなかった昨シーズンの反省を踏まえ、メンタル部分の経験と人間性をプラスすべく大規模補強を敢行した。名古屋グランパスから元日本代表FW玉田圭司、浦和レッズからMF関口訓充、さらに、2013年までセレッソに在籍し、昨年はタイのクラブでプレーしていたDF茂庭照幸ら経験豊富なベテラン勢を獲得。そして、新助っ人ブラジル人MFパブロ、ユースからの昇格組などの若手を含む15名が新たに加入した。この大所帯となったチームを率いるのは、2006年に鹿島アントラーズで監督を務めた経験を持つパウロ･アウトゥリオ監督。｢ゲームの中で我々が主導権を握れるように、主役になれるようにということを常に目指していきたいと思います｣と語った指揮官のもと、1年でのJ1復帰を目指す。

そして、降格からJ2歴5年目に突入した京都サンガも、監督を交代。かつてヴィッセル神戸を率いた和田昌裕監督が今シーズンの指揮を執る。チーム一丸となってJ2の頂点とJ1昇格を目指す中、新戦力として12人の選手が新加入。ジェフ千葉から移籍し、初年度ながら主将を任されたDF山口智、ジュビロ磐田からDF菅沼駿哉、ベガルタ仙台からMF佐々木勇人、元韓国代表のMF金南一ら、経験のある選手が加わった。｢選手起用の面を含め、若手とベテランの融合をうまくやっていきたいと思っております。また、そのなかで今までのチームをベースにしながら、ボールを奪ったらまずはゴールを目指し、攻撃でのスピード感をもった試合をしていきたいと思っております｣(和田監督)。J1昇格を手繰り寄せることができるのか、新生サンガからも目が離せない。

シーズン終了後にはどんな結末が待っているのか。各チームのスタジアムに足を運び、厳しい戦いに挑む選手たちへの熱い声援で勝利の後押しをしてほしい!!

取材・文：金子裕希