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関西にロッシーニ・ルネッサンスの香りを運ぶ
オペラ『泥棒かささぎ』。初演から200年余りを経て
フェスティバルホールで全曲上演! (1/2)

19世紀前半を代表するオペラ作曲家ジョアキーノ・ロッシーニの『泥棒かささぎ』。長く序曲によって名前が知られていたこの作品が6月5日(土)フェスティバルホールで関西初演(演奏会形式)される。『ランスへの旅』(2015)『チェネレントラ』(2018)に続く、大阪国際フェスティバル3作目のロッシーニ作品である。
 
ロッシーニによって全盛期を迎えたベルカント・オペラの伝統はその引退後、急速に失われていく。装飾的、技巧的な歌唱は後退し、オペラはより強いドラマ性、激しい感情表現を指向するようになる。ヴェルディやプッチーニの時代がやって来るのである。こうして20世紀の半ばには上演機会が激減していたロッシーニの作品だが、この状況に終止符を打ったのが1980年、イタリアのペーザロ(ロッシーニの生地)で始まったロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ROF)である。芸術監督を務める指揮者のアルベルト・ゼッダのもと、クラウディオ・アバドによる159年ぶりの『ランスへの旅』の復活上演や、アカデミア・ロッシニアーナという養成機関を併設してのロッシーニ歌手の育成など目覚ましい成果を挙げ、ロッシーニ・ルネッサンスと呼ばれる潮流となって世界各地へ広がっていく。
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▲2015年公演『ランスへの旅』(C)Naoko Nagasawa(写真提供:朝日新聞文化財団)
 
このアルベルト・ゼッダを迎えて行われたのが2015年のフェスティバルホール公演『ランスへの旅』。アカデミア・ロッシニアーナ出身の歌手たちとともに、老田裕子(ソプラノ)や伊藤貴之(バス)ら、ゼッダ自身のオーディションによって選ばれた関西の歌手たちが主要キャストを歌ったこの公演は、ここ関西におけるロッシーニ・ルネサンスの記念すべきステージとなった。ゼッダは2017年に世を去るが、2018年にはその薫陶を受けたロッシーニ演奏の第一人者、園田隆一郎の指揮で『チェネレントラ』を上演。すでにROFほかで活躍中の脇園彩(メゾソプラノ)、現在ロッシーニ・テノールとして日本を代表する存在となった小堀勇介らを迎えたベルカント・オペラの香り漂うステージは、多くの観客を魅了している。
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  ▲2018年公演『チェネレントラ』撮影 森口ミツル(写真提供:朝日新聞文化財団)

こうした流れを受けて上演されるのが今回の『泥棒かささぎ』である。盗まれた銀のスプーンを巡って女中のニネッタがたどる不幸な運命とその救済の物語や、コロラトゥーラの技巧を散りばめたこの時代ならではの歌唱の魅力など、25歳のロッシーニがその才気を存分に発揮した多くの聴きどころに溢れた作品である。ヒロイン、ニネッタを歌うのは『ランス』以来の老田裕子、その恋人のジャンネットに小堀勇介。そしてニネッタを無実の罪に陥れる悪代官ゴッタルドを伊藤貴之が歌うほか、関西を代表する声楽陣が要所を引き締める。銀のスプーンを盗んだのは果たして誰か?そしてニネッタを待ち受ける運命とは?1817年、ミラノ・スカラ座を熱狂の渦に叩き込んだ傑作オペラの、実に200年余りを経ての関西登場である。
DSC02425-480B.jpg  ▲アルベルト・ゼッダと園田隆一郎。2015年『ランスへの旅』リハーサルより
                       (写真提供:朝日新聞文化財団)
▶次ページは園田隆一郎インタビュー
ロッシーニの魅力はオーダーメイドの面白さ~



(2021年4月29日更新)


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大阪交響楽団(C)飯島隆

第59回大阪国際フェスティバル2021
オペラ『泥棒かささぎ』

ニネッタ/老田裕子(S)        ジャンネット/小堀勇介(T)


ゴッタルド/伊藤貴之(Bs)      フェルナンド/青山貴(Br)


ピッポ/森季子(Ms)         イザッコ、アントーニオ/清原邦仁(T)


ジョルジョ/西尾岳史(Br)       裁判官/片桐直樹(Bs)


ファブリツィオ/晴雅彦(Br)      ルチーア/福原寿美枝(Ms)

合唱:ソプラノ1 太田尚見 岡本真季
         三村浩美 岩本実奈子
   ソプラノ2 名島嘉津栄 味岡真紀子
         堀口莉絵 安本佳苗
   テノール  諏訪部匡司 しまふく羊太
         岡成秀樹 近藤勇斗
   バス    伊藤友佑 谷本尚隆
         山川大樹 神田行雄

●6月5日(土)14:00開演(13:00開場)
フェスティバルホール
S席-8,500円 A席-7,500円 B席-6,500円 
BOX席-12,500円

【問い合わせ】
フェスティバルホール チケットセンター
06-6231-2221(10:00~18:00)

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