ホーム > NEWS > ハープ協奏曲世界初演!いずみシンフォニエッタ大阪 第42回定期演奏会『祈りの霊感』は、三ツ橋敬子の 指揮で紡がれる色とりどりの祈りの物語
7月6日(土)、第42回を迎えるいずみシンフォニエッタ大阪〔以下ISO〕の定期演奏会は「祈りの霊感」と題し、気鋭の指揮者、三ツ橋敬子を迎える。三ツ橋敬子は2016年2月のISO第36回定期演奏会に登場、西村朗の室内交響曲第5番と現代イタリアの作品を色鮮やかな響きで描き出し、メンバーからの共演希望が最も高かった指揮者のひとりだ。
オープニングは三ツ橋が今回の共演のために選曲したというスペインの作曲家、ホアキン・トゥリーナの『闘牛士の祈り』。生と死を賭けた闘牛に赴く彼らの束の間の祈りを描いた作品だ。魅惑的な旋律はもともとマンドリン合奏のために描かれたもの。ISOの弦楽器セクションが奏でる、陰影豊かな響きを味わいたい。ストラヴィンスキーの『プルチネルラ組曲』は1920年、セルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュス(ロシアバレエ団)によって初演されたバレエ音楽の組曲版。月影冴えるナポリを舞台にプルチネルラ(ヨーロッパの伝統的な道化者キャラクター)の恋物語が描かれる。ペルゴレージほかのバロック作品を下敷きとした音楽はチャーミングで起伏に富み、ちょっとクセになりそうな魅力に溢れている。
後半はISOが力を入れる関西若手作曲家委嘱プロジェクトの第7弾。1983年、兵庫県生まれの薮田翔一〔写真左〕によるハープ協奏曲「祈りの樹」を初演する。ステージ中央に置かれたハープに一本の樹のイメージを重ねつつ、その周りでオーケストラがさまざまな情景を創り上げていくという内容。「令和の時代がより平和な時代になるように祈った音楽」と薮田は語る。ソリストにはISOのメンバーで、薮田が信頼を寄せる篠﨑和子。今回も名曲誕生の貴重な瞬間に立ち会うことができるだろう。そして最終曲にはラヴェルが過ぎにし時代への祈り(各曲は第一次世界大戦で亡くなった知人たちに捧げられている)として作曲した『クープランの墓』の管弦楽版を演奏する。全6曲のピアノ作品のうち、ラヴェル自身が編曲しなかった「フーガ」と「トッカータ」は、アメリカの作曲家マイケル・ラウンド編で演奏。管弦楽版全6曲が演奏される珍しい機会だ。以上4作品、今回もISOが腕によりをかけた自信作。三ツ橋敬子のシャープな指揮によって紡がれる、色とりどりの祈りの物語を聴き届けたい。
(2019年6月24日更新)
●7月6日(土)16:00(15:15開場)
15:30~ロビー・コンサート
15:45~プレトーク
いずみホール 一般-5000円(指定)
Pコード 145-954 チケット発売中
【プログラム】
J.トゥリーナ:闘牛士の祈り op.34
I.ストラヴィンスキー:プルチネルラ組曲
薮田翔一:ハープ協奏曲『祈りの樹』
M.ラヴェル:クープランの墓(編曲:マイケル・ラウンド)
【指揮】三ツ橋敬子
【ハープ】篠﨑和子
【問い合わせ】
いずみホールチケットセンター■06-6944-1188
〔10:00~17:30(日祝休業)〕
いずみホールが現在、最も力を入れているのが、いずみシンフォニエッタ大阪のアーカイブ・プロジェクト。演奏会を楽曲ごとに収録した映像・録音を、Youtubeを通じて配信する試みだ。2015年10月1日の配信以来、西村朗のオーボエ協奏曲『四神』世界初演の模様や飯森範親指揮、カーゲルの『フィナーレ』など、貴重な映像・録音が続々とアップされており、すでにアメリカ、ヨーロッパ、アジアの各国で視聴されている。現・近代音楽に対する新たな取り組みとして各方面から注目を集めるプロジェクトだ。
いずみシンフォニエッタ大阪:Youtubeページへ