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1年ぶりのいずみシンフォニエッタ大阪は
ヴァイオリニスト、神尾真由子初共演!
第41回定期演奏会『妙技爛漫~バーゼルの喜び』

 近・現代の音楽の演奏を主たる目的とするいずみホールのレジデントオーケストラ、いずみシンフォニエッタ大阪〔ISO〕。ホール休館のため1年ぶりとなる第41回定期演奏会が、3月1日(金)に行われる。今回は題して『妙技爛漫~バーゼルの喜び』。半年のインターバルを吹き飛ばすように、ISOならではの個性が全開したプログラムを届けてくれる。
 
 開幕は音楽監督、西村朗が推薦するフランスの作曲家、アラン・ゴーサンの『ÉCLIPSE』(エクリプス)。「蝕」あるいは「日食」を意味する言葉である。2台のピアノと16の楽器によるアンサンブルが、惑星の動きがもたらす「蝕」の発生とそれに付随する心理的で瞑想的な一連のプロセスを描き出すというもの。1979年の作品ながら、その詩的とも言える想像力に溢れた世界は今もなお新鮮だ。1943年生まれのゴーサンは、オリヴィエ・メシアンに学び、現在は大阪音楽大学客員教授を務めるなど、関西との縁も深い。『ÉCLIPSE』は師であるメシアンに捧げられている。日本初演。
 
 続いて今回注目を集めそうなのがヴァイオリン独奏に神尾真由子を迎えるリゲティのヴァイオリン協奏曲。難曲として知られるが、近年はこの作品をレパートリーに加えるヴァイオリニストも現れて来た。オーケストラにも同様の超絶技巧が求められる中、今回の選曲は神尾の師である「小栗まち絵先生率いるいずみシンフォニエッタ大阪との共演ならば」という強い信頼と希望のもと実現したものである。神尾は2016年、サントリーホールブルーローズでこの作品を演奏(サントリーサマーフェスティバル2016 東京シンフォニエッタ/指揮:板倉康明)、その時得た手応えをもとに、さらに深い解釈と音色でISOとの初共演に臨むという。聴覚を未知のゾーンに連れ去る全5楽章。ここで聴いておかなければ次の実演はいつ聴けるのかわからないという、要するに一生ものの作品なのである。
 
 そして緊張感に溢れたふたつの作品のあとで、実に明るく、瑞々しく演奏されるのが、フランス近代の作曲家アルテュール・オネゲルの交響曲第4番『バーゼルの喜び』。ライン川上流に発展したスイスの古都バーゼルの豊かな自然を描いた作品で、バーゼル室内管弦楽団の創立20周年を記念して、同楽団の指揮者パウル・ザッハーの依頼で書かれている。オネゲル自身はフランス国籍であったが両親がともにスイス出身であったために終生、スイスの明媚な風景に心を寄せたという。古典的な交響曲の形とはやや趣きを異にするオネゲルならではの全3楽章。ISOの妙技が織り成す爛漫な響きを楽しみたい。
 
まち絵先生と共演の機会が増えればいいな、と思います。
                      ー神尾真由子


DSC_0916-S.jpg■いずみシンフォニエッタ大阪との初共演がリゲティの協奏曲。神尾さんご自身のリクエストとうかがっています。
2016年にサントリーホールで弾いて以来、私自身この作品を深めていきたいという思いが強くありました。ただ非常に難曲で、特にオーケストラの部分が難しく書かれているので取り上げる楽団が限られてしまうんですね。そこで今回のお話をいただいた時に、いずみシンフォニエッタ大阪さんならできるかなと思って「リゲティはどうですか」と言ったら「リゲティはいいですね」ってご快諾いただいたんです(笑)。
■聴きどころなどをうかがえますか?
大きくは東欧の民族的な、バルトークの流れの上にあるような音楽と言えるかと思います。一聴した印象はとても前衛的だなと感じられるのですが、そうした楽章もありながら叙情的な楽章もあってだんだんクセになる曲というか。少ない人数のために書かれている割には迫力のある響きもしますし、ちょっと難しいかなと感じられるお客さまにも難しいなりに楽しんでいただける作品だと思います。
■コンサートマスターは小栗まち絵さん。初めての師弟共演と言えそうです。
小学校3年生で初めてお目にかかって、ご主人の工藤千博先生と一緒に教えていただきました。音色などの細かい部分を工藤先生が、そして全体を俯瞰的に見てそれを子供にもわかり易く教えてくれたのがまち絵先生だったと思います。なぜか今まで同じステージで弾いたことが無かったのですが、今回の共演を機会にご一緒できることが増えていければいいな、と思っています。
 



(2019年2月 4日更新)


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【ヴァイオリン】神尾真由子(C)Shion Isaka
【音楽監督】西村朗(C)東京オペラシティ      【指揮】飯森範親(C)山岸伸
 撮影:大窪道治           

いずみシンフォニエッタ大阪《第41回定期演奏会》
「妙技爛漫~バーゼルの喜び」

●3月1日(金)19:00開演(18:15開場)
18:30~ロビー・コンサート
18:45~プレトーク

いずみホール 一般-5000円(指定)
Pコード 127-527 チケット発売中

【プログラム】
A.ゴーサン:ÉCLIPSE(1979/日本初演)
G.リゲティ:ヴァイオリン協奏曲(1990/92)
A.オネゲル:交響曲第4番『バーゼルの喜び』(1946)

【音楽監督】西村朗
【指揮】飯森範親
【ヴァイオリン】神尾真由子

【問い合わせ】
いずみホールチケットセンター■06-6944-1188

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■いずみシンフォニエッタ大阪・アーカイブプロジェクト

いずみホールが現在、最も力を入れているのが、いずみシンフォニエッタ大阪のアーカイブ・プロジェクト。演奏会を楽曲ごとに収録した映像・録音を、Youtubeを通じて配信する試みだ。2015年10月1日の配信以来、すでにアメリカ、ヨーロッパ、アジアの各国で視聴されており現・近代音楽に対する新たな取り組みとして各方面から注目を集めている。

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