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円熟と瑞々しさに彩られたシューマン・プログラム
漆原朝子&ベリー・スナイダー
ヴァイオリン・ソナタ全3曲&3つのロマンス

  1988年にデビュー以来、30年に渡って日本を代表するヴァイオリニストとして活躍する漆原朝子が、ピアノにベリー・スナイダーを迎え12月21日(金)、京都コンサートホールアンサンブルホールムラタでデュオ・リサイタルを行う。プログラムはシューマンのヴァイオリン・ソナタ全3曲と3つのロマンス。漆原が「最高の音楽的パートナー」と語るスナイダーと同プロによるシューマンに臨むのは2010年10月の東京文化会館以来のこと。関西では2002年6月の神戸新聞松方ホール以来、実に16年ぶりとなる。

 
 2002年当時、ソナタ第3番を採り上げて「全曲」とすることは非常に斬新な試みだった。このソナタはシューマンがライン川へ身を投げる前年の1853年に書かれながら、長く存在が知られずにいた作品である。その死後100年以上を経た1956年に出版された後も、演奏機会は非常に少ない。
「弾きやすい曲ではないですよね。クララが世間の目から隠した、という話もあります。でもシューマンの悲劇的な晩年の表情を伝える作品なのでもう少し弾かれてもいいのでは」
公演に先駆けて大阪を訪れた漆原朝子はそのように語る。
 
 漆原がシューマンの本質に触れたのはジュリアード音楽院を卒業後、拠点をヨーロッパに移した後のことだという。そこでシューマンの歌曲の多くに触れた。
「ああ、歌の人なんだな、と思いました。その頃アメリカではシューマンはやはり狂気の作曲家として捉えられていて、私はその解釈にどこかしっくりしないものを感じていたんです。でも『リーダークライス』や『詩人の恋』といった歌曲集を、ヴァイオリンで子音の多いドイツ語を歌うようにして弾いてみると本当に素晴らしい。ソナタも同じだと思います。器楽的な部分は脇に置かれて、ただ『歌』と言う表現の一番大切な部分に向かっているような純粋さがシューマンの音楽にはあるような気がします」
 
 2002年6月のシューマンは、その後ベリー・スナイダーとともにシューベルト、ブラームスといったロマン派演奏に成果を残す漆原朝子のひとつの里程標となったステージでもある。円熟を重ねる彼女のデビュー30周年という節目の年に、改めてこのプログラムに出会えることは聴く者にとって大きな喜びと言えるだろう。
「シューマンの想いや私の想いを乗せて、お客さまといろんな感情を共有できる一期一会の時間を創りたい。音と音楽と想いは飛翔できるから」
漆原の言葉が瑞々しく響いた。



(2018年11月16日更新)


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漆原朝子&ベリー・スナイダー

シューマン:ヴァイオリン・ソナタ全3曲&3つのロマンス

●12月21日(金)19:00
京都コンサートホール 小ホール
一般-4000円(指定)
チケット発売中 Pコード 123-522

【プログラム】
ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 op.105、
ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調 WoO27
3つのロマンスop.94
ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 op.121

【問い合わせ】
KCMチケットサービス■0570-00-8255


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ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調 WoO27
3つのロマンスop.94
ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 op.121

漆原朝子(ヴァイオリン)
ベリー・スナイダー(ピアノ)

神戸新聞松方ホール〔ライブ録音 2002.6/3〕
FOCD3502 定価¥3,059(税抜¥2,913)