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ホーム > NEWS > 福間洸太朗が挑む「もっとも複雑で難解なスコア」 いずみシンフォニエッタ大阪 第34回定期演奏会 「リズムの秘法~世界の創造」

福間洸太朗が挑む「もっとも複雑で難解なスコア」
いずみシンフォニエッタ大阪 第34回定期演奏会
「リズムの秘法~世界の創造」

 アメリカ東部の民謡風のメロディを用いたアーロン・コープランドの『アパラチアの春』。静謐さと凶暴な響きが交錯するディアナ・ロタルのサクソフォン・コンチェルト『シャクティ』(2004年、第25回「入野賞」受賞作品)。全5楽章、複合リズムに貫かれ、作曲者ジョルジュ・リゲティをして「もっとも複雑で難解なスコア」と言わしめた『ピアノ協奏曲』。そしてジャズの響きがカラフルな高揚感を生むダリウス・ミヨーの『世界の創造』。この一筋縄ではいかないプログラムに、今注目の演奏家たちが取り組む演奏会が1月24日(土)、いずみホールで行われる。いずみシンフォニエッタ第34回定期演奏会「リズムの秘法~世界の創造」だ。

 「リゲティはエチュードも何曲か弾きましたし、すごく興味を抱いていました。ただ彼の『ピアノ協奏曲』は取り上げるオーケストラや指揮者自体、限られるだろうし、まず自分が弾くことはないだろうと考えていたんです」。
そう語るのは公演に先立っていずみホールを訪れた、ピアニストの福間洸太朗。今回の演奏は彼にとってもまたとない挑戦の機会であるという。同ホールで10月に行ったソロリサイタルではバラキレフの『イスラメイ』以下、難曲のひしめくオール・ロシア・プログラムを鮮やかに弾き切って会場を圧倒したが「比較にならないほど今回は大変です。脳の中がピキピキ動くのを感じられるくらい(笑)。だから今、メトロノームを使ってゆっくり練習しているところなんです」と慎重さを隠さない。その大変さの一因となるのが、この作品の複雑に組み合わされたリズムだ。


DSC_1966300b.jpg「どこを基準にリズムを取ってるのかをきちんと把握しておかないと、どれが拍なのかもわからなくなってくるんですよ。例えばピアノと打楽器は3をひとつのまとまりにしているのでメトロノームだと、1・2・3、1・2・3の3拍子です。ところがヴァイオリン群は3じゃなくて2、なので、1・2、1・2、1・2、1・2の4拍子。このあたりはまだ簡単ですが、どんどん変化して複雑になって、かなり激しく拍のとりかたが変わっていくんです」。多くの演奏会をほぼ暗譜で弾き切る福間だが、今回はタブレット型端末にスコアを読み取り、それをスタンドにセットしたものを見ながらの演奏を考えているという。そのあたり、視覚的にもスリリングかも知れない。浮かび上がる作品の全体像については「それを今、つきとめようとしているところです。全体がピアノを含めた打楽器群と弦楽器群と管楽器群の3つで、動いているんですよ。3つの世界が同時進行しているみたいに。日常生活においてここの家庭では今、食事中。ここの家庭では今、喧嘩をしている。ここの家庭では今、団欒、テレビを見ている。そういう別々の行為を同時に見ているような印象を受けるんです。演奏会では、お客様はそれを視覚的にも感じることができると僕は思うんですが…最後は板倉先生の手にかかってますね。きっと」と、ソリストならではの洞察を語ってくれた。


 指揮は東京シンフォニエッタで音楽監督を務める板倉康明。現代音楽のエキスパートであり、今回演奏される『シャクティ』の世界初演者でもある。サクソフォンには現在引く手あまたの実力派、西本淳。そしてピアノに福間洸太朗。このいずれ劣らぬ3人が、いずみシンフォニエッタ大阪と繰り広げる現代音楽の万華鏡「リズムの秘法~世界の創造」。2015年も関西の現代音楽はここから始まる。

いずみシンフォニエッタ大阪Facebookに今回の出演者、西本淳、福間洸太朗の動画によるコメントが掲出されています。併せてお読みください。




(2014年12月19日更新)


Check
指揮:板倉康明(c)Eric-MANAS   サクソフォン:西本淳     ピアノ:福間洸太朗 
いずみシンフォニエッタ大阪

リズムの秘法~世界の創造

いずみシンフォニエッタ大阪〈第34回定期演奏会〉

●2015年1月24日(土)16:00
いずみホール 一般-5000円(指定)
チケット発売中 Pコード 236-519

【指揮】板倉康明
【サクソフォン】西本淳
【ピアノ】福間洸太朗

【プログラム】
コープランド:アパラチアの春
ディアナ・ロタル:シャクティ
リゲティ:ピアノ協奏曲
ミヨー:世界の創造

15:30よりプレコンサート
15:45よりプレトークあり。

【問い合わせ】
いずみホールチケットセンター■06-6944-1188

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