大阪発、「誰も観たことがない光のダンス」が世界初演!
暗闇のなか、ELワイヤーを施した光るスーツで踊る「光のダンス」で一躍世界にその名を轟かせたダンス界の重鎮的グループ、WRECKING CREW ORCHESTRA(レッキンクルーオーケストラ)。あの衝撃から8年。現在「光のダンス」は20代の男女混合ユニット「EL SQUAD(イーエル スクワッド)」が主軸を担い、今秋「光のダンス」の集大成的新作『プレイ・ザ・ダークネス』をフランス公演に先駆け、大阪で世界初演する。
約60分に10場以上が展開する濃密なステージ。単体でも楽しめるオムニバス形式だが、テーマ性を持たせることで「最終的に観た人の心に何かを残せる作品にしたい」と話す代表のYOKOI。初演当時は、いかに視覚的に面白いことができるかに注力したが、次第に自分たちにとって「光のキャラクターとは何者か」を考えるようになり、あるテーマに行き着いた。
「例えば僕自身、小中高は本気でNBAを目指すほどバスケ一筋。でも怪我で挫折して目標を失い、どん底にいた時にダンスと出合い救われました。当時はダンスで食べていくと言っても誰も信じてくれなかった。でも今はバスケを辞めて良かったんだとさえ思える。そういう“可能性”を具現化したものが光のキャラクターかもしれない、と思い至りました」。新作のテーマはずばり「if」。「人生には様々な選択肢がある中で、少しでも自分に正直に、本来選ぶ道を選べれば良いなという思いを込めて作りました。太古の獣が未来の扉をくぐるといった『もしも』から、人生における可能性まで。誰も見たことがない世界をお届けできると思います」。
ダンサーとして25年のキャリアを持つYOKOIだが、「光のダンスは通常のダンスとは別物」で、苦労が絶えないと明かす。「暗闇で表情が見えない中、感情を表現することの難しさだったり、光る順番はプログラムで制御されているため、絶対に踊る位置は間違えられないとか、通常のダンスとは違う精密さを求められる。このスーツを着て踊るための独自の踊り方やパフォーマンスの仕方を徹底的に磨いています」。驚くのは光のスーツはすべてメンバーによる手作りという事実だ。今回は完全新作につき、約1年前から製作を開始した。
「当初は特殊美術の方など、各方面のプロに相談を持ちかけましたが、誰も見たことがないし、作ったことがない。結局自分たちが考えたオリジナルの方法で『いいんじゃない?』となることが多くて」。必然的に知識と技術が身に付いた。今ではスタジオ奥に立派なラボを構えるほど。「今回は僕ら史上最上級に重いスーツになりました。踊っていると汗をかくので時々パチッと漏電して、首とかに刺激が走る。考えながら作っていても結構危険なことも起こるんですけど。スーツや小道具もすごく時間をかけて作ったので、これ全部自分たちで作ってるのか!と思って観てもらえたら、少しは感動してもらえるんじゃないかな(笑)」
公演は9月27日(金)から29日(日)まで大阪・ABCホールにて上演。チケット発売中。
取材・文:石橋法子
撮影:森好弘
(2019年9月20日更新)
Check