注目の若手俳優、清野菜名と須賀健太が新感線で大暴れ!
今年旗揚げ39周年を迎え、“39(サンキュー)興行”を敢行中の劇団☆新感線。春公演『偽義経冥界歌』に次ぐ夏秋公演は、看板俳優の古田新太と劇作家の倉持裕が3年ぶりにタッグを組んだ、いのうえ歌舞伎『けむりの軍団』を上演中だ。古田と盟友・池田成志が初の相棒役に挑む、戦国が舞台の痛快爽快人情活劇。本作で古田らが警護する姫様とその家臣役に抜擢された清野菜名と須賀健太に意気込みを聞いた。
1980年に大阪で旗揚げ、今や全国区のエンタテインメント集団に成長した劇団☆新感線。春公演『偽義経冥界歌』に主演した生田斗真をはじめ、90年代より主役を外部から招くスタイルを定着させ、若手俳優が実力を磨く登竜門的存在としての地位も確立する。出演希望者が多い中、清野菜名と須賀健太は共に『髑髏城の七人』以来2年ぶり2度目の出演を決めた。須賀は「前回、何かしらいい所を見つけていただいての今回だと思うので。2回目こそ挑戦」と気合いの表情。清野は新感線の舞台を観ると、毎回「私もあの舞台に立ちたい」と心を掴まれるという。「今回も観た人に嫉妬させたい気持ちはある」と熱く決意を語る。
その昔、映画『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチに憧れ、アクションの腕を磨いてきた清野にとって、運動量の多い同劇団公演は「自分を出せる」得難い場所だ。今回は政略結婚を解消して大名家を飛び出したお転婆な姫様を演じる。「一対一で戦った前作とは違い、今回は大群での合戦。敵をかわしながらの立ち回りは難しいです」と新たな課題を得て、本作でさらなる高みを目指す。
一方の須賀は、主演舞台『ハイキュー!!』シリーズをはじめ、今年もすでに舞台『奇跡の人』の出演を終えるなどコンスタントに舞台に立つ。前作『髑髏城の七人』では演出のいのうえひでのりから手取り足取り指導を受け、その後入った『ハイキュー!!』の現場では、共演者から口々に「表情が豊かになった」と告げられた。「喜怒哀楽の激しい役を演じたので自分でも気づかぬうちに、表情筋まで鍛えられたようです」と短期間での成長ぶりが眩しい。本作では、姫様に忠実な昔気質の家臣を演じる。主演の古田新太との絡みも多く、笑いの体得を目標に掲げる。「古田さんからは“全力でふざけること”を吸収したい。百戦錬磨の先輩方と肩を並べられるぐらいまで、キャラクターの面白味を発揮できたらうれしいです」。
姫様と家臣の旅路に同行するのが、切れ者の軍配士(古田新太)とズル賢い謎の浪人(池田成志)。この二人が敵味方を見極め、奇策を巡らせる。どんでん返しの筋書きに、歌や踊りを交えたケレン味溢れる世界観が持ち味のいのうえ歌舞伎だが、今回はさらにクロサワ映画など名画のオマージュを散りばめる。時代劇、映画ファンも必見の舞台となりそうだ。
「旅の話でもあり場面転換が多いのですが、どんな仕上がりになるのか、舞台装置も見所のひとつです」と須賀。清野も合戦シーンなど台本上の景色がどう再現されるのか興味は尽きないと話す。「新感線の舞台はからくりや仕掛けがいっぱい。我ら“けむりの軍団”も大人数に見えるはず」と意味深な笑顔でアピールする。最後は二人して「“煙に巻く”とか、名前にもいろいろ意味があるしね」「詳細は観てのお楽しみ!」と期待感いっぱいのコメントで締め括った。
大阪公演は10月8日(火)から21日(月)までフェスティバルホールにて上演。チケットは7月28日(日)発売開始。
取材・文:石橋法子
撮影:内池秀人
(2019年7月26日更新)
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