「USJのようにいろんなアトラクションが楽しめます(笑)」
ダンスカンパニー・男肉 du Soleilの新作
『団長の96時間』が間もなく!
単純明快、荒唐無稽なストーリーを組み立て、J-POP、ヒップホップ、レゲエ、漫画、アニメ、ゲームなどのさまざまなポップカルチャーの知識を駆使しながら、全力で演じ、ラップし、踊って魅せるダンスカンパニー・男肉 du Soleil(以下、男肉)。汗が飛び散るほどにエネルギッシュで、その彼らの姿は、バカバカしくも爽快で清々しい。今回上演される新作本公演、大長編 男肉 du Soleil『団長の96時間』は、団長・池浦さだ夢を主役に据えた「ハードボイルド&ハートウォーミング&HIPHOP&ノンストップアクションエンタテインメント」。5月11日(金)の開幕を前に、団長に話を聞いた。
――今回のイメージビジュアル(右の写真参照)、めちゃくちゃハードボイルドですね(笑)。
「そうなんですよ。今回は銃撃戦ばっかりですから(笑)。B級ハリウッド映画を超えようという気持ちで作っていて。今までは大体鉄砲が出る場面でも、指ガンで撃ってたんですけど、今回は銃を20丁くらい買いました(笑)」。
――これまでも男肉は、アニメや映画にインスパイアされながら作品を生み出してきたかと思うのですが、今回はいかがですか?
「リーアム・ニーソン主演の映画で『96時間』という作品があるんですよ。それは、リーアム・ニーソン扮する元CIA工作員の娘が拉致されて、96時間以内に救い出さないといけないっていう話。で、僕らの作品は、僕が実は元CIA工作員で、誘拐された団員8人を救うっていうのと、それと同じタイミングでアメリカの核ミサイルの発射コードが奪われて、96時間以内にどうにかしないといけないっていう、時間に追われる話です(笑)。タイムリミット的なドキドキ感がありつつ、早くみんなを集めて、核ミサイルの発射コードも手に入れないといけない。団員は、ドイツのナチ残党とか、フランスの人身売買グループとか、メキシコの麻薬カルテルとか世界各国の犯罪組織に捕まっていて、各国にゆかりのある音楽で踊ったりしながら見せていきます。なので、お客さんにも旅行気分で観てもらえたらいいかなと(笑)」。
――パフォーマンスで旅行気分が味わえる(笑)。各国にゆかりのある音楽だと、かなりバリエーション豊かになりそうですね。
「ジャマイカだったらレゲエ、メキシコなら最近流行ってるラテンのEDM、ドイツはテクノとかクラシックで、アメリカはヒップホップとか。あと、伝わらないかもしれないですけど、ゲーム音楽も取り入れています。例えば、ドイツをモチーフにした『ヒットラーの復活』っていうゲームの音を使ったり、『ストリートファイターⅡ』のジャマイカの音を使ったり。その国にちなんだ音楽を絶対ひとつは使っています」。
――今回の見どころは、犯罪組織との戦いになりますか。
「そうですね。いろんな種類のパフォーマンスをしながら、仲間がどんどん増えていくところですね。ひとり、またひとりと増えて、最後は全員集合!という気持ちよさ。あと、今回初めて裏切り者を出します。僕、味方同士で戦うのが嫌いなので、今までは敵役を出さずに“見えない敵と戦う”という展開をしてきたんですけど、今回はしっかりハリウッド映画をやろうと思っていて。ハリウッド映画って大体、信じていた上司が敵だったりするので(笑)。だからドラマ性がちゃんとあるのが、今回の見どころのひとつです。ただ、友情の泣けるシーンも作っているんですけど、全然泣けないんですよね…(笑)」。
――仲間が増えていくっていう、ドラクエ的なゲーム感もあり…。
「そのたびに試練があって、ラップとか落語とか、いろんな方法で乗り越えていきます。言ってみれば、シチュエーションは違えど仲間を探して戦うことの繰り返しなので、ずっと一緒なんですよね。だから同じように見せても飽きるので、ここはダンス的にとか、ここは銃撃戦でとか。8回同じようなことが起きるのをいろんな形で手を変え、品を変え見せていくので、USJ感はあるかもしれない。いろんなアトラクションが楽しめるようにお見せしたいですね。あとは、僕が必死に踊っている姿をぜひご覧いただきたいです」。
――男肉の作品は、最後に全員が死んで、団長の歌でみんな生き返って大団円というのが定番ですが、今回はいかがですか?
「基本的には全員死んで、歌ですべて元通りになるのが一番きれいな終わり方だと思っています(笑)」。
――単純そうに見えますけど、物語を作るのに、犯罪組織とかリサーチが結構大変そうですね。
「そうなんですよ。チェンというメンバーがメキシコの麻薬カルテルに捕まるんですけど、調べてたらそれだけでめちゃくちゃいっぱいあって。このカルテルは元軍人がやってるからめちゃくちゃ怖い、とか。イルミナティっていう秘密結社とかも調べてるといろんな情報出てきて面白いですよ。人身売買組織とかもあるんですけど、調べてもはっきりとした情報が出てこなくて語れないので、そこはダンスでごまかします(笑)。だから今回は、各国の都市伝説的なこととか、犯罪組織のことを知ることができるのもポイントです(笑)」。
――パフォーマンスとしての見どころはいかがですか?
「一応、各国の音楽に合わせてダンス的な身体パフォーマンスとか、ガンアクションで見せていて。最後、世界を救うときにはいつもどおり、J-POPで踊ります(笑)。あとは、ひとり一芸ができるように、いろんな技を身につけようとしています。南京玉すだれとか、テーブルクロス引きとか、ルービックキューブを早く直せるとか(笑)。最後にそれが役に立つはずなので、そういう小さなアトラクションも楽しみにしていただければと思います。」
――細部まで注目すると、より楽しめそうですね(笑)。
「何の脈絡もなく、後ろでずっと傘をまわしている人がいるかもしれないんでね(笑)。どこかで何かが起こっているという感じです。大阪のお客さんはエンタテインメントな芝居が好きだと思うので、この感じがハマればいいなと思っています」。
取材・文:黒石悦子
(2018年5月 9日更新)
Check