ホーム > インタビュー&レポート > 中国の伝統的奇術「変面」を小林がマスター! 芸歴19年で新境地を切り開いたチョップリン
――新しいキャラができましたよね?
小林 「変面」は去年の11月くらいですね。
――どういうきっかけだったんですか?
小林 亜空亜SHIN(アクアシン)さんというマジシャンが変面をやっているんですが、BS朝日のネタ番組の収録時に、初めて生で見たんです。その時、単純にすごいなって、お客さんも尋常じゃないくらい盛り上がるので。子供が「僕もやりたい」って言うような、そういうノリで魅了されて。打ち上げでいろいろSHINさんに聞いて、そこから1か月ぐらいですかね。独学で学びました。
――独学で学べるものなんですか。
小林 そうなんですよ。一応ネットで調べて、売っているところを見つけて、購入して、そこからですね。仕掛けとかも練習して。
――変面一式は売っているんですか。
小林 売ってます。熊本にお店があるのかな。日本では熊本だけです、確か。僕は通販で買って。
――説明書見ながら覚えたんですか?
小林 説明書はないです。付いてくるものもありますが、僕は一番安いものなので、特についてなくて。
――新境地ですね。
小林 そうですね。
――ネタにマジックを取り入れたことは過去にもあるんですか?
小林 ないですね。コントの設定に入れ込んでいるだけで、内容は完全なる変面ショーです。
――変面をやるというのは、西野さんと話して決めたんですか? それとも気が付いたら始められていた?
西野 その打ち上げでは、僕と小林はテーブルが違ったんですよ。亜空亜SHINさんと意気投合みたいな感じで盛り上がっていたのは僕も知っているんですけど、まさか変面師になるとは思ってなかったです。変面を舞台でやる時はもう、芸人の顔じゃなくて。最後に素顔を出すときは完全に変面師。携帯の待ち受けも去年の段階で変面師に変わっていたんです。かっこいい、中国の変面の写真。ずっとフランスの俳優のヴァンサン・カッセルやったんですよ。もう10年くらい、ずーっとヴァンサン・カッセル。それが去年の暮れ、変面に変わってましたから。だいぶ、魅せられてますね。
――そこまで魅せられるものに出会ったことは?
小林 ないです。
――西野さんは小林さんが非常に魅せられているという異変は感じましたか?
西野 意気投合までは見てましたけど、まさか自分がやるという発想はなかったですね。唯一、熱量で匹敵するものは、ネタ合わせの途中にミシンを買いに行ったことですね。
――伝説のミシンマンですね。
西野 そうです。ミシンマン。
――今回の変面はコンビを組んで第何波ですか?
西野 第二波です。ミシンマンと変面マン。
――10年周期くらいですかね。
西野 そうですね。そのくらいですね。
小林 ミシンはそこまでじゃないですね。すぐ冷めたので。変面は続いていますね。
――やればやるほど、手ごたえも感じているんですか?
小林 僕はスタンダードな技しかできないんですけど、もっとすごい技があって。ただ、それをやろうと思ったらお金をすごくかけないといけなくて。もちろん技も勉強しないといけないですけど、詳しいことは言えないです。
――変面師の話を見たことあります。技は門外不出だと。
西野 絶対にダメです。
小林 はい。
西野 ただネットでめちゃくちゃ売っている。
小林 スローモーションにして種明かししている動画もあります。
西野 日本でも7歳の女の子が変面やっていて。
小林 変面デビューしてましたね。
西野 その辺もチェック早いです。その話、たまたま見てたんですけど、会った時に話してみたら全部知ってましたわ。ライバル的な感じもありましたね、ちょっと。変面師としてはね。
小林 歴は同じくらいやと思うので…。
西野 あと、小林は初めて心の師と仰ぐ人も現れたんですよ、この世界に入って。亜空亜SHINさんという。亜空亜SHINさんは心の師です。
――「変面」のチョップリンは、結構シュールですよね。衣装とお面で小林さんかどうかも分りませんし。
西野 中の人はもう誰でもいいです。こないだやったときも最後に小林の素顔が出てくるまで、お客さんは絶対に小林じゃないだろうと思っていたみたいです。
――小林さんといえば、ネタではホームレスとか、ちょっと変わったおっさんのキャラが多いですけど、そういうイメージを覆されるような?
小林 そうですね。切れが違います。
西野 切れはないです。切れはないんですけど、しっかりしているというか、しっかりしようとしているというか。それは面の中から漏れ出てますね。「われ、変面師なり」みたいな意識が。でも営業とかにも行きたいですね。本当に盛り上がるので。今年は営業を開花させる年。今まで苦手やった厳しい場所も小林が変面で打開しましたから。ホテルのでっかい広間での企業パーティーとかで、漫才師、コント師、厳しいんですよ。
――まず聞いてくれないですもんね。
西野 そうなんですよ。それを打開して。すごい盛り上がったんで。
小林 変面なら大体どこでも行ける。
――チョップリンさんに営業というイメージはないですね。
西野 まったくないでしょう。「はいどうも~」で入るような。それをやりたいんですよ。せっかく変面に魅了されて、すごい高いものを自腹で買ったので。僕はそれが1本でも多くなるように、会社と話し合って、小林、いや変面師に恩返ししたいですね。
――恩返し! まさかこんなキーワードが出るとは。
西野 決まれば決まるほど僕もありがたいし、より回るように動いていきたいです。
――2018年は変面で。
西野 そうですね。
小林 今年一年は。
西野 変面を始めたらいろいろと変わっていくと思いますね。なんせ小林は変わるものが好きなんでね。
小林 何かが常に変化している。
――昔、よくされていた黒く染める行為も何かを変えたい現れですね。
小林 そうです。
西野 変面も出会うべくして出会ったんでしょうね。
小林 偶然、亜空亜SHINさんと2ヵ月連続でネタの収録が一緒やったんです。2回目で運命的なものを感じましたね。あ、これをやれと。1回目だけやったらやっていないと思うんです。すごいなと思っただけで。でも2回目があったし、もうやらなあかんなって。それまで変面自体も知りませんでしたから。40何年生きてきて見たこともなかった。急に僕の中に飛び込んできましたね。
――西野さんも変面に合わせてMCの感じとかも変えているんですか?
西野 僕は全然変わってないです。ただ、変面に合わせるために人民服を購入しようと思っています。
――コンビのキャラ自体が変わっていきますね。芸歴は今年で?
小林 19年です。
――このタイミングでの新境地ですね。
小林 ほんまは西野にもしてもらいたいですね。二人でできるようにはなりたいです。
西野 …僕はやらんでもいいと思ってます。
小林 まあ、でも、できるようになっていてほしいなと…。
西野 そうですね、僕はやらんでいいです。まあ、多分すぐできると思います(笑)。僕もやり方知らないですけどね、見せないですから。そらだって門外不出の秘技ですから。小林がどうやっているかは知らないです。
――面にパターンはあるんですか?
西野 あるんですよ。自分でも作ってますからね、時事ネタとか入れて。
――チョップリンが時事ネタというのも想像つかないですね。
西野 そうなんですよ。時事ネタを入れて面も変えられます。なんでも取り入れられるので。
――めちゃくちゃ応用がきくんですね。変面すごいですね。
西野 ただ、もっと自分の家で稽古すると思ってんたですけど、思っていたほど稽古してないんですよね。もうこれくらいでええやろみたいな…。
小林 へへへへへ(笑)。時間がかかるんですよ。1回やって、また次にやるのに。なので何回もできなくて…。
――変わるという刺激がどこまで小林さんに響くかですかね。
西野 ちゃんと仕事に絡めてやっていくためにやっているので、たとえ飽きても仕事があればやりますね。
――うまみを感じられたらさらにですね。
西野 そうなんです。だからこそちゃんと稽古をしないとね。手を出した以上は。
小林 そうですねぇ…。
――小林さん、変面以外で2018年はどんな一年にしたいですか?
小林 やっぱり『キングオブコント』がある限り挑戦して…。もっとほかの分野にも映画とか、ドラマとか…。そっちの仕事もしたいですね。
――単独の回数を増やすとかは?
西野 単独は毎年同じくらいのペースで。ユニットもやろうかっていう話もしています。ゲストを呼ぶライブもやろうかと思ってます。
――ちなみに、注目の若手っていらっしゃいますか?
西野 「富真(とみしん)」と「おっさんデビュー」と「かくらんど」か。
小林 その3組は1年も経ってないけど、面白いですね。
西野 まだ2、3回ライブに出たくらいです。超ルーキーです。社員の人も知らない。
小林 ほかにもいますけど、強いて挙げるならですね。
西野 トライアングルとかとやりつつ、この3組とは一緒に出て世に知られたらいいなと思います。
(2018年3月26日更新)