「ただただ、世界観に浸っていただきたい」
歌とダンスと映像で構成する壮大なオリジナルショー『Pukul』
舞羽美海に見どころをインタビュー!
斬新な振付で数々の話題作を生み出してきた謝 珠栄が、宝塚歌劇団の卒業生や実力派男性キャストと共に、歌とダンスと映像で構成するオリジナルショー『Pukul(プクル)』を上演。さまざまな“鼓動”をテーマに、「ACT 1」ではアジア各国の音楽や舞踊を取り入れて美しくもときに猛威を振るう自然を神秘的に、「ACT 2」では聴きなじみのあるジャズやポップスを使って人間の生命をスタイリッシュに描いていく。稽古期間中であった、宝塚歌劇団OGの舞羽美海(まいはね・みみ)に、公演にかける思いを聞いた。
――舞羽さんは元々、謝先生の作品が大好きなんですよね。
「そうなんです! 宝塚を退団してからも謝先生の作品をよく観に行っていて、“私も出してください!”って何年も前からお願いしていたんです(笑)。先生の作品に出たくてレッスンも続けていたので、出演が叶って本当にうれしくて。『Pukul』のお話をいただいたときも、先生とご一緒できるうれしさだけで“出ます!”って即答しました」。
――そこまで感じる、謝先生が作る舞台の魅力は?
「ただ踊るだけではなく、踊りの中にすごく意味やパワーを感じる場面が多いですし、オシャレですし。それに、先生のパワフルさや情熱的なところが大好きで。お稽古でも自分を奮い立たせるパワーをいただけるので、とても感謝しています」。
――『Pukul』では、舞羽さんのどんな色を出していきたいと思われますか?
「今回のステージではそれぞれに役割が当てられていて、私は星の役をいただいているんですね。で、湖月(わたる)さん、水(夏希)さん、蘭乃(はな)さんが太陽と月と地球。お三方が本当にそう見えてくる中で、私も星の中でも金星のように輝いて、お客様の目を引けたらと思っています」。
――舞羽さんは特にダンスパートとして出演されますが、どんな踊りにチャレンジされているのですか?
「第一部はアジアの舞踊や音楽を取り入れていて、韓国の太鼓を使ったり、バリ舞踊やインド舞踊もやっています。インド舞踊は、今まで習ってきたクラシックバレエの基本を覆されるような踊りで、“お尻出してプリエしていいんだ!”っていうところから始まりました(笑)。それぞれに特徴があるのですが、その中で共通するものを発見すると気持ちよくなりますね。あと、動きの一つひとつに意味があるので、そういうことも大切にしながら踊っています。先生はただ民族舞踊をしたいわけではなくて、意味があるものとして取り入れているんです。大地とか風とか、謝先生のイメージされる“色”を入れながら踊っているので、民族舞踊を取り入れながらも、謝先生ならではの表現になっていると思います。そのバランスが面白いですね」。
――根本に“愛”とか“生命”とか、謝先生のテーマがあるから。
「そうなんです。そこに歌が入って、全部がつながっていきます。そのストーリー性も楽しんでいただきたいですね」。
――音楽は幻想的なものから、力強い雰囲気のものまでさまざまですよね。
「どの曲も壮大ですね。私も最初に音楽を聴いてすごく楽しみになりましたし、いろんな国のテイストも入っているので、楽しんでいただけたらうれしいです。それにシンガーの方々の歌がとんでもなく素晴らしくて、歌によってダンスパートの私たちが動かされている感じがありますね。私たちもちゃんとパワーをぶつけて、お互いにひとつになりたいです」。
――女性キャストは宝塚歌劇団出身の方がそろっているので、安心感もあるのでは?
「すごくあります! 私、OGの方が大勢出演されている公演が初めてなんです。そして今回の公演では私が最下級生で、皆さんから学ぶことがたくさんありますし、すごくパワーをいただいています。特に私は、水さんがトップスターであられた時の雪組で組子としてご一緒させていただいていたので、今回も水さんからいろんなアドバイスをいただいています。本当に皆さま優しくて、素敵な方ばかりです」。
――ファミリーみたいな雰囲気ですね。
「そうなんです! 作品の中でも、宝塚の女性キャストだけで歌う場面がありますが、その内容が“同じところで育って、分かれていくけどいつまでも心はつながっているよ”というもので、みんなで歌い継いでいくんですよ。“この方々とご一緒できるなんて!”とうれしさを噛み締めています(笑)」。
――男性キャストも、岡幸二郎さんや坂元健児さん、大貫勇輔さん、島地保武さんと実力派の方々がそろっています。
「本当に素晴らしいです! 岡さんや坂元さんの歌はずっと聴いていたいなって思いますし、島地さんと大貫君のダンスも目が離せませんね。コンテンポラリーを専門にされている島地さんを見ていると、身体の使い方から勉強になります。滑らかで床に対しても抵抗がないですし、足も身体も、流れるような動きで、女性陣の間で“すごいね!”って言いながら見ています(笑)。大貫君の踊りも、“あんなに踊れたら気持ちいいんだろうな”って、見ていて気持ちがよくなります。ただ見るだけじゃなくて、学べるところはしっかりと習得したいですね」。
――舞羽さんは、どんなところを意識して踊られていますか?
「限界まで動くことですね。反るにしても、飛ぶにしても、今できているところで満足して固めないで、もっと上を目指してやらないと負けちゃう気がします。あと、女性陣は、湖月さん、水さん、蘭乃さんと4人で踊ることが多いのですが、その中でそろえるところと自分を表現するところのバランスを大切にしています。こんなにも素晴らしいダンサーの先輩方とご一緒する中で、自分が出る意味を明確にしたいと思っています」。
――二幕はどんな雰囲気ですか?
「地球ができて、人間が生まれて、育っていく中で感情が芽生えて…ということを表現しているんですが、二幕は皆さんご存知の曲が多いと思います。聴くと“この曲、知ってる!”って思えるから、きっとノリやすいですし、お客様の心が動くといいなと思います。歌い継ぐところもあって、宝塚のショーっぽい感じもします。それと、途中でお客様参加型のところもあるので、ぜひ楽しんでいただきたいですね!そして最終的には『Pukul』の世界観に戻っていきます。一幕は壮大な世界観で、二幕は気軽に楽しめる雰囲気ですが、まったく別物ではなく、作品を通してひとつのショーになっています。ストーリーは分からなくても、ただただ素敵な場面が展開するので、難しく考えずに楽しんでいただきたいですね。私たちも、一幕から二幕へと続く意味を持たせつつ、ちゃんとお客様の気持ちを引っ張ってこられるように頑張りたいと思います」。
――お客さんもイメージしながら観ると、より楽しめそうですね。
「そう観ていただけるとうれしいです。わたるさんが三面太鼓を打つシーンも見どころのひとつなんですけど、わたるさんが仰るには、そこは、太陽が地球に鼓動を送っている意味が込められている、と。深いところを考えると、どこまでも掘り下げられる作品なので、お客様それぞれに好きな場面を見つけていただけると、より楽しんでいただけると思います」。
――最後に、大阪公演に向けて、意気込みとメッセージをお願いします。
「とにかく気負わず、『Pukul』の世界観を楽しんでいただけたらうれしいですね。私たちも舞台上からエネルギーを発して、皆さまにパワーをお届けしたいと思います。生の太鼓やパーカッションも入り、心打たれる場面もあると思うので、一緒に気持ちよくなって、ただただ世界観に浸っていただけたらうれしいです。お客さまの笑顔を見られるように頑張ります!」。
(2017年12月21日更新)
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