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自主公演「挑む Vol.9」が大阪初御目見え!
尾上松也に毎年、挑み続ける理由を聞いた

尾上松也が2009年より続けている自主公演「挑む」。9回目を迎えた2017年、ついに大阪公演が実現する。

2005年、松也が二十歳の年に父である六代目尾上松助が亡くなった。そのことで「待っていてもチャンスはめぐってこない。自分で何かアクションを起こさないと」という思いに至り一念発起、一門に加えて、澤村國矢、市川蔦之助、尾上音一朗に声をかけ、彼らも看板役者という立場でチームを組み、「挑む」を立ち上げた。

タイトルは、まさに立ち上げ当時を表している。松也のコンセプトに賛同し、集まったスタッフたちは、歌舞伎そのものを観たことのないという人間ばかりだった。

「役者はもちろん、スタッフ全員、この公演にチャレンジするしかなくて。タイトルを考える会議をしたとき、全員がその気持ちだったので、全員一致で決まりました」。

「挑む」では毎回、歌舞伎の本興行で「松也に任せてみようかな」と思ってもらえることをイメージして臨んでいるという。そのうち、第1回の『太刀盗人』や第3回の『与話情浮名横櫛 源氏店』は、本興行でも勤める機会を得た。

「特に『与話情浮名横櫛 源氏店』は(2016年の)「新春浅草歌舞伎」でさせていただいて、自主公演と同じく与三郎が僕で、蝙蝠安が國矢くんが勤めました。このキャストで実現できたことは、僕にとっては非常に意味のあることで、本当に達成感を感じました」と振り返る。大役をつかむことはもちろん、制作から舞台まで、すべて自分たちでやっていくことで、「一人では何もできない」ということを教えてもらっていると言う。「舞台の上での経験値も、人間としての経験も、自主公演で得るものは大きいのかなと思います」。

毎回、初役のほかに、何かしらの付加をかけている。今年のチャレンジがまさに大阪公演であった。「『挑む』を始めたときから、東京を飛び出して上演をしたいとずっと考えていました。今年、9年目にして第一歩を踏み出します」と目を輝かせる松也。大阪では、「大阪御目見得 口上」と、いずれも舞踊劇の『三社祭』『二人袴』を披露する。そして「挑む」恒例の抽選会も行われる。

「大阪はとにかく楽しいものにと思って、また、会場のABCホールは形状的にも踊りがメインになりますので『三社祭』『二人袴』にさせていただきました。ABCホールという、今後、歌舞伎を上演することもなかなかないだろうと思われる劇場で(大阪公演の)第一歩を踏み出せることは非常にありがたいことですし、感慨深くもあります。この第一歩で、関西の皆様に「挑む」の存在を知っていただきたいと思いますし、成功させることで、他の土地でも上演できるよう、ステップアップになれば」と意気込む。

このごろでは歌舞伎の本公演でも大役に恵まれるようになった。「挑む」での努力は、年を追うごとに結実している。それでも毎年、上演する。そして夏が近づき、自主公演のことを考えると胃が痛くなると苦笑を浮かべる松也。ではなぜ、挑み続けるのだろうか?

「僕は元々、行動力はあるのですが、持続性がないタイプなので(笑)、旗揚げしたはいいけど、常に追い込まれていないと集中力と力をなかなか発揮できないんです。また、僕はどっちかというと調子に乗りやすい方。この公演は始めた当時の初心を思い出させてくれますし、毎年(自主公演が)あると思うだけでも胃が痛いんですね(笑)。“ああ、どうしよう、どうなるんだろう”って毎年思っています。そういう危機感が、調子に乗ったり、天狗になったりすることが役者としても、人間としてもよくないという気持ちに引き締めてくれている気がします」

大阪公演は8月4日(金)~6日(日)、ABCホールにて。チケット発売中。




(2017年8月 2日更新)


Check

挑む Vol.9

発売中

Pコード:480-006

「大阪御目見得 口上」
「三社祭」
抽選会
「二人袴」

▼8月4日(金)18:00
▼8月5日(土)13:00/18:00
▼8月6日(日)11:00/16:00

ABCホール

全席指定-8500円

[出演]尾上松也/澤村國矢/市川蔦之助/尾上音一朗/尾上徳松/尾上隆松

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]0570-200-888

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