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「つかさん流の愛情表現が一番よく表されている作品」
劇団☆新感線のこぐれ修が
つかこうへいの『寝盗られ宗介』を上演!

劇団☆新感線のこぐれ修がプロデュースするこぐれ塾が、7月29日(土)・30日(日)、近鉄アート館にて、つかこうへいの『寝盗られ宗介』を上演する。演出のこぐれと、主演で宗介役を務める菊池均也、妻・レイ子役の遠海まりこに話を聞いた。

本作は、大衆演劇一座の座長・北村宗介を軸に、男女の愛や人情を描いた喜劇。主人公の宗介は、妻が他の男に寝取られ、自分のもとに戻ってくることでしか妻への愛を確認できない特殊な性癖を持つ男。妻のレイ子が劇団員と駆け落ちするように仕向け、愛の深さをはかる。「愛するんだったら自分も傷つけ、と。愛の大きさが異常なスケールで描かれているんです。“前向きのマゾヒズム”という、つかさん流の愛情表現が一番よく表されている作品だと思います」と、作品の魅力を語るこぐれ。

物語の中で、北村宗介一座が上演している作品が江戸を舞台にした『寝盗られ宗介』。劇中劇で、現代劇と時代劇を交錯させながら二重構造で見せ、役者は一人三役を演じ分ける。「一人の役者が持つセリフ量のセンテンスの長さが尋常じゃないんですよ。役者に相当力がないとできないと思う。僕だったら絶対やらないですね(笑)」とこぐれが語れば、宗介役の菊池も「一生分話しているんじゃないかっていうくらいセリフの量がすごい(笑)。常に口にしていないと、零れ落ちてしまいそうなんです。でもチャレンジしてよかったと思う」とコメント。2015年に東京でのみ上演された初演から続投する遠海も「千秋楽まで不安と緊張でいっぱい。毎日、最初から最後までセリフを言い続けて、終わったら劇場に入るということを繰り返していました。それくらい、音に出していないと不安になるような作品なんです。大阪にはつかさんの作品を愛しているお客様が多いと聞いているので、どんな感想をいただけるかすごく楽しみですし、良かったと言っていただけるように頑張りたい」と意気込んだ。

1980年の劇団☆新感線の旗揚げから参加し、当時からつか作品に傾倒してきたこぐれ。「やっぱり、リアルタイムで観ているのと観ていないのでは全然違う。僕なりに、つかさんの演出を受けたことや、リアルに観て感じた芝居の面白さとか衝撃を、役のイメージにピタリとハマる役者を通して見せることが一番だと思うんです」。昨年、こぐれが演出する舞台を観たという菊池も「感無量でした。若い無名の役者がやっているんですけど、みんなが輝いて見える。つか節が生きている感じがしました」と感動を表した。

幾度となく観て、聴いて、触れてきた彼だからこそ、伝えられるものがある。自分の直感を信じてキャスティングした役者たちと共に、「本物のつか芝居はこれだ!」という熱い思いと自信を持って見せる。



取材・文/黒石悦子




(2017年7月27日更新)


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こぐれ塾「寝盗られ宗介」

▼7月29日(土)18:00
▼7月30日(日)13:00/18:00

近鉄アート館

一般-3800円(指定)
学割-3000円(指定、小学生~大学・専門学生)

[作]つかこうへい
[演出]こぐれ修
[出演]菊池均也/遠海まりこ/田谷野亮/他

※未就学児童は入場不可。
[問]近鉄アート館
[TEL]06-6622-8802

(写真左より)遠海まりこ、こぐれ修、菊池均也