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ストレートプレイで見せる『春のめざめ』
演出の白井晃、主演の志尊淳が見どころを語る

1891年にドイツの劇作家フランク・ヴェデキントによって書かれた名作『春のめざめ』が、白井晃演出により、原作版ストレートプレイとして上演される。5月27日(土)・28日(日)のロームシアター京都 サウスホールでの公演に向けて、演出の白井と主演を務める志尊淳が思いを語った。

本作は、思春期の少年たちの性への目覚めや、生きることへの葛藤、大人たちの抑圧などを描いた作品。当時、そのセンセーショナルな内容から、上演禁止の処分を受けた問題作だ。近代戯曲を現代に蘇らせるシリーズに取り組む白井が、かねてから上演を熱望していたという。「この作品にアプローチしようと思ったのは、作品が書かれた19世紀後半の時代の空気が、現代と酷似しているように思ったからです。そして、子どもたちを取り囲む環境も、相似形をなして同じような環境にあると思うのです。道徳的なことや教育的なことはどんどん変化してきていますが、社会が彼らに与える軋轢は何も変わっていない気がする。この時代にもう一度、正面からやってみるのは意味があるのかなと思いました」(白井)。

ストレートプレイ初主演となる志尊は、ドイツの中等機関で学ぶ優等生メルヒオールを演じる。「プレッシャーはありますが、いろんな方に知っていただきたいと思う作品。僕自身も役者として新しい扉を開くためのいい経験になると思いますので、全力でやらせていただきます」と気合十分で、作品の魅力については「僕自身もこの年代の頃、性のことに関わらず、何か抑圧されて感情が爆発してしまったり、知識だけが上回って理性が伴わないところがすごくあった。メルヒオールだけじゃなく、どの役にも共感できる部分が少なからずあるはず。年代や職業によってもいろんな捉え方ができる作品だと思います」と語る。

今作では志尊の他にも、成長著しい若手俳優を中心に起用。メルヒオールの子どもを妊娠してしまうヴェントラを大野いと、劣等生で学校の過度な競争に馴染めないモーリッツを栗原類が演じる。「まだ舞台経験が浅い人たちとやることによって、自分たちが人前で表現することと、社会と対峙していくこととの相似形になればと思う。志尊さんは硬派で負けず嫌いで、メルヒオールをやると面白いだろうと思ったし、栗原さんは、オーディションを受けに来てくれたとき、表現に対する信念や欲望が明確に見えた。彼がモーリッツという役とぶつかったときに、どんな内面を出していくのか面白そうだなと思いました。一方で、大人が社会を作るということは何なのかということも考えていきたい」と白井。

未成熟で社会に飛び出せない学生たちを「ガラス張りの保育器の中でジタバタ暴れているようなイメージ」で作り込み、降谷健志(Dragon Ash)が手掛ける音楽をシンクロさせていく。誰もが通り過ぎてきた季節。舞台でもがく若者たちのエネルギーに感じるものがあるはずだ。



取材・文/黒石悦子




(2017年5月26日更新)


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「春のめざめ」

発売中

Pコード:457-157

▼5月27日(土)13:00/18:00
▼5月28日(日)13:00

ロームシアター京都 サウスホール

S席-5500円
A席-4500円
B席-3500円

[原作]フランク・ヴェデキント
[翻訳]酒寄進一
[演出]白井晃
[出演]志尊淳/大野いと/栗原類/小川ゲン/中別府葵/北浦愛/安藤輪子/古木将也/吉田健悟/長友郁真/山根大弥/あめくみちこ/河内大和/那須佐代子/大鷹明良

※未就学児童は入場不可。
[問]ロームシアター京都
[TEL]075-746-3201

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