激動の時代を生きた幕末の志士たちの姿を描いた
舞台『ちるらん 新撰組鎮魂歌』のゲネプロレポート！

4月7日(金)より大阪・森ノ宮ピロティホールで幕を開ける舞台『ちるらん 新撰組鎮魂歌』。『月刊コミックゼノン』（ノース・スターズ・ピクチャーズ）で連載中の同名作の初舞台化で、幕末という新しい時代が迎えんとする激動の時代に、土方歳三、沖田総司をはじめとする男達の熱い友情と家族の絆、激しい命のやり取りなどを、ヤンキー漫画テイストで描いている人気コミックだ。

初の舞台版では、沖田総司を岩岡徹（Da-iCE）が、土方歳三を花村想太（Da-iCE）が演じ、いずれも初舞台。そして早乙女友貴、馬場ふみか、和泉崇司、土屋シオン、紗綾、榛葉恵太、久保田秀敏、滝川英治、根本正勝らが脇を固めるほか、稀代のワルとして描かれている芹沢鴨をEXILEのMATSUこと松本利夫が演じる。

開幕前日には公開ゲネプロが行われ、出演者が意気込みを語った。「普段はダンスボーカルをしているのですが、初めての演技で素敵な出演者さん、スタッフに囲まれて、初日を迎えられたことをうれしく思っています。全身全霊をかけて素敵な作品にします」と花村。岩岡も「僕自身、初舞台、初演技、初殺陣と初尽くしなので、稽古のときからいろんなものを吸収しています。心強い共演者がいるので、皆さんの胸を借りるつもり精一杯演じたいと思います」と挨拶した。MATSUは「劇団EXILEでお世話になった演出家の岡村さんにご協力をいただいて、『ちるらん』に出演させていただきます。自分は芹沢鴨という暴君を演じさせていただきますが、この舞台を成功させて、多くのお客様に足を運んでもらいたいと思います。そして成功した暁にはDa-iCEに入れるようがんばります！」と笑いを誘い、場を和ませた。
 

続けて、ゲネプロへ。狂言回しを担うのは永倉新八役の土屋シオン。土屋の一人語りで、観客を幕末の世界へといざなう。舞台は滝川英治扮する近藤勇の道場、試衛館シーンから始まる。そこへ土方歳三が道場破りに現れたことをきっかけに、世界が大きく動いてゆく。

映像、照明、音楽、効果音を駆使して、臨場感や緊張感を描く。一方で、笑いのシーンも積極的に取り入れ、会場の空気を和ませる。そして徐々に物語の核心へと引きこみ、怒涛のクライマックスへと導いてゆく。

早乙女が挨拶でも語っていたように、殺陣の場面が頻発する。お家芸ともいえる早乙女の殺陣は、持ち前のスピードはもちろんのこと野性味と色気も併せ持ち、抜群の存在感で魅了する。片や若さとエネルギーあふれる花村と岩岡の剣さばきも注目。こと岩岡はその役柄ゆえ言葉少なに佇みつつも、限界を振り切った途端に歯止めの利かない狂気をはらむ。その二面性にも目が奪われる。また、やがて訪れる未来に平和を夢見た岡田以蔵を演じた久保田は、希望と絶望を全身で表現する。近藤勇の豪胆ぶりが見事にはまっている滝川は、道場の長として、また父としての愛情を惜しみなく発揮。その愛の波動は会場全体を満たすほどだった。琴役の馬場は紅一点で殺陣を披露。幕末の世界観が覆いつくす中で唯一の洋装でもあり、役柄にふさわしい独特な輝きを見せた。そして芹沢鴨を演じるMATSU。凶暴性と諦観をにじませて、咽ぶような香りを放つ悪の華を舞台いっぱいに咲かせた。また、しっかりと腰が落ちた殺陣も勇ましく、見ごたえのあるアクションでも楽しませた。

友情、裏切り、家族、愛、そして生命の駆け引き。新たなる世界の幕開けを夢見ながらも、幕末の世を覆う得たいの知れない巨大な“何か”に飲み込まれまいとあがき続ける男たち。命を惜しまず、されど今際の淵まで力強く生きたその姿と、運命に翻弄される女たちを描いた舞台『ちるらん 新撰組鎮魂歌』は、4月10日(月)まで森ノ宮ピロティホールで上演中。なお、4月20日(木)からは東京公演も開幕、30日(日)まで天王洲 銀河劇場で上演される。

（2017年4月 6日更新）