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「物語のある、人間臭いダンス作品」
世界でも注目を集めるダンスカンパニーCo.山田うんの
山本周五郎『季節のない街』に想を得た話題作が上演!

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世界でも注目を集めるダンサー・振付家の山田うんが主宰する東京のダンスカンパニー、Co.山田うんが、3月18日(土)・19日(日)、伊丹AI・HALLにて『季節のない街』を上演する。公演を前に、山田が作品への思いを語ってくれた。

2012年に東京で初演された本作は、黒澤明監督の映画『どですかでん』と、その原作として知られる山本周五郎の小説『季節のない街』に想を得て作られた作品。ベートーヴェンの『交響曲第九番』や武満徹の映画音楽を使いながら、ドラマチックに展開する。「戦後の排他的な雰囲気と欲望と、何もない状態と、複雑な人間の心理と社会の状況を、不思議な情景で描いたような『どですかでん』からのインスピレーションと、その原作からのインスピレーションの両方から制作していきました。今回は、ファッションデザイナーの村上亮太さん、美術家の藤浩志さんに街のデザインをお願いしています。ダンス作品なのですが、何か物語を読み取ることができるようなもので、人間臭いダンス作品になっています」。

2015年には同劇場で、ストラヴィンスキーの歴史的名作音楽による大群舞『春の祭典』を上演し、観客を圧倒したが、本作は、彼女の作品の中でも「異色の作品」と語る。「前回の『春の祭典』は、エネルギッシュにダンスするものでしたが、今回の『季節のない街』は、踊るシーンはもちろん、それだけでは埋められない感情や言葉が、声になったり、小さな言葉になったりしながら、ジェスチャーとかいろんな表情で展開していきます。その、ただ踊りだけの作品じゃないというところで、私の最近のレパートリーの中ではとても珍しいタイプの作品です。東京では『季節のない街』を観たことでファンになってくださった方が非常に多く、カンパニーが大きくなるきっかけにもなった作品でもありますね」。

自分の故郷とは何なのか。悲劇、喜劇、すべてを包み込む“街の本質”が立ちあがってくる。「劇場の中が全部街になっているような印象になると思います。今回、伊丹と東京で上演しますが、それぞれの地域に住む人たちにとっての街というものが、何か見えたらいいなと思います。それは、自分が住んでいる街ということではなく、世界中どこにでもありそうな街。でも、実はどこにもない街。きっと、観る地域によって見え方が変わると思いますし、L字型の2面客席にするので、劇場での座る位置によっても印象が変わってくると思います。想像力を働かせながら楽しんでいただきたいです」。

 

取材・文/黒石悦子
撮影/塚田洋一

 




(2017年3月16日更新)


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Co.山田うん『季節のない街』

発売中

▼3月18日(土)18:00
▼3月19日(日)15:00
伊丹AI・HALL
[振付・演出]山田うん
[原作]山本周五郎(「季節のない街」)
一般 前売3500円 当日4000円
学生 前売2800円 当日3300円
※日時指定・整理番号付自由席
[出演]荒悠平/飯森沙百合/伊藤知奈美/川合ロン/木原浩太/小山まさし/長谷川暢/広末知沙/三田瑶子/山口将太朗/山下彩子/山田うん/Fauzi Amirudin/Jabar Laura

※学生券(4歳~大学生)の方は、当日受付にて学生証等を提示。
※3歳未満入場不可。
※演出の都合により、開演後の途中入場制限の場合あり
[問]アイホール072-782-2000

公演詳細
http://www.aihall.com/yamada-un_29/