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「明るく、ポップなネタに挑戦します!」
『キングオブコント2016』ファイナリストの
実力派コンビ・かもめんたるが新作単独ライブを開催!

ときには狂気をはらんだような毒気のあるブラックな笑いを展開し、観る者を独特の世界観へと引き込む実力派コンビ・かもめんたる。彼らの新作単独ライブ『ノーアラームの眠り』が、2月12日(日)ABCホールにて開催される。2015年の単独ライブからは、ヨーロッパ企画・上田誠が構成協力として参加。昨年の『なのに、ハードボイルド』ではよりダークなネタで勝負した彼らが、今回は一転、ポップなネタを展開するという。公演を前に、岩崎う大と槙尾ユウスケに話を聞いた。

――今回は『ノーアラームの眠り』というタイトルですが、テーマとしては…?

岩崎:冬にやるライブということもあって、冬ってなかなか布団から出られないじゃないですか。だから、アラームをかけないで寝られるというのは、冬の中でも結構幸せな時間だなと思って付けたタイトルで。そこから、全体の構成を考えたときに、どうしたら『ノーアラームの眠り』というワードが入れば、ドラマチックなストーリーとか展開になるかなとかいろいろ考えて。それで、全体のテーマとしては夢にまつわる話にして。なので、ライブを観終わって、いっぱい笑ってもらって、帰る途中に“今夜どんな夢を見るかな”って、お客さんがふと思ってくれたら、大成功だなと思いますね。

――勝手なイメージですが、かもめんたるさんが描きそうな夢って、ダークというか、悪夢のようなイメージがあります…(笑)。

岩崎:そうですよね(笑)。そうだと思いますよ。コントは毎回、悪夢みたいなもんですよね。

槙尾:でも今回は、悪夢というよりはちょっと違う、いい夢もありそうな雰囲気ですよ(笑)。

岩崎:いつもなんですが、特に前回は『なのに、ハードボイルド』というタイトルで、ハードボイルドの雰囲気も相まって、いつも以上にダークで濃いネタが多かったんです。今回はその反動もあるのか、割とポップなネタだったり、あまり胃もたれしなさそうなネタが多い気がします。

――意外です(笑)。ちょっとファンタジックな感じとか?

岩崎:そういうネタもありますね。オープニングとラストのネタと、幕間とかはそういう感じのネタにしようかなと思っていて。今回、特にラストのネタがこの『ノーアラームの眠り』というタイトルに直結しているような話で。それが割と、ポップというか、爽やかな話に近いのかな~。まぁ僕らのネタなんで、人から見たらそんなに爽やかじゃないかもしれないですけど。全体のトーンは、前より大分明るいと思いますよ。

――ヨーロッパ企画の上田さんが構成協力で参加されて3回目になりますが、関わり方は今までと同じですか?

岩崎:そうですね。構成協力という肩書で参加していただいているんですが、割と全体に関して相談に乗ってもらいながら、僕の話相手として存在してもらっています。客観的に見て、僕だけだと見えない部分をアドバイスしてもらいながら作っていますね。

――今回のネタは、上田さんからどんな反応が返ってきました?

岩崎:前よりもバリエーションがあるということと、僕ららしさもあるけど、もうちょっとポップになっているとおっしゃってもらって。結構、感触は良かったです。

――槙尾さんは今回のネタについて、どんな印象を受けました?

槙尾:今までの中で、一番面白いかもって思いましたね。前回は前回でそう思ったんですけど、今回は前回よりもポップな雰囲気がしました。そういう意味で、またさらに面白くなりそうだなって感じましたし、よりいろんな人に受け入れてもらえそうな雰囲気があるなと思いましたね。

――今回新しいキャラクターに挑戦しているとかは?

槙尾:ちょっと難しそうなキャラクターがあったり、演技の部分で表現するのが難しそうなものもありますね。キャラクターという意味だと、僕も見たことがある人をネタにしていて、“あ、あのときの人だ!”って(笑)。う大さんと一緒にいたときに見た人で、すごく面白い雰囲気だったので、それをどう再現できるかですね。

――有名な人ではなく、一般の人ですか?

岩崎:たまたま電車でロケに行ったとき、移動の途中で見たんです。

――印象に残ってたんですね(笑)。

槙尾:強烈なキャラクターでしたね(笑)。見たのは3~4年前なんですけど、すごく印象に残っています。

――岩崎さんはいつかネタにしよう、と (笑)。

岩崎:そうなんです。いつかやりたいな~と思いながらも、どういうシチュエーションにいたら面白いかなっていうのが、なかなかピンとくるものがなくて。今回、たまたまこのシチュエーションはあのカップルでやったら面白いんじゃないかなっていうのがあって。

――すごく気になります(笑)。岩崎さんは今回何か新しい試みはありますか?

岩崎:僕が関西人の役をするネタがあるんですよ。それを関西の人が見て、どう思うのかがすごく気になりますね。例えば、“関西人憧れが強くて、関西人でもないのに関西弁を使う人”みたいなコントはよくあるじゃないですか。そうではなくて、普通に関西人として出てくるんです。そこに違和感はあるんですけど、大阪の人をバカにしているとかではなく、ニュアンスでいうと、日本人が英語の歌を歌っているんだけど、その英語もなんとなくカッコよく聞こえるみたいな。ダサくなりがちだけどダサくならない、でも本当の外国人が歌うと何でもなくなっちゃいそうな感じのことをコントでやれたらいいなと思って。僕の役も、関西の人がやるよりも、東京の人が関西人としてやっているときのちょっとした違和感みたいなものが、笑いの加速になってくるんじゃないかなっていう。それはすごく実験的な気がしています。だから、そこはぜひ関西の方に観ていただきたいですね。

――関西人の上田さんからは、何か反応がありました?

岩崎:それに関しては、何も言ってなかったですね…(笑)。

槙尾:怖いですね(笑)。

岩崎:しかも公演を重ねるにつれて関西弁が上手くなってしまったら、面白さが一切消えているかもしれないですからね(笑)。

――前回お話を伺ったとき、大阪での単独ライブはいつも手応えがあると仰っていましたよね。

岩崎:毎回すごく良くて、東京も含めて一番ウケがいいんですよ。初めてきたときはすごくビビってたんですけど、東京以上に敏感に拾って、笑ってもらえてる気がします。そのタイミングも良くてドッと笑ってもらえるので、こっちのリズムが作りやすいというか。それに乗せてもらって、東京よりもいいパフォーマンスができているのかなって思いますね。それに東京公演の後なので、仕上がり具合がいいというのもあると思います。一旦、東京公演が全部終わって、大阪公演までにふと思いついたりするネタもあるんですよ。あともう一つセリフを足した方が良かったんじゃないかな、とか。ツアーをやるようになってからそうすることができるようになって、結構、高確率でウケるんです。だから、東京以降の場所の方が、仕上がり具合としては高いかもしれませんね。

――昨年は『キングオブコント』の決勝に進出されましたが、そこでの手応えや、結果を受けての心境の変化はいかがですか?

岩崎:すごくありますね。まず、決勝に行けて良かったなっていうのは一つあって。前回の単独ライブから2本やったんです。前回のライブは、僕らの中では最高傑作だったなと思っていて、そこから2本ネタをチョイスして、決勝に上がることができて、それはうれしかったですね。でも結果としては5位なんです。僕らよりもウケている人たちを見ると、やっぱりすごくポップなネタというか、爆笑を取りにいっているネタが強いんですよね。そういう意味では、僕らはマニアックな攻め方をしているから、笑いの量としては劣ってしまう。場の相性でいうと、僕らの芸風はちょっと不利だなと思ったので、『キングオブコント』を目指すんだったら、そこを改善しないといけないなと。前回は特にダークだったんですが、そういうのもあって、僕の中ではポップな方向に目を向けて、そこでどんなネタができるのかなっていう挑戦をしていきたいなと思っています。

――ポップな中にも、自分たちらしさを残しつつ。

岩崎:そうですね。それはどうしても変えられない部分だなって思います。今回も、本当はもっとポップなネタにしたかったんですよ。でもやっぱりそれだと自分のテンションが上がらないというか、不安になる(笑)。自分たちのスタイルの中でポップを目指すのがベストなのかなと思っています。

――今年も『キングオブコント』の優勝は目指されているんですね。

岩崎:それは目標としてあります。でも、単独ライブはそれとは関係ないとも思っていて。そこからいいネタがあれば、もっとポップにして臨めばいいし。前回がダークな部分が多かったので、その逆をやるのが今回は気持ちいいかなと思っています。

槙尾:前回の単独から2本、『キングオブコント』で決勝に挑めるネタが生まれたというのは、改めて考えても、いいライブだったんだなと思いますね。でもまだ足りないものが見つかって、それがまた今回の単独につながっていて、すごくいい流れができているなと思います。さらに今回の単独で、『キングオブコント』の予選を勝ち抜けるようなネタが生まれたら、すごくいいなと思います。

――試す場所としても、単独ライブはやる価値があるというか。

岩崎:そうですね。単独に来てくれるお客さんは信頼していて、すごくいいお客さんが毎回来てくださっていると思います。そこでウケたネタは“これはかもめんたるらしくて面白いネタなんだな”というのが分かるので、あとはそれを磨いていくというのがいい流れだなと思います。

――では、最後に今回の単独ライブに向けての意気込みをお願いします。

槙尾:毎回大阪での単独ライブは、すごくいいライブになったと思うことが多いので、今回も頑張りたいと思います。今回はさらに、ネタの出来も今まで以上にいいですし、最高のライブになるような予感がしていますので、ぜひ観に来てもらいたいです。

岩崎:単独ライブを大阪でやるというのも僕らの中では定着してきて、常連のお客さんも増えてきていますので、まだ来ていない方で興味ある方は、ぜひ一度試しに足を運んでいただきたいですね。絶対リピーターになってもらえる自信はあります!

――楽しみにしています。ありがとうございました!


取材・文/黒石悦子




(2017年2月10日更新)


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かもめんたる
第18回単独ライブ
「ノーアラームの眠り」

▼2月12日(日) 18:30
ABCホール
全席指定-3300円
[出演]かもめんたる
※終演後にアフタートークあり。
※未就学児童は入場不可。
[問]サウンドクリエーター
[TEL]06-6357-4400