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ホーム > インタビュー&レポート > 再演を望む声が高かった阿佐ヶ谷スパイダースの 代表作『はたらくおとこ』が12年ぶりに上演! 前作とほぼ同キャストという奇跡にも注目の本作や 20周年を迎えた劇団について長塚圭史が語る

再演を望む声が高かった阿佐ヶ谷スパイダースの
代表作『はたらくおとこ』が12年ぶりに上演!
前作とほぼ同キャストという奇跡にも注目の本作や
20周年を迎えた劇団について長塚圭史が語る

2016年、阿佐ヶ谷スパイダースは結成20周年を迎えた。そしてこの冬、2004年に上演された代表作『はたらくおとこ』の再演が決定、12年ぶりに舞台によみがえる。男性キャストは12年前と全く同じであることも話題の本作は、幻のリンゴを巡って繰り広げる男たちの物語。唯一の女性キャストである北浦愛は初舞台となる。

本作を今、ピックアップした理由を長塚圭史に聞いた。「再演希望が高いものだし、再演するのだったら僕らが勝手に“暴走する男達シリーズ”と呼んでいる作品のどれかがいいのではないかと。『はたらくおとこ』は、作品としても一番突き抜けているし、かなりはちゃめちゃだけど構造的にはしっかりしていて。時代としても今やったら面白い題材なんじゃないかなと。2004年に書いた自分の作品が今、どう響くのか。そういった意味でもこれは適材かと」。

また、『はたらくおとこ』は、自身の最近の作風とは異なるという。「当時、宛て書きした作品です。だからぶっ飛んでいるところも強くて。今の僕が書いているものと本質的には変わらないけど、事件で物事を紡いでいくというものを現代で書くと結構、大変なんですね。今、世の中自体がすごいし、それを一生懸命越えなきゃならないみたいなことになってくるとね。ある意味、2004年だからこそ書けた劇だと思うんです」と振り返りつつ、「でも、こういう作品を見直すことで、また新しいことへの一つのきっかけになったらいいなと思っています」と今後に期待を寄せる。

今回の上演で、12年ぶりに作品と向き合った。「20代の頃に書いている自分の姿をどこかで見るような、そいつと肩を組んでいるような気がして、それもちょっと面白いですよね。なんか、変な話ですけど、ちょっと若返るような気持ちにもなるしね。“青臭いな”って思う部分も多々ありますし、でも向こうから“考えすぎるようになっちゃってない?”って言われているような気もします」。

最近は、三好十郎や井上ひさし作品を手がけたことで口語体の劇を見直していると話す。「また新たな可能性を導き出せないかと。三好十郎さんとか、井上ひさしさんとか、言葉がいいんですよ。僕は僕なりの文体を探しているし、今、そういう劇を作っているところです。『はたらくおとこ』は俳優が飛び出してくるような、ぶわーって思いっきりやれる劇を描いていた頃の作品で、口語体の良さを見直すきっかけにしたいし、ある種、もうちょっと口語体に寄った劇をまた改めて書いてみようなんて思っているところであったから、(再演が)その一つのきっかけになったらいいなと思っています」。

気がつけば阿佐ヶ谷スパイダース結成から20年が過ぎていた。「何度も辞めようと思ったけど、続いてますね。解散する方が簡単で、続けていく方が結構難しかったりするので、そっちを選んだのかもしれない。最初に阿佐ヶ谷スパイダースを立ち上げたときも1回で辞めようとして、面白いから2回目やって、2回目やって面白いから3回目やって。そうやって進んできたんです。気ままにやってきて。だから“何周年”もないんでしょうね。でも、こうやってたまに振り返って、自分達がどういうふうに歩んできたのかとか、結構がんばってきたんじゃない?ってお互いに褒め称えたりすることができるのは、悪いことじゃないなって今は思っています」。

『はたらくおとこ』は12月2日(金)・3日(土)、大阪・松下IMPホールで上演。チケット発売中。 




(2016年11月17日更新)


Check

阿佐ヶ谷スパイダースPresents「はたらくおとこ」

発売中

Pコード:454-321

▼12月2日(金)19:00
▼12月3日(土)13:00/18:00

松下IMPホール

全席指定-7500円

[作・演出]長塚圭史

[出演]池田成志/中村まこと/松村武/池田鉄洋/富岡晃一郎/北浦愛/中山祐一朗/伊達暁/長塚圭史

※未就学児童は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]0570-200-888

チケット情報はこちら

あらすじ

幻のリンゴを作り出す夢も破れ、朝から晩までまんじりともせず、今やもうすることもない閑散の事務所でストーブの小さな炎を囲み、北国の大雪を見つめる男たち。雪はまるで借金のように降り積もってゆく…。もはや東京に帰る場所もない。

そんなある日、地元の若い女が運び込んだ幸運の液体。この液体を手に、男たちは手段を選ばず暴走しはじめる。そう、すべては幻のリンゴの栽培を再開するために。運命を打開すべきチャンスが目前となったとき、トラックに乗ってアイツがやってきた!