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文楽ビギナー必見の大爆笑“三谷文楽”、ついに大阪へ!

近松門左衛門の代表作「曾根崎心中」を引っかけた、“三谷文楽”「其礼成心中」が、ついに物語の舞台である大阪へ初登場する。初演は東京で2012年、翌年に再演、14年には京都劇場で上演。三谷幸喜が作・演出に初挑戦した文楽は、奇をてらわず、古典芸能として継承される大夫、三味線、人形遣いの三位一体の形を崩さずに、今の時代にそぐう文楽人形の可能性を示してみせた。しかも、喜劇作品のない文楽で、すごくおもしろい“爆笑文楽”を。

物語の舞台は、元禄十六年の大坂・曾根崎。「曽根崎心中」の大ヒットで、天神の森での心中がブームに。その森の入り口にある饅頭屋は、縁起が悪いと閑古鳥。店主の半兵衛は心中ブームにかこつけて、人生相談と名物“曽根崎饅頭”の新商売を始め、大評判となるが…。

この三谷節全開の人情喜劇を文楽上演する試みに協力したのが、人形遣いの吉田一輔。キャスティングをはじめ、大夫や三味線ら技芸員の人たちを率いた。「お客さんに喜んでいただきたい、この舞台を成功させたい、というみんなの想いが一致して、できたと思います」と語る彼に、その想いと制作の裏側を聞いた。

まず、文楽人形。人形の首(かしら)は、キャラクターも大夫の語りも決まっており、主役・脇役の役割もほぼ同じ。が、三谷が主役・半兵衛に選んだのは、脇役で悪役の人形。「すごい発想やと思いました」。文楽では考えられない発想に、とまどいながらも「やってみたら、お芝居の中で違和感がなかった。いい経験になりました」。

大夫の語りは現代語、さらに人形の水中シーンの演出も。三谷に「人間に出来て、人形に出来ないことは?」と問われた一輔、「『人間に出来ることは何でも出来ます』って、言ってしまったんです(笑)。そしたら『じゃあ、泳げますか?』って」。平泳ぎも、クロールの動きもできる。「背泳ぎは?」。「初めてでした。足遣いと打ち合わせしてやってみたら、背泳ぎに見える!と」。

舞台も文楽劇場ではなく、ホールだ。「いつもの舞台は二尺八寸(84.84㎝)の手すりの上、でも一尺二寸(36.36㎝)の高さでやるので、足遣いが大変。膝をついて歩いているような感じで、半兵衛は2時間出ずっぱり。体力的には非常にキツイです」。

また、主に関係者だけが観るゲネプロ(公演直前の通し稽古)は、文楽の人たちは初体験だった。「全然笑いが起きず、全員が不安になって、1人が『アカン、完全に失敗や』と言い出して。でも、初日開いたら大爆笑で『大成功ですね』って(笑)」。師匠方も楽しんでくれたそう。

「文楽をお好きな方も観たことのない方も、みんなに楽しんでいただけるいい作品です。是非ご覧ください」。

 

取材・文/高橋晴代




(2016年6月21日更新)


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吉田一輔
お隣は“三谷くん”人形。公演では幕開き前に登場、三谷幸喜の声でご挨拶をして諸注意をアナウンスする。

三谷文楽 in 大阪 其礼成心中

発売中

Pコード:450-019

▼7月1日(金)19:00
▼7月5日(火)14:00
▼7月6日(水)14:00
▼7月7日(木)19:00
▼7月8日(金)14:00
▼7月9日(土)11:00/15:30
▼7月10日(日)11:00/15:30
▼7月11日(月)14:00

森ノ宮ピロティホール

全席指定-8000円

U-25チケット-5000円(整理番号付)
※U-25チケットは、観劇時25歳以下の方対象の当日指定席引換券です。当日劇場受付にて指定席券とお引換えとなります。お引換えの際は身分証明書を提示ください。

[作・演出]三谷幸喜
[作曲]鶴澤清介
[出演]竹本千歳大夫/豊竹呂勢大夫/鶴澤清介/吉田一輔/他

※未就学児童は入場不可。都合により出演者が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)

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