ホーム > インタビュー&レポート > 『上方落語若手噺家グランプリ 2016』 決勝進出者インタビュー:桂雀五郎
--決勝進出おめでとうございます!
ありがとうございます。
--第1夜のご出演でしたが、激戦でしたね。いかがでしたか? 当日は3番手でしたね?
楽屋でくじを引きました。特にトップでなければと。前の2人も受けてたんで、そんなに順番を意識することなくやりました。
--何番を引けたらいいなと思うんですか?
あんまり前の方は嫌やと思いますけど…。結果的には3番目でよかったと思います。
--今回は「時うどん」で出場されましたが、ネタ選びのポイントは?
そうですね。まあ短くて、笑いの多いので8分でできるのって限られてるので。その中で選んだだけですね。候補を3本くらい書きましたけど、特にその3つは順不同みたいな。これやったら自分でいけるかなというのを書いただけですね。
--ほかの2本は何を?
「初天神」と「手水廻し」です。
--去年は「初天神」で出場されましたね?
そうですね。はい。落ちましたけどね。
--「初天神」を短い時間内で最後までするのは難しいですよね。今年の手応えはどうでした?
終わった後ですか? うーん、まぁ、ええお客さんやったんで。通る通らんは別として、よう笑てくれはったんで、一応はよかったと思います。
--全員が終わって、結果を待ちながら一人一人コメントを言う時に、「こんな時間でうどんが食べれるか!」っておっしゃってましたが(笑)?
ネタを繰り始めてから、8分でうどん2杯なんてどうなんかって気づいたんですけど、もう遅かったんで(笑)。
--ほかの出場者を見てて、どうでしたか?
みんな面白かったです。たま兄さんがいるんで、皆、たぶん残り枠1個やと思ってやってたと思うんです。厳しかったですね。
--それぞれ運もありますよね。どの回に入るかによって変わってきます。
それはありますね。メンバー見て、あっちゃーって思いましたけどね。たま兄さんとは避けたかったですね。
--雀五郎さんは復活枠なので、第4夜が終わってから連絡があったと思います。連絡を受けて、どんな気持ちでしたか?
正直言ってあかんやろと思ってたんで、「あれ?」っと思って。逆に、諦めてたんで気楽に3週間過ごせてありがたかったです。
--弟弟子の雀太さんが予選を通過しているので、桂雀三郎一門から2人残っていますね。
そうですね。ほかには文枝一門の三四郎、三語がいてます。そしてざこば一門で、ちょうば、あおば。なるほど…。
--雀五郎さんは大学時代、落研ですよね? どうして雀三郎さんのところへ?
あっちこっち落語会へ行って、いろんな会を見て、いろんな高座を聞いて、この人やからと決めました。だからこの1回、この高座で決めたというのがないんですね。
--雀三郎さんは高座数もかなり多いし、レベルも高いですからね。
そうですね。
--去年は入門15周年でしたが、いかがでしたか?
そうですね。記念の会もうまくいったんで、一応よかったかなと思います。
--雀五郎さんは勉強会もいろいろされています。桂南天さん、笑福亭たまさん、桂ひろばさんと毎月されている「高津落語研究会」は今、とても人気です。この会は雀五郎さんのためにスタートした会ですよね?
そうですね。なんかうまいこと行きましたね(笑)。
--「高津落語研究会」は一昨年から8月に特別企画をされています。4人ともスケジュールが空いている日に会を開催するということで、一昨年が14日間、去年は13日間落語会を開きました。今年もするんですか?
する予定です。
--結構大変ですよね?
大変です。自分の会もありますし。去年は繁昌亭も入ってたんで、たいへんでした(笑)
--この会では大喜利とか落語以外のこともされてますよね? 手応えはどうですか?
手ごたえですか? いや、難しいと思います。やってみて、改めて難しいなと思います(笑)
--雀のおやどで毎月開いている勉強会「雀五郎体力強化の会」ではずっとネタ下ろしをされてますよね? 今、ネタはどれくらいですか?
一応、80くらいになりました。
--それはすごいですね!
まだ全然です。1回やっただけとか、そんなんも多いんで。
--年にどれくらいのペースでネタを下ろしてるんですか?
一応、毎月ネタ下ろしをするよう言われてるので、12本は。で、それが4年目に入りました。
--ネタ下ろしをする時って、どういう選び方をするんですか? 誰かのを聞いていいなと思ったとか?
うーん、結構、なにしようかなと思って、例えば「米朝落語全集」の索引みたいなとこ見てたりとか。ぜんぜん思てもなかったネタをやろうかなと思うこともあります。
--目をつぶって、索引を指で指すとか?
いやいや、それは怖いんで(笑)。昔からやりたいと思ってたネタとかもあるし。長いネタばかり続けて覚えても、次やるとこがなかったりもするんで、いろいろ長いのん、短いのんとか混ぜたりしながら。会の過去の記録からなにからいろんなことを見て決めます。
--雀三郎師匠は新作もされますが、師匠の新作とかはしないんですか?
うーん、その、現代の噺ってまたちょっと違うじゃないですか? やったことないから想像つかないっていうか…。師匠のお手本があるから、ボロボロでもやってみたらええんでしょうけど、なかなか。新作の中でもそれこそ、「帰り俥」とかそんなんを先に、ですね。
--「帰り俥」を初めて聞く人は古典やと思いますよね。
そうなんですよね。おんなじかもわからないし。でも、やるとしてもまだ先ですね。
--今、趣味はありますか?
プロレス観戦と競馬ですね。
--プロレス観戦は実際に見に行くんですか?
はい、行きます。たぶん上方で一番行ってるのは僕です。
--落語家さんの中で、ほかにプロレス好きな人はいますか?
いてはります。三金兄さんとか文三兄さん、染太さん、仁嬌師匠と文福師匠。前に三金兄さんが声をかけてくれはって、繁昌亭でプロレス好きの人が集まって会をやったことがあります。
--で、競馬もしていると? 競馬歴は長いんですか?
15年くらいですかね。
--じゃあ、落語家のキャリアと同じくらいですね?
ほぼ同じです。最初はなんとなく面白そうかなと思って。時間があったんで、ちょっとやってみたら。それからですね。
--落語もやって、ほかの楽しみも持ってるということですね?
そうですね。
--このグランプリができて、いかがですか?
しんどい部分もありますけど、ありがたいことではあるので。喜んでもらえますからね、結果がでれば。しんどいですけど、出たほうがええなと思って。
--決勝に進出することで、周りから何か言われましたか?
お客さんからメールをいただきましたね。おめでとうございます、見に行きますと。決勝当日は僕のことを知らん人がいっぱい来るんで、勝ち負け関係なく、チャンスやと思っています。
--雀五郎さんはいつも落ち着いているように見えるのですが、緊張したりするんですか?
一応、してますけどね(笑)。してないと思われてるらしいんですけど、一応はしてます(笑)。 はい。
--グランプリの楽屋の雰囲気はどうですか? 普通にしゃべったりとか?
普通ですね。元々そんなにしゃべらないんで、特にめちゃしゃべるようになるわけでもなく。普通にしてます(笑)。
--『M-1グランプリ』とかでも後で勝ち上がってきた人が優勝したりしますよね?
敗者復活でありますね。『M-1』のあのやり方は盛り上がりますよね。当日発表して、移動して。
--決勝に向けて、雀五郎さんなりの策はありますか?
いや、いやぁ…。別にないですね、もう。はい。普段どおりやるしか、たぶんできないですね。
--決勝は違うネタで、持ち時間も長くなりますね?
はい、12分です。
--ネタは決めてるんですか?
まだいくつか迷ってる段階です。
--雀五郎さんなりのアレンジを入れたりするんですかね?
いや、アレンジっていうほどアレンジしてるのはないですからね。
--でも、何か特別な味わいがありますよね。「手水廻し」とかにしてもそうですが、おかしみがほかの人とはちょっと違います。
まぁ、ネタは会でやってて、手応えがあるっていう感じですかね。自分でセリフ変えたり、ギャグ入れたり、演出変えたりという感じのはそんなに…。こう変えましたという感じはそうないので。決勝では、会でよくやってて、手応えのある中から選ぶっていう感じでしょうからね。僕独特の、っていう感じじゃないと思うんですけど。
--決勝に向けての意気込みをお願いします。
特別、意気込まずに普段通りにやれたらと思います。やることは一緒なんで。
取材・文/日高美恵
(2016年6月17日更新)
▼6月21日(火) 18:30
天満天神繁昌亭
[出演]
笑福亭たま
林家笑丸
桂雀五郎
桂ちょうば
桂雀太
桂三四郎
笑福亭喬介
露の眞
桂三語
桂あおば
※未就学児童は入場不可。
[問]天満天神繁昌亭
[TEL]06-6352-4874
※前売券完売
<第一夜>
https://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2016-04/1604-006.html
<第二夜>
https://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2016-04/1604-011.html
<第三夜>
https://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2016-05/1605-001.html
<第四夜>
https://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2016-06/1606-005.html