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「コンボイ旋風、まき散らします!」
カッコいい大人の男たちが魅せるエンタテインメントショー
結成30周年を迎えたTHE CONVOYが7年ぶりに大阪へ!
主宰・今村ねずみにインタビュー!

主宰・今村ねずみを中心に、平均身長180㎝を超える6人の男性で構成されるTHE CONVOY(ザ・コンボイ)。1986年に結成し、「走り出したら止まらない」を合言葉に走り続けてきた50代の男たちが、結成30周年を迎えた今年、7年ぶりに全国ツアーを敢行する。これまで、芝居、歌、ダンス、タップ…と、さまざまな要素を盛り込みながら、笑えて心にグッとくるオリジナルのエンタテインメントショー「THE CONVOY SHOW」を展開してきた彼ら。今回上演する『1960』は、昨秋、6年ぶりの劇場公演として東京だけで披露された作品。大阪公演にかける想いについて、今村ねずみに話を聞いた。

――結成30周年、おめでとうございます!ほぼメンバー変わらず30年続けてこられるのは、すごいことですよね。

振り返ったら30年経っちゃったっていう感じですね(笑)。気付いたら“あれ?今年30周年じゃん!”という感じでしたよ。でも不思議だなって思います。自分の中で、30年もやってきたものがあるっていうのが。30年間付き合ってるメンバーもいるし、そうでなくてもほとんどが20年以上付き合ってきたんですよ。僕らは当たり前のようにやってきたんだけど、男がみんな50歳過ぎてまだ一緒にやってるっていうのは、よく考えると不思議ですよね。

――しかもコンボイショウは、身体を目いっぱい使うステージですし。

そうなんですよね。コンボイショウは全員が主役で脇役、幕が開いて閉じるまで約2時間ノンストップ。コンボイならではのエンタテインメントが盛りだくさんに詰め込まれたショーで、肉体ありきのショーなんです。

――それを昔と変わらず30年続けられるのが、単純にすごいなと思います。

それをやらないとコンボイショウじゃないからね(笑)。去年も6年ぶりに劇場に戻って公演をしたんですけど、結局、自分たちがやっていることというのは、30年前にやり始めた頃と同じでしたね。“あなたがいて、僕がいて”という関係づくりの舞台をする。自分たちはあの頃のまま、ずっと時間が止まってるんですよね。ただ、ふと気付くとお互い白髪頭になって、顔もシワっぽくなっていて、結構年取ったんだな~と感じることもあるけど(笑)。“コンボイって何?”という精神論は、何も変わってなかったですね。

――それは、30年間作り続けてきて、根底にあるものが揺るがないからでは?

ステージを作ろうと思ったとき“自分がもし劇場でやるなら”というのがまずお題としてあって、“こうだったら面白いな”というのがコンボイショウのスタイルだったんです。正解なんて分からずに、ただ自分が面白いと思うことをやり続けてきただけ。ひとつのステージが終わった後はその都度達成感があるけど、すぐに“あそこはもっとこうだったかな”っていう問いかけも絶えず生まれてくる。その繰り返しでしたね。自分たちが目指したい世界があって、毎回そこへ向かおうとしているけど、答えはしっかり掴めていないのかもしれないですね。だから今もやり続ける。「コンボイショウって何?」って聞かれても言葉で言えないのが本音で、言えないからショーで見せるというのもあるのかも。感覚としてはやり始めた頃とは変わっていなくて、“こうだったら楽しいだろうな”とか“もうちょっと面白い世界、みんなで行こうよ”ということの繰り返しですね。

――今回上演される『1960』はどういうきっかけで生まれた作品ですか?

去年、6年ぶりに東京の劇場で公演をすることになったんですけど、その6年前がちょうど震災のときで、「THE CONVOY SHOW vol.29 LAST 赤プリ」という公演のリハーサルをしていたときに震災がきて、あの状況の中で、自分たちが公演をやるにあたっていろいろと考えさせられたんです。それまではただがむしゃらに突っ走ってきただけで、周りのことも含めて、自分たちがやってきたことって一体何なんだろう、これからどこを目指して進んでいけばいいのかと考えた時期があって。作品作りから離れた時期も何年かあったんですけど、年に一度は6人でディナーショーをして、6年かけて『1960』という作品を生み出しました。

――ステージは、どんな構成で展開されるんですか?

話の主人公は、嵐の夜に突然、闇夜の国に舞い降りた“迷える中年男”。そこに謎の男たちが現れて、一冊のノートを手渡される。そこには「まだ終わっちゃいない、お楽しみはこれからだ…1960」というメッセージが残されているんです。そこから、中年男が闇夜の国を抜けてどこへいくのかという話を書きました。その中に、コンボイならではのエンタテインメントが詰め込まれているという、分かりやすいお話です。

――「自分探し」というのが作品のテーマとしてあるそうですが、どの年代にも自分探しというのはつきものなんですね。

「自分探し」って気軽に使われることもありますけど、こんなに大変なことはないぞって思いますよ。みんな自分のことが分からないから、一生、絶えず探しているんだと思います。一番やっかいなのは自分ですから。今も分かってそうなこと言ってますけど、自分のこと分かってないですからね(笑)。立ち止まることはあるけど、結局はみんなそれぞれ扉を開けて前に出なきゃいけないですもんね。

――今村さんご自身とも重なるお話なんですね。

僕の作品は大体そうなんです。勝手に作ったキャラクターもありますが、メンバーの下地があって書ける部分とか、重ね合わせている部分もいっぱいあります。使う音楽も、自分に引っかかるものを入れ込んでいくので、踊りも歌もお芝居にしても、なんとなくリンクするものがあります。それがひとつのスタイルになりましたね。幕が開いて閉じるまで、どういう風に時間が流れていくか、どうコンボイの時間を作るのかというのが僕たちのテーマとしてあります。

――そのスタイルになったのは、いつの頃からかですか?

10年くらい経ってからですね。ひとつのドラマの中で、パフォーマーとか役者さんがいろんな役をやるとか、いろんな世界を生きるというのは表現者としての醍醐味ですからね。2時間、ひとつの世界でコンボイショウをやりきるというのは、自分にとってすごくやりがいのあることです。大変ですけどね(笑)。

――エネルギーがすごいですもんね。

年の割にはね(笑)。今回は7年ぶりの大阪公演で、しかも全国ツアーの始まりの場所。勢いをつけて全国を周ろうと思っています。大阪は20年くらい前から来ていますし、今回も4公演もさせていただけるので、より気合い入りますね!

――大阪の客席の雰囲気はいかがですか?

ラテンですよね(笑)。“お金払った分楽しんでいきますよ!”っていう。前のめりで楽しんでいただいている熱を感じます。プレッシャーは感じるけど、その分掴んだときの返りはすごい(笑)。久々なので、目いっぱい身体で感じて帰りたいですし、まずはお客さんに楽しんでいただかないといけないですよね。今まで応援してくださっている方はもちろん、“コンボイって聞いたことはあるけど…”という方には絶対観ていただきたいですし、一度離れたお客さんにももう一度戻ってきていただきたい。若い方には元気なオッサンの姿を観ていただきたいと思っています。コンボイは本当に誰が観ても楽しめると思うので。

――若い人が観ても、今村さんと同年代の方が観ても、勇気がもらえるようなステージ。

“日本にこんなにイキのいいオッサンがいるんだ”と思って観ていただくのも楽しいかなと思います(笑)。年を取れば取るほど、夢が見づらくなったり、“若かったらな”って話しちゃう自分もいますけど、ネガティブには思ってない。まだまだやりたいことがあるし、まだまだみんなで面白い景色を観に行きたいし。それはコンボイショウというホームグラウンドがあるからだと思う。ホームグラウンド自体が色あせて、どんよりするくらいなら辞めた方がいいし。でも僕らは相変わらず、もぎたてのフレッシュなイキのいいオジサンたちなので、そのもぎたてを味わってください!(笑)。

――今村さんがいつまでもフレッシュで輝き続けられる秘訣ってあるんですか?

意外と根暗ですよ(笑)。でも、例えば、たまたま買った食べ物がめちゃくちゃ美味しかったり、ふといい音楽が聞こえてきたりして、いろんなこと忘れられる瞬間ってないですか?場面でも人でも、“あ、まだどこかいけそう”って思えるというか。目に映るものに対して、絶えずワクワク感とか興味を持っているのかも。それと、年取ったからこそ余計に走ってやろう、見てやろう、聴いてやろうっていう気持ちはどこかにあるかもしれないです。それは演劇をやっているからだけじゃなくて、普段の生活の中で、たまたま隣に座った人に対しても、たまたまテレビに映ったものに対しても思いますね(笑)。テレビに映った景色とかを観て、ここでこのセリフがあったら芝居ができそうだなとか。

――作品作りのヒントになるんですね。

そうなんです。適当なことを考えるのが楽しくて(笑)。それが、今回の作品でいう“走り書きのノート”なんですよね。僕は大した作家でも演出家でもないから、いつも舞台に立っている目線で作品を作ってきたんです。空想の世界でお話を作るのは、自分が“なぜ?”と思ったことをつなげていくことでしかできない。でもその“なぜ?”と思うことが作品を生み出す原動力になっているのは事実ですね。だから、自分が動いて汗を流した分だけ作品につながるんです。

――東京で上演されて、手応えは感じられましたか?

コンボイショウは目の前のお客さんがちゃんと見極めてくれる。育ててくれるし、大きくしてくれるし、力を貸してくれる。お客さんがすべての答えを持っているショーだなと、改めて感じました。しかも去年は、ずっと見続けてきてくれたお客さんだけじゃなく、興味があってやっと観に来ることができたお客さん、ダンスをやってらっしゃる若い方、自分たちと同じ世代、“母がファンだった”、“おばあちゃんがファンだった”という方もいて(笑)。そういった意味で、30年近くやってきたことをお客さんから感じた公演でもありましたし、まだまだだなとも思いました。

――大阪にもそんな方々がたくさん待ってそうですね。

そういう方には絶対、“やっぱコンボイだよね!”って言わせたいですね。“あなたたち年取って色あせてるんじゃないわよ!”ではなくて、“コンボイは相変わらずコンボイやな!”って言わせたいですね(笑)。日本にこういうオッサンたちのグループがあったっていいでしょ。

――カッコいいと思います!大阪公演、楽しみにしています。

今回は久々のジャパンツアーなので、オッサン旋風、コンボイ旋風まき散らしますよ!全国ツアーの皮切りなので、思いの丈をすべてぶつけます!

 

取材・文:黒石悦子




(2016年4月13日更新)


Check

THE CONVOY SHOW vol.31 「1960」

発売中

Pコード:449-807

▼5月12日(木)14:00
▼5月13日(金)14:00
▼5月14日(土)13:00/18:00

森ノ宮ピロティホール

全席指定-9000円

[作・構成・演出]今村ねずみ

[出演]瀬下尚人/石坂勇/舘形比呂一/黒須洋壬/トクナガクニハル/今村ねずみ

※未就学児童は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]0570-200-888

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Profile

今村ねずみ●1958年6月11日生まれ、北海道出身。劇団「夢の遊眠社」の門を叩いた後、1986年、THE CONVOYを結成。以来、「THE CONVOY SHOW」において作・構成・演出のすべてを手掛ける。「THE CONVOY SHOW」は、劇場だけでなく、ホテルやホールなどでも活動し、2004年には日本武道館公演を含め、全国で10万人を動員。北野武に「死ぬまでに一度は観るべき」と絶賛された。カンパニーとしての活動の他、舞台『蜘蛛女のキス』『キサラギ』『THE 39 STEPS』、映画『菊次郎の夏』など、外部作品にも多数出演。2010年、『キサラギ』で演じたオダ・ユージと『THE 39 STEPS』のクラウン1の演技が認められ、第35回菊田一夫演劇賞を受賞した。