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今年はどう攻めるのか!? 『漫才攻めⅨ』での意気込み
はもちろん、それぞれの“課題”や“目標”を聞いた
ぴあ関西版WEB恒例、ティーアップインタビュー!

今年で9回目を迎える、なんばグランド花月でのティーアップの単独イベント『漫才攻めⅨ』。時に企画を挟みつつも毎年1回、タイトルよろしく新ネタや1年の世相を振り返る漫才など、シンプルに漫才を楽しませてくれる本公演。今年は2月18日(土)に控えている。まさに開催直前、今年の『漫才攻めⅨ』へかける意気込みはもちろん、2011年の総括や2012年の目標などをティーアップのふたりに聞いた。

--ぴあ関西版WEBです。今日はよろしくお願いします。間もなく『漫才攻めⅨ』が開かれますね。今年で9回目です。

長谷川「取材なんかで『もう10回目ですよね』とか言われるんですけど、10じゃない、9なんですよね。29歳の時も39歳の時も、『年、何ぼ?』って聞かれて29ですって答えると、『もう30か~』と言われるんです。いや違う、29歳やと。29歳は30歳になるまでの一番大事な1年なんです。同じく9回目の『漫才攻め』も、10回目を迎えるにあたって一番大切な1回になると思ってますね」

前田「僕の周りでは、8回目がよかったという意見が多かったので、8回目のようにするのか、もうちょっと詰め込むのか考えていますね。8回目をほめられて、今までは全力投球過ぎたんやとわかって」

--8回目は抑え気味だったんですか?

前田「多分、気持ち的に長谷川は…」

長谷川「僕は、7回目、8回目ぐらいから楽しむというスタンスに変えたんです。それまでは眉間にしわ寄せて、う~んっていう感じでやっいたのが、すべての工程を楽しんでやろうと。僕らが楽しんでいるとお客さんも楽しいであろうと。もちろん下準備とか、そういうことはきちんとした上ですけどね。だから8回目では、こっち側の肩の力がちょっと抜けている感じが、お客さんに伝わったのかなと思いましたね。楽しんでやっている僕らを見て、お客さんも楽しむ。長い漫才やったら1時間半ぐらいありましたけど、さすがにお客さんもちょっとしんどいですよね。その辺の部分も、上手に間が取れるようになってきたのかなという感じもして。肩の力が抜けたということが一番、大きいと思います」

前田「8回目は、偶然に生まれた構成だったんですが、評判がよかったのが意外で。毎年やっていたことは何やったんやろうな言うて(笑)。(笑いすぎて)ほっぺたが痛いとか、お腹が痛いとかってお客さんに言わせないと! だから『漫才攻め』なんじゃとかって勝手に思ってたんですけど、意外や意外、そういうことなのかと思って」

長谷川「漫才って落語と違って、同じネタでは笑ってくれないという考えがあったんですけど、『あ、漫才もそういうことがあるんや』とわかったんですね。お客さんから『今年はあのネタが観られて嬉しかったです』という反応があって、だんだん気付いてきたんですけど。落語と一緒で、新ネタだけじゃなくて『このネタ観たい』という気持ちがお客さんの意識の中で実はあるんやということがわかったので、その部分での意識が全然、変わりましたね。僕たちは、漫才では古いネタを観たいという気持ちはあんまりないんとちゃうかなと思っていたんですが、そうではないんだと。その辺でも気持ちが楽になりました」

--今年の『漫才攻め』は今週の土曜日(2/18)にありますが、ネタなど、もう出来上がっているんですか?

前田「今年はまだ完全には仕上がってないんですけど(笑)、自分たちの中でも、あのネタをやりたいというのがあるんですよね。今年の『漫才攻めⅨ』でやるかはわからないですけど、たとえばコンビニのネタとか」

--それはいつごろに作られたものなんですか。

前田「かなり古いですよ。12、3年前…ひょっとしたらもっと若い頃かもわからへんなぁ」  

--そのネタのどこがお好きなんですか?

前田「僕が、相方がかわいいと思っているコンビニ店員の女の子という設定で、その子に対して『ちょっとアホやねん』っていう振りがあるんです。その『ちょっとアホ』をどうするかが好きなんです」

長谷川「これは僕も大好きなネタなんですけど、このネタにはティーアップ独特のナンセンスがありますね」

--それは、ファンの方も観たいんじゃないですか。

長谷川「好きやって言うてくれる方も結構、多いですね。このネタはティーアップのネタでも上位に入ってくるんじゃないですかね、」

--では、去年のようなプレゼントコーナーなど、特別なことはお考えですか?

長谷川「今年はそういう奇をてらったことはないかなと」

前田「抽選で長谷川からプレゼントがあります(笑)」

長谷川「ないないない(笑)。アホか、アホなこと言うな(笑)」

--来年で10回目ですけど、10回目まで取っておこうと思っていることはありますか?

長谷川「それはないですね。それをやると、今回来てくださるお客様に失礼ですからね。10回目のために9回目を抑えようとか、これまでもそうですが、ありませんね」

--なるほど。毎年、チラシもこだわって作られていますが、今年はスマートフォンの画面をモチーフにされています。

長谷川「2011年に流行ったもの、話題になったものって何やろうなと考えて、スマートフォンやなと。アプリを起動させたら、僕らの長編漫才が立ち上がるというコンセプトで作りました」

では、本番でのつなぎの映像にもリンクしていくのですか?

長谷川「そうですね。それにつなげてやってきたいですね」

前田「お笑いの人のチラシって、顔があって、タイトル、日付って感じでなので、逆にスマートフォンにした方が目立ちますよね」

長谷川「ポスターとかバーっと並ぶじゃないですか。その時にね、どう言ったらええんですかね、顔があって、タイトルがあってっていうやまかしいポスターが多いんですよね…」

前田「それ言うたやん(笑)」

長谷川「(笑)、あの、べた~にするのが嫌で、毎回ポスターは凝ったものを作ろうという思いがありますね。緞帳が開いて、緞帳が閉まってという終わり方も嫌ですし。ポスターも含め僕たちの単独では、今までのような漫才のイベントという形式はいろいろと覆されるんじゃないかなと思いますね」

--では、毎年、NGKでの単独ライブが終わらないと年が明けた気がしないということですが、間もなくその“年明け”となります。ここで改めて2011年がどんな一年だったか聞かせてもらえますか。

前田「僕は毎年、新ネタを2本作らなっていう課題があるんですけど、すぐできる年と、なかなかできない年があるんですね。2011年は、何でこんなにできへんねやろうって思うくらい、なかなかできませんでしたね」

--それは何か思い当たる節はおありなんですか?

前田「いや、なんか出ないんですよね。早い年だと6月ぐらいには1本作ったりしているんです。それが2011年は出にくかったですね。それなのに、来年にいい出来になるであろうという原案はあったりするんですよね。別にボジョレー・ヌーヴォーでも何でもないんですけど(笑)」

--今年は、本当に出来立ての漫才が楽しめるんですね。では長谷川さんの2011年はいかがでしたか?

長谷川「去年を振り返ると……結婚できんのかなっていよいよ思ってきまして(笑)。1リットルで2キロしか走らない車を買ってしまったりとか、結婚からどんどん遠ざかっているんじゃないかと感じた1年でしたね」

--その車はどういうきっかけで購入されたんですか?

長谷川「小学生時代から欲しかった車なんです。まあ、手間のかかる車で、趣味の車ですね。それを買ってしまったがゆえに、別に『女性なんて』という思いが…(笑)。かといって男性というわけじゃないんですけど(笑)。今年はバイクの免許も取りたいと思っていて、バイクも買うといよいよ、女性が入ってくる隙間がないんじゃないかと思いますね」

--では、2012年はその辺りも…。

長谷川「でもね、正直、面倒くさいんです(笑)。女性と一からご飯食べて、スパゲッティをグルグル巻いているのにつきあうのもしんどい…(笑)。でも婚活もせなあかんなという気持ちもあって。去年は全然、婚活ができなかった年だったので、今年はちょっと頑張らないかんなとは思っています。ただ、どうなることやらですね、こればっかりは」

--楽しいことが増えていくと、そっちに行ってしまいますよね。

長谷川「そうなんですよね。みんな、女の人と遊ぶことが1番か2番を占めるじゃないですか。僕ね、4番か5番なんですよね。もう44歳なので、女性と何かするということがそないに楽しくもなくなってきたというか。車を買ったからといって女の子を横に乗せたいとか、そういう気持ちもないんですよ。それに僕の車、女の子にモテる車じゃないんです。女性からしたら『何なん!?』みたいな、男にしかわからん世界なんです。ましてやガソリン1Lで2キロしか走らないとか聞いたら、結婚相手がいたら『ちょっとこの車、売ってよ』ってなりますよね。どう考えても不経済ですから。まあ、そんな1年でしたけど、充実はしていましたね」

--以前、楽しもうという気持ちを前面に出していくようになって、ものの考え方も変わったとおっしゃっていましたが、やはりそうですか。

長谷川「もうすごく楽ですよ。車を運転している時も、腹立つことがないんです。たとえば、車をぶわーっと抜かれたりしたら、今までは腹を立てていたんですけど、『あ、今の人は2億の商談に遅れかけてんねや』と考えると、全然腹が立たない。ものの考え方ひとつで、こんだけ精神衛生上、健康的に生きられるんやと思いましたね」

--そういうことも、生活の充実度に反映されているんでしょうね。

長谷川「そうでしょうね。だから女性が要らんということにつながってくるんです(笑)」

--では前田さん、2012年はどんな1年にしたいとお考えですか?

前田「まず、禁煙ですね。タバコを止めてみようかなと思ったことはあるんですけど、止めようと思ったのは初めてなんです。以前、『禁煙セラピー』という本を読んで、吸わんでもいいやという気になったんですね。でも、ここで止めたら面白味がない、普通の奴やと。ここで止めんだったら、変わった奴、寄席で人に見られる見世物たるもんやと思って吸ってたんです。でも、もう去年あたりから吸っている人が少なくなって。あと、情けない話ですけど、ドン!と勢いよく声が出ないんですよ。で、(禁煙も)流行りやし、2012年の挑戦にしようと。それと、自分の振り幅を大きくしたいという思いがあって、去年の9月から合気道を始めたんです。まぁ、合気道のネタで盛り上がった時に、実演として簡単に姉ちゃんの手を持てるっていうスケベ心もあったんですけど(笑)。それで、暮れに6級に合格したので、今年はさらに昇級したいですね」

--姉ちゃんの手を持てるという動機なんですね(笑)。合気道の魅力は他にどんなものがありますか?

前田「合気道って生徒さんみんなに『オッス、ありがとうございました』って言うんです。最後に先生に言って。そうやって、正座して『ありがとうございました』と言うことって普段、あんまりないじゃないですか。そのことに『こういうこと忘れとったな』って思ったんです。僕ら個人事業主ですから、教えを請うということもなくて。そこも面白いなと思いますね」

--なるほど。では最後に、『漫才攻めⅨ』への意気込み含め、ファンの方へのメッセージをお願いします。

前田「『やっぱり面白かったな』と必ず言ってもらえる舞台をお見せしますので、寒い中ですが、期待してお越しください。僕らの漫才だけというイベントは他にないですから。去年、漫才最強説みたいなことを知人に言われたんです。漫才ってツカミからネタ振りまでが短くて、そこから最後の『どうもありがとうございました』って言うまで、1時間半ぐらいほとんど笑っているじゃないですかと。コントは状況説明の時間とかありますけど、漫才はずっと笑いっぱなし。そんなぜひ、舞台を観に来てください」

長谷川「懐かしい曲がかかった時に、『そういえば、この年に俺、こんなことしてたな』という記憶がよみがえることがありますよね。『漫才攻め』もそろそろ、『この年はすごく寒くて…』とか、1回1回に記憶がよみがえってくるイベントになってもいいかなと思うんです。『漫才攻め』の回数でその年を振り返るような。『漫才攻め』は僕らだけでやっているわけではなく、お客さん、スタッフさんがいるからこそ成り立っています。『9回目の時はこうやったなぁ』と言われるような、お客さん一人一人にそれぞれの記憶がよみがえるようなイベントになったらなと思います」




(2012年2月14日更新)


Check
左から、前田勝、長谷川宏

●公演情報

『TEEUP 漫才攻め9』

発売中

Pコード:417-542

▼2月18日(土)19:00

なんばグランド花月

全席指定-2500円

[出演]ティーアップ

[問]チケットよしもとお問合せ専用ダイヤル[TEL]0570-036-912

なんばグランド花月
www.yoshimoto.co.jp/ngk/

公演間近! お急ぎください!!
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●プロフィール

ティーアップ

前田勝、長谷川宏が'88年コンビ結成。結成20年の節目の年である'08年には『第43回上方漫才大賞』で見事、大賞を受賞した。現在、『ごきげんライフスタイル よ~いドン!』(関西テレビ/月曜レギュラー)、『ラジオよしもと むっちゃ元気スーパー!』(ラジオ大阪/水曜レギュラー)に出演中。