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桂塩鯛がサンケイホールブリーゼで独演会を開催!
自身にとっても思い入れの深いネタを3席、披露

6月17日(金)、サンケイホールブリーゼにて独演会を開催する桂塩鯛。今回の演目は、「天狗裁き」「百年目」「読書の時間(作:桂三枝)」を口演する。これら演目について、どんな思いを抱いているのか塩鯛に聞いた。

―― まず、桂三枝作の『読書の時間』について。

「三枝師匠の『鯛』という噺が好きやったんですよ。まさか自分がこんな名前になるとは思ってませんでしたけど(笑)、稽古をつけてもらっている中で、『こんなんどうや?』って『宿題』を勧められて。にぎやかなんが合ってると思うでっていう感じで師匠のいろんな新作落語を勧められることが続いて、『読書の時間』もその1つでした。それで、させていただくようになりましたね」

―― そして、ある男が見た夢について様々な人が詮索する『天狗裁き』については…。

「『百年目』もそうですが、『天狗裁き』も米朝師匠がこの世に出した噺で、しばらく米朝師匠しかやってなかったと思いますね。『天狗裁き』は軽そうに見えるけど、実は非常に難しいお話で。同じことの繰り返しなので、ネタばれしているところをうまくしゃべらないといけません。しばらく、みんな手をつけてなかったんですけど、ぼちぼちやりはじめて。私も去年の2月に初めて、ネタおろしをしたんですが、やると楽しいですね。お客さんも展開がわかってるけど笑ってしまうような。『百年目』もそうですけど、このネタも演技やしゃべる間などが重要で、若いときにはできないと思います。若い人間がやっちゃうと間がもたないというか、雰囲気を出さないとわかってもらえない噺なので。米朝師匠は一門会でも『天狗裁き』をようやってましたね」

―― 最後に、船場に店を構える大旦那と番頭さんとのやり取りが面白おかしく、そしてじんわりとした温もりにも包まれる、上方落語の中でも屈指の大ネタ『百年目』について。

11061612.jpg「高座にかけるのは30周年記念公演以来なんですが、こんな難しい噺はしばらくやめようと思ってました。おこがましくて、とてもじゃないけど私のような人間ではまだまだできませんと思って。『百年目』は、入門して27、8年経ったくらいに米朝師匠に稽古してもらったんですけど、もう一刀両断、むちゃくちゃ注意されたんですよ。27、8年やってる人がこない怒られるかっていうくらい、怒られたんです。それを横で聞いてた吉の丞が笑ってたんですわ(笑)。それだけ米朝師匠の思い入れもあったんでしょうね。ものすごい細かいところを注意されて。ほんまに、ちょっとした表現の違いなんかを注意されましたね。最後には、『まあまあ、こんな噺は人前で何べんもやってみることや』と言われましたけどね。で、30周年記念公演なんかで人前でやって満足してたんですけど、あるとき、米朝師匠が60代のときにかけた『百年目』をたまたまテレビで見たんです。それは本人も『あの時の『百年目』は我れながらええできやったと思う』と言ってはったくらい、ものすごくいいものやったんです。それを見たときに、『ああ、これが『百年目』や、わしがやってるのはまだまだや』と思ったんです。だからしばらく、やめさせてもらいますと。けど、今回、目玉のネタをというお話もありまして、まあ、しゃべり方とか若干違ったように聞こえたらいいなと思って。お客さんもどう反応してくれるのか楽しみでもありますね。おそらく、私が噺家として行き着くところがこのネタで、落語の中でも一番難しい噺やと思ってます。今回も一生懸命やりますけど、今の桂塩鯛でベストを尽くしたいと思いますし、生涯、取り組んでいきたいと思っています。これは昔の船場の噺ですけど、現代でも『私一人で大きくなったんやない』という気持ちはみんな持ってますよね。そんな気持ちを伝えられたら一番いいかなと思ってます」

なお、マクラでは、実際に『百年目』のような場面に出くわした話も披露するとのこと。こちらもお楽しみに!

サンケイホールブリーゼでの独演会は「米朝一門にとって晴れの舞台」と言う塩鯛。それだけに、気合の入れ方や取り組む姿勢がほかの舞台とは異なるという。サンケイホールブリーゼでしか見られない、その勇姿をぜひ堪能していただきたい。

また、桂団朝が「阿弥陀池」を、桂吉の丞が「時うどん」を披露する。




(2011年6月16日更新)


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プロフィール

かつらしおだい●'55年生まれ、京都府出身。'77年1月、桂朝丸(現ざこば)に入門にする。'83年、ABC落語、漫才新人コンクール最優秀新人賞受賞。平成10年度文化庁芸術祭優秀賞受賞。また、この年より大阪成蹊大学国文学科の講師も務める。平成14年度大阪舞台芸術奨励賞授賞を受賞。朗らかで大らか、からっと明るい高座で魅了する。また、酒にまつわる噺も得意。'10年、四代目桂塩鯛を襲名した。

公演情報

『桂都丸改メ 四代目 桂塩鯛独演会』

▼6月17日(金) 18:30
サンケイホールブリーゼ
[一般発売]S席-4000円 A席-3500円

※この公演は終了しました。