ホーム > インタビュー&レポート > ボクシング生活10周年 バンタム級絶対王者がV10に臨む!!
今年7月に9度目の防衛戦に成功したWBC世界バンタム級王者、長谷川穂積。11月にボクシング生活10周年を迎えた王者が、12月18日(金)に再び地元・神戸で10度目の防衛戦に臨む! その節目を控えた中、もはや試合前の恒例になりつつある王者へのインタビューを敢行してきた。
――10回目の防衛戦が間近に迫ってきました。ボクシングを始めて10周年ということを会見で仰っていましたが、この10年というのはいかがでしたか?
「早かったですね。あっという間に流れた感じです」
――デビュー当時、10年もリングに立っているなんて思っていました?
「いやー、思っていなかったですね。当時は。夢……目標としては、もちろん世界チャンピオンになるつもりでやっていましたけど、何歳までボクサーをやるなんてことは全く考えてなかったです。一戦、一戦を積み重ねていったら10年が経っていた感じです」
――この10年の間で変化した部分があったら教えて下さい
「少し攻撃的になりましたけど、あとは変わってないです。あ、でも、上手さが増してきたかなと。ちょっとずつ戦い方が分かってきたというかね。それがキャリアなんですけど」
――コツコツと一戦、一戦を戦い、キャリアを積み重ねっていったわけですが、特に印象に残っている試合はなんでしょう?
「やっぱりタイトルを獲った試合ですよね。勝てばチャンスが巡ってきますから、一戦、一戦、全力でやってきましたからねぇ。その中でもターニングポイントになったのは、2002年10月にやった熟山選手に勝った試合。当時、僕はノーランカーで熟山選手は日本ランカー3位だったんですよ。その日本ランカーを倒したということで自信が付きました」
――なるほど~。個人的にはウィラポンとの世界戦を挙げるかと思っていました
「もちろん、ウィラポンも大事な試合でしたよ。世界に挑めることでそれなりに自分に実力があるんだなって自信になったし、ウィラポンに勝ったことで世界と渡り合えるだけの力があることが分かったので」
――ベルト奪取後、数々の挑戦者と戦ってきたわけですが、ウィラポン以上に印象に残っている選手はいますか?
「あー……いないですね。それぞれ一瞬の思い出は残っていますけど、印象と言われると特に残ってないです。やっぱりウィラポンが1番ですね」
――それだけウィラポン戦が強烈だったということですね。
さて、積み上げた連続防衛記録は国内歴代2位タイとなる9連続防衛を達成。具志堅さんの最多防衛記録13回をそろそろ意識しだしたのでは?と思っているのですが……
「うーん、まだですね。まだ遠いです。超えるには、あと5回防衛しないといけないんで。それに、あと5回防衛しようと思ったら大変ですね、体が。まぁ、今回もあくまで通過点ですよ」
――なるほど。今回は同級12位のアルバロ・ペレス(ニカラグア)と対戦しますが、彼の印象はいかがですか?
「ちょっとラフな選手っていうくらいですね。それ以上でもそれ以下でもないです。まだビデオを一瞬しか見ていないのでなんともいえないんですけど」
――長谷川選手が苦手と公言するサウスポーですけど、過去3度サウスポーの選手を撃破しているので、そろそろ苦手意識は払拭できたのでは……?
「いや、あります、あります! 今まで3試合していますけど、そのうち世界戦では2試合あわせて3ラウンドしか戦っていないですからね。サウスポーとの試合はちゃんとやってないです」
――苦手とされつつ、あっという間に勝負を決めていたので苦手意識は払拭されたかと思っていました。
さて、会見では今回の試合で集大成を見せると仰っていましたが……。
「どういう結果になるのかは分からないですけど、今までやってきた積重ねの中で、自分のボクシング全てを見せられたらいいなって思います。その中で、KOで勝てたら最高ですね。もとからKOパンチャーではないのでKO勝ちは意識しないですけど、できたらいいなって思います」
――できれば12ラウンドをフルに戦って集大成を見せたいですか?
「フルとは思わない……しんどいから(笑)。7、8Rで終われたら最高かな」
――ああ(笑)。その集大成の次に狙うのは2階級制覇だとは思うのですが、これはタイミング次第なんですよね?
「そうですね。ボクシングは、自分がやりたいって言って『ハイ、決まり』っていう風にはいかないんで。相手がいて、マッチメイクがあって、お金の問題をクリアしてこそできる2階級制覇なんで。だから、次は階級を上げるって俺がこだわっても相手がムリならムリなんで。仕方がないから、チャンスがあれば、ですよね。希望は出していますけど、無理なら防衛するだけの話です」
――その道筋はうっすらと見えているのでしょうか?
「見えているような、見えていないような……。やっぱり流れはコロコロ変わるんで」
――ちなみに階級を上げるなら1階級上?
「2階級上でもいいんですけど、1階級上のが可能性は高いですよね」
――ぜひスーパーバンタム級での活躍も見たいところです!
さて、ちょっと気が早いですが今年を振り返っての感想を聞かせてください。
「今年やった試合は、2試合で2ラウンドしかやってないから、ほとんど試合をしてないに等しいですけど、いい結果で終わっていますし。次もできるだけ早く終わったらいいなぁと思ってやります(笑)」
――早すぎるとお客さんから『終わるのが早すぎるぞッ!』っていう異例の野次が飛びますよ(笑)。
「野次が飛ぶくらいがいいですね。それも勝って飛ぶんですから(笑)。負けて飛ぶ可能性もありますから、そうならないようにしたいです」
――では、今回も勝って野次を飛ばしてもらいましょう(笑)。
それでは、最後にメッセージをお願い致します。
「今回、今年最後の試合だし、ボクシング生活10年目、10回目という節目の防衛戦なんで。お祭りみたいな試合ができたらなぁと思っています。応援よろしくお願いします!」
12月16日に29歳の誕生日を迎える王者。自らの勝利で29歳に華を添える瞬間、芸術的なまでの強さをぜひ生で目撃して欲しい!!
(2009年12月 3日更新)
長谷川穂積(はせがわ ほづみ)●80年生まれ、兵庫県出身。優れたディフェンス技術とスピード、パンチのコンビネーションを武器に、03年に東洋太平洋バンタム級王座を獲得。3度の防衛を重ね、ベルトを返上して挑んだ05年4月、当時14連続防衛中のウィラポンからWBC世界バンタム級のベルトを奪取した。その後、防衛記録を伸ばし続け、現在は国内2位タイの9連続防衛中。“バンタム級の絶対王者”となる。
THE REAL Vol.10 『WBC世界バンタム級タイトルマッチ』
〈長谷川穂積(真正) vs アルバロ・ペレス(ニカラグア)〉ほか
▼12月18日(金)17:30
神戸・ワールド記念ホール
真正ボクシングジム[TEL]078(265)1002