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「エアリーライブが、ついに海までたどり着きました」
今村モータース×神戸の海を一望できるリゾート空間OCEAN PLACE
『調べと海辺』と題し、充実の新作『anone』の楽曲も次々披露!
『Kitano Airy Live with ジャッジメントKOBE』ライブレポート

 withコロナ時代の新企画として、万全の感染予防対策の元、屋外や換気の良いスペースで音楽を楽しめるニューノーマルなライブイベントとして昨年9月にスタートした、『Kitano Airy Live with ジャッジメントKOBE』。六甲の山々に囲まれ、神戸の街並みと海を見渡せる光と緑に満ちたリゾート型複合施設KITANO CLUB sola、約6000坪の日本庭園を望む迎賓館が生まれ変わったTHE SORAKUEN内に位置し、四季折々の美しい自然を眺められるカフェ・相楽園パーラーに続いて、神戸発のシンガーソングライター・今村モータースが次なる舞台に選んだのは、神戸の海を一望できる360°ロケーションでメリケンパークの美景を望む、オーシャンサイドの魅力が詰まったOCEAN PLACEだ。『調べと海辺』と題した今回も、ART HOUSE、太陽と虎、チキンジョージ、VARIT.という神戸の4つのライブハウスが共同で立ち上げたプロジェクト、“ジャッジメントKOBE”の尽力により、オンラインでの同時生配信も実施。神戸のランドマークプレイスで、今村モータースがまたも日々に寄り添う歌声を響かせた一夜をレポート!

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「僕らは(後ろの)景色を見れないんで、存分に見て帰ってください。よろしくお願いしまーす!」
 
 そんな挨拶とアコースティックギターの調べに先導されて、この日の幕開けを飾ったのは『点と点』。ライブのために作られた会場ではないにも関わらず、ひときわ豊かな響きに包まれるのはうれしい誤算で、神戸のランドマークである赤いポートタワーを背に、今村モータースの歌声もいつも以上に心地良く胸に沁み渡る。気付けば’21年初ワンマン、彼の音楽を生でたっぷりと浴びる贅沢を体が思い出すかのよう。何度も演奏されてきた『アコガレ』でも、堕天使かっきー(b・giv strange car/ワダアツシとビアウマイオールスターズ)が新たに編んだアグレッシブなベースラインが楽曲の新たな魅力を引き出し、見る者の頬を緩ませていく。
 

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「3カ所目と言うんでしょうか。エアリーライブが、ついに海までたどり着きました。こんなすぐそばで歌えるのはすごくうれしいなと思ってます。『タワー』という曲を」
 
 この日はカホンのキヨシ(ds・nayuta)、ベースのかっきーとのミニマムな3ピース編成で、まさにその神戸ポートタワーを目の前に“君と並んで見る世界”と歌われた光景は、今村モータースが歌う場所にこだわり、集う人にこだわり、丁寧に地元神戸で音楽を届けてきた意味を感じさせる感動の増幅装置。優しい余韻に自ずと胸が熱くなる。
 

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 刹那でありながら印象的なイントロリフが導く『ススメのすすめ』は、「そこを歩いていて作った曲」と語るメリケンパークを散歩中に生まれた新曲で、洗練されたメロディラインがこれまた絶妙。もっともっと味わいたくなる今後のライブでの進化も楽しみな一曲だ。そして、“僕はパン 君はうどん♪” という忘れられないリフレインで新曲にも関わらず認知度が高い『パンとうどん』では、瞬時に手拍子が沸き立つ和やかなムードに。今やライブでは定番の『鬼嫁、荒野を駆ける』でも、気心の知れたメンバーとのあうんの呼吸に今村モータースも思わず「むちゃくちゃ心地良いですな」と漏らす。それはオーディエンスとて同じことで、今村モータースの織り成す世界の何とも言えないぬくもりを、改めてかみしめた人も多かったのではないだろうか? 『HAPPY』では再び手拍子が3人のビートを支え、見る者/演じる者の分け隔てなく、ライブというかけがえのない空間を共に作っていく。
 

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 「ちょっと私事で申し訳ないんですけど、ベルトを忘れまして。なかなかのラインです今(笑)。すいません、上げさせてください」とそそくさとズボンをたくし上げた今村モータースが、リズムを取りながらも膝をストッパーにしてズレないようにしていた内情を暴露(笑)。「“あの人、あんなオシャレな場所でベルトもせず、ずるずるでやってたのに歌が入ってきたね”ってなったら俺の勝ちよ」とおどけてみせたかと思えば、ゆったりとしたリズムに溶け込むように始まった『雨でもないのに』では、その緩やかなグルーヴ×神戸の美しい夜景がとびっきりの幸福感を生み出す。これが音楽の、ライブの効用であり、今村モータースのそれは不要不急のものではないと改めて感じる。
 

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「ではもう一曲、新曲を。『あのね』というのは、“あのね”(という呼び掛け)であり“あの音”でもあります。去年の5~6月ぐらいから自宅で配信を始めて、なかなか性に合わない感じではあったんですけど…カメラに向かってお話するとか、こっ恥ずかしいでしょ。でも、難しいな、向いてないなと思いつつも、やっていくうちにコミュニケーションが取れるようになってきて、即興で曲とかも作ったり、楽しい部屋みたいなものができて。要は何が言いたいかというと、同じ空間にいないのに近くに感じるとか、そういうことが多々あった日々だったなって思い返して、こういう歌になりました。誰かの話す仕草とか聴いてた音楽を思い返す、そんな感じの歌です」
 
 照れ屋の今村モータースが珍しく(?)しっかりと想いを告げて披露した『あのね』は、アップテンポながら切なさをはらんだポップネスとメッセージを両立。コロナ禍以降の今村モータースのネクストフェイズと言える新曲だ。
 

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「ちょっと泣きそうになった今。危ない危ない。今日は『調べと海辺』ということで、今はもう真っ暗ですけどそこに確かに海はありますんで、帰りにぷらっと遠回りして帰っていただいても良いんじゃないかと。時短営業のさなか来ていただいたことにも感謝ですし、会場を快く使わせていただいたクレ・ドゥ・レーブ(=OCEAN PLACEの運営会社)の皆さん、配信でカメラを抱えてくれているVARIT.のスタッフにも感謝します。ありがとうございました!」
 
 最後は新曲ながら、すでにライブを締めくくるにふさわしいノスタルジーを備えた『モノクローム』。この日のライブで発表された新曲群のクオリティは、どれも今村モータースの未来をフックアップするに違いない出来で、予定調和とは明らかに異なる拍手が鳴りやまない中、後ろ髪を引かれながらステージを後にした今村モータースだった。
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by ハヤシマコ

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(2021年7月16日更新)


Check

Set List

神戸の山頂→庭園→3カ所目は海辺へ!
360°空間で聴かせた優しき歌声

 
『Kitano Airy Live
 with ジャッジメントKOBE
~調べと海辺~』
3月19日(金) at OCEAN PLACE

01. 点と点
02. アコガレ
03. タワー
04. ススメのすすめ(新曲)
05. パンとうどん(新曲)
06. 鬼嫁、荒野を駆ける
07. HAPPY
08. 雨でもないのに
09. あのね(新曲)
10. モノクローム(新曲)

Release

ライブでも披露した新曲がズラリ!
2年半ぶりの新作が配信リリースへ

 
Digital EP
『anone』 New!
7月17日(土)発売
Favarit Music
→各種配信サイト

<収録曲>
01. あのね
02. ススメのすすめ
03. タワー
04. hare

Link

今村モータース オフィシャルサイト
https://i-motors.info/
 

Live

今後も関西圏でのライブが続々
10月に大阪BIGCATで初ワンマンも!

 
【兵庫公演】
『この街の夕暮れと僕の散歩道』
▼7月25日(日)13:00
マリンピア神戸 さかなの学校
観覧無料
[共演]近石涼/もえ子
アームテックパブリッシャーズ■078(335)8877
※今村モータースの出演は15:00~、18:30~。

【大阪公演】
『歌う鯛のバラッド』
チケット発売中
▼8月12日(木)18:15
歌う魚
前売2500円
[共演]井澤聖一(モケーレムベンベ)/
北小路直也(MILKBAR)/和製ケビン/
ちたへんりー
歌う魚■080(4019)8442

【兵庫公演】
『Kitano Airy Live
–Water Front Saloon–』
▼8月14日(土)14:00
OCEAN PLACE
観覧無料
[共演]もえ子/小河尽智/他
アームテックパブリッシャーズ■078(335)8877

Pick Up!!

【大阪公演】

『大KAKOME』 New!
一般発売8月15日(日)
Pコード200-891
▼10月15日(金)19:15
BIGCAT
前売3800円
BIGCAT■06(6258)5008/
アームテックパブリシャーズ■078(335)8877

7/17(土)10:00~24(土)23:59先行予約受付
チケット情報はこちら


Column1

広大な日本庭園を望む
相楽園パーラーで今村モータースが
再び響かせた音楽という幸福
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今村モータースの、そして神戸
ライブシーンの新たなスタート地点
KITANO CLUB solaで行われた
『Kitano Airy Live with
 ジャッジメントKOBE』
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Column3

「僕の音楽で世界は変わらないけど
 みんなの景色は変えられる」
君の日々に響く歌を届けるために
運命の7/21神戸新聞松方ホール
過去最大の挑戦を前に
今村モータースが大いに語る('19)

Column4

神戸旧居留地を舞台に魅せた
旅の集大成にして過去最大の挑戦!
“この街”シリーズ第6弾
『この街の夕暮れと僕の散歩道
~初めてのホールワンマン~』
ライブレポート('17)

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