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デビュー55周年を飾る東名阪3会場での追加公演
『AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR
 ~陽はまた君を照らすよ~FINAL SPECIAL!!』開催!
布施明インタビュー

昭和から令和に至るまで半世紀を超える輝かしいキャリアを築き上げ、デビュー55周年を迎えた日本を代表するシンガー、布施明。現在開催中のツアー『AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~』の追加公演が“FINAL SPECIAL!!”として4月に東名阪で開催される。この3会場では布施明55周年記念BOXとして、『陽はまた君を照らすよ AKIRA FUSE 55th Luxury Box』が限定販売。各2枚組のCDとDVDに書き下ろしのヒストリー本が入った豪華仕様で、CDにはあのザ・ピーナッツと植木等の過去音源から最新技術でボーカルを抜き出してデュエットが実現した超貴重な新音源などが収録されている。今回のライブを前にデビュー55周年を迎えた心境と追加公演への意気込みをオンラインインタビューでお聞きした。コロナ禍を機に実感した歌への切実な想いとは? これまでの歩みを振り返りつつ、ご自身の音楽の原点を再確認するように真摯に語ってくれた。

いつの間にか歌謡曲や演歌歌手になっていた
洋楽ポップスで生きてきた自分をもう一度見つめ直す
 
 
――まず、デビュー55周年を迎えられた現在の心境からお聞かせください。
 
「そうですね、55年というのは、そんなに大したことではなくて…(笑)。曲がり角でもないし、スーッと通り過ぎるものだと思っていました。ですが、コロナ禍とも重なって、今まで自分はこういうものをやっていたんですよというものを改めてみなさまに聴いていただきたいなと思ったんです。というのもある時、いつの間にか歌謡曲や演歌歌手になっていたなと気づいて(苦笑)。それが嫌というわけではないんだけど、あれ、自分がやることと違っているなと、反省したことがありましてね(笑)。それをちょっと元に戻すというかね…」
 
――この55周年を節目に、軌道修正したいというような思いも?
 
「ずっとやってきたことなんですけどね。これが自分自身に言い聞かせるきっかけになるかもしれないですね。たとえば、私が歌ってきた曲の中に『霧の摩周湖』という曲があります。これは発表された頃、カンツォーネというイタリアの曲が流行っていて、僕も舞台でカンツォーネをたくさん歌っていたものですから、それを聴いた平尾昌晃さんが自分のために“和製カンツォーネ”として作ってくれた曲なんです。ですから、『霧の摩周湖』を歌う時は、カンツォーネを歌う気持ちなのですが、時代と共に自分の歌ってきた曲が歌謡曲や演歌になってしまっていたように思います。それで、洋楽ポップスを聴いてきた自分をもう一度見つめ直さないといけないなと考えるようになったんです。今回の東名阪の追加公演やBOXアルバムもそうですが、そういうことの通り道になればいいなと思ってやることにしました。BOXのCDには洋楽の『She』や『Desperado』、クラシックの『Nessun Dorma』という曲も入っています。こういう曲をずっと歌ってきたんです」

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――その55周年記念BOX『陽はまた君を照らすよAKIRA FUSE 55th Luxury Box』(*東名阪の会場で555セット限定販売)にはCDとDVDがそれぞれ2枚ずつと布施さんのヒストリー本が含まれている豪華セットですね。
 
「これは真っ赤なジャケットのBOXになっています。昔、ビートルズがリリースした赤盤青盤というCDがありまして、それと同じようなものを作りたくて、いつかこういう形でお届けしたいと思っていたことがやっと実現できました。2枚組のCDには今まで発表してきた楽曲のリミックスも含まれています。ジャズやクラシックの曲も入っていて、今回新しくレコーディングした曲もあるのでボリュームがある内容になっています。ヒストリー本は私の友人の作家が布施明の生い立ちを小説にしてくれました」
 
――CDには新曲も収録されているとのことですが、どのような楽曲になっていますか?
 
「新曲の中の2曲は、ザ・ピーナッツさんの『恋のバカンス』と植木等さんの『花と小父さん』という曲で、厳密にいうと新曲ではないかもしれませんが、過去の音源から、ザ・ピーナッツさんと植木等さんの声だけを抜き出して、それを新しいアレンジにして私とデュエットするというスタイルでコラボレーションしました。全く新しい曲としては(東京オリンピックに合わせて)『まほろばの国』という日本の応援歌を作りまして、歌詞は私が書きました。それから、『君は薔薇より美しい』はスペシャル・ロングバージョンで収録しています。この曲は元々ジャズで作りたかったので、間奏でビッグバンドのジャズ演奏が歌よりも長いぐらい入っています(笑)。そういうのが好きなんですよ。我々が仕事を始めた頃は演奏するならビッグバンドというぐらいだったので。それを入れることにしました」

 
 
大きな声で歌ってるイメージが強いかもしれないが
そうじゃなくて、本当は“語り”が好きなんです

 
――コロナ禍で感染対策をして開催された昨年の公演ではどのようなことを実感されましたか?
 
「去年の秋に、大阪でやらせていただいた時、ソーシャルディスタンスをとられている客席の皆さまが白いマスクをしてこちらを見ている光景を目にしたときに、今までにないような気持ちになりました。これは一生懸命歌わざるをえないなと。人の心をこっちに引き寄せるというのは本当に甘いことじゃないんだなと改めて感じましたね。それがこのコロナ禍のコンサートですっごく勉強になりました。」
 
――歌う時に何か意識されていることありますか?
 
「歌手は肉体労働だから、一年間歌う機会がないと、大変なんです。昔、先輩に、“三日歌わないと、三週間元に戻らない。三週間歌わないと、三ヶ月ダメだぞ”と言われたことがありました。だから、(コロナ禍で)1年間歌わなかったとしたら、元に戻るのに10年かかるということになってしまうんです。実際、そこまでではないだろうけど、1年経った今、先輩の言ってたことは正しいなと。声帯の筋肉が緩んでくるんですが、それはトレーニングではなかなか回復しないんですよ。私は大きな声で歌ってるというイメージが強いかもしれませんが、そうじゃなくて、本当は“語り”が好きなんです」

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――布施さんのボーカルはとても声量があって華やかで圧倒されるという印象が強いので、“語り”というのはちょっと意外な気もします。
 
「目立つために大声で歌っていたというのもありますが(笑)。わーと大声で歌うより、シャルル・アズナブールのように、訴えるというかね…。歌うっていうのは、元々、“訴ふ(うったふ)”からきているという説があってね。“訴える”ということが歌だから、大きな声で歌うものではないのかも。(コロナ禍によって)一年間、歌う機会が減ってしまった我々ができることは、どうやって相手に訴えるかということなのかなと。そういうふうに、自分から何かに訴えられる歌うたいになれたらなと思っています。実は今、それで悩んでいます…。老人…と言われると悲しいけど(笑)。73だから老人でもいいんだけど(笑)。トニー・ベネットが好きなのですが、トニー・ベネットは94歳でレディー・ガガともデュエットしています。若い人たちが“一緒にやりませんか?”とオファーしてきた時に、“こんなに古くなった俺でいいの? それでも良ければ俺は歌うよ”と言って歌うらしいんだけど(笑)。彼は90歳を過ぎてもすごく色っぽくてね。自分もそんなふうになりたいなと思います」

 
 
『君は薔薇より美しい』はジャズのロングバージョンで演奏

 
――今回の『AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~FINAL SPECIAL!!』では、布施さんの歴代のヒット曲の数々が聴けそうですが、“FINAL SPECIAL!!”として開催される東名阪だけでしかやらない特別な演出などはありますか?
 
「あります! 今回の東名阪ではバンドの演奏にブラスが入りますので、いわゆるビッグバンド風でしかできない曲が何曲か入っています。デビュー当時にビッグバンドの舞台で歌っていた自分にもう一度戻りたいという思いがあるので、そういう形でやります。特に、『君は薔薇より美しい』はジャズのロングバージョンで演奏します。普段のコンサートではなかなかできないし、ここでしかできないと思います」
 
――それは楽しみですね! では最後にお客さまに向けてメッセージをお願いします!
 
「歌でいろんな景色や色を提供しますので、聴いてくれる皆様がそれぞれの思い出の中に浸っていただけるようなコンサートにしたいと思っています。2000人いれば、2000人がきっと違う物語を頭の中で作りますからね。終演後は全員、ご自身が想い浮かべた物語の主役になった気持ちでうちに帰っていただけるようなものになればいいなと思っています」

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Text by エイミー野中



(2021年4月 9日更新)


Check

Profile

1947年生まれ、東京都出身。1965年に『君と涙とほほえみを』でレコードデビューする。1967年に第18回NHK紅白歌合戦に初出場し、以降連続14回出場。1974年に『積木の部屋』にて第16回日本レコード大賞:歌唱賞/第7回日本有線大賞:特別賞/FNS歌謡祭:最優秀歌唱賞/第3回東京音楽祭:銀賞受賞。1975年に『シクラメンのかほり』にて第17回日本レコード大賞:大賞/第6回日本歌謡大賞:大賞/第4回東京音楽祭:金賞/第8回日本有線大賞:スター賞/FNS歌謡祭:年間グランプリ・最優秀歌唱賞・最優秀ヒット賞/第13回ゴールデンアロー賞:音楽賞受賞。2015年には第57回日本レコード大賞:功労賞受賞。2018年に22年振りとなるオリジナルニューアルバム『WALK』をリリース。2021年4月25日(日)愛知県芸術劇場から、『AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~ FINAL SPECIAL!!』が東名阪で開催。同3会場で布施明デビュー55周年記念BOXを555セット限定発売。また、同記念BOX収録曲、ザ・ピーナッツ、植木等とデュエットする貴重音源『恋のバカンス』と『花と小父さん』の配信がスタート。

布施明 オフィシャルサイト
http://fuse-akira.com/


Live

「AKIRA FUSE
55th ANNIVERSARY LIVE TOUR
~陽はまた君を照らすよ~」

【北海道公演】
▼4月9日(金)
札幌文化芸術劇場hitaru

【宮城公演】
▼4月18日(日)
東京エレクトロンホール宮城

【愛知公演】
▼4月25日(日)
愛知県芸術劇場 大ホール

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:193-060
▼4月27日(火) 17:30
フェスティバルホール
全席指定-7500円
※未就学児童は入場不可。
※2枚ご購入の場合は、お連れ様と離れた座席になる可能性がございます。予めご了承ください。
※ご購入・ご来場前にオフィシャルHPにて新型コロナウイルス感染拡大防止策をご確認ください。
※販売期間中はインターネット販売および通常電話[TEL]0570(02)9999にて予約受付。店頭での直接販売はなし。1人2枚まで。チケットの発券は4/20(火)10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】
▼5月5日(水・祝)
東京国際フォーラム ホールA
▼6月4日(金)
Bunkamura オーチャードホール


『今宵☆jazzyに!8』

4月20日(火)一般発売 Pコード:194-572
▼6月4日(金) 18:30
オーチャードホール
全席指定 1・2階席-8500円
全席指定 3階席-7000円
[出演]布施明/阿川泰子/新妻聖子
[ゲスト]渡辺香津美(g)/寺井尚子(vl)
[演奏]クリヤ・マコト(p)/納浩一(b)/則竹裕之(ds)/エリック・ミヤシロ(tp)/本田雅人(sax)/中川英二郎(tb)/平木LAGGY宏隆/MARU&酒井尚子
[司会]モト冬樹/森口博子
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭、電話での受付はなし。1人4枚まで。チケットの発券は5/21(金)10:00以降となります。
※未就学児童は入場不可。出演者は予定のため変更の可能性あり。この公演は会場内にカメラが設置されます。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。
[問]キャピタルヴィレッジ■03-3478-9999


【動画配信】今宵☆jazzyに!8

4月20日(火)一般発売 Pコード:195-652
▼6月4日(金) 18:30
PIA LIVE STREAM
視聴券-3500円
[出演]布施明/阿川泰子/新妻聖子
[ゲスト]渡辺香津美(g)/寺井尚子(vl)
[演奏]クリヤ・マコト(p)/納浩一(b)/則竹裕之(ds)/エリック・ミヤシロ(tp)/本田雅人(sax)/中川英二郎(tb)/平木LAGGY宏隆/MARU&酒井尚子 [司会]モト冬樹/森口博子
※この公演はオンライン動画配信でのみご覧いただけます。配信時間は予定のため変更の可能性あり。【視聴についての問合せ】event@linkst.jp(平日10:00-18:00)。公演日は配信終了1時間後まで土日祝も対応可能。
※チケットは、インターネットのみにて販売。1人1枚のみ購入可。
[問]キャピタルヴィレッジ■03-3478-9999

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