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既存の枠を超えたサウンドとアティチュード
Rure Recordsから6月に新作をリリースした
レーベルメイトの2組、Opus Innとsankara
注目のWリリースパーティをレポート!

タイムレスでボーダーレスに進化していく音楽シーンの新たな開拓者たち。ボーカルのHoriuchi MishioとギターのNagata Makotoからなる神戸発のユニット、Opus Inn。方や、海外での生活が長かったラッパーのTossとボーカルのRyoからなるsankara。Opus Innは3rdEP『Time Stand Still』を6月5日に、sankaraは1stEP『BUD』と7inch『My life』を6月5日と26日に、新レーベルRure Recordsからの第一弾としてリリース。ロック、R&B、ヒップホップ、エレクトロニカなど、あらゆるジャンルが昇華され、既存のジャンルやシーンでは語れない新しいサウンドとアティチュードを発信している。そんなレーベルメイトの2組によるダブル・リリースパーティの濃密な一夜をレポート!

新レーベル、Rure Recordsからの第一弾として、ともに6月に新作をリリースしたOpus Innとsankara。

注目のダブル・リリース・パーティの先攻はsankara。ミディアムテンポで徐々に覚醒させていくような『Move』からスタート。「初めての人もたくさんいると思います。sankaraです。適当に遊んでいきましょう!」とフレンドリーに声をかけて、加速していく。日本語と英語がスムースに合わさるリリックが軽快で心地良い。「一緒に音楽と溶けちゃいましょう!トリップしましょう!」と始まった『Trip』では、途中で「歌詞飛んじゃった(笑)」とやり直す場面もあったが、そこでフロアとの距離もグッと縮まり、「ナイストリップです!」(Toss)と声を上げるほど極上の空気感が満ちていった。

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sankara3.jpg後半はフロアもハンズアップして一緒に揺れ出す。当日先行発売された『My life』の7インチ・リミックスバージョンをアピールして、そのファンキーなギターサウンドと共にノリ良くステップを刻んで駆り立てていく。イントロから涼しげでクリアなギターがループする『Rebirth』は、シリアスなラップと柔らかなボーカルのリフレーンが心にグッとくる。『Wash』からさらに前に出て煽っていくと、フロアも2人のバイヴスに共鳴していった。

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sankara5.jpgsankara6.jpgラストはHIPHOPをルーツとする2人から、映画『Do the right thing』へのオマージュとして生まれた『State of Mind』。「みんなの生活の肥やしにして」との言葉を添えて、彼らのルーツとなる存在をリリックに散りばめて歌う。野外で聴いてみたい、爽やかさとハートウォームなグルーヴで大きく包み込んでいった。「いろんな愛を受けながらここに立っています」(TOSS)と、笑顔で感謝の気持ちを伝えていたのが印象的。ネガティブな気持ちも受け止めつつ、ポジティブに変換してくれる人間味あるパフォーマンスだった。


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Opus Innは、『Faded Night』から体の芯までビリビリくる重低音を効かせ、バンド編成でライブを展開。事前に耳にしていた新作『Time Stand Still』よりもヘヴィな印象で、聴き手を容赦なく引き込んでいく。アートな音像の中で響き渡るHoriuchiのボーカルはなんとも幻惑的だ。演者も聴き手も、そこにいる全てのものが音の中に融解するような感覚でゆったりと進行。体感的にはひんやりしているのに、身体の芯はじわじわと熱くなっていくようだ。前半の緊張感を緩和するようにギターのNagata Makotoが軽やかなリフを奏でる『Still』。ギターとシンセがアブストラクトに美しく重なり合う『Gone』では耽美的なボーカルに吸い込まれ、未知の世界に潜っていくような感覚に。サイケデリックな雰囲気の『Few』、ドリーミーな甘さもある『Dim Light』と、中盤から後半に向かうにつれて、さらにディープにOpus Innの世界観に飲み込まれていった。

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『Innside』でボーカルのHoriuchiも少し身体を揺らすようにしてクラップを促すと、フロアがそれまでとは異なるライトな空気感へと塗り替えられた。そして、ラストの『Whatever』では、天を仰ぐようなハイトーンのシャワーが降り注ぎ、強めのディレイをラウドに反響させる光景は、まるでシューゲイザーの様相で圧倒した。
 

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sankara-opusinn3.jpgsankara-opusinn4.jpgそれぞれの濃密なアクトを経て、フィナーレはOpus Innとsankaraによる貴重な共演シーンが実現。改めて、この2組が並ぶと、クールvsフレンドリーとでもいうような、対照的な個性が浮き彫りに。sankaraのTOSSもそれを自覚しているのか、「ちょっと、Opus Innの雰囲気をぶっこわしていこうかと」宣言して、明るいセッションタイムがスタート。TOSSが「今日は、ツーマンができて、超ハッピー!」とストレートに嬉しさを伝えれば、Opus InnのHoriuchi Mishioは「仲良くやっていきたい」と返す。ゆるくグルーヴィーな『Summer Time』ともう一曲『Flight』では、TOSSのラップとHoriuchiのボーカルが絡み合い、ウォーミーかつクールにブレンドされた絶妙な味わいが。タイムレスでボーダーレスに進化していく音楽シーンの新たな開拓者たちによる貴重なWリリースパーティだった。

text by エイミー野中



(2019年8月23日更新)


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