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言葉にならないみんなの声がリーガルリリーの歌になる
新体制初の全国ツアー『春はあけぼのツアー』
4/14大阪BananaHall、万感のツアーファイナルをレポート!

 ‘18年末~’19年早々に年をまたいで開催された自主企画『333』(バー・バー・バー)も大成功!(※1月4日、梅田Shangri-La公演のレポートはコチラ!) 幸先のいいスタートを切ったリーガルリリーはこの春、アメリカはテキサス州オースティンで行われる『SXSW』に出演。帰国後も間髪入れず凱旋ジャパンツアーとして『春はあけぼのツアー』を全国7都市で開催するなど、その勢いは留まることを知らない。アメリカ~ツアーを経て、凄まじいスピードで深化する無垢でオルタナな楽曲群、バチバチに音でねじ伏せていくバンドのタフネス、童謡にも似たポピュラリティとひとさじの狂気…。新体制初の全国ツアーファイナルとなった4月14日(日)大阪・梅田BananaHall、リーガルリリーの黄金律をとことん刻み付けたまばゆき一夜をレポート!

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 そぼ降る雨の中でのツアーファイナル、大阪・梅田BananaHallを埋め尽くすオーディエンスの視線の先にある、ブルーの照明に照らされたステージに現れた3人が、ちょこんとお辞儀。SEが谷山浩子の『COTTON COLOR』('91)というのもファンタジックかつアイロニカルなセレクトで、あどけなさの中に鋭さが潜むバンドの持つムードを体現しているようでニヤリとさせられる。そんな音像を背にオープニングを飾ったのは、優しいギターのアルペジオと力強いドラム、口笛とコーラスが溶け合うような『こんにちは。』。凛とした静けさを宿したどこまでも広大な空間の中に、朴訥としたたかはしほのか(vo&g)のボーカルが染み渡る。1曲目のから堂々のステージングで、海外、そしてツアーを経たバンドの成長を音で如実に示していく。
 

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 この日の雨のように降り注ぐギター、ヘヴィなベースラインがゆっくりと踊るような『ジョニー』は凄みすら感じるバンドのアンサンブルで、今、目の前にかけがえのない景色が広がっているという紛れもない事実を心地よく突き付けられる。いや~神懸かってるリーガルリリー! もう半年前の彼女たちとは違う。海(b)が正式加入し巡った初の全国ツアーでしっかりと“バンド”となった3人は、『the tokyo tower』でもソリッドなバンドサウンドを構築。無垢でありながらオルタナな楽曲群には鳥肌が止まらない。
 
「リーガルリリーです、よろしくお願いします。大阪の皆さん、今日は最後まで楽しんで帰ってください」
(たかはし、以下同)
 

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 蒼き炎を燃やすかのようにジリジリと熱量を上げるビートとメロウなコーラスが、楽曲の物語を際立たせる『ぶらんこ』でも、この恐るべき才能に、ポテンシャルに身震いする。心の叫びを音にしたようなサイケなギターが空を裂けば、海とゆきやま(ds)のリズムがメロディを躍動させる。時折ステージで向かい合い、互いに音をぶつけながら楽曲を磨き上げていくかのような光景は、ライブハウスにはもう留めておけないぐらいのスケールで胸に迫る。
 

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 一転、『スターノイズ』では、鋭利なイントロからオーディエンスを楽曲に引き摺り込み、爆発と静寂⇔現実と非現実を行き来するようにアウトロへと脱出する構成が最高にクール。壮絶なドラミングで幕を開ける『はしるこども』も、フィードバックノイズも飲み込む轟音×疾走感で、バチバチに音でねじ伏せていくバンドのタフネスをフロアにぶちまける。さらに、『蛍狩り』ではポエトリーリーディングさながら言葉の1つ1つを観る者の脳裏に焼きつかせ、淡々と鳴らされるだけで伝わりまくる『うつくしいひと』といい、J-POPのそれではなく童謡にも似たポピュラリティとひとさじの狂気を3ピースのジャストなバンドサウンドで奏でるリーガルリリーの黄金律は、それぞれの歌詞が小説であり、そのメロディが最高のサウンドトラックであるかのよう。
 

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 MCでは「もうツアーファイナルで、とてもさみしい」と心情を吐露しつつも、会場のBananaHallにちなんで、バナナについてとりとめもなく語り合う3人(笑)。「じゃあ春の曲をやります」と始まった後半戦は、軽快なビートに荒くれギターをかき鳴らす『トランジスタラジオ』、胸を締め付けるような想いを振り絞る歌声とメロディの波状攻撃で聴かせる『リッケンバッカー』、軽快ながら東京・福生出身のたかはしならではの目線で描いた情景が匂い立つ『overture』、海のコーラスも抜群に機能したポップソング『僕のリリー』とライブ鉄板の怒涛のラッシュアワー!
 
 そして、「春はあけぼのツアーということで、いろんなところに行ってみたんですけれど、この新体制になって、しっかりしたメンバーが3人揃いまして、初めてのツアーを回っているというコンセプトなんです。まぁ実際はコンセプトは後付けなんで(笑)、私はただライブがしたいだけで、本当に嬉しいです…」と噛みしめるように話すたかはしには、会場からは思わず大きな拍手が。
 
「リハーサルからすごい楽しかったんですけど、お客さんが入ると、もーっと楽しいですね! みんなの呼吸を、みんなのパワーを媒介して歌にできるんで、本当に歌えるのは皆さんのおかげです。しかもライブってその瞬間しか歌えないので…本当に皆さんの曲であり、皆さんの歌声でもあり。だから私は、喉を大切にしなきゃ…本当にありがとうございます、幸せです。ただ、もうちょっと喋りを上手くならないとダメですね。文法というより…発声?(笑) をしっかりしようと思って。早いものであとちょっと終わっちゃいますけど、皆さんと一緒に歌います」
 

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 暗闇の中、ぽつんと佇むようなたかはしの歌声が染み渡る『高速道路』が、そこにいるみんなの心の声を背負うような一体感でBananaHallを満たしていく。一緒に手を上げるから、声を出すから=共有ではなく、言葉にならない想いが重なる瞬間がリーガルリリーのライブには確かにある。グッと聴き入るオーディエンスの姿からは、そんな瞬間の連続がひしひしと伝わってくるようだ。その空気をまとったまま、吸い込まれるように楽曲の世界に入り込んでいった『教室のしかく』の壮大でメランコリーなサウンドスケープが、只々圧倒的に響いていく。
 
「ありがとうございました、リーガルリリーでした。また来ます」
 
 ラストの『せかいのおわり』まで不純物ゼロの音楽を貫き続け、まるでブレることなく最後まで突っ走った3人は、拍手に呼び戻され再びステージへ。
 

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「アンコールありがとうございます。雨って止んだんですかね? みんな知らないか(笑)。そう言えば、7月5日(金)に東京のWWWで企画をやるので、もし暇だったら来てください。暇だったらじゃダメだな、必ず(笑)。今ちょっと曲も作ってるんで、楽しみにしていただきたいです。私は楽しみです。今日は本当にありがとうございました、リーガルリリーでした。最後に久しぶりにやる曲を」
 
 アンコールでは、どっしりとしたビートに切々と想いを刻み付けた大作『好きでよかった。』を披露し、深々と頭を下げて舞台を後にした3人。客電が点いてもいつまでも鳴り止まない拍手が、楽曲の余韻と共に最高のエンドロールとなった万感のツアーファイナル、これにて終了――!
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 森好弘

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(2019年4月26日更新)


Check

Set List

春のツアーを見事に締めくくった
才能爆発の全16曲!

 
『リーガルリリー presents
「春はあけぼのツアー」』
2019年4月14日(日) at 梅田BananaHall

01. こんにちは。
02. ジョニー
03. the tokyo tower
04. ぶらんこ
05. スターノイズ
06. はしるこども
07. 蛍狩り
08. うつくしいひと
09. トランジスタラジオ
10. リッケンバッカー
11. overture
12. 僕のリリー
13. 高速道路
14. 教室のしかく
15. せかいのおわり
~ENCORE~
16. 好きでよかった。

Live

夏にゲストを迎えて開催する
スペシャルな企画が東京で!

 
【東京公演】
『リーガルリリー presents
「海の日」〜火を手にしたこどもたち〜』
一般発売5月25日(土)
Pコード149-085
▼7月5日(金)19:00
Shibuya WWW
スタンディング3000円
[ゲスト]あり
エイティーフィールド■03(5712)5227

チケット情報はこちら


Link

リーガルリリー オフィシャルサイト
https://www.regallily.com/

 

Column

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