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ぶっ壊して生み出す、新しいロカビリー
青野美沙稀インタビュー&動画コメント

“Hybird Rockabilly”というほかにはない独自のスタイルを確立し活動を展開するシンガー・青野美沙稀が、ぴあ関西版WEBに初登場! そこで“Hybird Rockabilly”のことから、彼女の持つ音楽的背景やライブのことまで、あれこれ深掘りさせてもらった。これを読めばロカビリー世代もロカビリーを知らない世代も、きっと彼女の音楽に触れたくなるはず!

――まずは青野さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。
 
「音楽を始めたのは10代後半なんですけど、歌手になりたかったのは生まれてからずっとです。そのきっかけは、父がロカビリーのバンドをしていて、しつこいくらい家で音楽が流れてたから(笑)。その影響で赤ちゃんの頃もテーブルにつかまり立ちしながら歌って踊ったりとかして、時にはちょっとしたレコーディングをさせてもらったり……アニメの曲を歌ったらそれを父がCDに焼いてくれたんですよね。そういうので歌手気分を味わったりしてました(笑)。でも、モデルになりたいという気持ちもあったので17歳からモデルを始めて…。で、その時に一番やりたいことは何ですか?って聞かれたことがあって、やっぱり歌がやりたいという思いがあったので、そこから歌を始めたんです」
 
――ちなみに幼い頃はどんな音楽に興味があったんですか?
 
「最初にレコーディングをしたのは『キューティーハニー』です(笑)。そこからモーニング娘。さんに憧れたんですけど、オーディションを受ける勇気がなかったですね。10代の後半はロック系をやりたくて。ゆくゆくはバンドもやれたらいいなって思ってました。あとJ-POPとかも聴いていて、自分で歌詞を書いたりとかしてました」
 
――そこからロカビリーを始めるようになったいきさつは?
 
「長い間、一人でやっていたんですけど、しっくりこないしパッともしなくて(笑)。で、周りと同じじゃダメだなって思った時、周りにロカビリーを知ってる人は全然いなかったので、ロカビリーが自分の強みになるのかなって思ったんです。やっぱり自分のルーツの音楽をやるべきだなって。そのきっかけになったのは、まだJ-POPを歌っている時に初ワンマンライブをしたんですけど、初めて父が見に来てくれたこと。それまでは一切、私の音楽活動のことに触れてこなかったんですよ。放置されていたんですけど(笑)、初めてのワンマンでちょっと認めてくれて、それでいろいろ相談したら“そんなに本気でやりたいんだったら、ロカビリーをやったらいいんじゃない”って背中を押してくれたんです。それが2年前ですね」
 
――“やっぱりずっとロカビリーが好きだったんだ”と?
 
「実はそれまで好きだって思ったことがなくて……当たり前に家にあり過ぎたんですよ。お家に来る人もみんなリーゼントばっかりだったし(笑)、それが当然って思ってたんです。例えば運動会で“友達のお父さんはなぜリーゼントにしてないの? 服装も普通の格好してるな”って思って…。そこからうちはちょっと違うんだなって気づき始めたくらいですね。で、薄っすら気づいてからは、父のバンドのPVやライブ映像を見たりして、こういうことをやってたんだなってだんだん理解するようになりましたね。でもその当時は、それが特別に好き!とかではなくて、そうなんだ!っていうくらい。だから歌手になりたいっていう気持ちはずっとあったけど、ロカビリーがやりたいとかでもなく…まさか今、やることになるとは!っていう感じですね(笑)」
 
――そうだったんですね(笑)。でも実際に歌ってみてロカビリーの魅力に取りつかれたのでは? 若い世代は知らない人も多いので、ぜひ青野さんの思う魅力を教えてください。
 
「まずは音楽的なことだと、跳ねるリズムがすごく楽しいし、踊りたくなっちゃう。これが一番の魅力かなって思いますね。あと、バンドってボーカルが花形っていうのがあると思うんですけど、ロカビリーはウッドベースの派手なパフォーマンスがあったり、スタンディングドラムがあったり、全員が花形になれる。それに音楽だけじゃなくてライフスタイル……インテリアとかファッションとか、全部を楽しめるのがいいかなって思います」
 
――青野さんのMVのセットも凝っていますよね。
 
「『バンビーナ』のMVも、倉庫に全部私物を持って行きました。衣装も自分のだし、家具も持って行きました。ソファとかランプとかも全部持ち込み。いっぱい集めました(笑)」
 
――クラシックカーも出てきますね。
 
「あ、車。実は父の車がうしろにこっそり映っていて(笑)。私が乗っているのは、知り合いの方のなんですけどね。いろんな方がいろんな車に乗っているので、(貴重な車も)すぐ見つかりましたね(笑)」
 
――そんなロカビリーのなかでも、青野さんが掲げているのが“Hybird Rockabilly”ですね。
 
「ロカビリーのもともとのサウンドにデジタルサウンドを融合させ、新しい音楽を作りたいなっていう意味で“Hybird Rockabilly”です。音楽だけでなくファッションもハイブリットな感じを出したいと思っていて…。どんどん新しいものを入れていった方が、今の若い子たちも受け入れてくれるかなって思うし、自分自身もそういうのが好きなんです。自分のブランドもあるんですけど、そのお洋服も今風にしてます。完全、自分の好みなんですけどね(笑)」
 
――楽曲面でも、ロカビリーにはちょっと男臭いイメージがあるんですが(笑)、青野さんのやるロカビリーは女の子のかわいらしさがありますね。
 
「そうですねよ。ロカビリーは男っぽいイメージですよね。でも、かわいらしい感じ、ありますか(笑)? なんだろう? でも、いつも自分らしさ全開でレコーディングはしてますね。ロカビリーだからといって、そういう(ロカビリーらしい)歌い方とかにしないように敢えてしてます」
 
――そこがロカビリーを知らない人でもとっつきやすい理由かも…。それに先程話に出た『バンビーナ』(布袋寅泰)や、『Diamonds』(プリンセス プリンセス)、『フレンズ』(REBECCA)などのカバー曲があるのも入りやすい。
 
「3曲とももともとすごく好きなので、ロカビリーアレンジだったらおもしろいかなって思ってやりました。いろんな曲をロカビリーで私たちがやったらこうなるっていうのは、これからも結構やりたいなって思ってますね。今、ライブにきてくれる方は父たちの世代が多いので、そういう名曲はみなさんが知ってるから、一緒に歌ってくれたりします。あと最近はライブに若い子たちも増えてきたんですけど、逆に昔の曲を知らないから“新しくていいね”って言ってくれたり。『バンビーナ』は私たちの曲だと思ってる10代の子もいました(笑)」
 
――若い層のファンが増えているんですね。
 
「私みたいに父親がロカビリー好きで、その娘さんとか息子さんとかが親の聴いているのを聴いて、楽しそうって来てくれたりします。3世代とかで来てくれる人も増えたんですよね。そういう音楽はなかなかないかなって思います。小さい子、中高生、お父さんが揃ってっていう感じがおもしろいですよね。50代、60代の方はなかなか若いバンドのライブには行かないと思うんですけど、ロカビリーだからって来てくれて、若い時に戻ったみたいな感じで楽しんでくれるのが、すごくうれしいです」
 
――今後若い人たちを意識した曲も増えそうですか?
 
「そういう曲も今後やりたいなって思います。今もロカビリー風だけどラップが入ってる曲もあります。昔からロカビリーが好きな方には“ロカビリーはこうなんだ!”っていうのがあると思うんですけど、そういうのは気にせず、どんどんぶっ壊して新しいものを作って、いろんな人たちに楽しんでもらえたらいいなって…。若い人たちに(ロカビリーを)広げていきたいって思ってます。ただ、そういうなかで、思いきり王道のロカビリーの曲をやったりもして、ちゃんと芯を持ちつつぶっ壊した曲もやってっていう感じです」
 
――さて、現在青野さんはツアー中。昨年11月から始まり既に6か所を終えていますが、手応えはどうですか?
 
「もともとロカビリーを好きな方もたくさん来てくれているんですけど、初めてライブに来たよっていう方が多くてうれしいですね。“ロカビリーはまったく知らないけど、ラジオでたまたま聴いていいなと思って来ました”って言ってもらえるので、そういう方たちに届くようになってきたのかなって思ったりします」
 
――ちなみに地方によってライブに違いはありますか?
 
「ロカビリーが熱い所はありますね。富山とか」
 
――だから今回も富山公演が初日!
 
「ツアーに富山が入らないことも多いと思うんですけど、富山はロカビリーが熱いから……(笑)」
 
――理由は何ですか?
 
「なんでなんだろう? でも昔、父のバンドが富山でラジオの番組をやっていて、その番組がすごく人気で、ライブにもたっくさん人が集まったらしいです。なぜか富山が燃えてたって聞きました(笑)」
 
――大阪でのライブはどうですか?
 
「大阪では2年前と昨年ライブがあったんですが、割と“どんな感じなんだろう?”(観察している雰囲気)っていう…(笑)。見方がほかの地方と違うなって思います。すごく見てくれてるんですよね。“イエ~イッ!”じゃなく、真剣な感じ。みなさんロカビリーの格好なんで、ロカビリー好きの方たちだとは思うんですけど、真剣に見てくれます」
 
――では今度、3月9日(土)の大阪公演はどうなりそうでしょう?
 
「今回は今まで出した2枚のアルバムの楽曲にプラスして、ライブでしか聴けない曲をやったり、さっきも言ったんですけど、王道のロカビリーの曲のカバーもこのツアーのために用意したりしています。そして衣装もすごくこだわって作ってもらっているので、そこも注目してほしいですね。3パターンぐらい着るんですけど、自分のブランドの洋服も着ます。あと、 何より“Hybird Rockabilly”は音圧がすごいので、それをライブで体感してほしい。これはライブじゃないと感じられないので、ぜひ!」

text by 服田昌子



(2019年3月 6日更新)


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Profile

モデル・歌手・デザイナーとして、様々なフィールドで活動中。2016年、音楽、ファッションにおける新たな出会いから、父のルーツである“Rockabilly(ロカビリー)”を自らもアイデンティティと再認識し、デジタルサウンドと融合させた「Hybird Rockabilly」での活動を決意。同年発表のデビュー・ミニアルバム『1959 ~Magical Rockabilly Night~』に続き、翌2017年11月には2ndミニアルバム『Sweet Devil』を全国リリース。また、モデルとしてもファッション誌VIVIに登場。ロカビリーファッションを広める活動に努めている。

青野美沙稀 オフィシャルサイト
https://www.misaki-aono.com/


Live

青野美沙稀 and The Jackpot

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:134-617
▼3月9日(土) 18:30
梅田Zeela
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
[問]サウンドクリエーター
■06-6357-4400

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:134-670
▼3月31日(日) 18:30
Shibuya WWW
オールスタンディング-3500円(ドリンク代別途必要)
※未就学児童は入場不可。小学生以上はチケット必要。
[問]ソーゴー東京■03-3405-9999

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