インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 「1曲1曲振り切った結果、こういう狂った内容になりました(笑)」 この1年の喜びも悔しさも、挑戦心と共に刻んだ 最新版であり決定盤を手に、オメでたの快進撃がついに始まる! 『オメでたい頭でなにより1』全員インタビュー


「1曲1曲振り切った結果、こういう狂った内容になりました(笑)」
この1年の喜びも悔しさも、挑戦心と共に刻んだ
最新版であり決定盤を手に、オメでたの快進撃がついに始まる!
『オメでたい頭でなにより1』全員インタビュー

 オメでたい頭でなによりの’18年は、何と元旦からいきなりインディーズ時代の集大成となるまとめ盤『オメコレクション』を発表。4月には1stシングル『鯛獲る』にてメジャーデビューを果たし、過去最大のZepp DiverCity (TOKYO)ワンマンや全国各地の夏フェスやサーキット出演を経て、10月には初のタイアップ曲にしてTVアニメ『火ノ丸相撲』エンディングテーマである2ndシングル『日出ズル場所』をリリースと怒涛の展開! そして、年明けも早々の’19年1月9日に満を持して世に放たれたのが、1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』だ。持ち前のユーモアと人情ラウドロックなサウンドを丹念に磨きつつ、この1年で感じた喜びも悔しさも、挑戦心と共に刻み付けたこれぞオメでたの最新版であり決定盤。そこで、ぴあ関西版WEBでは、彼らのHPの特設ページにて公開されているオフィシャルインタビューには入り切らなかった余分な…いや、溢れる想いをコンプリートした(笑)、ロングバージョンを掲載。『氣志團万博』『イナズマロック フェス』『ポルノ超特急』等アーティスト主導のフェスにも多く招聘され、フロアから、そしてステージからも愛され始めた5人が今、夢の現在地を語る――!

 
 
僕ら的には“オムニバスアルバム”だと思ってるんで(笑)
 
 
――いや~デビューイヤーの’18年は本当に濃い1年でしたね。
 
赤飯(vo)「おかげさまで、めちゃめちゃいい1年でした。全然予想してなかったですし、まだ夢心地ですけど、ちょっとトントン拍子過ぎたんで調子に乗らんようにと思って。鼻が一瞬でも伸びそうになったら、もいでもいで(笑)」
 
ぽにきんぐだむ(g&vo)「『オメコレクション』(‘18)から1年しか経ってないのがマジで信じられないですよ」
 
mao(b)「本当にあっという間でしたね。今まで生きてきた中で一番早かった」
 
――この1年はその都度課題と向き合ってきたと思うんですけど、アルバムに向けて何かビジョンはありましたか?
 
赤飯「基本的にライブを想定して曲を作ってるんでカロリーが高い曲ばかりで、それでワンマンをやっちゃうと最初から最後まで全力ダッシュになっちゃうと。なので、セットリストに緩急を作れるように、足りないピースをしっかり埋めていかないとねっていうのと、今までは1曲の中で目まぐるしく展開する曲が多かったんですけど、今回はアルバムという大きな枠組みの中で1曲1曲振り切っていった結果、こういう狂った内容になりました(笑)」
 
ぽにきんぐだむ「僕ら的には“オムニバスアルバム”だと思ってるんで(笑)。うちらの客層の広さというか、キッズだけじゃなく親子連れの方も増えてきたんで、イヤらしい意味でも売れ線でもなく、本当に幅広い人たちに聴いてもらえるような楽曲はイメージしましたね」
 
――そのピースも、多分他のバンドとオメでたはまた違う感覚でしょうね。“いやいや、空いたスペースにはめるピース、それじゃないでしょ”っていう(笑)。
 
(一同爆笑)
 
――ただ、それによって結局オメでたの濃さも出た、丁寧で過剰なアルバムになりましたね。
 
ぽにきんぐだむ「今までは“何だか面白いなこのバンド”っていうところで止まってたと思うんですけど、今回はその一歩先に行けたなって」
 
――そこは=ただ面白いだけじゃダメだと思ったからですよね。心に刺さる“何か”が求められてる。
 
赤飯「その結果、“オメでたもストレートパンチ打てるやん!”みたいな曲もできたんで。今回は本当に“俺が何とかしないとこのアルバムは終わる”って感じたんですよ。自分自身でちゃんと作り上げないと納得できないし、メンバーを黙らせるような歌詞を絶対に書こうという気持ちもあったんで、実は改めて作詞の勉強もしてたんですよね」
 
――勉強とはどういう?
 
赤飯「いろんな作品の歌詞を自分なりに解読していって、“こういう手法で作られてるのか”って研究したり、歌詞の考察サイトを見て“確かに!”と思ったところはメモして羅列したり、ちょっとずつデータを蓄積していって。あとは、日常で浮かんでくる歌詞を324とかに投げて、フィードバックに対して“じゃあ次はこう書いてみよう”みたいな作業をしていたら、オケを聴くとその場面がしっかり想像できるようになってきたんですよね」
 
――逆に、今まではどんなノリで書いてたんですか?
 
赤飯「言葉遊びとオマージュ、あとはサビでちゃんと言いたいことが言えたら、ぐらいで。ディレクターさんからいろいろとブラッシュアップするヒントをもらって、ラブソングに初挑戦した『ピ』(M-7)の歌詞を組み直してたら、時間の流れがドラマを生む感覚ができて、そこから『ザ・レジスタンス』(M-1)の絵が浮かんできたり」
 
――それも、この1年で変わらざるを得なかったというか、勢いとノリで行けるのはここまでだった。
 
赤飯「まさにそうですね。例えば、『鯛獲る』(M-2)で“俺たちは夢を見る人を応援する!”みたいなことを歌いましたけど、夢を見てる人だけで夢は実現できなくて、今はまだ夢が持てないような人のサポートがあるからこそ形になっていく。じゃあ夢があるから良くて、ないから悪いとかじゃなくて、お互いに役割があって必要な存在だと思ったんですよ。そのメッセージは絶対に入れたいなと思って、ああいう歌詞ができていったんですよね」
 
 
ここで書けないと多分一生次のステージには上がれない
 
 
――『ザ・レジスタンス』はPENGUIN RESEARCHの堀江晶太(b)さんとの共作で、“いつか勝負曲を作るときは参加させてほしい”と以前から言ってくれていたと。彼らもオメでたとバンドの成り立ちが似ていたからこそ、いわゆるロックシーンのメインストリームにどう切り込んでいくかというところで、共通の葛藤や苦労はあったでしょうね。
 
ぽにきんぐだむ「もう、かなり」
 
mao「そういう想いも歌詞には入っていますね」
 
赤飯「自分たちが少なからず色眼鏡で見られてしまうことに対しての反骨心は、ここで歌えたんじゃないかと」
 
324(g)「Zeppワンマンとか夏フェスを経験して、しかもボーカルRECの前夜とかに土壇場で出てきたこの歌詞だからこそ、パワーがあるのかなと思うんで」
 
――『ザ・レジスタンス』においては恩返し=音返しと表現されていて。恩を音で返すってとてもいい言葉で、それってまさにバンド活動と一緒だなと。
 
ぽにきんぐだむ「最初に堀江くんに、“自分の腹を割ったときに初めていい歌詞ができる”って言われたのを思い出しました。『ピ』がきっかけではあるんですけど、今まで避けてきたラブソングやストレートに伝えることに挑戦したからこそ、『ザ・レジスタンス』は生まれたのかなって」
 
――ちなみに、何で今までラブソングを避けてきたんですか?
 
赤飯「興味がなかったからです(笑)。でも、世の中にはたくさんラブソングがあるのに、そこを避けてこれからどう勝負するんだっていう話ですよね」
 
ぽにきんぐだむ「うちらは“あなたに寄り添う”というテーマで活動してるバンドなのに、みんなが日々抱えてる恋とか愛については一切触れないとなると、言ってることとやってることが変わってくるんで。ただ、あまりにも書けなくて1回諦めそうになったんですけど(苦笑)、ここで書けないと多分一生次のステージには上がれないなと思って」
 
――確かにこのタイミングで勝負を避けたとしても、いずれラブソングと向き合うときがやってくる。『ピ』の“僕は君が好きだ”っていう1行も本当にJ-POPの王道のラブソングさながらで、そんな最大公約数のラブソングを、こんなにニッチな人たちがやるっていう(笑)。
 
(一同爆笑)
 
赤飯「っていうボケですよ!(笑)」
 
ぽにきんぐだむ「しかもレーベルからもラブソングを作れなんてひと言も言われてないんで(笑)」
 
赤飯「そもそも我々はオメでたいことをやっていくバンドなんで、“婚礼ブレイクダウン”みたいに、あの有名な“チャーン、チャーカ♪”っていう結婚式のメロディの後に“ドーン!”って落ちるデモとかは作ってたんですよ。けど、“ホントにこんな曲、結婚式で流したい?”って考えたときに、それは違うなって」
 
――ただ、結婚式でおなじみの『結婚行進曲』(メンデルスゾーン)を、ここまでなぞって大丈夫かなと思ってたら、ちゃんと著作権が切れてると(笑)。
 
ぽにきんぐだむ「そういうところだけちゃんとしてるんです(笑)」
 
――そして、タイトルの『ピ』は“好きピ(=好きなピープル)”の『ピ』。
 
ぽにきんぐだむ「それが図らずしも今年のJKの流行語にもノミネートされてね」
 
――そういう意味では『We will luck you』(M-6)も、夏のZeppワンマンに向けて書いた曲なのに、アルバムを出すまでの間にクイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットするとか、本当にツイてる(笑)。
 
ぽにきんぐだむ「ただね、そこにはまだ一切乗っかれてないっていう(笑)」
 
 
このアルバムは、“チームとしてのオメでた感”もすごい出てるんですよね
 
 
――制作スケジュール的には、この1年はライブも多かったので大変だったのでは?
 
324「確かにビレッジマンズストア、FABLED NUMBERとの3マンツアー『幸三昧』も並行してやってたし」
 
ミト充(ds)「そのツアーが終わった2日後に俺、リズムを一気に4曲録ったもんね(笑)」
 
――まぁ、“ツアーと並行して制作したからライブ感がアルバムに反映された”、みたいなメリットも聞きますけど。
 
ぽにきんぐだむ「ライブ感は入ってるんですけどね、『終わらない恋からの脱出(妄想LIVE Ver.)』(M-9)で(笑)」
 
――この曲は、歌詞カードを見ながら聴いてたら本当に気持ちいいぐらい逸脱していく(笑)。曲の世界観も完全に90年代のトレンディドラマという。
 
324「ライブを想定したとき、これぐらいまったり楽しめる曲も必要だよねって作り始めたんですけど、ロックの範疇でやっていても全然面白くならなくて。そのときに俺がたまたま90年代のJ-POP黄金期のライブ映像を観ていて、“この感じのイントロが急に俺らのアルバムで流れ始めたら面白くね?”っていうところから…」
 
ミト充「“あるある”を詰め込んだっていう」
 
324「ただ、この曲が流れ始めたところがもうボケじゃないですか。だから、1番が終わったら完結しちゃうんですよね。じゃあその後はどう面白くしようかと」
 
mao「いつもの僕らだったら、いきなりヘヴィになったり転調するパターンもありますけど」
 
ぽにきんぐだむ「それもお客さんには多分見透かされてるから、また別のことをしなきゃなって。そこから、90年代にドームライブをやっていたようなバンドには絶対にサポートメンバーがいて、だいたい紹介し出すよね、大サビは歌わせるよね、みたいな絵が見えてきて」
 
324「音についても、エンジニアさんと“これってどこのドームのイメージ?”とか話して」
 
赤飯「“福岡ヤフオクドーム? よし分かった!”って(笑)」
 
ぽにきんぐだむ「今回は全曲通して、そのエンジニアさんがうちらの意図をちゃんと理解してくれて」
 
mao「ただ、“大変過ぎてハゲる”って言ってましたけど(笑)」
 
(一同爆笑)
 
赤飯「だからこのアルバムは、“チームとしてのオメでた感”もすごい出てるんですよね(笑)」
 
――あと、シングル曲の再録の際に“アルバムVer.”とは言っても、ミックス違いぐらいのことが多い中、歌詞まで変えてきた『歌謡サスペンス劇場〜わたしがやりました〜(オメワン Ver.)』(M-10)はすごいなと。
 
ぽにきんぐだむ「シングルでは今までの光景、アルバムではこれからの光景ですね。録りの段階でいきなりそういう話になったんで、2分ぐらいでバーッ!って歌詞を書いて」
 
赤飯「ちなみに『サイレンとジェラシー(オメワン Ver.)』(M-8)は、ど頭でメンバーが1行ずつ歌ってたところを、アルバムでは僕が全部歌ってます」
 
ぽにきんぐだむ「ライブでやろうと思ったら無理だったんで変えたという(笑)」
 
――この短期間でもそういう見直しがね(笑)。
 
 
音楽の面でも笑いの面でも、バンドが成長してる
 
 
――新機軸で言うと『言葉のあやや』(M-5)では324さんが初めて作詞に挑戦してますが、どういう流れで?
 
324「曲自体も『言葉のあやや』というタイトルで最初から作ってたし、“じゃあ俺が書いたら面白いんじゃない?”って逆に提案したんですよ。最初は言葉遊び的な面白さだけでいこうと思ったんですけど、書いてるうちに今自分が言いたいことだったり、ストーリーが生まれたというか」
 
赤飯「ただ、最初はもっと松浦亜弥感があったんですけどね(笑)」
 
324「デモを上げたのは’18年の春ぐらいで、当時の俺たちはまだバカだったので“あやや要素を入れようぜ!”って面白がってたんだけど…いろいろと…ね、経験して(笑)」
 
ぽにきんぐだむ「人様に迷惑のかかる笑いはやめようと(笑)」
 
324「極力、人に矛先を向けない、不快に思われないような笑いを提供していかなきゃっていう…」
 
――ちょっと待ってちょっと待って! これ、ロックバンドのインタビューやんね?(笑)
 
(一同爆笑)
 
――まるでM-1敗退後のコメントとかやん今の(笑)。
 
324「そういうことで言うと、オマージュを入れるとしても本当にひとつまみのスパイスじゃなきゃいけないと」
 
――今までのオメでただったら、何の罪悪感もなくピンポンダッシュできたのが(笑)。
 
(一同爆笑)
 
赤飯「うちらの今までの楽曲がピンポンダッシュってめっちゃオモロいわ!(笑)」
 
ぽにきんぐだむ「いざ夏フェスとかに出させてもらったら、大御所さんが横並びのバンドをいじったりもしてるんですけど、ちゃんと愛があって。そういうところを目の当たりにし続けて、第一線ってこういうことなんだなって」
 
――話を聞いてると、本当にオメでたのこの1年がアルバムには入ってますね。
 
赤飯「そうですね、人としての成長物語が(笑)」
 
mao「音楽の面でも笑いの面でも、バンドが成長してるというか」
 
324「この曲はサウンド的にも結構こだわって、モールス信号でメッセージを打ち込んであったりして。その内容は誰にも教えないですけど、面白おかしくいろいろ仕込んであるんで」
 
――『鯛アップ』(M-3)もタイアップ曲じゃなくて、“この曲、タイアップにどうですか?”って取りに行く曲(笑)。
 
ぽにきんぐだむ「曲自体はそもそもタイアップ用に準備していたデモが元になってるんですよね。アルバムに入れるならフル尺にという話にもなったんですけど、この曲をフル尺でやったら、ただのカッコいい曲になっちゃうので」
 
赤飯「じゃあこのままTVサイズということにして、タイアップ向けにプレゼンしてることにしたらハマるよねって」
 
mao「ただ、最後に尺がちょっと足りなくなってアウトロを…」
 
赤飯「ひたすらリピートして水増し(笑)。1行目で“ご希望の尺”って歌ってるのに、実はできてなかったんで(笑)」
 


――最後の『チャバシラタッター』(M-12)も2分を切っていて、こういう短い曲がちょくちょくあるとメリハリがあって聴きやすくなりますね。
 
ぽにきんぐだむ「うちらは4分強の曲とかばっかりだったんで」
 
赤飯「そもそも、まだバンド名が決まる前のミーティングで、縁起物とかオメでたいものを羅列していたときに“茶柱が立つ”っていうのがあって、ずーっと今回は入れよう、次こそは入れようって流れて、やっと陽の目を見たスーパーサブというか。この曲、めちゃくちゃ好きですもん。僕の中ではアルバムのアンコール的な立ち位置なんですよ」
 
324「でも、いろいろ悩んで、頑張って歌詞を書いてきたアルバムの最後の最後に、何だこの歌詞っていう(笑)」
 
――『HELL”O”』(M-11)はHELLOをHELLとOに分けることで、一気に真逆の意味になる秀逸な曲なのに、その後に“いたい、つらい、いかり、きらい”と繰り返す『チャバシラタッター』って、やっぱりタダでは終わらない(笑)。
 
赤飯「この流れがいいっすよねぇ(笑)」
 
 
うちらが本来やるべきことは
モヤモヤしてる人の気持ちを代弁して寄り添うことなのに
本末転倒になってしまってたのがすごいショックで
 
 
――振り返ってレコーディングで印象的な出来事はありました? 1つ気になったのが、“生きてりゃ嫌な事ムカつく事だらけでアアアァァー!!ってなるけど、バンドのブランディング的に表に出さない様にしてるだけ!”ってぽにきんぐだむさんがTwitterでつぶやいていたのが。
 
ぽにきんぐだむ「そこをこのアルバムではちょっと崩したんですよね」
 
赤飯「今まではネガティブを噛み砕いてポジティブにアウトプットするイメージだったんですけど、本当に凹んでる人に言わすと、うちらの曲を聴くとちょっとイラッとするというか(笑)、余計に凹むっていう意見を聞いて…そもそもうちらが本来やるべきことは、そういうモヤモヤしてる人の気持ちを代弁して寄り添うことなのに、本末転倒になってしまってたのがすごいショックで。僕らも別にネガティブなことを感じずに生きてるわけじゃないし、だったらもうちょっとそれをダイレクトに表現してみようと思ったんですよね。だから『HELL”O”』でも、“この世は地獄”って言い切っちゃってる。そしたら324くんも『言葉のあやや』で“自業自得の地獄”って書いてて(笑)。でも、こういう曲があることでポジティブな曲が際立つし、我々をリアルに感じてもらえるし、本当に落ち込んでる人にも手を差し伸べて、もっと高いところに連れて行けるようになるのかなと」
 
――“オメでたっていつも楽しそうで、やたらポジティブなバンドでしょ”みたいな先入観があると、やっぱり入っていけない人は出てきますもんね。
 
324「確かに、今まではそういうネガティブさは意図的に排除してた部分はあったんで」
 
ぽにきんぐだむ「ライブでは発信してたんですけど、その場にいなかったり、そもそも聴いてなかったりするとね」
 
赤飯「そういうところも臆することなく描けるようになってきたので、これも成長やなと」
 
――そんな想いと音が詰まったメジャー初のフルアルバムですけど、完成したときに感慨深いものはありました?
 
ぽにきんぐだむ「多分、当初の予定には間に合ってないんですよ(笑)。ただ、予定通りに進んでたら『ピ』とか『ザ・レジスタンス』の歌詞も出てこなかったのかなと思うと…」
 
赤飯「本当に奇跡やなって。今回マジで捨て曲がないというか、どの曲にもちゃんと気持ちが入ってるし、僕は自分たちの音源を聴く方じゃなかったんですけど、今もずっとリピートしてますから。いいアルバムができました」
 
ぽにきんぐだむ「パッケージしかりね」
 


――ジャケットも毎回凝っていて、初回盤には初Zeppワンマンの映像がたっぷり入ったDVDが付いてますが、通常盤の浮世絵のようなイラストも素晴らしくて。そして、タイトルはシンプルに『オメでたい頭でなにより1』と。
 
ぽにきんぐだむ「そもそもアルバムのコンセプトが決まってなかったのもあるんですけど、どんなに凝った名前を出しても、ピンとこなかったんですよ」
 
mao「あと、これだけ曲がバラバラだから、タイトルで先入観を付けたくないっていうのも」
 
324「だったらもう開き直ってナンバリングしようと。蓋を開けたらバラエティに富んだアルバムになったんで、この名前で結果的によかったなって」
 
ぽにきんぐだむ「しかも、前に出したオリジナルのミニアルバムが『◯(まる)』(‘17)=0っていうのも一応ありますから、完全に後付けだけどハマったよねっていうギミックです(笑)」
 
324「まぁでも、次にもしミニアルバムを出すとしたら『オメでたい頭でなにより1.5』とか刻むのか(笑)」
 
――かと思ったら、アルバムの前にもう1枚ミニが出ることになって、『オメでたい頭でなにより1.8』とか(笑)。
 
(一同爆笑)
 
ぽにきんぐだむ「なかなか『2』が出せないっていう(笑)」
 
――カップリングも含めて贅沢に収録して、本当にオメでた新たな入門編としても最適な1枚になりましたね。
 
 
音楽を通して表現する以上、世の中だったり、目の前の人だったり
誰か1人でも世界が変わってほしい
 
 
――リリースに伴う初のワンマンツアーは、今まで会いに来てくれてたみんなのために、今度はこちらから全国に会いに行く、『オメでたい頭でなにより “1” マンツアー ~今いくね くるね~』と(笑)。赤飯さんは最近、三重県松阪市のブランド大使にも任命されましたが、今回はファイナルで地元に凱旋というのも大いに盛り上がりそうですね。
 
ぽにきんぐだむ「このワンマンツアーを成功させて、またフェスに出させてもらえるならそこでちゃんと結果を残して、できたつながりで対バンツアーをやって…“結成3年で武道館”って最初は言ってたんですけど、それ以前にもっと越えなきゃいけない壁があったんで、’19年はそれを1つ1つクリアしていく作業を引き続きっていう感じですね」
 
――それも、バンドマンとしての土俵に上がれたこの1年があったからこそ感じた壁というか。最後にそれぞれに、今回のアルバムとツアーに向けてひと言ずつもらえれば!
 
mao「アルバムは中指を立てて始まってるんですけど、最後はやっぱりオメでたらしく終わる1枚になったんじゃないかなと思います。ツアーに関しては、実は僕も三重が本籍なんで(笑)、そこでやれるのは嬉しいですね。今までに行ったことがない金沢とか、初めての土地に行くのも楽しみです!」

ミト充「今回のアルバムはジャンルが広過ぎるというか、今日は何のレコーディングをしてるのか分からなくなるぐらいだったんですけど(笑)、自分たちが本気で面白いと思ったことを全部詰め込んでるんで。自分たちが楽しくないと人を笑わせられないと思うし、そこに共感してくれた人たちがいろいろと助けてくれたからこそできたアルバムだと思いますし。ライブを支えてくれるスタッフもそれを理解してくれてるので、アルバムでも、ツアーでも、チームの成長をしっかり観せられると思ってます!」
 
赤飯「本当にこの活動を通して、人として成長させてもらってるなってめっちゃ思うんですよ。だから今回のアルバムも、現時点で自分がアップデートしたものがそのまま表れてる」
 
――だからこそ、自分が成長しないとバンドも成長しない。
 
赤飯「そうなんですよね。常に人としてアップデートしなきゃいけないし、それが作品に、そしてライブになっていくのかなって。結成から2年ちょっと経ってどう成長したのか、このアルバムで、ツアーで、感じてもらえると確信してます。しかもファイナルは地元なので、家族に観てもらえるのはまぁ〜感慨深いですね。泣いちゃうかも(笑)」
 
324「いろんなバンドやアーティストがカッコいい音楽をやってる中で、このアルバムを作って決定的だなと思ったのが、こういう音楽って、この5人じゃなきゃできないのがすごく面白いなって。それも自分たちなりに人を楽しませることを追求した結果なんですけど」
 
――何でそんなに人を楽しませたいんでしょうね。その衝動はどこから来るのか。
 
赤飯「僕は目の前の人が笑ってないと不安になるんですよね。多分、その不安から逃れるために笑わせようってなるんです。小っちゃいときは自分を見てもらうために、おどけてないと消えちゃうというか…そんな感覚があったんですよね。だから無意識のうちに、何か芸を身に付けなきゃみたいな生き方をしてきたと思うんで。今は別にそんなことを特に意識してるわけではないですけど、そういう環境で育ったからこそ、人にプラスを与えられるスキルが身に付いたので、結果的によかったなと思うし。こういう生き方もバンドのコンセプトに合ってるなと思いますね」
 
324「こういう人がボーカルなので、怒りを発散させたり、思いっきり泣くことよりも、人を笑わせる方が性に合ってるんですけど、音楽を通して表現する以上、世の中だったり、目の前の人だったり、誰か1人でも世界が変わってほしいと思うんですよね。だからこそ、笑わせることに本気だし、面白おかしく楽しんでもらえることが大前提で」
 
ぽにきんぐだむ「インディーズ最後のライブのMCで、“デビューしてどんな状況になっても絶対に誰も置いていかない”って宣言したのもあるんですけど、それがこのアルバムでは実現できたというか、全方位でちゃんとみんなで前に進んでるアルバムになったなと思っていて。誰かの背中を押してあげるでもなく、僕たちが引っ張ってもらうでもない。みんなで一緒に歩いているようなアルバムだし、ツアーになるんじゃないかなと思ってます」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2019年1月10日更新)


Check

Release

本気で遊んだ堂々の代表作!
メジャー1stアルバムがついに発売

Album
『オメでたい頭でなにより1』
【初回限定盤DVD】
発売中 4800円
ポニーキャニオン
PCCA-04733

<収録曲>
01. ザ・レジスタンス
02. 鯛獲る
03. 鯛アップ(TVサイズ)
04. 日出ズル場所
05. 言葉のあやや
06. We will luck you
07. ピ
08. サイレンとジェラシー(オメワン Ver.)
09. 終わらない恋からの脱出(妄想LIVE Ver.)
10. 歌謡サスペンス劇場
〜わたしがやりました〜(オメワン Ver.)
11. HELL”O”
12. チャバシラタッター

<DVD収録内容>
オメ道楽2018〜鯛獲るレコ発編〜本店
2018年7月16日(月・祝)Zepp DiverCity
01. 鯛獲る
02. えんがちょ!
03. 憂き浮きウォッチング
04. wosushi〜ウォールオブ寿司〜
05. 海老振り屋
06. 七夕リアン☆リターンズ
07. 歌謡サスペンス劇場
〜わたしがやりました〜
08. 推しごとメモリアル
09. ふわっふー
10. VIVA!ハピバ
11. ダルマさんは転ばないっ
12. スーパー銭湯~オメの湯~
13. We will luck you
14. オメでたい頭でなにより
15. 笑うユメの生活
16. 生霊の盆踊り
17. 宴もたけなわプリンセス

【通常盤】
発売中 2800円
ポニーキャニオン
PCCA-04734

<収録曲>
同上

Profile

おめでたいあたまでなにより…写真左より、ぽにきんぐだむ(g&vo)、mao(b)、赤飯(vo)、324(みつよ)(g)、ミト充(ds)の5人からなる、日本一オメでたい人情ラウドロックバンド。ライブに足を運んでくれた人たちが1人でも多く“楽しく、幸せに騒げる、底抜けに自由でオメでたいバンド”をコンセプトに、バンドとお客さんたちで共に生み出す“本気の熱量”を発信し続けている。’18年4月には、シングル『鯛獲る』でメジャーデビュー。全国各地の夏フェス、サーキットイベント等への出演を経て、10月にはTVアニメ『火ノ丸相撲』エンディングテーマとなった2ndシングル『日出ズル場所』をリリース。そして、’19年1月9日には満を持して1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』をリリースする。

オメでたい頭でなにより
オフィシャルサイト

http://www.omedeta.band/

Live

インストアやイベント出演を経て
2月より初のワンマンツアーが開幕!

 
【大阪公演】
『「オメでたい頭でなにより1」
 リリース記念イベント
 アコースティックライブ&サイン会』
▼1月13日(日)16:00
タワーレコード梅田NU茶屋町店
イベントスペース
入場無料
ポニーキャニオン西日本■06(6442)0566
(月~金13:00~17:00)
詳細はコチラから!


【大阪公演】
『オトノマツリ in OSAKA』
チケット発売中 Pコード140-178
▼1月20日(日)17:00
なんばHatch
全自由2500円
[出演]ミオヤマザキ/ReVision of Sence/
オメでたい頭でなにより/他
夢番地■06(6341)3525
※3歳以上はチケット必要。

チケット情報はこちら


【兵庫公演】
『PINEFIELDS &
 music zoo KOBE太陽と虎
 around 10th Anniversary
「MUSIC ZOO WORLD」』
-DAY.1 おもしろい生き物の世界-
チケット発売中 Pコード135-140
▼1月19日(土)11:00
ワールド記念ホール
(神戸ポートアイランドホール)
1日券(アリーナブロック指定立見)6239円
1日券(スタンド指定席)6239円
[出演]オメでたい頭でなにより/ガガガSP/感覚ピエロ/キュウソネコカミ/巨乳まんだら王国。/クリトリック・リス/四星球/セックスマシーン!!/超能力戦士ドリアン/バックドロップシンデレラ/BRAHMAN/ベッド・イン/ヤバイTシャツ屋さん/夜の本気ダンス/リバーシブル吉岡/ReVision of Sense/花団(補欠)
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、未就学児童は無料(保護者同伴スタンド指定席での膝上鑑賞に限る)。未就学児童でも座席が必要な場合は1名につき1枚チケットをお買い求めください。アリーナは未就学児童の入場不可。未就学児の年齢確認をさせていただく場合がございますので、身分証のご持参をお願いします。※アーティストは都合により変更になる場合がございます。出演者の変更及びキャンセルに伴うチケットの払戻し等は一切いたしませんので、予めご了承ください。

チケット情報はこちら


『オメでたい頭でなにより“1”マンツアー
〜今 いくね くるね〜』

【千葉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼2月9日(土)千葉LOOK
【茨城公演】
▼2月17日(日)水戸ライトハウス
【愛知公演】
▼2月22日(金)ボトムライン
【宮城公演】
▼3月9日(土)仙台MACANA
 

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード135-792
▼3月21日(木・祝)18:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング3500円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は保護者同伴に限り無料。

チケット情報はこちら


【石川公演】
▼3月31日(日)金沢vanvanV4
【東京公演】
▼4月4日(木)マイナビBLITZ赤坂
【北海道公演】
▼4月7日(日)mole
【広島公演】
▼4月11日(木)セカンド・クラッチ
【香川公演】
▼4月13日(土)高松MONSTER
【福岡公演】
▼4月14日(日)LIVE HOUSE CB
【三重公演】
▼4月21日(日)松阪M'AXA


Column1

「夢や幻だと思っていたものが
 1つずつ現実になっていく」
ラウドロックをお茶の間に!
渾身のシングル『日出ズル場所』
携えビレッジマンズストア
FABLED NUMBERと共闘ツアーへ
前回インタビュー('18)

Column2

「これが自分たちの使命」
バンドに憧れ続けた5人の
愚直なまでの夢のかたち
人情ラウドロックなデビュー盤
『鯛獲る』全員インタビュー('18)

Comment!!

ポニーキャニオン佐藤信太郎さんの
オススメコメントはコチラ!

「日本一オメでたい人情ラウドロックバンドと言われる(自分で言ってる説が濃厚)、オメでたい頭でなにより。なぜ日本一のラウドロックバンドではダメなのか。ライブの迫力、音圧、熱気、熱狂、完成度など、どれをとっても最高で、僕の知る限り最高のラウドロックバンドの1組と言っていいし、(担当だから)そう言ってる。だがしかし、彼らが目指しているものは最高じゃあない。“最幸”だ。高みじゃなくて、人の感情(略して人情)が幸せになることだけを追い求めている。自分の幸せだけでも手一杯のこの時代に人が幸せかどうかを考えてるなんて、本当にオメでたいやつらだ。日本一オメでたいかもしれない。そんなわけで日本一オメでたい人情ラウドロックバンドで間違いないのである。今風に言うと霊長類最幸にオメでたい人情ラウドロックバンドである。そんなオメでたい頭でなによりが、正月ムードも収まらない’19年1月9日(曰く、イクイクの日)に1stフルアルバムを発売した。『オメでたい頭でなにより1』、略して“オメワン”である。'18年、数々の夏フェスにおいて、掴みはオッケーなライブパフォーマンスでお客さんの心を掴みまくった彼らだが、今回は何とも掴みどころのないアルバムを完成させた(ツッコミどころは満載です)。だが一度聴いてみてほしい。そして二度聴いてみてほしい。そして三度、聴いてみてほしい。と、ラーメン神座(かむくら)のようなことを言いたくなるほど、自信を持ってオススメできるアルバムである。例えは間違ってるが、ラーメンのようにいつでも誰かを幸せにするアルバムになると確信する。このアルバムはいつだって誰かの中にあるアルバムになる。そう、いつだってSOMEONEの中にOMEONEはあるのだから」