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「完璧じゃないからこそ、人生はおもしろい」
初のフルアルバム『NOT IN ALMIGHTY』リリース
TENDREインタビュー&動画コメント

2017年12月からソロ・プロジェクトとしてTENDREの活動を開始したマルチプレイヤー河原太朗。ベース、ギター、鍵盤、サックスなどを自ら演奏し、Yogee New WavesやKANDYTOWN、sumikaなど様々なバンドやアーティストのレコーディングに参加したり、RyohuのEP『Blur』では共同プロデュースを務めるなど多岐にわたる活動で注目を集めてきた。数年前からソロでの楽曲制作を始め、昨年12月、EP『Red Focus』でTENDRE名義の作品をリリース。それから約1年、初のフルアルバム『NOT IN ALMIGHTY』が届けられた。現在30歳の河原の、人生初アルバム作品となる今作。“NOT IN ALMIGHTY=完全じゃなくていい”というタイトルに込められたメッセージのように、全てを肯定し、聴く者を優しく包み込んでくれる1枚に仕上がった。彼のやわらかな物腰と上品さ、誠実さは、音楽からも醸し出される。音像はシンプルながらも、楽曲たちに織り込まれた彼の感情や哲学は、五感を通してこちらにありありと伝わってくる。30年の人生を振り返りながら作ったという今作に詰め込まれた思いを聞いた。

TENDREのベーシックをちゃんと作り上げることができた 

 
――アルバム、最高に良かったです。
 
「ありがとうございます、光栄です。なんとか無事にできて良かったです」
 
――1年ぶりの作品ですね。
 
「プロジェクトとして去年の12月にEPを出したので、もうちょいで TENDRE自体が1年経つかなっていう感じですね」
 
――数年前からソロで活動はされていたんですよね。
 
「そう。でも大々的に活動することはあまりなくて。最初は細々と Sound Cloudに自分のソロの作品を少し載せるとかはあったんですけど、特に目的があったわけではなくて、自分のアーカイブを残していこうというところから公開をしてたんです。でも今年は今までの自分からは想像できないくらいたくさん曲も作れたし、その集大成としてこのアルバムが今回無事に完成したので、ひとまずは安心できました。ですし、これができたことでまた作ってみたいものがすごく増えてきたので、ほんと今までやってきたことへの安心と、これからの自分への期待が詰まった作品になってると思います」
 
――集大成になりましたか。
 
「もちろん全てをパッケージングできたかどうかは定かではないんですけど、でも人生初のアルバムになりますし、これまでのいろんな音楽においての体験や経験をふまえて、音楽を続けていくにあたって入り混じったいろんな願望や事情、たとえば“大成したい”とか、それを隔てた上で自分が音楽とどう向き合うかを考えた時に、アルバムというのは単なる曲群のそれではなくて、いろんな要素が集まってこその物語だなと。それを改めてイチから書くとなった時に、これまでの自分の人生がどういうものだったかを振り返りながら、今までの音楽に対しての価値観、今現在思う価値観、この先向き合っていきたいものへの価値観、全てに於いてすごく自らを見つめることができましたね」
 
 ――今作を聴いていると、あたたかくて五感が震えるような感覚になりました。
 
「基本的に穏やかでいたいというのが自分の信条にはあって。もちろん派手なことも刺激的なものも好きですけど、TENDREをやる上では、たとえばすごくダークな歌を歌いたいとか、そういうモードで始めたわけではなかったから。まず自分が安心できるものであってほしかったんです。自分が自然な状態でいる時に出てきたのが結構あたたかみのあるもので、フラットな気持ちになった上で作れたのは、今回のアルバムのテイストにおいてはすごく大きいのかなと。自分の辿ってきたものを俯瞰的に、ある種冷静に見ながら歌詞を書いたり、曲のイメージを作ることができたので、TENDREらしいものを作れたかなと思いましたね」
 
――“tender=やわらかい”の名前通りですね。
 
「うん。それこそ最初の1年ですから、このタイミングで挑戦的なことをするよりかは、今年1年はちゃんとTENDREらしくいるというか、TENDREらしいものを作っていきたいなという考えは最初にあったので。TENDREのベーシックはちゃんと作り上げることができたかなという実感はあります」
 
――TENDREとしての土台ができた。
 
「もちろん完成ではないですけど、ベーシックが作れたという感じですね。僕は音楽をやる上で、わがままであるべきというのはすごく思っていて。昨今“TENDREっぽいね”と言っていただけることが増えてきて、それはきっと何かが伝わってるということなんだろうなと僕は捉えてるので。抗ってみたいこともありますけど、それは別に反骨じゃなくて、単純に人を楽しませたり驚かせたい、というのが何をやる上でも前提としてあるからなんです。毎回突拍子もないことをやれば良いということではないですけど、ベーシックがある上でこの先ギャップを作っていったり、自分なりの楽しみがイメージできたので、最近はそういうことを妄想したりして、すごく楽しくなってますね」
 
――作品ができたことでより自由になったという感じですか。
 
「そうですね。それはすごくあります」
 
――前作のEP『Red Focus』を作られた時とは、メンタル面での違いはありましたか?
 
「EPに関しては昔からあった曲も収録したので、その時なりの悩みもあったんです。今作にも再録されていますけど、『HANASHI』(M-10/前作EP『Red Focus』にも収録)とかはTENDREを始めるもっと前から作ってた曲ですし、4~5年前に自主的にドラマーの友達を呼んでレコーディングしてたんですけど、当初はEPに収録するのを一瞬ためらったんです。やっぱり言葉も歌い方も青かったから。まあそれも踏まえて自分自身だと思えば、何とか入れることができたんですけど。今回はEPの時と比べたら、気持ちとしてもより自由になれました」
 

 
――当時はどういう思いでEPを制作されていたんですか?
 
「最初はTENDREのイメージもやりながら作っていく途中だったというか、完全にビジョンがあって『Red Focus』ができたわけでもなくて、言葉に注力するよりかは、まだどちらかというと音像を中心に考えてたんですよね。自分が聴いてて1番気持ちの良い音楽を作ろうというのが優先されていたので、その時に比べると今回アルバムを作るにあたってはすごく多感になったなと。より感情的でパーソナルなことを詰め込んだつもりなので、“自分自身はこういうことでこういうふうに思うんだな”と分かる瞬間があったり、内面的でありながらも、ちゃんと音楽に昇華させることができたので、やっぱり充実度は全然違いますね」
 
――より内面的な部分にフォーカスされていったんですね。
 
「もちろんEPの中に入れた曲も思い入れはとてもあるので、その時なりに当然気持ちは込もってはいるんですけどね。知り合いの方に“アルバムを作ろうと思ってるんですよ”という相談をしたら“太朗ちゃんらしい言葉を使いなさいな”、みたいなことを言われて。僕はもともと歌詞においては、響きで言葉を決めるタイプだったんですよ。ですけど、普段の話し口調や、内面で思うこと、浮かび上がる言葉。もちろん全部出たまま並べても歌としては成立しないけど、素直に掲げるというのが1番大事かなと思ったので、あんまり難しい言葉を使わずに、いろんな比喩や表現を盛り込みつつも、基本的には素直な状態を言葉に並べたというのは、特に意識したことですね」
 
 
 
理想は不可視なもの。だからこそ良い
 
 
――これまでの人生を振り返りながら作っていかれたとのことですが、そのテーマは最初から明確に決まっていたんですか?
 
「作りながら固まった感じですね。もともとのビジョンとしては“人生初アルバムだしな~”みたいなことは思ったんで、自ずとテーマとして見えてる字が“人生”の二文字だったから、それに乗っ取った上で、デモとして作ってあった音像を膨らませながら、言葉を乗せるにあたってイメージしやすいものは何だろうって、1個1個音像を選びつつ、“こういうことをこの曲で歌ってみようかな”とか、ほんとに制作しながら紡いでいくというような感覚でした。だから正直なところ、完成形が最初から見えてるわけではなかったですね。でもそれで良いとは思ってました。人生的なプランも一発目で決まってしまうこともなかなかないですし。追い求めてたものでもそうでなくても、結局自分がピックアップしていった先に、何かしらの母体はあるわけですから」
 
――それでタイトルも“NOT IN ALMIGHTY=完全じゃなくていい”という意味なんですね。
 
「そのマインドがあるからこそ過去や今への肯定ができますし、未来を見据えるという意味でも、その先の未来に完璧があるから頑張るってことではない。理想って不可視なものじゃないですか。追い求め続けて終わるんですよね。だから良いなと思ってて。完璧じゃないものの美しさというか、純粋に人として大切にするべきことというか。まだ三十路になったばかりの自分が大々的に掲げられるものは少ないかもしれないですけど。だから60歳くらいになったら『NOT IN ALMIGHTY 2』を作ろうかなというのは何となく考えてますね」
 
――なるほど。“これは核になるかもしれない”と思われた曲はありますか?
 
「うーん、でも何となく1番代弁してくれてるのは『DOCUMENT』(M-2)なのかな。実は1番最後にできたんですけど。ほんとはもう1つ入れようかなと思ってた曲があったんですけど、如何せん自分の中で上手いように仕上がらなくて、1回気持ちをリセットした上で別の曲を作ろうと思った時にできたのが『DOCUMENT』だったんです」
 

 
――他に候補の曲があったんですね。
 
「ちょっと難しい言い回しになっちゃいそうな曲だったんですよ。それだとすごく回りくどいし、自分が本当に言いたいことに繋がってこないなとずっと悩んで完成しなかったんです。けど、リフレッシュした時にスルスルと出てきたのが『DOCUMENT』の歌詞で。もともと何となく“頃合いのいい頃に”っていう言葉を使いたいと思ってたんですよね」
 
――このフレーズ良いですよね。ちょっと昭和な感じもあって。
 
「そうそう、トレンディな(笑)。“頃合いのいい頃に話を聞かせて”というのもどういう状況下なのかとか、いろんなイメージができるじゃないですか。僕はTENDREをやるにあたってもそうですけど、個人的にも距離感や察しをこれまですごく大事にしてきて。拳を握って“愛してる”と言うことも1つの表現ではありますけど、自分はそういうタイプではないなと。音楽っていろんな形がありますから。あとこの曲に関しては心地良い距離感にいたかった。“変わらない過去も不確かな今も”と、いろんなことに対しての肯定も歌いましたし、現段階で1番TENDREらしい言葉遣いになったかなと思います」
 
 
 
いかに自分が続けたいか、貫いていけるか
結局選ぶのは自分自身でしかない
 
 
――個人的に良いなと思ったのは『TIME SLIP』(M-6)です。そこから『SYMPATHY』(M-7)、『NEED』(M-8)までの流れが情熱的で好きです。
 
「ありがとうございます。アルバムって人によって捉え方が全然違うから、すごくおもしろいなと思ってて。自分が並べた曲順でいろんなストーリーができるわけじゃないですか。今そこを取り上げていただいたのは初めてだったので、すごく嬉しいです」
 
――あ、ほんとですか。『TIME SLIP』の歌詞は、すごく情熱的ですよね。
 
「これは30歳になった瞬間の曲なんですよね」
 
――“0時を過ぎていた”というのは30歳になった瞬間のことですか。
 
「そうですそうです。人って10歳ずつ年を重ねると感覚が変わる、みたいなイメージをしてたんですよ。20歳になる時もそうじゃないですか。“大人になってしまう”みたいな。で、三十路もそれと近い感覚があるんじゃないかなと思っていて。30歳になった瞬間はあっけないものではあるんですけど、その後に強く湧いてきたのが、“ああ、30歳まで音楽続けてたんだな”ということで。それが曲のインスピレーションになったというか。最初の方にできた曲だったんですけど、情熱に関しては1番リリックに閉じこもってる曲かなと思います」
 
――だんだん後半にいくにつれて速くなり、フルートで終わるのも素敵だなと。
 
「そうですね。高らかに“貫いたー!”みたいなことを思いました」
 
――“自らで選んで 手に入れて”という歌詞も印象的でした。これは音楽活動に対しての言葉ですか?
 
「もう、ほんとにそうですね。ですし、音楽以外も多分そうだと思います。いろんな選択肢や道があるとしても、結局選ぶのは自分自身でしかない。音楽における何をチョイスするかもですけど、自分の意思においていかに恥ずかしがらないか。そこは結構強く思ってますね。音楽続けてるって何も恥ずかしいことじゃない。そういうふうに親に言われてる友人がいたので」
 
――“いつまで音楽やっとんねん”みたいなことですか?
 
「そう。もちろん各々いろんな環境がありますから、そこは肯定も否定もないんですけど、でも恥ずかしがることは何もないじゃないかと。そこでいかに自分が続けたいか、貫いていけるか。ほんとそこの意思次第だなと強く思ってたので、自分の中でも割とエモーショナルな内容にはなってました」
 
――『SYMPATHY』や『NEED』にも感情的な内面が出てきているのかなと思ったんですが。
 
「まさにそうです。僕、この曲順がすごく良いなと個人的に思っていて。曲を書き上げる上で人生が1番のテーマにはなってたんで、人生において大切なものが“SYMPATHY”という直感だったり、人生において何が必要かに対しての葛藤とか抗いが“NEED”。人生にはいろんなことがあると思うんですけど、テーマに沿って書けた曲だから、自分なりにもおもしろかったですね」
 
――ちなみに曲を先にメロディーがあって、歌詞を乗せていくんですか?
 
「ビートが最初ですね。そこから音像を作って、こういう曲を作ろうとなって派生させていくんですけど、その後にメロディー、最後に歌詞を乗せていくことが基本的には多いです。でもアルバムに於いてはあながち全部そういうわけではなくて。“こういうメロがすごく好きだ”とか、“この一節を曲にしたい”とか、そういう思いが曲それぞれにあったので、その辺は多種多様に楽しめて作れたかなと思ってますね」
 
 
 
“ダサい”と言われても、自分が抱くリスペクトは言葉にした方がいい
 
 
――他のインタビューを拝見していて、音楽を“芸術”と表現されてる箇所があったんですが、それが結構印象に残っていて。音楽制作されている時は、芸術を作っているという意識で活動されてるんですか?
 
「うーん、そんな大げさなことは全くないんですけど、日本における音楽もそうですけど、音楽っていろんなことが取り巻いてるわけじゃないですか。様々な事情やランキング、語りつくせないものがあると思うんです。でも単純に、音楽が何故大切にされてるのかという話になった時、それらが商業的なものじゃなくて、人の感情に対して触れられるものの1つだからだって。絵画とかもそうですよね。この前、藤田嗣治さんの美術展を見に行ったんですけど、めちゃくちゃ暗い表情してる自画像があって、それはヨーロッパに初めて行った際に描いたらしいんです。初めてのヨーロッパに対する不安が絵に全て表れているんですけど、それって芸術の醍醐味なんじゃないかなと思って。音楽に関しては肉声が入ったりするので、より具体的に何かを伝えられるんですけど、僕は印象派みたいな抽象的なものが好きなんだなと今回思いました。もちろん絵にはそんな詳しくはないんですよ。でもそういう感覚は大事にした方が良いと思った。1番自分が惹き込まれるところ。もちろん近年流行ってる音が好きな感覚も持ってるんですけど、根底として音楽が大事にされる理由はそこじゃないかという意識はあったので、そういう表現になってしまったのはありますね」
 
――なるほど。学校の授業で習うバッハやベートーヴェンといったような、クラシックに対しては芸術という意識はあるんですけど、自分たちが今聴いている音楽は、どちらかというとエンタメとして捉えている感覚の方が強いので、“芸術”と表現されてるのが新鮮でした。
 
「半々で楽しみたいという感じなんです。エンタテインメントももちろん好きだし、自分がライブというエンタテインメントをやる上でも、もちろんすごく楽しめてることだから、別にそれに対しての抗いではないんですけど、ただ忘れちゃいけないものもあるかなと思ってて。日々の“愛してる”とかもそうじゃないですか。別に言わなくても伝わるんだけど、1年に1回言えばいい。いくら周りから“ダサい”と言われても、自分が音楽に対して抱くリスペクトは言葉にできる時は言葉にしといた方がいいというのは常々思ってます」
 
――あとTENDREの歴代のMVで不思議なダンスを披露されていますが、意図は何かありますか?
 
「意図はないんですけど、ビデオもそういうことですよね。やっぱり日本って、MVに具体性を求めることが多いというか」
 
――ああ。
 
「それは別に悪いことではないと思うんですけど、だったら逆にめちゃくちゃ抽象的にしようと。踊りに関しては特に意味を持たせてはないんですけど、ただ僕がずっと気難しい顔して棒立ちしてるのもつまらないと思ったから。 僕はちょっとシュールなのが好きで。海外のビデオ見てて思うのが、たとえばめちゃくちゃシュールだったり、ふざけたことしてても、ちゃんと筋が通っててカッコ良い人が多いなと思って。日本人ってそれができてる人ももちろんいるかもしんないけど、多くはない。それは多分、日本のMVとかビジュアルにおけるセンスが関わってくると思うんですけど。たとえば『DOCUMENT』のMVに関しては、大まかなストーリーは決めてあるんですよ。実は過去のアー写の服を着てて」
 
――そうなんですか。
 
「茶色のセットアップは1番最初に撮ったアー写の衣装で、青いシャツは2枚目のアー写。曲の1番最後の盛り上がるところにかけて、急に茶色の服を着てた太朗が、服だけ残して消えてしまう。で、一応最後に、新しいアー写の黄色いシャツを着た太朗が最後に登場する。その物語を具体的に決めたというよりは、アー写を最初に撮った頃のTENDREがいて、『RIDE』というシングルを出した時は、若干自分を急かしてたというか、EP出してからすぐシングル作ることが決まったから、“ヤバいすぐに作んないと”っていう焦りもちょっとだけあったりして。それを“荒波”と例えて“荒波を乗りこなしていこう”という意味で『RIDE』を作ったりしたんです。そういう過去を隔てて、次のステップに行くというのをこのビデオの中に何かしら持たせられたらいいという軸だけは決まってたんで、結構自由にやらせてもらいました。ビデオ1本通して何かを汲み取れたら正解かなというぐらいの形で作ってましたね。だからたとえば、朝起きてご飯食べてとかいう具体的なストーリーよりは、印象として何かを残す、という意味合いでのビデオが作れたかなと思ってます」
 

 
――なるほど、おもしろいですね。
 
「残るのが場面だけでもいいんですよ。“あの場面何だったんだろう”って、イメージはするじゃないですか。そこからディスカッションが生まれたりすると芸術の幅が広がるというか。日本人の感性を豊かにするものを作れてたらいいかなと意識しました」
 
――作品を通して想像する余地がうまれるということですね。
 
「皆さん、アルバムを通して聴いた上で意見を下さるわけじゃないですか。その中で何かを汲み取って発言してくださるのはすごく嬉しいことだし、アーティスト冥利に尽きるというか。“このアルバムのこの曲が良かった”って端的な意見もすごく有難いんですけど、“アルバムを通してこういう気持ちになった”、“こういうイメージを持った”と、何かその人なりに新鮮な思いを抱かせたりできる。男女や年齢によってもバラバラだと思いますけど、“人生への肯定の仕方”というのが今回のテーマだから、この作品を各々の価値観の中に溶け込ませていただけたならすごく嬉しいです。今後に向けても、基本的に僕はリスナーの方と一緒に楽しんでいきたいと思ったので、個人的なことよりは、リスナーの方とライブに来てくださる方と密接にいろんなものを見れたら純粋に良いなと思います」
 
――お話の冒頭で、作ってみたいことも増えたとおっしゃっていましたね。
 
「具体的に何かということより、規模感の話だったりですね。海外の方とも何か一緒にやってみたいという気持ちはあります。でも、惹かれ合うものは結局目に見えないものだったりするから、そこを僕は拡張していきたいし、たとえば人と人を繋げられたら良いなとも思います。そのためにも、とにかく僕がいろんなとこに飛び込んでいけるような柔軟な存在でありたいです。その上で“こういうことできそうだな”というのは、ビジョンとして最近いろいろ見えてきた部分があるのですごく楽しみですね」

text by ERI KUBOTA



(2018年11月14日更新)


Check

Movie Comment

Release

TENDRE初のフルアルバム

『NOT IN ALMIGHTY』
発売中 2500円(税別)
DDCR-7104
Rallye Label / SPACE SHOWER MUSIC

《収録曲》
01. RIDE
02. DOCUMENT
03. SKIN
04. LOOPNESS
05. LATELY
06. TIME SLIP
07. SYMPATHY
08. NEED
09. GIVE
10. HANASHI

Profile

河原太朗のソロ・プロジェクト。1988年生まれ。ベーシスト、歌手、音楽家、プロデューサー。ベーシストとしての活動の他、鍵盤やサックスなども自在に演奏。マルチプレイヤーとしての独特の存在感を様々な現場で発揮する。2017年よりソロ・プロジェクト『TENDRE』(テンダー)を始動。同年12月6日にソロでの初EP『Red Focus』をリリース。2018年にはsingle、10月24日に初のアルバムとなる『NOT IN ALMIGHTY』を発表。『ampel』のベースヴォーカル、作詞作曲を担当している。

TENDRE オフィシャルサイト
http://kawaharataro.com/


Live

「『NOT IN ALMIGHTY』
release tour」

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:125-014
▼11月15日(木) 19:00
CONPASS
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]Seuss
※小学生以下は入場不可。
[問]GREENS■06-6882-1224

【宮城公演】
▼11月17日(土)LIVE HOUSE enn 3rd
【福岡公演】
▼11月20日(火)The Voodoo Lounge
【東京公演】
▼11月22日(木)Shibuya WWW


「jizue/TENDRE」
チケット発売中 Pコード:120-195
▼12月2日(日) 17:30
KYOTO MUSE
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※4歳未満は入場不可。
[問]夢番地■06-6341-3525

チケット情報はこちら