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あらゆる音楽リスナーに届く2ndアルバム『Mellow Yellow』
そして、全国ツアー『Gonna be a #goodday』へ
快適な進化を遂げたSPiCYSOLの
KENNY(vo)インタビュー&動画コメント

 この夏、結成5周年を迎えたSPiCYSOLが、“海岸線のドライブ”をコンセプトにした2ndアルバム『Mellow Yellow』を7月4日にリリース。ジャケットにあの山下達郎のジャケットなどでも知られるイラストレーター版画家の鈴木英人氏の作品が起用された本作から漂ってくるのは鮮やかな80'Sフレーバー。洋邦、新旧ポップ・サウンドのエッセンスがブレンドされたナンバーは耳にハートに抜群の心地よさ。この新作を引っさげて、自身最大規模のワンマンツアーが9月15日(土)の心斎橋Pangeaからスタートする。ナチュラルでオーガニックな空気をまとったボーカルのKENNYに今作のコンセプトとライブへの想いを聞いた。

――今作はジャケットもそうですが、80'Sのエッセンスをすごく感じました。何かコンセプト的なものはありましたか?

「コンセプトは、“海岸線のドライブ”ですね。海のエッセンスもあるけど、(海に入っても入らなくてもいいし)スローライフみたいな(ライフスタイルを)音にしたって感じですかね。イメージとして鈴木英人さんのアートがぴったりだったので、メンバーに英人さんのイラストを見せて、“このイラストに合うような音を出してくれ”と注文をして制作はスタートしました。みんなあの絵の年代(70~80年代)の音楽を聴いたりして、イメージを膨らませてくれたんです。俺が、“もうちょっとオープンカーっぽく”みたいな無茶ぶりするんですけど(笑)。自分が思っていた完成形と違う音を出してくる人はいなくて、芸術の力ってすげえって思いました」

――“ドライブミュージック”というのも意識されたんですか?

「ドライブミュージックというか、あんまり構えて聴いてほしくなくて。ドライブのメインってカップルだったら2人のトークがメインだし、仲間とだった仲間との会話がメインで。音楽はやっぱドライブの雰囲気をより楽しくするエッセンスのひとつなので、本当に気兼ねなく聴いてほしくて。フラットな気持ちで、ニュートラルな感じで聴けるような作品になっています。でも、リリックの中にキラーワードがあって、ちゃんと耳に残る部分はあるのでご心配なく。たとえ聞き流していても、聞き終わったあとに口ずさめるように作りました」

――全体的にミディアムテンポが中心ですね。

「それが俺たちに一番合っていると思うし、SPiCYSOLのベストのテンポでやりたくて。6曲目の『FIREWORKS』とかはちょっと無理して速くしたくらいなので(笑)。次はもしかしたら全部ゆるいかもしれないですね」

――“ゆるい”という感覚って、タイトルにある“Mellow”(メロウ)にもつながるような気がします。

「俺の好きな感じがメロウという言葉に集約されていて、スローなんだけど気持ちいいみたいな感覚かな。メロウの黄色ってすごく優しいイメージがあるので、みんなの日常を優しく包み込む太陽の光のような作品になればなあと思って『Mellow Yellow』とつけたんです」



――具体的にこだわった音色などはありますか?

「ギターに関しては、“もうちょっと渇いた感じ”とか、“ドライブしている感じ”っていうのはすごくこだわりました。あとドラム・サウンドは山下達郎さん、小田和正さんの楽曲のようなスネアのリバーブにしていて。それはすごく意識しました。『#goodday』(M-3)だけはもうちょっと土臭い感じのサウンドにしたんだけど」

――そういった細かい指示はKENNYさんから出されて?

「いや、これはドラムのKAZUMAが、“80年代のサウンドってこういう感じなんだよね”ってアイデアを出してくれたので。最近はそういうドラムの音を使ってる人がいないので、逆に今っぽいし挑戦にもなっていいじゃんって思ったんです」

――ちなみに、KENNYさんは何年生まれですか?

「1987年ですね。俺は日本の曲はほとんど聴かないんですけど、達郎さんだけは聴いてたんです。俺の親父が達郎さんの大ファンなんで。(今回のジャケットに起用した)鈴木英人さんは達郎さんのジャケットも描いてますよね。だから、親父はどハマりしていましたね。“マジか!?”って(笑)」

――そうなんですね。確かに、あの絵の雰囲気はあの時代を象徴するようなスタイルですよね。楽曲面では、1曲目の『Mellow Yellow』から、パッと聴くだけで80年代が蘇るようです。そういう時代をリアルタイムで生きていた人からすると懐かしいし、その時代に生まれていなかった人が聴くと新鮮に聴こえるのかなって。

「そうですね、それがちょうど僕ら世代ができる仕事なのかも。俺はあの時代をすごくカッコイイと思っているんです。音楽の歴史では、歌謡曲からJ-POPになっていった時代だと思うんですよ。そこから、巡り巡って、今の時代ももっとかっけえ音楽があってもいいんじゃねえかなって思って」

――なるほど。そもそもJ-POPって、洋楽ポップスのエッセンスが入った日本のポップスだったんですよね。SPiCYSOLもそうだと思うし、今作はその要素がさらに強くなっていると思います。

「J-POP感だけは忘れたくなくて、絶対に残しておきたいんです。SPiCYSOLとして、“わかりやすさ”っていうのが忘れちゃいけないキーポイント。ミュージシャンにしかウケないようなものも、それはそれでカッコイイけど。そういうのは俺らよりももっとうまくてカッコイイやつらがちゃんとやってくれてるので。それを踏まえた上で、みんなの日常に溶け込めるようなスタイルで奏でるのが俺らっぽいのかなって」

――SPiCYSOLとしては、“SURF BEAT MUSIC”というのも掲げていますね。

「そうですね。最初に俺が、“SURF BEAT MUSIC”っていう言葉を聞いておかしくない音を出してくれって(メンバーに)注文したんです。サーフィンやってるから“SURF BEAT MUSIC”っていうことじゃなくて。サーフって言葉は70年代のヒッピーカルチャーとかも含んでると思っているので、“SURF BEAT MUSIC”っていうのは、70年代のフリーマインドなエッセンスが入った音楽というような感覚で聴いてもらえたらいいなと」

――サウンドはもちろんですけど、英語と日本語がナチュラルに溶け合うリリックも含めて、すごく聴き心地がよかったです。歌詞はどんな風に書いているんですか?

「ちょっと、達郎さんの話になるんですけど。あの人も全部、妄想で曲を書いてるらしくて。歌詞で歌われているのは、ちょっとした憧れで、それはみんなの憧れでもあるっていう部分を歌ってるらしくて。俺も今回の『Monsoon』(M-4)とか、『Mellow Yellow』『FIREWORKS』は、そんな憧れの要素で書いてます。『Mellow Yellow』は付き合ってる二人が、今日はSNSも見ないでずっとベッドの上でダラダラしようぜみたいな曲ですし、『Monsoon』は男目線の遠距離恋愛のストーリー。そういうのは達郎さんマインドで書いてます」



――なるほどね。そういう憧れを物語仕立てで書いている曲もあれば、『Cyanotype』(M-5)とか『Hero』(M-9)は、ちょっと男の野心を感じる歌だなって思いましたが。

「ああ、その2曲はそうですね。同じ位置付けで、野心的ソングかもしれないですね」

――そういうところに“SPiCY(スパイシー)”要素を感じます。

「そうですね、確かにスパイシー・サイドですね。(バンド名が)“SPiCY(スパイシー)”と“SOL(ソル)”(=太陽)なんで、そこを良い意味で表裏一体にさせたいですね。それこそ好きなことをやって生きるというのは憧れる要素じゃないですか。それって本気でやればできるんだぜ!って思ってて。それを言ってるのが、『Cyanotype』や『Hero』なんです」

――今のSPiCYSOLのファン層って、どんな感じですか?

「ライブに限って言うと、好きなことを仕事にしてるような、そういうマインドの人が多いのかなぁ…。20~30代前半の。ちょっとフリーダムな感覚の人というか(笑)。遊び好きな人多いですね。僕もそうですけど、(このジャケットを指して)これは結構理想的な絵なんです。ちょっと手が届きそうで、届かないライフスタイルの絵なんですよ。俺、赤いポルシェとか乗ったことないし。でも、乗ってみてーなっていうか、オープンカーに乗って騒ぎたいみたいな願望ってあると思うけど。そういうフラストレーションを抱えながら一週間頑張って、土日爆発させるみたいな(笑)。それをライブで爆発させに来てる人が多いのかな」

――SPiCYSOLのライブって開放感を与えてくれますね。そんなに激しすぎず、リラックスしたムードもあって。

「だからこそ日常っぽいんだけど、非日常みたいな、ギリギリのラインを歌った曲が多いかもしれません。それが、この絵に表れているんですよね。こんな暮らししてる人、日本では少数派じゃないですか? そういう点で、今の時代っぽいなって。インスタ映えっていう言葉がまさにそうで。インスタ映えさせるために、そういう場所に行く。それって、憧れっていうか、非日常というか。“いいね!”も“羨ましいね”ってことだと思うし。今の時代、かなりそんな感じなのかなって。みんなフラストレーションがすごく溜まってるから。みんなきっと心のどこかで自分の憧れがあって。そんな人たちのための音楽って言うとちょっと大げさかもしれないけど、わかるぜ、俺もそうだよっていう感じですね」

――ところで、今年は結成5周年になりますが、何か意識していることはありますか?

「よりライブを重視するようになったし、そこは、5年目で変わったかもしれないです。今の世の中、めちゃキツいことも多いけど、非日常のライブに来て、明日生きるパワーになってくれればという気持ちでやっています」

――今回のツアーはどのようなテーマで行われますか?

「ツアータイトルにもなっているようにテーマは、“Gonna be a #goodday”。みんなのイイ日になればいいなっていう思いを込めてやりたいなと。今の時代は、YouTubeを見れば地球の反対側のアーティストでも、すぐに見れるんですけど。やっぱライブ会場のその場にしかないものも存在してて。そこに行くまでの時間とライブハウスに入って使う五感が、思い出という第六感みたいなものになるんじゃないかと。『#goodday』は、“晴れの日もあれば、雨の日もあるし、ダメな日もある。それは当たり前で、BAD DAYもお前次第でGOOD DAYだぜ”って、そんな曲なんです。俺もいろんなことで悩むんですけど。悩まない人なんていないし。一番最悪なのは自分で人生を終了させることなんで。その選択肢だけは絶対取らないでほしいなっていうのが、SPiCYSOLが音楽をやる一個のテーマとしてあって。だから、俺らは明日も頑張ろうぜ!って歌しか絶対歌わないし」

――ポジティブですね。

「うん、音楽ってそのためにある気がする。だから、ライブって、“イイ日”って感じ。それが“#goodday”」

――ライブに関して、独自のアイデアを盛り込んだりもしていますか?

「今年の、“JUICY Tour 2018”で、フルーティな香りをライブハウスに充満させてやってみました。ライブハウスって汗くさいイメージがあって。それがいいジャンルのバンドもいるけど。それはSPiCYSOLっぽくないなと。俺は、あの熱いライブをする先輩たちも大好きなんだけど、そこに勝ちたかったんで。自分たちらしいやり方として、何か良い香りを充満させて、嗅覚まで使ってやろうっていうコンセプトを思いついたんです。7月3日に渋谷のクラブでやったリリースパーティでは、そこで使った匂いを持ち帰れるようにしました」

――匂いや香りって、人間の記憶を呼び覚ますそうです。

「そうそう。好きな子のシャンプーの匂いとかね(笑)。ツアーの思い出をDVDとかで観てもいいんですけど、せっかく俺らは音楽っていう目に見えないものをやってるんで目に見えるものじゃなくて。シュッと(その時の香りを吹いて)、そのツアーの匂いでライブのことを思い出してもらって。“明日も頑張ろう”“明日もGOOD DAYにしよう”って思ってもらえるようなライブにしたいなと、そんな5年目です。ま、飾らず、このままの感じでいければいいなと思っています」


text by エイミー野中




(2018年8月 3日更新)


Check

Movie Comment

Release

2nd Album『Mellow Yellow』
発売中 2484円(税込)
RX-146

01. Mellow Yellow
02. Good Day
03. #goodday
04. Monsoon
05. Cyanotype
06. FIREWORKS
07. SIST
08. Melody
09. Hero

Profile

すぱいしーそる…KENNY(vo&g) 、AKUN(g&cho) 、PETE(trumpet&cho&key) 、KAZUMA(ds)。2013年8月、元々友人だったKENNYとAKUNがSPiCYSOLを結成。翌年2014年4月、SPiCYSOLの音楽の再現性をより高めるためトランペット、キーボード担当のPETEと結成当初からサポートドラマーであったKAZUMAが正式加入し現在の編成となる。2014年4月、1stデモ「Around The World/PABUK」を発表、2014年6月「RO69JACK 2014」入賞。2015年5月20日、RX-RECORDSよりデビューミニアルバム「To the C」をリリース。7月3日にレコ発ワンマン「波MACHI ONE MAN LIVE 2015 summer」を開催し、大成功を収める。この夏「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIAL 2015」「SUMMER SONIC 2015」「TREASURE05X」「UKFC on the Road 2015」など各地大型イベントへ出演。2016年2月3日、バンド名にもあるSOL=太陽をテーマとしたシングル「Rising Sun」を発売する。2017年5月10日に、1stフルアルバム『SIGNAL』をリリース。2018年7月4日に、2ndアルバム『Mellow Yellow』をリリース。約1年ぶりの全国ツアー『Gonna be a #goodday』が9月15日からスタート。

SPiCYSOL オフィシャルサイト
https://spicysol.com/


Live

「2nd Album『Mellow Yellow』Release Tour “Gonna be a #goodday" 」

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:121-225
▼9月15日(土) 18:00
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング-2800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

【福岡公演】
▼9月17日(月・祝)ROOMS
【宮城公演】
▼9月23日(日・祝)LIVE HOUSE enn 3rd
【新潟公演】
▼9月24日(月・休)新潟CLUB RIVERST
【北海道公演】
▼9月29日(土)DUCE
【愛知公演】
▼10月6日(土)ell.SIZE
【広島公演】
▼10月8日(月・祝)HIROSHIMA BACK BEAT
【東京公演】
▼10月11日(木)TSUTAYA O-WEST

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