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ひと足早い熱帯夜に!
阿部真央ライブハウスツアー大阪公演をレポート

4月30日、「阿部真央ライブハウスツアー2018“Closer”」の大阪公演がZepp Osaka Baysideで開催された。今回は自身約6年半ぶりになるライブハウスツアーで、まさに“ファン待望”といったところだが、4月20日の福岡公演と4月22日の広島公演がのどの不調により延期となって一時大阪公演も危ぶまれることに……。しかし、4月27日の名古屋公演で見事に復活! ゆえに本人も観客も感動もひとしおとなった、圧巻の一夜をレポート!

開演定刻、舞台上の幕には手を挙げてポーズを取る阿部真央の巨大なシルエットが映し出され、幕が落ちると歓声は一段と大きくなって華々しくライブスタート! 最新アルバム『YOU』同様に1曲目を飾るのは『K.I.S.S.I.N.G.』だ。派手な演出にのっけから会場は大興奮。ジャンプにクラップに“You’re amazing OMG”コールを巻き起こし、開始数十秒ですさまじい求心力を発揮する。続けて『Believe in yourself』と『ふりぃ』を響かせると、今度はフロアに拳の大波が出現。スタートダッシュ!といった雰囲気のなか、本人は「ただいま、大阪! ご心配をお掛けしました。でももう大丈夫!!」と元気いっぱい。体調の心配も一気に吹き飛ばす。
 
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さらに『the SUN』と『Such a beautiful day』で、時に語りかけるように時にさわやかに届く変幻自在のボーカルでメリハリをつけ、観客をさらにぐいぐいと引き込む。すると次は『蔑ろな夜』でエッジーな側面を見せ付け、続く『デッドライン』では弾き語りも! ピンスポットライトを浴びる姿は貫録も十分。スピード感もたっぷりで挑発的ですらある。次の『マージナルマン』もトリッキーに展開しながら、おなじみのタオル回しを発生させ、気分はどこまでも上昇。その様子には「何かちょっと……ジャングルみたい。いや、褒めてんだよ(笑)」というひと言がこぼれる。だが、気分上々なのは観客だけでなく本人も同様のようで「今日、楽しくて! 今日、すごく声が出てるんです!!」と“楽しい”がはみ出す。

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そして懐かしい2曲の後は、再び『YOU』から中盤戦の3曲。まずは「打ち込みと生音が融合した時、どう感じてもらえるのか?」と投げかけて、岡崎体育がアレンジを手掛けた『immorality』。ダンサブルなエレクトロの響きがクラブの空気感を会場に運び、彼女の新たな一面を引き出しながらも、ブレない“らしさ”を歌声の奥に感じさせる。続く『傘』ではミドルテンポで艶やかなメロディに湿度あるボーカルが絡んで、ステップを踏む姿には色香も漂う。さらに『その心には残れない』でも大人の女性のムードを放ち、三曲三様の“阿部真央像”。その豊かな表現力には感服させられるばかりだ。

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そんな現在28歳の彼女の魅力を堪能した後は、7月6日(金)に公開される映画『虹色デイズ』の挿入歌となる『17歳の唄』。実際彼女が17歳の時に作ったこの曲に対して、「正直に書いて良かったなと……。(中略)不安とかいろんな気持ちが全部出てる曲なんです。(改めて聴いて)自分でもよく書けてるなと思ったんですよ(笑)」とコメント。ひと言ひと言を大切になぞり、爆発させるような瞬間もある声が力強いギターの音と一つになって、当時の心情を鮮明によみがえらせる。観客は動きを止めて食い入るように彼女を凝視。さらに同じく“青さ”を感じる『貴方の恋人になりたいのです』を続けると、曲後にはちょっとしたタイムトリップから引き戻されたように会場には温かい拍手が起こる。

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この少ししんみりとした空気は「元気残ってますか?」と煽りチェンジ。ライブもいよいよ終盤戦へ! ポップサイドの『loving DARLING』『戦いは終わらない』の連投には、再度タオル回しにジャンプにハンズアップ。ステージを端から端まで使いのびのびと歌う様子からは本人も存分に今を満喫していることが伝わってくる。また『喝采』ではギターをかき鳴らしキレ味鋭いロックを轟かせ、「これで満足か?」の捨てゼリフも超クール。また『モットー。』ではおなじみの特大コールと大合唱が起こり、これぞ最高潮!の盛り上がりだ。
 
しかし楽しい時間はあっという間。ついにラストの1曲に。すると彼女は今ツアーのことを振り返り始める。「今回(公演延期)のことがあって、ファンの優しさに助けられ、支えられているなと……。大切なことを教わった気がしたんです。こんな幸せないなと思っています(一部抜粋)」と語り、さらにデビュー10周年を迎える来年1月の日本武道館公演への気持ちも吐露すると「(会場が“埋まる埋まらない”より)もっと大事なものがあるでしょ!って思った時、パフォーマンスが変わった気がするんですよね」と続ける。また「売れれば幸せって違うんじゃないかな(笑)」や「みんなの前でちゃんと思ってることを話したくなった」と、飾ることなく素直な気持ちを言葉にする。そして「今日、様子おかしいでしょ? これが素なんだよね(笑)。オープンマインド!」と明るくポジティブにMCを締めくくり、「みんなが飛べる曲を。いけんのか、大阪!」と雄叫びを上げて『ロンリー』へ! 深い部分で心が通じ合った後に鳴らされるこの曲は格別。客席を指さし放つ“会いたい 貴方に”の言葉は、観客一人ひとりの胸にしっかりと刺さったはずだ。そして全員のジャンプで大きく揺れて一体感も絶大。隅々まで沸騰させ、余韻たっぷりに本編は幕を下ろした。

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だが、当然のごとく大きな“阿部真央コール”が起こると、お楽しみのアンコールに突入! 舞台上にはキーボードが運ばれる。「小3~中3までピアノを習っていたけど、めちゃヘタなのね(笑)」さらに「ここまでの公演は2勝2敗です」と自己申告し、大きく息を吸って弾き語りの『Angel』がスタート! だが言葉とは裏腹に、しっとりと歌い上げるせつない曲の世界は美しいピアノの音に彩られて、空調の音が聴こえるほどの静かで濃厚な時間を生み出す。その様子には、曲後思わず本人から「勝ちました(笑)」の勝利宣言も! そして「やっとリラックスできます(笑)」と緊張を解いてバンドメンバーと合流すると、個人的に好きだという『朝日が昇る頃に』をエモーショナルかつドラマチックに繰り広げる。そして「みんなを思って歌います」と、最後の曲『それぞれ歩き出そう』へ。舞台を行き来しながら見せるキュートな笑顔と弾むリズムとクラップでハッピームードは増大し、聴く者の背中を強く押して、ついに「阿部真央ライブハウスツアー2018“Closer”」の大阪公演は終了した……と思われたが、なんと今夜はまだまだ続きが!

abemao7.jpgまずは舞台スクリーンでデビュー10周年記念の活動が次々に発表される。ニューシングル、初ベスト盤、ホールツアー、前出の武道館公演、初の関西アリーナ公演となる神戸ワールド記念ホール公演開催という、うれしい告知に会場からは「オー!」のどよめき。これにはアコギを携え一人で再々登場した本人から「こんなに喜んでもらえると思わなかったです(笑)」のひと言。さらに「10周年には弾き語りツアーをやりたいんです。細かく回りたいんです!」と野望も飛び出す! 加えて「もう一つ展望があって、(サラリーマンやストーカーを題材にした)“変な曲”ばっかりを集めてアルバムを出したいんです!」とも発言。これには期待が高まらないわけがない。また「スカイツリーの曲を作ろうかと……」という言葉から、“阿部流ご当地ソング”のお披露目会が開始。仙台=牛タン、名古屋=シャチホコといった具合に各地でモチーフがあるのだが、大阪は“なんでやねん”に決定。すると“ねん”の付くフレーズを集め、即興でラップナンバーをワンコーラス! いつもの作詞風景を目の当たりにしたような貴重なMCタイムにも関わらず、客席とおしゃべりをしながらのアットホームさが堪らない。本人の「(今日の自分は)“素”過ぎる気がします(笑)」という言葉がぴったりだ。そして先に出たアルバムの野望を受けて始まったのは、“真央節”が切りまくる『27歳の私と出がらし男』。笑えて泣ける極上の喜劇のようなこの曲をコミカルかつカッコよくキメてくれる彼女は、やはりすごい才能だ。そして「不思議な場所ですね、大阪。すごく“素”になる。みんなの愛を感じます。みんな大好きです!」と、今度こそ本当に最後の1曲に! 選ばれたのはデビューのきっかけを掴んだ曲『母の唄』。さっきまで笑いが絶えなかった会場が一瞬で“真央ワールド”に変わり、有無を言わせないパワーで圧倒される! 最後の最後にも心地良く阿部真央にねじ伏せられ、全23曲、約2時間のスペシャルな時間はついに終わりの時を迎えた。
 
この日、数々飛び出したデビュー10周年記念の“あれやこれや”を、きっと彼女なら実現そして成功させてくれることだろう。やはり今後も阿部真央から一瞬たりとも目が離せない!
 
text by 服田昌子



(2018年6月 4日更新)


Check

Set List

01. K.I.S.S.I.N.G
02. Believe in yourself
03. ふりぃ
04. the SUN
05. Such a beautiful day
06. 蔑ろな夜
07. デッドライン
08. マージナルマン
09. immorality
10. 傘
11. その心には残れない
12. 17歳の唄
13. 貴方の恋人になりたいのです
14. loving DARLING
15. 戦いは終わらない
16. 喝采
17. モットー。
18. ロンリー
En01. Angel
En02. 朝日が昇る頃に
WEn01. 27歳の私と出がらし男
WEn02. 母の唄


Live

『OKAZAKI LOOPS 京都岡崎音楽祭 2018』
〈agehasprings produce≪node_vol.2≫〉
チケット発売中 Pコード:113-230
▼6月23日(土) 15:30
ロームシアター京都 メインホール
全席指定-6800円 立ち位置指定-6800円
[指揮]岩村力
[出演]家入レオ/Aimer/阿部真央
[演奏]京都市交響楽団
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

「吉川Family Presents『僕らの街から』vol.11」
チケット発売中 Pコード:118-316
▼7月16日(月・祝) 18:00
BESSIE HALL
オールスタンディング-3000円(ドリンク代別途必要)
[出演]TRIPLANE/河野玄太/吉川典雄
[ゲスト]阿部真央
※チケットは1人4枚まで。
[問]マウントアライブ■011-623-5555

『WILD BUNCH FEST.2018』
6月9日(土)一般発売 Pコード:115-776
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話■0570(02)9925(10:00~18:00)、通常電話■0570(02)9999にて予約受付。販売期間中は1人1申し込みにつき6枚まで。
▼7月28日(土) 11:00
山口きらら博記念公園
1日券/中学生以上-9800円
1日券/小学生-4900円
[出演]阿部真央/ENTH/THE ORAL CIGARETTES/Official髭男dism/KEYTALK/Crossfaith/coldrain/サイダーガール/Saucy Dog/サンボマスター/SiM/SUPER BEAVER/sumika/teto/Nothing’s Carved In Stone/THE BACK HORN/BIGMAMA/Fear,and Loathing in Las Vegas/04 Limited Sazabys/フレデリック/ポルカドットスティングレイ/MAN WITH A MISSION/MOROHA
※雨天決行・荒天中止。未就学児童は入場無料、要保護者同伴。開場・開演時間は変更になる場合あり。出演アーティストのキャンセル・変更による払戻しは致しません。お客様を含む会場内の映像・写真が公開される事がありますので予めご了承下さい。2日券はPコード:780-114にて販売。[お問合せ]WILD BUNCH FEST.オフィシャルサイト http://wildbunchfest.jp/

チケット情報はこちら


「阿部真央 らいぶNo.8
~Road to 10th Anniversary~」

【新潟公演】
▼11月18日(日)新潟県民会館
【北海道公演】
▼11月20日(火)札幌市教育文化会館
【愛知公演】
▼12月1日(土)日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市民会館)
【岡山公演】
▼12月2日(日)岡山市民会館
【長野公演】
▼12月7日(金)ホクト文化ホール 中ホール(長野県県民文化会館)
【石川公演】
▼12月9日(日)金沢市文化ホール
【広島公演】
▼12月14日(金)JMSアステールプラザ 大ホール
【福岡公演】
▼12月16日(日)福岡サンパレス ホテル&ホール
【大分公演】
▼2019年1月11日(金)J:COM ホルトホール大分 大ホール
【熊本公演】
▼2019年1月12日(土)市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
【静岡公演】
▼2019年1月14日(月・祝)静岡市民文化会館 中ホール
【宮城公演】
▼2019年1月20日(日)仙台電力ホール


「阿部真央 らいぶNo.8
~10th Anniversary Special~」

【東京公演】
▼2019年1月22日(火)日本武道館
【兵庫公演】
▼2019年1月27日(日)神戸ワールド記念ホール


阿部真央 オフィシャルサイト