“満ち満ちた”アルバムを引っ提げメジャーへ！
圧巻のライブと爆発力ある楽曲でロックキッズから支持を集めるRhythmic Toy Worldが、4月25日、アルバム『SHOT』でついにメジャー進出！ そこで今回、この記念すべき作品をリリースしてまだ間もない内田(vo&g)と岸(g)を大阪でキャッチし、インタビューを敢行。一瞬も聴き流すことなどできない“パワー濃縮”な最新作について、じっくり話を聞いた。
――メジャーデビュー、おめでとうございます！
2人 「ありがとうございます！」
――今、どんな心境ですか？
内田
――お客さんから期待感が伝わってきました？
内田 「そうですね。自分たちに対して“この先、何をしてくれんだろう？”みたいなのが……。僕らもそれにこたえていきたいなっていうので、気合が入ったと思います」
岸
――ちなみに話に出たカウントダウンイベントは、クラッカーで観客からサプライズされる様子が動画で公開されていましたよね。
岸
内田 「俺らが、サプライズするはずだったけど、サプライズ返しをされて……」
岸
内田 「グッときましたね」
岸
内田 「お客さんが喜んでくれてるのが、うれしい！」
岸
――かぶせる程、うれしかったんですね(笑)。さて、メジャーデビュー作『SHOT』ですが、これはメジャー第1弾であることを意識しましたか？
内田 「バンド自体、そろそろ10年で、CDを出してからも5年経つんですけど、2年、3年前だったらそうだったかなとは思いますね。でも、そもそもメジャーデビューっていうパワーワードに自分たちが負けないって思えるまでは絶対にメジャーデビューしちゃダメだねっていう話をしてたんで……。なんで、悪い意味ではなく、メジャーデビューだからもっとこういう風なアルバムにしよう！というより、今までやって来て、これ良かったよね！っていうのを集めようっていうのがありました」
――自分たちの得意球ばかりを……。
内田 「うん。スタメン！」
岸
内田 「この曲ってすごく僕らに新しい出会いをくれたよね！って思う曲をピックして、で、この曲ってどうやって作ったっけ？って思い出しながら、それを今の自分たちだったらどうするか？って考えながら作っていきました」
――そんなスタメンの曲が並んでいるからか、最初聴いた時にかなり“圧”を感じました(笑)。
内田 「一曲目（『BOARD』）で言っちゃってますからね、全力全開って(笑)。そのエネルギッシュなイメージですよね。もちろんメジャーデビューっていうのもあって、やっぱ、みなぎってないと！っていうのはありましたね。全体的に“満ち満ちてる”作品にしようって……。自分たちのエゴとかを排除して、細かいところじゃなく、Rhythmic Toy Worldとして『SHOT』というアルバムを作る時、どうやっていくんだ？っていう意識がみんなの中にあったと思うんです。だからみんな（のその気持ち）が満ち満ちてる！」
岸
内田 「見えちゃってる(笑)」
――確かに(笑)。それで全曲、色濃いと……。その中でも“印籠”が出た！と感じたのが、バンドのターニングポイントとなった曲『さなぎ〔想像力の最前線ver.〕』と、バンドの合言葉を歌う『ASOBOYA』です。
内田 「『さなぎ』は特に“紋所”ですよね。僕らを象徴する曲。それぞれバンドにはそういう曲があると思うんです。でも象徴するっていうのは、一番有名とか一番盛り上がるとかとは別だと思ってて、“このバンドにこの曲あり！”っていうのが『さなぎ』なんですよね。今の自分たちが向かう方向や、Rhythmic Toy Worldのイメージにすごく合致する曲の世界観。それと、一線でやってる曲たちの中では、一番長く僕らのことを見てきた曲だと思う」
VIDEO
――今回は再録ですが、アレンジは原曲ほぼそのままと……。
内田 「そうです。でも実は“アレンジ変わってる～”みたいなコメントが来て、みんなで“どこ変わってる？”ってなって……。逆に、じゃアレンジって何だ？ リスナーと制作サイドのアレンジの概念が違う！って、考えさせられました(笑)。唯一変わったのは、コーラスを増やしたところで、（変わったというのは）そこのことだと信じてるんだけどね」
――その方のRhythmic Toy Worldへのイメージが変わったのかも？
内田 「印象という点でいうと、もちろん録り音が違うから、今回の方が昔に比べてギターのリフとかがすごく聴こえるようになってる」
岸
内田 「今までバーッて聴いてた人は、全然違うところを聴いてたのかもしんない。ギターのフレーズとかは正直聴こえてなくて、で、それがバーン！って今回聴こえてきたから、変わってるって思ったのかも。今回ドラムもいい音で録れてるから、それがドラムにもあって、すごく進化した感じがしたのかもしれないですね」
――今、ギターの話が出ましたが、他の曲でもメロディアスかつ切れ味いいギターが耳に残りました。
VIDEO
岸
内田 「タイミングが良かったね！」
岸
内田 「あ、ついにソロ活動？」
岸
――へー！
岸
――意識の変化ですね。岸さんのこの変化は、内田さんも気づいていました？
内田 「僕はほぼ毎日（岸のギターを）聴いてるし、こういう風にやろうと思ってんだよねっていう話を聞いてたので、僕からしたらいつものことで……」
――そうか。日々のことですもんね。でも考え方が変わるのはすごいことですね。
内田 「確かに。実は僕もそう思ってました(笑)！」
岸
内田 「いや、これは何か変わるなって、初めてその話を聞いた時はちょっとご飯がのどを通らなかったですっ！」
岸
――わかりました(笑)。ではほかの気になった部分を……。個人的には7曲目の『ブッシャカ』など、語感のいいワードが印象的でした。
内田 「僕的には、今回まじめな曲はまじめなんですよ。伝えたいことがもう明確になり過ぎちゃって……。一つテーマとしては“本当に聴いてくれる人が元気になれる曲を！”っていうので書いたんです。でも全部それになっちゃうと、ちょっとしんどいなって自分でも思って“箸休め”じゃないですけど、気楽に聴ける言葉も入れようとしたらそうなったんですね」
――納得。まじめな曲とのコントラストが強いです。シリアスな8曲目の『青く赤く』と最後の『リバナ』はズシンときます。
内田 「でも、今回13曲入ってるんですけど、全曲“同じ人間が言ってんな”って感じさせないとダメだな、アルバムの意味がないなって思って……。13曲を通して一人の人間が見えてくるようにしたかったんです。嘘偽りなく、僕をちゃんと出す！という。ずっとプロデューサーに“自分の理想とか憧れとか、そういうの捨てなよ”って言われてたんです。“なんでもっと自分で人に伝えないの？”“背伸びとかカッコつけとかそういうのいらない”“こう思われたい！は捨てろ”って……。“自分のままで人に愛してもらわないと、いつか愛されなくなるよ”とも。それを言ってもらって、僕は肩の荷が降りたことがいっぱいあったんです。やっぱりフロントマンなんで、こうじゃなきゃいけないとかがあったから。だからそう言ってもらえてすごく感謝してます。早くそういうことに気付けて良かったし、そういうことを言ってくれる人がそばにいて良かったなって……」
――そんな背景があったんですね。特に『リバナ』はお母様への思いが綴られていて、まさに包み隠すことがない感じです。
内田 「あれは、曲ができてて歌詞が書けなくて、書いては消し書いては消しを繰り返していたんです。で、1月にTSUTAYA O-EASTで『TALENT』のツアーのファイナルをやった時、親も来てくれて、そのライブで感動したってメールをくれたんです。ライブの余韻もある中で“なんか俺、ちゃんと面と向かって、ありがとうとか言えてないな”って思って、その瞬間“あ、お母さんに1曲書きたいな”ってなって、手紙を書くつもりで書いて、それがほぼそのまま歌詞になったという感じです」
――ちなみに、岸さんはこの歌詞を読んで涙が出たとお聞きしました。
岸
内田 「後で送ってくれって……」
岸
――こういう曲を書ける内田さんもですが、それに共感して涙できる岸さんもすばらしい。
内田 「でもそうだと思うよ。泣けるって本当に一つの才能だよ、マジで。同じものを見て感動できる人の方が得に決まってんじゃん」
岸
内田 「思春期の男子じゃん！ 他のこと考えて落ち着かせよう！みたいな(笑)」
――ところで、ご家族はこの曲を聴きました？
内田 「家に送りました。母親から“聴きました”って連絡きました」
――感想は？
内田 「すごいエモイ感じで……“私の子に生まれてきてくれてありがとう”って。それ見たのがちょうど家だったんで、さすがにちょっと泣きましたね」
――岸さんは？
岸
内田 「そりゃそうでしょ。ずっと置いてあったら悲しいでしょ(笑)」
岸
――どんな空気に？
岸
内田 「親も恥ずかしいんじゃない？」
岸
――さて、リリースツアーが5月16日からスタート。スタメンぞろいの『SHOT』だけに、期待が高まります！
内田 「もちろん今作もライブバンドとして聴いてもらいたい作品を！っていうのがあり、ある程度ライブのイメージはできているというか……。それに少しずつ新曲を披露してるんですけど、お客さんの受け入れ方も尋常じゃなく早くて、実は“これはみんなにハマるだろうな”っていう手ごたえをリリース前から感じてるんですよね。その手ごたえがあるからこそ、どこまで限界突破していけるかなと……。そこが、僕らが一番頑張らなきゃいけないところだなって思います」
――では、最後に読んでいる方にメッセージを……。
岸
内田 「アルバムを作って思ったのは、そのままでいることの強さみたいなのに、ちょっとでも気づいてもらえたらいいなってこと。僕もさっきの話のとおり、そのままでいることの大切さを最近教えてもらったんで、『SHOT』がそういうきっかけになればいいなと思います。それにライブハウスって予想のできない良いことが起こる場所。そういう時に、自分の新たな一面にも出会えると思う。変わる必要なんてなくて、そのままの自分の中にまだ知らない自分がいるんだって思えたら、結構いろんなことを頑張っていけるような気がしてます。ツアーは、そういうのをお互いに探して見付けられる場所にするので、ぜひ会場で一緒にライブを作りましょう！」
（2018年5月25日更新）
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