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人間としての成長から見えた“根幹”
濃密なコミュニケーションが表現されたEP『TORSO』発売中!
Awesome City Clubインタビュー

昨年8月にベストアルバム『Awesome City Club BEST』をリリースし、 “Awesome City Tracks”シリーズを完結させたAwesome City Club(以下、ACC)。架空の街を抜け出し、現実の世界で新しい朝を迎えて、今年3月14日に発表された5曲入りEP『TORSO』は、イタリア語で“胴体”という意味。自分たちの内側を見つめ直し、その中で感じたメンバーの人間的な成長を通じて、自分たちだけではなく、懸命に何かに打ち込む人やオーディエンスを応援したい、との想いから制作された。濃密なコミュニケーションが歌われた今作は、映画『レオン』のEDテーマとなった『Magnet』(M-1)、“すべての人にエールを届ける”『ダンシングファイター』(M-2)をはじめ、よりリアルな家族愛を歌った『yesから二人始めましょう』(M-3)、ACCを代表する珠玉の名曲になるであろう『燃える星』(M-4)、そしてキリンジの名曲『エイリアンズ』のカバー(M-5)が収録されている。5月24日から、全国ツアー『Awesome Talks -One Man Show 2018-』がスタートする。バンドの根幹を見直したAwesome City Club が、今伝えたいこと、大切にするものは何なのか。atagi(vo&g)とPORIN(vo&syn)に話を聞いた。

自らバンドを引っ張るメンバーの姿に感化された
 
 
――『ACC BEST』発売後、どのように『TORSO』の制作に入っていかれたんですか?
 
atagi「まずは精神統一じゃないですけど、2017年1月に4thアルバム『Awesome City Tracks 4』を発売して、そのタイミングで一旦リセットしたんです。次の作品作りをゆっくり考えようというスタンスに決めて、“じゃあ次どうしようか”ということをずーっと考えてましたね」
 
――約1年前からですね。それはメンバー皆さんで?
 
atagi「5人であり、それぞれ個々で考えてたと思うんですよね。だから4thアルバムを出してから、向き合う期間として半年ぐらい使わせてもらって。で、ベストを出してお客さんからの反応をもらったり、ツアーを廻らせてもらう中で、自分たちの生のリアルな感情がようやく具体的に見えてきました」
 
――その、見えてきた感情というのは何だったんですか?
 
atagi「このEPのコンセプトでもあると思うんですけど、自分たちのことを応援してあげたいタイミングになってしまったというか(笑)」
 
――ほう。
 
atagi「バンドのことやリリースがとりあえず落ち着いて、基本的にはずっとライブをやっていて、ライブの度にバンドのあり方やメンバーの関係性を再確認していたんです。衝突することもあれば、“今日は良かった”って手応えを感じる時もある。そんな中、PORINがライブの部分ですごく引っ張っていってくれたんですよね。“ついてこいよ、とも言わずに黙って背中を見せる感じって良いな”って思ったんです。すごくカッコ良いし、メンバーみんな、それぞれがそういう部分を持ってたら最高やなと思って。そこでピンときたというか」
 
――PORINさんの姿を見て、感化された。
 
atagi「もちろんそういう部分はメンバーみんなにあるんですけど。すごく裏方的な部分で言うとモリシーが音の整理やアレンジメントで、メンバーからの打ち込みの細かい注文を“オッケー”って、文句も言わずにやってくれたりとか、やっぱり人として成長してるなと思ったんですよね。大人になってるし、カッコ良くなってる。これってすごいことやなと思ったのもありますし、そこに目がいったのがキッカケで、自分たちを応援するだけじゃなくて、同時にファンのみんなも応援してあげたいというような感情が出てきたかもしれないですね」
 
――PORINさんご自身は、パフォーマンスで引っ張っていこうと意識はされていたんですか? 
 
PORIN「そうですね。“Awesome City Tracks”を終わらせるとなった後ぐらいから、未来のことを考えたんですよね。バンドとしてちょっとマンネリしてた時期もあって、自分的にも“なかなか上手く発信できないな”とか、“このバンドで自分は何をしたらいいんだろう”と考えていた時期でもあったんです。だからライブでのパフォーマンス力、発信力をあげようと思って。去年の夏はフェスで大きいステージが決まっていたりしたので、“ここは本当に気合いを入れて良いライブをしたい”と思っていたし、ちょっと変わらなきゃなっていうふうに思い始めて、そこから意識しましたね」
 
――ライブパフォーマンスに関して、2人でお話しされたりはしたんですか。
 
atagi「改まっては話さなかったですけど、感じてましたね。再確認するのも野暮ったく感じたので、僕は“今のPORINすごく良いな”って思いながら見てた感じですね」
 
――努力して、力を発揮する姿に感銘を受けたんですね。
 
atagi「そうそう。メンバーのそういう部分に気付く一方で、バンドに関係のないところで、“この人なんて素敵なんだろう”と感動したり、“頑張っている姿がどうしてこんなに力をくれるんだろう”と不思議に思うようなことが同時多発的にいろいろ起きて、周波数が合ってきた時期だったんですよね。1つのチャンネルに全ての情報が注ぎ込まれていったので、今回は1つのテーマで楽曲を作ろうと思った経緯があります」
 
――それが“TORSO”だったと。今回制作ではatagiさんが舵取りをされたそうですね。
 
PORIN「うん、そうですね」
 
atagi「みんなで仲良く意見交換しながら作ることも、もちろんできたと思うんですけど……さっきの話に通じるんですが、ここはやっぱり俺が頑張んなきゃいけないって思ったんです。ここは俺の持ち場だし、ちゃんと背中を見せて頑張る。多くは語らず不言実行がカッコ良いなと思うんで。メンバーに良い刺激を与えたかったし、きっと分かってくれると思ってたし、やる気になってるからにはやらせてくれるメンバーだと思ってたんで。だから“ここはもう任せてくれ”ということで」
 
――うんうん。
 
atagi「なぜ僕が曲を書く必要があったかと言うと、自分のことを俯瞰して話してるようでちょっとやなんですけど、もう少し自分的にも一皮むけたかったというのもあって。自分がこのバンドでもっと、何て言うのかな……輝いたり、フロントマンとして存在している意味を、自分の中でも、聴いてくれる人の中でも、もっと強く感じてもらうには、自分の責任を負うことが必要だった気がして。だから敢えて仲良しこよしで決めずに、ここで自分が引っ張ることで、MCやインタビューで話すことの内容も変わってくると思うし……という気持ちで、覚悟を決めてやってましたね」
 
――なんだか意外です。今までご自分では思うところがあったんですか?
 
atagi「いやもう常にありますよ。“もっとこうなりたい”みたいのもあります」
 
――『TORSO』は熱量の高い作品だと思うんですが、熱すぎないというか、ちょうどいい温度感で、atagiさんの冷静な部分と熱い部分が出ているという印象を受けました。
 
atagi「やっぱりそれは人柄と言ったらおかしいけど、僕だから選んでしまう言葉というのが、良くも悪くもあると思うんですよね。その部分が色濃く出ているのかもしれないですね」

 
 
無償の愛は見返りを求めないものだということに気付いた
 
 
――『ダンシングファイター』は『Action!』や『ASAYAKE』に通じるものを感じました。この曲は北海道日本ハムファイターズの西川遥輝選手のことを思い浮かべて書かれたとか。
 
atagi「あっ、そうなんですよ。よく調べていただいてありがとうございます(笑)。この曲について素直な感覚を述べると、僕が西川選手からもらっている勇気や希望をすごく持て余しているというか。たぶん、自分が年を重ねているせいだと思うんですけど、有り余るエネルギーや希望を、誰かにあげたいと思うようになったんです。だから打算的なこととか一切抜きで“この人を心底応援したい”と思える人が、僕の中では西川選手なんです」
 
――その感覚よく分かります。ポジティブな力の循環というか、特に純粋な想いを持って活動している人からそんなパワーをもらうことが多いように思います。
 
atagi「僕、自分で言うのもおこがましいですけど、これはほんまに純な感情だと思ってて。無償の愛は見返りを求めないということに、この歳になってようやく気付かされましたね。で、その純情な愛情というものを誰かに伝えたかったし、同じようにプラスのマインドになって欲しかった。それを歌にしたくて『ダンシングファイター』を作り始めたんですよね」
 
――なるほど。ではすごくピュアな気持ちで作曲をされたと。
 
atagi「言っちゃ悪いですけど、ほんとにピュアな気持ちで作りました(笑)」
 
――新しいようでもあり、ACCらしい曲でもありますね。
 
atagi「そうですね。僕の中ではACCらしい部分もあるにはあるんですけど、ちょっとはみ出した部分もあったかなあ、なんて思ったりはしました」
 
――ちなみにどういう部分ですか?
 
atagi「やっぱり歌詞だと思うんですよね。“君と僕”の話じゃなくてこの作品の中では唯一“あなた”に対して歌ってるんだけど、ストーリーっぽくない。 “今”や“これから先”をその人の目線で見てる歌なのかなと。それってあんまりACCではない形だったかもなって」
 

 
――確かに。これまでは“自分と相手”がメインでしたもんね。個人的には、『ASAYAKE』より一歩進んでいる、追い風が吹いているというか、行きたい道が決まっていて、ただ突き進む強さを感じました。
 
atagi「それは確かにあって。この曲に関してだけ言うと、 オケよりもメッセージ、歌詞の方が比重が大きかったので、たとえば他のアレンジで全然違う曲調だったとしても、大丈夫だったかもしれない曲ですね。どういうことを伝えたいかが1番重要だったので、そういう意味ではちょっと特殊だったかも。僕が経験したことのない感じの曲というか」
 
――オケには疾走感と力強さを感じますね。
 
atagi「メンバーで話をして、やっぱり疾走感をなくしたくないねと。僕の中では西川選手がダイヤモンドを駆け抜けてるイメージなんです。彼は足がすごく速くて、プロ野球選手の中で1番、三塁打の打率が高い選手なんですね。野球に興味ない人は分からないかもしれないですけど、彼のダイヤモンドと言われる、一塁から二塁、三塁、ホームベースを回るルートが普通の選手とは違うんですよ」
 
――へえ、どう違うんですか?
 
atagi「より速く、より遠くへということで、彼が走っているダイヤモンドのラインは、縦長なんですね。楕円形でいびつな形をしているんです。だけど、そこにかける想いや、そこに至るまで考え抜いた経緯というのが、清くて好きだな~と思うんです(笑)。だから駆け抜けている、がむしゃら感がオケにあった方がいいかなというイメージで作りましたね」
 
――MVも素敵でしたね。PORINさんはこの曲に関してどう思われますか? 
 
PORIN「ataさん(atagi)のピュアな感じも伝わってくるし、これまでのACCって割と、もがいてる若者が過去を振り返ったり、“これからどうしよう、頑張っていこう”みたいな感じのものが多かったと思うんですよ。でもこの曲はそこから1歩飛び出て、ちゃんとリスナーを引っ張ってくれる曲になっているなという感じがしていて。atagiが曲を書いた時の覚悟がこうやって曲に出てるんだろうなと思いましたね」
 
 
 
ACCでこういう曲ができるのが単純に嬉しいし
この曲が生み出されたことが嬉しい
 
 
――『燃える星』は個人的に、間違いなく大名曲だと思っています。こんな美しい曲が聴けて本当に嬉しいです。
 
atagi「ありがとうございます(笑)」
 
――この曲はどうやって生まれたんですか?
 
atagi「EPの制作を始めて、リード曲が必要だなということで、リード曲候補として持ってきた曲だったんです。“燃える星 夜にかける 小さくも青い光は二人のようだね 淡く消えてく~♪”というサビのメロディーと、それが鳴っている音の情景が、最初から僕の中にあって。あとは曲のイメージを緻密に広げていくだけという状態でした。聴いてくれてる方はACCらしいと思うかもしれないんですけど、僕の中では結構トライアルでもあって。今のACCがこの曲をリード曲にしたら面白いだろうなあ、みたいなファン目線で作れたというのもありますね」
 
――歌詞はJAMさんと共作ですよね。歌詞が完成していく過程はどのようなものだったんですか?
 
atagi「2017年の1年が、個人的にいろいろあって、久しぶりに夏に地元に帰って、おとんとおかんと腹割って話して、“俺、これからどうしようかな”みたいなことも話したりして。幼馴染とも会って、“お前最近どうなん”みたいなことを話したり、昔の思い出にすごく支えられたんです。僕の地元は海辺の街なんですけど、そこで鳴ってる曲、みたいなイメージがぼんやりとずっと頭にあったんです。帰省した時に感じたノスタルジーと、“こんなことあったな~”という思い出を、今の自分の言葉にしてちゃんと歌えたらいいなと思って。でも先に“燃える星”っていうフレーズが降ってきちゃったから、歌詞に落とし込むには、“燃える星って何だろう、流れ星なのか、それとも線香花火の落ちる線のことなのか”と、いろいろ考えて。それでJAMさんと、カウンセリング的なやり取りを1回して、この歌詞が出来上がりました」
 
――JAMさんと一緒にやることになった経緯は?
 
atagi「自分1人で意固地になってやるよりも、整理してくれる人がいた方がいいんじゃないかとディレクターの方が提案してくれて、お願いしたんです。僕が“こんなことがあって、こういう時にこういう気持ちだった”と話したら、“じゃあ最初に光る流れ星と言っちゃった方が、思い描くイメージに繋がるよね”とか、アドバイスをいただいて、言葉と気持ちの整理をつけてもらって。1時間ぐらい話したんですけど、“なるほど、そうか”と腑に落ちて、あとはバーッと書けました」
 
――そういう歌詞の書き方もあるんですね。
 
atagi「もうカウンセリングみたいな感じですよね。トータル的にこの人の言いたいことは何だろう、ということを汲み取ってもらってアドバイスをもらう。そこからは“こんなんでいいの?”っていうくらい、直しもなく完パケになって。JAMさんに会ったことで、ぐちゃぐちゃだったものが、ちゃんと言葉になった感じがします。すごく良かったです」
 
――カウンセリングをするほどのメンタル状態だったということですか。
 
atagi「僕の中ではすごく自信作だったんですよ。さっき言ったみたいに、最初はリード曲で使いたくて、“これでやらせてくれ!”ってみんなを説得したかったんですが、メンバー/スタッフのコンセンサスが取れず…リード曲にはならないということを、自分が受け止めなきゃいけない立場になって。今回のEPには収録しない方がいいかなって一瞬思ったんですよ。すっごく良い曲だから、別の違う形で、しかるべきタイミングで出してあげることもできるかもしれないと思ってたんですけど、冷静に考えたら今出さないとやっぱり意味がないなと思って。今回リード曲じゃなくてもいいので収録させてくださいっていう話をして、収録させてもらいました」
 
――今じゃないと意味がない。
 
atagi「うん。“今”僕が思ってることだから、これから1年後、半年後にリード曲で出しても、今と同じような感情では歌えないかもしれないなと思ったんです」
 
――歌い手の感情がすごく出そうな、繊細な曲ですもんね。
 
atagi「僕、今までこんなことなかったんですけど、『燃える星』の歌詞書いてる時に“何て良い曲なんだ”って自分でびっくりして、歌詞書きながら泣いちゃったんですよ。これから何十回、何百回と聴くし、歌うし、どんどんマンネリ化してくると思うけど、この新鮮な気持ちをちゃんと胸に刻んでおかないと、と思ってます」
 
PORIN「私も『燃える星』はすごく好きで、最初リード曲にしたいって言ってたんです。日本人に響く曲というか、すごく日本的で、自然と沁みちゃう」
 
――ああ~わかります! 
 
atagi「はは、確かに(笑)」
 
PORIN「日本映画観てるみたいな感じ。ataさんに“この曲作ってくれてありがとう”って、LINEしたよね、珍しく(笑)」
 
atagi「そう、それがめっちゃ嬉しかった。何の前触れもなくLINE してきたんですよ」
 
PORIN「普段そういうことあんまりしないんですけど(笑)。本当にこの曲に救われましたね」
 
――どういう部分で救われましたか?
 
PORIN「ACCでこういう曲ができるのが単純に嬉しいし、普通にこの曲が生み出されたことが嬉しいというか。『燃える星』のPV撮りたいなあ」
 
――撮ってほしいです! この後に『エイリアンズ』という名曲が続きますが、『燃える星』は『エイリアンズ』と似た空気を感じるんですよ。
 
atagi「うんうん」
 
PORIN「『エイリアンズ』も日本映画っぽいですよね」
 
――やはり旋律の部分でしょうか。
 
atagi「何でしょうね。日本人的なところで言うと、多くは語らないけど、その言葉の端々に隠れてる心の動きとかで、悲しくなるみたいな。はっきり言えないことに詰まってる、本気さみたいなものかもしれないですね」
 
――なぜ『エイリアンズ』をカバーされたんですか?
 
atagi「『Awesome Talks -One Man Show 2017-』の時に、“カバーをやろう”ということで『エイリアンズ』が良いねということになって、ツアーで実際やったんですけど、やっぱりとんでもなくめっちゃ良い曲だなっていうのと、カバーなんだけど、どんどん曲が育っていってる感覚があって。あとお客さんから“またライブでやって欲しい”、“音源化してほしい”という声があって。ちょっとおこがましい言い方かもしれないですけど、僕ら今、この曲すごくしっくりくるなと思ったんですよね。最初この曲はEPに入れない方向で考えてたんですけど、途中で“入れたら良い気がする”みたいな話をしたんだよね」
 
PORIN「うん」
 
――この曲の『TORSO』における存在は、すごく大きいと思います。
 
atagi「ファンクラブブログでも書いたんですけど、この曲は魔曲だなと思ってるんです。ものすごく業の深い曲。メンバー全員キリンジさんが好きなんですけど、堀込ご兄弟の活動や距離感、この曲がキリンジにもたらしたこともすごく大きいんだろうなーって思ったりして。人知を超えた魔曲だと思うんです。だからやるのが怖い部分もあったんですけど、この曲の業の深い感じにすごく惹かれてしまって。今のACCなら複雑な色合いも出せるかもしれないと思ったんですかね」
 
――曲の持つ独特の力……ありますよね。
 
atagi「なんか自分も曲ごとに取り憑かれてる部分というか、曲が呼んでいる執念みたいなものがあって。『ダンシングファイター』は特にそうだったと思うんですけど、“こういう部分が大事なんだ”ということを、執念を持ってやれたのがすごく良かったなと。不思議なことにそういうものって、聴く人にも自然と伝わるんじゃないかなと思いますし、そうだったらいいなと思ってますね」
 
 
 
最初はコンセプトありきで出来たバンドだけど
今となってはそのコンセプトが成立しつつある
 
 
――バンドの“胴体”が固まって、今お二人がバンド活動について考えていらっしゃることはありますか?
 
atagi「僕はもうずっと公言してるんですけど、さっきの話で言うと、PORINが自分の背中を見せてリーダーシップを発揮して、それで感化されるメンバーがいて、“今度は俺が!”って自分の力を発揮できるポイントを最大限突き進んで、5人5様、何か突き抜けてくれることが、バンドにとってすごく必要だというか、それができるバンドはめっちゃカッコ良いなと思うんですよね。だから今よりも輪をかけて、各々が躍動して、様々なことにチャレンジしたり、周りの人を巻き込んでいくべきだと思うし、そういう曲が今は必要だなと思ってます」
 
――PORINさんはどうですか?
 
PORIN「これまでは、やれないことやできないことを、ひたすらできるように頑張っている時期が長かったなあという感じがしていて。でも『TORSO』の制作や2017年を経て、できることを伸ばしていって、5人がそれぞれ輝ける場所を見つけ出せたらいいよねというモードになってきてる。ataさんと被るけど、それでこそAwesome City Clubだと思うし、最初はコンセプトありきで出来たバンドだけど、今となってはそのコンセプトが成立しつつある。だからそこをどんどん突き詰めていきたいなって思ってます」
 
atagi「僕がこのEPを通して言いたかった、“やれることを頑張る”とか、“背中を見せて引っ張る”とか、人の心を動かすのって、ひたむきさだと思うんです。そういう姿に実際僕は感動したし、もっとそういうことを良いと思える共感覚を身に付けたり、養っていけたら良いなと。“俺、今日はこのライブでかますけど、大丈夫! 絶対ヘマしないから”みたいな、責任感を持ってやれることで変わってくるものは沢山あるはずだから、結局そこの研ぎ澄まされ方なのかなと思いますね」
 
――まさに“TORSO”に繋がってきますね。5月24日(木)から全国ツアーが始まります。どんなツアーになりそうですか?
 
atagi「やっぱり作品に紐づいていることになりそうですね。今回、作品のアートワークのディレクションをPORINがやったんですけど、作品を音とアートワークに分けるとするなら、ちゃんと1つの作品にするところまではできたので、あとはライブと混ざり合えば、よりAwesome City Clubがハッキリ出てくるかなと思います。だから多分作品やアートワークに根ざしたものになるんじゃないかなと。すでに具体的なアイデアも出ていますし。で、やっぱり大事にしているのはメッセージ。この EPを聴き込んでくれると絶対に満足してもらえるものになるんじゃないかと思います」

text by ERI KUBOTA



(2018年5月11日更新)


Check

Release

新章を迎えたAwesome City Club
バンドの“胴体”を表す最新EP

EP『TORSO』
発売中

【初回限定盤】(CD+DVD)
VIZL-1334 2900円(税別)

【通常盤】(CD)
VICL-64967 1800円(税別)

《CD収録曲》
01. Magnet
02. ダンシングファイター
03. yesから二人始めましょう 
04. 燃える星
05. エイリアンズ (Studio Live ver.)

《DVD収録曲》
Awesome Talks Acoustic Show 2018
~New Year Special~
(2018.01.14 at Billboard Live Tokyo)
01. 青春の胸騒ぎ
02. WAHAHA
03. Girls Don't Cry
04. エンドロール
05. Sunriseまで
06. what you want
07. アウトサイダー
08. ASAYAKE
09. 今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる
10. Don't Think, Feel

Profile

おーさむ・してぃ・くらぶ…2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー、マツザカタクミ、ユキエにより結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORINが正式加入して現在のメンバーとなる。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」より、第一弾新人としてデビュー。2015年4月8日に1stアルバム『Awesome City Tracks』をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼んだ。デビューからコンスタントに2年間で4枚のアルバムをリリースし、2017年8月23日にはキャリア初となる新曲入りベストアルバム『Awesome City Club BEST』を発表。そして、新たな幕を開けたAwesome City Clubの新作EP『TORSO』が2018年3月14日にリリースされた。5月24日より全国12箇所を回るツアーがスタート。

Awesome City Clubオフィシャルサイト
http://www.awesomecityclub.com/


Live

「Awesome Talks -One Man Show 2018-」
【北海道公演】

▼5月24日(木)ペニーレーン24
【熊本公演】
▼6月2日(土)熊本B.9 V2
【長崎公演】
▼6月3日(日)DRUM Be-7
【石川公演】
▼6月9日(土)金沢AZ
【新潟公演】
▼6月10日(日)新潟CLUB RIVERST
【宮城公演】
▼6月17日(日)仙台 darwin
【広島公演】
▼6月23日(土)セカンド・クラッチ
【香川公演】
▼6月24日(日)DIME
【東京公演】
▼6月28日(木)STUDIO COAST

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:102-915
▼7月7日(土) 18:00
なんばHatch
1Fスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳未満は入場不可。3歳以上は有料。12歳以下は保護者同伴に限る。
[問]GREENS■06-6882-1224

【愛知公演】
▼7月8日(日)ダイアモンドホール
【福岡公演】
▼7月16日(月・祝)DRUM LOGOS


『高橋みなみのこれなに?フェス!!2018』
チケット発売中 Pコード:111-597
▼5月30日(水) 19:00
TSUTAYA O-EAST
スタンディング-3900円(ドリンク代別途必要)
[出演]高橋みなみ/カイワレハンマー/モーリー・ロバートソン/緑黄色社会/Awesome City Club/Creepy Nuts
※未就学児童は入場不可。
※チケットは1人4枚まで。
[問]ADN STATE■050-3532-5600

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