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“僕らは時々 上手に生きられない だからイエスが必要なんだ”
意地とロマンを礎に、原点回帰と進化を推進した
新体制初アルバムにして最高傑作『YES』を語る!
asobius全員インタビュー&動画コメント

 昨年4月に、初の全編日本語詞のリード曲『big love lovers』を含むミニアルバム『parade of life』をリリース。自らの音楽性とシーンとの共有点を見出だしたかに見えたasobiusだったが、それも束の間、同8月にはギタリストの杉本広太が脱退。バンドの再構築を余儀なくされた彼らが、“原点回帰と進化”をテーマに、リスナーの不安も期待も遥かに凌駕する起死回生のアルバム『YES』を手にシーンに帰還! 再び英詞へとスイッチし、活動初期の洋楽的な素養にギアを入れた今作は、持ち前のファンタジックで壮大なサウンド上に舞う甲斐(vo)の突き抜けるボーカルが、まるで音楽を奏でる喜びを取り戻したかのようなエネルギーとメッセージを放っている。音も、言葉も、まさに最高傑作と言える仕上がりとなった『YES』に至るまでの物語を、メンバー全員に本音で語ってもらったインタビュー。日々“NO”を突き付けられるかのような閉塞した時代に、“許す”こと、“YES”と言ってあげられること――。音楽と出会った人生を肯定することを恐れず前進する、asobiusの現在に迫る。

 
 
変わらないものよりかは、核がちゃんとあるんだけど
時代の影響を受けていることが大事だなと思っていて
 
 
――まず、前作『parade of life』(‘16)のインタビュー時に“asobiusの1つの形ができた”という手応えを感じられたところだったのに、メンバーが抜けてしまった経緯を聞いておきたいなと。話せる内容ならば(笑)。
 
海北(b)「元々、曲は甲斐(vo)と辞めた杉本(g)の2人で主に作ってはいて」
 
髙橋(g)「彼はポップス人間だったんですよね。理論的というか、“こういうのが今の売れ線のコード進行”とかも分かってたし、ロジカルに積み上げていくタイプで。甲斐の作ったasobiusの方向性を自分の中で昇華して、“asobiusっぽさ”を作れる人だったんですよ。でも、自分本来の音楽性が活動の中で見えてきて、もっとポップなものを作りたいとか、asobiusっぽさ=自分っぽさではないみたいな感じも出てきてはいたので」
 
海北「作曲者としてのタイプが違って、お互いに“俺にはないものを持ってる”感じだったんですけど、杉本は“何であの人はあんなにいい曲が書けるんだ? 俺にはああいう曲は作れない”って…。自分がこのバンドに曲を持っていくことで、甲斐の描くasobius像を崩しちゃってるんじゃないか?っていう話をよくしてたんです。多分、周りが思う以上に考えてたんだろうなと。だから、辞めるときも“カズさん(=甲斐)、もっとガンガンやった方がいいよ”って」
 
――逆に甲斐くんの方が譲ってしまってもasobiusのためにならないんじゃないか、と。
 
石川(ds)「彼が曲を作ったり活動していくにあたって抱えるものがあったのは…所々気付く部分もあったんですよ。要所要所で彼がちょっと告白してくるみたいなこともあったので。ただ、それでもやっぱり一緒にやりたいって」
 
甲斐「やっぱり“この5人でasobius”と思って築き上げてきたところから1人抜けて、それでも続けるっていうときに、もう1回バンドを見つめ直さなきゃいけないなって。ただ、そこから新体制でのライブを結局1~2ヵ月後ぐらいにやったのかな? やっぱりあんまり待たせたくはなかったんですよね。1人抜けちゃって失速した、みたいな感じにはしたくなくて。あとは、英詞に戻したんですよ。“自分が改めてやりたいこと、表現したい音楽って何だろう?”っていうところで、ちょっと初期の雰囲気に戻してみようと。でも、それをコピーしたくはないから、発展させた新生asobiusを観てくださいっていうところで、僕はライブで鍵盤だったりアコースティックギターを弾くようになって、真作くん(=髙橋)はアンプ2台からギターの音を出すようにして、2本あったギターの厚みを分散させたり…5人で鳴らしてたサウンドに引けを取らない新しい方程式を作るのが、すごい大変でしたね」
 
――甲斐くんはいつも、作品ごとに、アクションごとに変化がないとっていう、強迫観念にも近いものがあるね。
 
甲斐「僕らがちょうどインターネット世代の走りみたいな世代だからなのか分からないんですけど、今のアーティストに求められてるものって、変わらないものよりかは、核がちゃんとあるんだけど、時代の影響を受けていることが大事だなと思っていて。僕も自分が好きなアーティストでも、前作と同じような曲を量産されるのはあんまり好きじゃないんですよ。いいところをちゃんと残しながら常に変わっていてくれると、“やっぱりこの人たちのセンスはハンパないな”って思える。だからこそ自分もそうありたいし、やっぱりちゃんと時代と呼吸していたいのはありますね」
 
 
やりたいことを、やらなくちゃ
 
 
――ただ、日本の音楽シーンで活動する上で、日本語をいかに自然に取り込んでasobiusとして形にするかっていう、ある種の極みが前作だったと思うんで、次の一手はなかなかハードルが高いよね。
 


甲斐「新体制になったのが去年の9~10月ぐらいからだったんですけど、そこからリリースするまでの間に“新しい僕たちはこれです”っていうCDがない=名刺がない。例えば、物販で“一番新しいCDはどれですか?”って聞かれたとき、“これですけど今はライブで1曲もやってません”みたいな(笑)。ライブは新体制になってすぐやったし、スタジオだったりライブハウスを借りて、実際に音を鳴らして、それを撮ってもらったものを編集してライブMVとして世に出しはしたけれども、手に取れる形としては何も残してなかったので、その期間はジレンマをすごい感じましたね」
 
髙橋「新曲も作るし、ギターが1人いなくなっても過去曲ができるんだよっていうのを、動画としてライブっぽく観せたかったのがあったんで。みんなで話してまずそれを先にやろうって」
 
甲斐「あとは僕、普段から邦楽は本当に全然聴かなくて。とは言え、何だかんだ日本語前提で曲を作る自分もいたりしたんですけど、“これは日本語詞かな?”みたいになったときって、やっぱりメロディの配置が変わるんですよ。アレンジも何となく和テイストになる傾向が自分の中にあって。新体制になるタイミングで、本当に髪をバッサリ切る女の子みたいですけど(笑)、何となくそれを一緒に連れて行きたくなかったんですよね。5人で当時出した結論が、日本語もしっかりやってみようよっていうのもあったんで、改めて自分は英語で歌うのが好きだったっていうのも含めて、バッサリいったところが大きいですね」
 
海北「当時は“日本語詞の曲を作れねぇんじゃねぇか?”って思われたくないっていうのもあったし(笑)。逆に言うと、作れると証明できたからやめた、みたいなところですかね。さっきの話じゃないですけど、髪を伸ばした人の気持ちはもう分かったから、切っちゃおうっていう。結果、原点に戻ってきたじゃないですけど」
 
――シーンとの着地点を見付けるよりも、自分たちの刀を磨いた方が勝てるというか、突き詰めてとことんasobius=他にないものになっていくと。そして、新体制で一番最初に完成したのが『diamond tears』(M-9)で。
 
甲斐「杉本くんが辞めるって決まって、もう背後で作り出してた曲もあったんですよ。それも本人公認じゃないですけど、“リスタートを早く切るのが大事だから、俺がいる状態でもそのことを考えてくれてもいい。何なら週2回スタジオに入るとしたら1回はそれに使っていいよ”みたいな。ちなみにこのアルバムを杉本くんに送って“推し曲当ててみ?”って言ったら、“『tonight』(M-4)がめっちゃいい!”、“当たり! やるじゃん”っていう(笑)」
 
髙橋「でも、大変だったんだぞ、こっちはよ!っていう(笑)」
 
甲斐「『diamond tears』は新体制としては1曲目だったんですけど、バランスを取ってくれた曲だったんですね。いろんな要素の楽曲がある中で、この曲を基準にアルバムを見通すと、確かに真ん中なんですよ。今までやってきたこととの架け橋みたいな感じで『diamond tears』を作って、その後に『walking in the rain』(M-7)を作ったのかな? 『walking in the rain』が一番asobiusの初期に近い曲ですね。自分的には、『diamond tears』と『walking in the rain』をこの順番で作れたことによって、もう大丈夫だって思えたんですよね。この辺に自分の趣味をぶつけてて、『diamond tears』ではミューと映画『ネバーエンディング・ストーリー』(‘84)、『walking in the rain』はasobiusの初期だったりシガー・ロスだったりカイトをブチ込んで。その後に『first life』(M-11)かな? これはシガー・ロスの『ハピポラ』(‘05)っぽく作りたかったんですけど(笑)」
 
髙橋「時には“まんま過ぎるからヤバいよ”ってみんなでミーティングしてね(笑)。絶対に僕らだけの曲だってメンバー全員が思えるところまでアレンジを落とし込んでいった感じですね」
 
海北「あと、『dark gazer』(M-8)は、実は4~5年ぐらい前、5人時代のすごい初期に作りかけたんですけど、ちょっとその当時の感じには沿わなかったんですよね」
 
髙橋「甲斐くんの洋楽エッセンスがかなり強めの曲で“いや、これは今やっちゃダメだよ”ってお蔵入りして」
 
海北「まあ、糠床に漬けてた、みたいな(笑)」
 
(一同笑)
 
――そしたらここにきて浮上してきて、いい感じに発酵してたぞ、みたいな(笑)。みんなも何となく印象には残ってた曲だったんですね。そう考えたら、甲斐くんがやりたいことって当初からビジョンがあったというか。変化してるんだけど、軸の部分はやっぱり変わらないんでしょうね。
 
髙橋「今回は甲斐くんの曲を作るペースも早かったんですよ。今までは悩んで悩んで、ワンコーラスで止まったりすることもあったんです。なのに今回は、“おいおい! 大丈夫か!?”っていうぐらいバンバン出てきてたんで」
 
――やっぱり我慢してたんや(笑)。
 
甲斐「アハハ!(笑) 前はとにかくやらなくちゃって感じだったんですけど、じゃなくて今は、やりたいことを、やらなくちゃっていう感じですね、うん」
 
 
asobiusに何が残ったの?って聞かれたら
“男の意地じゃないですか?”みたいなところに尽きるという(笑)
 
 
――『flash』(M-3)のライナーノーツには“フィギュアスケートの演技のために書いた”とありましたが。
 
甲斐「今回は実現し切れなかった部分はあったんですけど、新体制になったときに1曲1曲にMVが作れたら、ぐらいの気持ちがあって、『flash』は映像のイメージありきで作った曲なんです。家の近所にスケート場があって、実際にそこに行ってインスピレーションを得て。僕の中のイメージでは、スケートって選手生命がすごい短いスポーツで、やっぱり女の子がすごく多いというか。その選手生命の短さと、少女でいられる時間みたいなものが自分の中で噛み合って、綺麗だけど儚い=一瞬の輝き、みたいなところから『flash』っていうタイトルを付けて。スケートって等級によって滑る時間が決まってるんですけど、展開も短くまとめて。歌詞も結構気に入ってるんですけど、次の瞬間には今までの私よりも新しくなってるからっていうとことで、“See you next flash.”みたいな。オシャレ(笑)」
 
――でも、甲斐くんは日々そんなこと考えて近所を歩いてるんだね。相変わらずのファンタジー野郎ですね(笑)。
 
(一同爆笑)
 
髙橋「大正解です!(笑) 妖精感がすげぇっす」
 
甲斐「もう絶対に現実的なことは書きたくない!(笑)」
 
――『winter sparks』(M-5)の歌詞には、“I want you to believe once again…such fantasy.”=“そんなファンタジーをもう一度君に信じてほしいんだ”って。何かもう甲斐くんが世に訴えたくて仕方ないっていう感じがしますね。
 
髙橋「歌詞にはそのときの気持ちがアルバムごとに出てるイメージですね。“うわぁ~やっぱり辛かったんだろうなぁ”とか思いながら(笑)」
 
甲斐「歌詞は自分の人生の切り売りだと思ってるんで(笑)。そこに、童話的エッセンスをやっぱり自分は欲しがるんで。物語だったりファンタジーな部分と絡めて。あと、完全新作っていう意味では、『diamond tears』『walking in the rain』『first life』の後に『sons of the sun』(M-2)、最後『tonight』っていう感じだったんですよね。あとは、初期の空気に近いものを作った後に、『sons of the sun』で新しいものを、原点からの発展系を作りたくて。歌詞もバンドの現状報告っていう感じなんですよね」
 
――asobiusを続けさせたものって何だったんですかね?
 
甲斐「僕は杉本くんに“続けてほしい”って言われたのが本当に大きかったですね。僕は5人でasobiusだから、もう解散しようって思ってたぐらいだったんで。それこそ解散したから僕が音楽を辞めるかって言ったら、そうじゃないと思うんで。別のユニットを組んだり、ソロなり何かしらやってたと思う。それでもこのバンドを続けようって思ったのは、そこがすごく大きかった」 
 
――『sons of the sun』の歌詞にある、“I thought we lost everything, but all precious is in our stained hands”=“何もかも失ってしまったと思ったけど、大切な物は全部汚れた手の中に残っていたよ”のラインが象徴的ですけど、asobiusに残ったものって何なんでしょう?
 
髙橋「うちはアレンジも凝ってるとは思うんですけど、やっぱりどうあがいても歌推しのバンドだし、甲斐くんの声推しだと思ってるんですよ。だから、甲斐くんが歌う限り、うちのバンドの核は崩れない。仮にスカをやってもハードコアをやっても、甲斐くんが歌い上げたらasobiusなんだと思えたんで」
 
海北「もっと多くの人に届くはずだし、分かってもらえるんじゃないかっていうのはあったし、その時点で『never never』(M-6)と『yes』(M-10)ができてて、これを世に出さずに終わるのかこのバンドはって」
 
石川「自分が元々好きだったこのバンドをファンとして観させてもらってたとき、やっぱり大きい会場が似合うな、もっと大きいところで観たいなって…そんな中で僕が一昨年前に入って、まだリリースしてない曲もある中で、フルアルバムを出すことへの執着もあって。今作は自分にとって人生で初めて出したフルアルバムになるんですけど、これを出すまでは絶対に諦めないっていう強い気持ちはありましたね」
 
甲斐「asobiusに何が残ったの?って聞かれたら、“男の意地じゃないですか?”みたいなところに尽きるという(笑)」
 
――それこそ、THE COLLECTORSもインタビューで同じことを言ってました。“意地だ”って(笑)。結局、THE COLLECTORSは今年武道館でもやったし、辞めてたら観られなかった景色がやっぱりあるんだなって。後から答え合わせみたいになっちゃうけど。
 
甲斐「その答え合わせが、本当にこの間あって。僕はcuneがきっかけでバンドを始めたんですけど、対バンさせていただくことになって。cuneはボーカルが抜けて一時期活動休止してたんですけど、今はギターの生熊さんがボーカルもやっていて、デビュー15周年のライブに呼んでもらえたんですよね。僕はそこで“あなたたちがきっかけで僕は音楽を始めました”っていう報告ができて。“バンドを守ってくれてありがとうございました”って言えたこともすごく嬉しくて。でも、その機会がもらえたのって、自分が好き好き言い続けてたのはただのきっかけで、メンバーだったり周りの人だったり、周囲の全部の支えありきだったりするんだなって。あのとき辞めないでよかったって本当に思ったし、改めて意地がもう1つ固まって(笑)。これは続けるぞ!って」
 
 
常に最新作=集大成
 
 
――今回のリード曲の『tonight』は、すごくロマンティックな曲ですね。
 


甲斐「『tonight』は踊らせたいわけでもないし、盛り上げるのも違うし、でもバラードじゃないっていう、すごくちょうどいいところというか。周りのシーンを見渡しても誰もこういうことをやってないなと思うとともに、今作で一番の発展系、自分たちらしさを出せたものですね。あと、“4つ打ちはこうやって使うんだよ!”みたいな(笑)」
 
――(笑)。今“『tonight』は”って言ったことって、“asobiusは”でも当てはまる。そういう意味では、今作を象徴してる曲かもしれないですね。
 
髙橋「アレンジもめっちゃ早かったですもん。『tonight』が甲斐くんから出てきたときも、みんなが“クッソ! いい曲じゃねぇかよ~”って(笑)。甲斐くんも“好きにアレンジしちゃっていいよ~ぶっ壊せないと思うから”ぐらいの強い意志があって、そのまんまスッとアレンジしたら、普段はかなり時間が掛かるのにすごいスピードでできて、終わるの早っ!みたいな。それこそ、媚びるとかじゃなくて4つ打ちはノリやすいし弾いてて楽しいからやりたいって言っても、今まではやらせてくれなかったのに(笑)」
 
――ブームが完全に終わってからの解禁(笑)。あと、タイトルを『YES』にしたいと言い出したのは髙橋くんだと。
 
髙橋「『yes』がすごく好きだし、それこそ杉本がいたときからあった曲っていうのも、結構大事な気がしたんですよ。実はこの曲だけ、杉本のギターが入ってるんです。俺には弾けないなって思うギターだったんですよ。で、タイトルが『yes』じゃないですか。“分かりやすくない? 俺、『YES』がいい!”って」
 
甲斐「僕はジャケットのイメージも固まってたんですよ。自分たちのバンドロゴをデザインしたものに、シンプルにアルバムのタイトルを載せる。1曲目にSE的に『introduction』があって、『sons of the sun』が鳴るっていうところで、最初は『sons of the sun』でいいかなって思ってたんですけど、『yes』もすごい好きなんですよ。“どれを聴かせたい?”って聞かれたら全曲聴かせたいんですけど、ちょっと面白がっちゃったんですよね。“『YES』にしたい”って言われたときに“YES”=“いいよ”ってさらっと返す感じを(笑)」
 
――いつもだったらそこを裏切るところを裏切らないという裏切り(笑)。この曲もすごくいい歌詞で。“People are deceived by songs like just the way you are. But if we forget thanks and conscience for others, forgiving our immature lives loses its worth.”=“世間のみんなが 君は君のままでいいって歌に騙されて 開き直って感謝や申し訳なさを忘れたら 未熟な僕らを 許し合う価値なんて無いじゃないか”って…今も映してるし、時代に流されちゃって忘れがちな普遍的な精神もあるし。素晴らしいですね。
 
甲斐「何となく自分の中でこの曲は“ロック!”っていう感じなんですよね」
 
髙橋「あと、現代の音楽シーンで言ったら、バラードって飛ばされがちじゃないですか。すっげぇ名曲なのに飛ばされるのはイヤだったので、何でタイトル曲になってるのか思い知りなさいって(笑)」
 
――あと、この流れで次に『first life』と続いて、歌詞にも“We live in the first owned lives. We aill be able to forgive them”=“誰もが初めての人生を生きている だからきっと許せるだろう”とあって。何でもNOみたいな今の時代に、許すこと、YESと言ってあげること。肯定すること恐れちゃいけないんじゃないかって。今までに音楽的な変遷もいろいろあったバンドですけど、メッセージも含めて、まさに最高傑作ですね。
 
海北「しかも“今まで”ありきっていう感じもありますしね。だからこそ原点回帰とか、そういう発想が出てきたのかなって。違う進化の仕方もできたとは思うんですけど、今までの曲にも感謝しつつ、常に最新作=集大成じゃないですけど、今一番聴かせたいし、一番自信がある曲たちが並んでるので」
 
 
大阪のバンドに間違えられることが本当に多くて
間違えられるぐらいなら大阪でファイナルをやった方がいいでしょうと(笑)
 
 
――今作に伴う東名阪のリリースツアーもありますけど、今回はあえての大阪ファイナルということで。
 
海北「確かに東京のバンド=東京でファイナルでもいいんですけど、もう東京の人たちはそれを経験してるので。俺らも新しいことをしたいし、きっと関西の人たちも喜んでくれるだろうから。わざわざ東京のファイナルに遠方から来てくれてた人もいたので、そういう感謝も含めて、今回は大阪でファイナルをやってみようかなって」
 
髙橋「大阪はやっぱり来てる回数が…もうネタなんですけど、大阪のバンドに間違えられることが本当に多くて。間違えられるぐらいなら大阪でファイナルをやった方がいいでしょうと(笑)。ライブの本数も一番多いのが大阪だし」
 
甲斐「これまでライブをしてきて、イベンターさんだったり関わってくれてる方との結び付きが関西はすごく強くて。そんな中でも、今回のファイナルはPangeaなんですけど、本当にいつもよくしていただいてるんで」
 
髙橋「打ち上げも4バンド中3バンドが関西でも、なぜか俺らが送り出すんですよ(笑)。それぐらい長くいるんで」
 
――ミサイルビール(=1リットル)もすごいよね、あれ(笑)。便利。どうせ呑むから。
 
甲斐「アハハハハ!(笑) 便利っていう感想が怖過ぎる! ホントに」
 
――最後に、転機となる1枚ができて、現時点でのasobiusの未来について言葉をもらいたいなと!
 
甲斐「このアルバムを作ってるときもネタは何となく溜まってきてて、何だったら音とかコードのメモがあり過ぎて困ってるぐらいなんですけど、それを本当に順番に形にしていこうと思ってるんで。英詞に戻したのも、やっぱり世界に向けて音楽やりたいのがすごくあったし、『yes』なんかは特にそうですけど、声を重ねまくったのはスタジアムでやってるのを想像しながら作ったからなので。そこに手が届くようにじゃないですけど、きっとそうなるって信じて。これからのasobiusという意味では、よくスタッフに“半歩先を行く音楽をやりなさい”みたいなことを言われるんですけど、僕は未来から輸入したような音楽をやりたいんですよ。イメージ的には僕だけズルをして100年後の世界に行って、聴いてきた音楽をこっそり持ってくる、みたいな(笑)。それぐらい突っ走ったものやりたい。今は何となく、肉体的な音楽をもう少し発展させて作りたいなとか、ちょっとメロコアにも興味があったりするんで(笑)」
 
髙橋「今、聞きながらヒヤヒヤしてますからね!(笑) マジかよ~そっちいっちゃう!?」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2017年9月15日更新)


Check

Movie Comment

各人の推し曲とPangeaのある噂(笑)
asobiusからの動画コメント!

Release

“原点回帰と進化”をテーマに
音も言葉もアップデートした最高傑作

Album
『YES』
発売中 2500円(税別)
RX-RECORDS / UK.PROJECT
RX-133
※デジパック仕様

<収録曲>
01. introduction
02. sons of the sun
03. flash
04. tonight
05. winter sparks
06. never never
07. walking in the rain
08. dark gazer
09. diamond tears
10. yes
11. first life

Profile

アソビウス…写真左より、海北真(b)、甲斐一斗(vo)、石川直吉(ds)、髙橋真作(g)。'11年10月頃結成。'13年5月、1stミニアルバム『Rainbow』をリリース。透明感溢れる甲斐の歌声と激しくも美しく緻密に構築されたサウンド、独特で叙情的なメロディセンスと世界観が多方面から注目を浴び、デビュー作ながら“タワレコメン”、“HMV激押しインディーズPICKUP”に選ばれる。また、収録曲『I’m in the love』が関西テレビ『音エモン』6月度エンディングテーマ、関西テレビ『ミュージャック』6月度パワープッシュに選ばれる。9月にはタワーレコード限定ワンコインシングル『starlight』をリリース。力強くかつ叙情的なメロディにダンサブルなリズムが話題の楽曲『starlight』が、ニッポン放送優秀新人9月度、TOKYO FM『RADIO DRAGON』・FM GUNMA『KAMINARI RECORDS』9月度エンディングテーマ、MRT宮崎放送・FM nagasaki 9月度パワープレイなどに選ばれ、瞬く間に全国に知れ渡り品切れ店が続出。12月には初の自主企画ライブ『Rave LOVE-to-LOVE』ツアーを東名阪で開催し、大成功を収める。'14年3月、世界的にも異例となる英語詞版と日本語詞版を同時収録した1st アルバム『pray&grow』をリリース。6月に代官山UNITにてリリースライブ『life is growing』を、12月にはバンド史上初となるワンマンライブ『little revolution』を開催。'15年2月に発売した3rdシングル『window』が“い・ろ・は・す~ビッグドロップ篇~”のCMタイアップに決定。'15年4月、石川が加入。2ndアルバム『ultralium』をリリース。収録曲『moments』が“ムラサキスポーツ MIZUGI collection 2015 CMソング”に、『love of blue』が同“PVソング”に決定。 '16年4月、2ndミニアルバム『parade of life』を発売。『parade of life release tour “asobi parade”』と夏のイベントを最後に杉本広太(g)が脱退。’17年7月19日には、新体制初音源となる3rdフルアルバム『YES』をリリース。9月には東名阪ツアー『asobius tour 2017 “we need YES”』を開催。

asobius オフィシャルサイト
http://asobius.com/

Live

東名阪対バンツアーファイナルは
いわくつきの(!?)大阪Pangeaで!

 
『asobius tour 2017 “we need YES”』

【東京公演】
チケット発売中 Pコード337-218
▼9月9日(土)18:00
TSUTAYA O-nest
スタンディング2800円
[共演]カフカ
Livemasters Inc.■03(6379)4744
※未就学児童は入場不可。
 小学生以上はチケット必要。



【愛知公演】
チケット発売中 Pコード337-218
▼9月16日(土)18:00
ell.SIZE
オールスタンディング2800円
[共演]Hello Sleepwalkers
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100
※小学生以上有料。未就学児童は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード337-262
▼9月18日(月・祝)18:00
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング2800円
[共演]PELICAN FANCLUB
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。
 小学生以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


Column

「今作でやっと迷いが晴れた」
盛り上げるバンドではなく
圧倒するバンドを目指して
asobiusのロマンとピュアネスを
詰め込んだ美しき宝箱
『parade of life』インタビュー

Comment!!

ぴあ関西版WEB音楽担当
奥“ボウイ”昌史からのオススメ!

「ライターさんにインタビューを任せ編集者として取材に立ち会い、最後にポロッと感じたことを伝えたら意気投合、みたいなことがたまにあるんですが、asobiusもまさにそれ。だから今回は私めが担当でございます(笑)。今作はメンバーの脱退を機に、シーン云々ではなくファンタジー野郎・甲斐くんが(笑)本領を発揮した作品で、まぁ~好きなことをやってます。でも、やっぱり好きなことじゃないと勝てないし、いいものはできない。そんなことを『YES』を聴きながら改めて感じさせられましたよね。だって、今作は自らの嗜好性を存分に反映させたサウンドのみならず、メッセージが本当に秀逸。インタビュー中にもちょいちょいピックアップしましたが、歌詞も素晴らしいです。ちなみに裏話としては、『never never』(M-6)のリリックビデオが前作のリリースタイミングですでに公開されてましたが、こちらのギターは脱退した杉本、今回の収録曲は髙橋、コーラスも増加とリニューアル。超マニアックですが聴き比べてみるのも面白いかと。あぁ、原稿書きながら彼らと呑みたくなってきました(笑)。皆さんもツアーファイナルのPangeaで、ミサイルビールをぜひお試しください(笑)」