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「lynch.はもう自分たちだけのものじゃないなって」
J、人時、T$UYO$HI、YOSHIHIRO YASUI、YUKKEら
豪華ベーシストが参加した再生の『SINNERS-EP』携えツアー中!
葉月(vo)&晁直(ds)インタビュー&動画コメント

 昨年末のメンバーの逮捕、そして脱退という衝撃的な出来事から活動を自粛していたlynch.が再び動き出した。「なかったことにするわけではなく、背負ってやりますっていう意思表示」(vo・葉月)も込めた新作『SINNERS-EP』では、快くオファーを受けてくれたというJ、人時、T$UYO$HI(The BONEZ/Pay money To my Pain)、YOSHIHIRO YASUI(OUTRAGE)、YUKKE(MUCC)という豪華ベーシスト陣を招き、作品を作り上げた。マイナスをマイナスのままにするのではなく、少しでもプラスへ――そんな野心をも感じさせてくれたlynch.を代表し、リリースツアー中の葉月と晁直(ds)が心情を語ってくれた。

 
 
選択肢は一択で“やる”
 
 
――再びお会いできてよかったです活動再開まではどんな気持ちでいたんですか?
 
晁直(ds)「ただ凹んでてもしょうがないですし、lynch.が終わるとは思ってなかったので、漠然と“始動するときはどうしよう?”ということを考えつつ自粛していました」
 
葉月(vo)「僕も選択肢は一択で“やる”しかなかったんですけど、どうやって復活しようか、復活ライブをどういうものにして、どこでやるのか? それにはCDがいるよなっていうところで、どうやったら面白いものができるかをずっと考えてました。そこから1曲ごとにベーシストを変えるアイディアに行き着くんですけど、ネガティブなことは全然考えてなかったですね」
 
――バンドとして勢いに乗っていた時期だけに、ダメージは大きかったのでは?
 
葉月「もどかしくはありましたけど、その勢いが消えたとも正直思ってないし」
 
晁直「あと、明徳(元b)が捕まった後、ファンクラブの人数が異常に増えたらしくて」
 
葉月「あのニュースをきっかけに知った人もいたでしょうし、単純に好きだったけどファンクラブに入るまでではなかった人たちが、“バンドを終わらせるわけにはいかない”って、lynch.を支えようとしてくれているのがすごく伝わってきて。そういう反応も自信につながったというか」
 
――これまでlynch.とファンの間で築き上げてきた絆が感じられますね。
 
葉月「自粛中はツイートも滅多にできない状態だったんですけど、誕生日にひと言だけ呟いたら、みんなが“おめでとう”ってすごいリプライをくれて。それに対してまた“ありがとう”ってひと言だけ書いたら、それがまた何千リツイートにもなったり…メンバーが脱退して普通に復活だったらマイナスだと思うんですけど、そこを何とか工夫して、“おっ!”っと思わせたかったんですよね」
 
晁直「メンバーが抜けた事実はものすごく大きいですし、そこから復活するのは繊細な問題なはずだから、復活1枚目のCD、1本目のライブはものすごく重要なんだろうなとは考えてましたね」
 
――その新木場STUDIO COASTでの再始動ライブは、チケットがソールドアウトして。
 
葉月「注目が集まってたから興味本位で観に来る人も多いだろうと思ってたんですけど、ファンクラブ先行でキャパの9割が埋まったんですよ。興味本位の人よりも圧倒気にコアな人が多くて、そこでもlynch.を支えてくれようとしてくれてるのが伝わってきて…。そこが一番グッときましたし、ライブをやってみたら思ったよりも笑顔の人が多かったので、よかったなって思いましたね」
 
晁直「ものすごく重要なライブになったと思います。自粛でスタッフも含めみんなの予定がぶっ飛んだわけで。それなのに、また再生に向かっていろいろ動いてくれて、ああいう場を用意してくれたことにものすごくありがたみを感じたし、そういう意味でもライブ1本の重要性も再認識しましたね」
 
葉月「lynch.はもう自分たちだけのものじゃないなって思いました。そもそも、自分たちが好きで組んだものじゃないですか。でも、それだけじゃ済まない存在になってたんだなって。そういうことを自粛中に考えていて、新木場をやったことでそれが確信になった。僕らの都合だけで終わらせていいものじゃないなって」
 
 
急いでこの穴を埋めようとも思わないし、埋まらないと思う
 
 
――重要なライブに続き、重要な再始動一発目の作品が『SINNERS-EP』ということで。なかなか意味深なタイトルを付けられていますが。
 
葉月「『SINNERS』=“罪人”ですからね。なかったことにするわけではなく、背負ってやりますよっていう意思表示。曲によってテーマは全然違うんですけど、『TRIGGER』(M-2)は事件後とこれからを分かりやすく歌っている曲で、『SORROW』(M-6)はあえて明徳の立場になって歌詞を書かせてもらいました。あいつは今、発信できないじゃないですか。でも、思うことはあるはずだから、あいつの気持ちになって歌ってみることで、ファンの子たちの中で消化されればいいなって。僕らは今でも全然連絡を取るし状況も知ってるからいいですけどファンは分からないので、心配してる子もいるかもしれないので」
 
――それにしても各曲の参加ベーシストが豪華ですよね。この5人になったのは?
 
葉月「まず頭に浮かんだのがJさんと人時さん。この2人にはどうしてもやってほしくて…というのも、完全に僕のルーツになってる人だし、大事なタイミングなので絶対にお願いしたいなって。Jさんとは去年東京で対バンさせてもらっていたので、“こういうことになってしまいました”っていう報告と、“今こういう企画があって、ぜひJさんにやってほしいんです!”っていう内容の、ものすごい長文メールを1時間くらいかけて作ったんですよ。それを勇気を出して送ったら、割とすぐに2行くらいのシンプルなメールで“了解”って(笑)。きっと無理だろうな…って思いながら送ってるからビックリしたんですけど、そこから曲を作り出した感じですね」
 


――ということは、『TRIGGER』はJさんの参加が正式に決まってから作られた曲なんですね。Jさんのベースがすごく映えているなど感じたので。
 
葉月「曲自体をJさんありきで考えていたので、僕が一番好きなJさんのビート感をもとに作っていって、ベースソロも完全にファン目線で入れました(笑)。フレーズはお任せで関与してないですけどね。人時さんは、ニュースが出てすぐに“何か困ったことがあったら手伝いますよ”って連絡をくれて…じゃあ、早速なんですけど――ってお願いしました(笑)。T$UYO$HIさんは僕がP.T.P(=Pay money To my Pain)のアルバム『gene』(‘13)に歌で参加していたので、“あのとき歌ったじゃないですか。だからお願いしていいですか?”ってオファーして(笑)。“断る!”って言われましたけど、やってもらいました(笑)。YASUIさんは、曲が出揃ってきてからもまだベーシストが決まってないときに、sadsのGO(ds)さんが打ち上げの席で“YASUIさんいいよ、名古屋だし”ってその場でメールし出して、僕がご本人と連絡を取り合う前にOKが出ました(笑)。YUKKEさんは悠介くん(g)からのオファーで僕は特に絡んでないですけど、すごくよかったですね」
 
――YASUIさんは同郷の先輩なので決まるのが早かったのかなと思ってたんですけど、その流れは意外でした(笑)。
 
晁直「それぞれ主張する部分が随所に出ていて面白いと思ったし、ベースが変わるだけでこんなにノリが変わるのかと思い知らされたのはありますね。自分たちの曲ながら楽しんで聴けます」
 
――今回は音源にせよ復活ライブにせよ、サポートベーシストを1人に絞らなかったのは、面白さ以外にも理由はありますか?(※ライブでは人時、Ryo(defspiral)、天野攸紀、Natsuki(ex.DuelJewel)の4人がサポートベースとして参加) 
 
葉月「CDに関してはインパクトが欲しかったのはあったんですけど、ライブを4人で回したのは理由があって、明徳のファンの人がライブを観てサポートベースシストが1人だと、“違う人になっちゃった、もういないんだ”っていう想いが強くなっちゃうというか…。ベーシストが入れ替わり立ち替わり変わったら気が紛れるし、楽しく観られるのかなっていうのもあったし、あとは多分1日でベーシストが4人変わるライブってあんまりないと思うから、ニュースを出したときにパンチがあるなと思って。“抜けたことを逆手に取ってやってるな”って思ってほしかったっていう」
 
――なるほど。とは言え、やはりファンへの配慮もあったんですね。
 
葉月「そこが一番強いかな。もうつらい、観てられないと思われたらイヤなので。なるべくファンの人にはそういう想いをしてほしくないし、やっぱりライブは楽しくないと。今は正式メンバーを入れる話もないし、この4人で完成形ですって言うつもりもないです。急いでこの穴を埋めようとも思わないし、埋まらないと思う。だから当分、この形でやっていこうと思ってますね」
 
 
ライブを観てもらえたら、絶対に気持ちは晴れると思ってるので
 
 
――いろんなことがあって、目標だったり、夢は変わりました?
 
葉月「変えざるを得ない部分はありますけど、さらに上にっていう気持ちは変わってないですよ。それ以外では、X-JAPANさんが世に出てきたときの空気感というか…ヴィジュアル系というシーンはあるんですけど、また新たなムーブメントを作りたいし、その第一人者になりたい。語弊はあるかもしれないですけど、化粧をしていて、ちゃんと世界観があって、それでいてカッコいいバンド。それを次のアルバムで僕が勝手に作ろうとしてるんですけど(笑)」
 
晁直「堅実に一歩一歩進んでいくのは変わらないし、気付いたらシーンで浮いてたのはいいことだと思うので、それを活かしつつやっていけば何者かになれるのかなと思ったり。ただ最近、ヴィジュアル系と呼ばれるバンドの入れ替わりがすごく激しいし、こういうジャンルが軽視されていくのは何だかなと思ったりもするから。X-JAPANさんとかLUNA SEAさんとか大御所はいるけど、中堅どころではまだ穴がいっぱいあるから、そこに入っていきたいですね」
 
――ツアーについても聞かせてください。今回は細かく回るなと思ったのですが…。
 
葉月「関西圏が全然ないっていう(笑)。正直、元々はもっと地方に特化したツアーだったんですよ。これでも主要都市を増やしたんです」
 
晁直「嫌がらせではないです(笑)」
 
――ファイナルは初の日比谷野外大音楽堂ということで。やはりステップアップしていく上で目標の1つでした?
 
葉月「東京のバンドではないので、実は思い入れはそこまでないんですけどね。ただ、うちの母が昔追っかけてたチャコとヘルス・エンジェルっていう70年代のバンドが、野音で解散したらしいんですよ。だから、“ついにたどり着いたか、絶対に行く”ってすごい喜んでました(笑)」
 
――最後に、今回のツアーを通して伝えたいことはありますか?
 
晁直「1人欠けましたけど変わらずにやりたいし、やっていかないといけないと思ってます。ファンの皆さんもそれを期待してると思うので。もちろん謝罪の気持ちもありますし、明徳が抜けて悲しい人もいるでしょうし、どう感じるかはその人次第ですけど、1回ライブを観に、何かを感じ取りに来てもらえるたらいいなぁと思うんです。ファンのみんなからSNSだったり手紙をもらったりするんですけど、いろんな意見があるんですよ。激励も、もちろん怒りも。ライブに来たら何かが変わると思うから、そこは一度観に来てほしいですね」
 
葉月「いろいろありましたけど、ライブは、音楽は、やっぱり娯楽なので、楽しくないと意味がないというか、それを伝えられるようなライブにしたいと思ってます。まだモヤモヤしてる人もいると思うんですけど、ライブを観てもらえたら、絶対にそういう気持ちは晴れると思ってるので」
 
晁直「あと、BIGCATは平日なんで、関西の皆さん集結してください(笑)」
 
 
Text by 金子裕希
 




キングレコード宣伝担当:羽村萌さんからのオススメ!
 
「今年4月に行われた復活ライブから5月の『SINNERS-EP』リリースを経て、全国を細かく回ってきたワンマンツアーも終盤に差し掛かかって参りました。最近のlynch.のファン層は幅が広く、ヘドバンで長い髪を振り乱す女子、ディッキーズのハーパンを履いてサークルモッシュする男子、海外から駆けつけるファンも多く、英語の声援も飛び交います。“今のlynch.は不完全。志半ばの夢がある”というメンバーの高い意識を胸に、さらなる飛躍を目指してラスト3会場に挑みます! 秋ツアーの参戦も是非マストで!!」

(2017年8月 1日更新)


Check

Movie Comment

平日の恐怖と大阪の地理とカレー(笑)
葉月(vo)&晁直(ds)の動画コメント

Release

5人の強者ベーシストが闘魂注入!
lynch.復活後初音源が発売中

Mini Album
『SINNERS-EP』
発売中 1852円
キングレコード
KICS-3497

<収録曲>
01. SIN (instrumental)
02. TRIGGER feat. J
03. BLACK OUT DESTROY feat. 人時
04. KALEIDO feat. T$UYO$HI
05. DIES IRAE feat. YOSHIHIRO YASUI
06. SORROW feat. YUKKE

Profile

リンチ…写真左より、悠介(g)、晁直(ds)、葉月(vo)、玲央(g)。’04年8月に葉月、玲央、晁直の3人によって結成され、同年12月27日の名古屋クラブクアトロ公演(シークレット)からライブ活動をスタート。’11年6月にはアルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャーデビューを果たした。’13年8月リリースのミニアルバム『EXODUS-EP』よりダークでヘヴィなサウンドを追求することに舵を切ったのを機に着実に動員を増やし、昨年9月にはなんばHatch、Zepp Nagoya、豊洲PITで東名阪完全無料ライブを敢行。多くの観客が詰めかけ話題を呼んだ。勢いに乗る中、昨年12月に明徳(b)が不祥事を起こし、後に脱退。これを受け活動自粛をしていたが、今年4月に行った新木場STUDIO COASTでのワンマンライブ『THE JUDGMENT DAY』で4人での活動を再開。5月31日には復活後初音源となる『SINNERS-EP』を発表。現在は4人のサポートベーシストとともに全国ツアー『THE SINNER STRIKES BACK』に臨んでいる。

lynch. オフィシャルサイト
http://pc.lynch.jp/

Live

リリースツアー終盤戦で大阪へ!
さらには秋のツアーも新たに発表!!

 
『TOUR'17
「THE SINNER STRIKES BACK」』

【神奈川公演】
▼6月9日(金)CLUB CITTA'
【鳥取公演】
▼6月17日(土)米子laughs
【岡山公演】
▼6月18日(日)YEBISU YA PRO
【福岡公演】
▼6月20日(火)DRUM Be-1
【熊本公演】
▼6月22日(木)熊本Django
【宮崎公演】
▼6月24日(土)宮崎SR BOX
【大分公演】
▼6月25日(日)DRUM Be-0
【山口公演】
▼6月27日(火)周南LIVE rise
【愛媛公演】
▼6月29日(木)松山サロンキティ
【高知公演】
▼7月1日(土)高知X-pt.
【徳島公演】
▼7月2日(日)club GRINDHOUSE
【山梨公演】
▼7月9日(日)KAZOO HALL
【埼玉公演】
▼7月11日(火)HEAVEN'S ROCK
さいたま新都心 VJ-3
【茨城公演】
▼7月12日(水)水戸ライトハウス
【北海道公演】
▼7月15日(土)北見オニオンホール
▼7月16日(日)CASINO DRIVE
▼7月18日(火)KRAPS HALL
▼7月20日(木)club COCOA
【青森公演】
▼7月22日(土)Quarter
【秋田公演】
▼7月23日(日)Club SWINDLE
【宮城公演】
▼7月25日(火)仙台 darwin
【栃木公演】
▼7月27日(木)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
【石川公演】
▼7月29日(土)金沢AZ
【富山公演】
▼7月30日(日)富山MAIRO

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード330-946
▼8月3日(木)19:00
BIGCAT
オールスタンディング4860円
夢番地■06(6341)3525
※未就学児童は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【愛知追加公演】
▼8月5日(土)ダイアモンドホール

Pick Up!!

【東京公演】

チケット発売中 Pコード339-958
▼8月11日(金)17:30
日比谷野外大音楽堂
指定席5400円
[共演]人時(b)/Ryo(b)/天野攸紀(b)/Natsuki(b)
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。3歳未満でも席が必要な場合はチケット必要。雨天決行、荒天中止。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
 
『lynch. 2017 秋ツアー』New!

【東京公演】
▼10月20日(金)EX THEATER ROPPONGI
【愛知公演】
▼10月31日(火)ダイアモンドホール

Pick Up!!

【大阪公演】

▼11月4日(土)なんばHatch

【静岡公演】
▼11月12日(日)Live House 浜松 窓枠
【福岡公演】
▼11月19日(日)DRUM LOGOS
【宮城公演】
▼12月1日(金)仙台Rensa
【新潟公演】
▼12月2日(土)NIIGATA LOTS
【香川公演】
▼12月9日(土)高松オリーブホール
【広島公演】
▼12月10日(日)広島クラブクアトロ
【北海道公演】
▼12月16日(土)ペニーレーン24
 

Column1

「『AVANTGARDE』は作品名と
 言うより今のlynch.を表す言葉」
凶暴性が加速する作品とライブを
葉月(vo)&晁直(ds)が語る

Column2

結成10周年を駆け抜けるlynch.の
3ヵ月連続リリースを締め括る
無敵の轟音『D.A.R.K.
-In the name of evil-』!
玲央(g)と晁直(ds)が語る

Column3

結成10周年に贈る美しき轟音ベスト
『10th ANNIVERSARY
 2004-2014 THE BEST』
そして初の東名阪ホールツアーへ!
悠介(g)&明徳(b)が10年の裏話と
バンドの志を語るインタビュー

Column4

泣く子も黙るへヴィなサウンドで
遂にメジャーフィールドへ進出!
lynch.が語るデビューアルバム
『I BELIEVE IN ME』制作秘話