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「私が今まで触れてきた音楽の記憶みたいなものが詰まってる」
ドラマ主題歌やスキマスイッチとのコラボも話題の若き才媛が
その才能と可能性を宿した『anly one』携え初の全国ツアーへ!
Anlyインタビュー&動画コメント

 メジャーデビュー曲『太陽に笑え』(‘15)がドラマ『サイレーン刑事×彼女×完全悪女』の主題歌となり、その後のシングルも続々とドラマやアニメの主題歌として脚光を浴びたAnly。最近では、5thシングル『この闇を照らす光のむこうに』(‘17)(ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』のエンディング曲)でのスキマスイッチとのコラボも話題となった。それらの先行シングル曲と未発表曲で構成された待望の1stアルバム『anly one』は、「高校3年生の終わりに、シンガーソングライターになるぞ!って決意したときの曲」という『太陽に笑え』で幕を開ける。熱く揺さぶるパワフルなロック/ポップチューンから、フォークやカントリーテイストが漂う素朴であたたかみがあるナンバーまでの全14曲。驚くべきはその全てが10代で書かれているということ。ナチュラルな響きの中にダイナミズムを感じさせるボーカルも圧巻だ。そんな彼女にデビューから現在までを振り返ってもらいつつ、1stアルバムとツアーについてインタビュー。J-POPの枠に収まらない自由な感性と音楽への純粋な情熱に引き込まれた。



誰かに向けて歌ってはいるんですけど、常に自分に向けても歌っている
 
 
――高校卒業後に上京されたそうで、それまで暮らしていた沖縄と異なる環境に慣れるまでは大変だったのでは?
 
「東京の街並も好きで最初はワクワクの方が大きかったんですけど、電車とか慣れない乗り物に乗ったり、人の歩くスピードが速いなと思うようになってからは、沖縄に帰りたいな…って一瞬思ったりもしたんですけど(笑)、だからこそ頑張れる、みたいな。曲調も、沖縄にいた頃はスローやミディアムが多かったんですけど、上京してからはテンポも速くなって、使っている言葉とか鳴っている音も鋭くなったので、影響を受けやすいんだなって思いました。あとは、以前は歌詞から書くことが多かったのが、メロディから書くことが増えたり…。多分、東京では真夜中でもサイレンが鳴ってたり、人の話し声が聞こえてきたり、音の刺激が多いからかなって。故郷の伊江島ではトラクターの音か、鳥の声ぐらいしか聞こえてこないので(笑)」
 
――メジャーデビューから約1年半。満を持して1stアルバム『anly one』が完成しましたが、今作の中で沖縄時代にすでに作られていた曲というのは?
 


「実は、ほとんどが沖縄にいるときに作った曲なんです。東京に行ってからできたのは『FIRE』(M-2)『この闇を照らす光のむこうに』(M-4)『Don't give it up!』(M-12)『EMERGENCY』(M-13)で、『カラノココロ』(M-7)はメロディは沖縄で固めていたので半々という感じですね。この曲は、私が沖縄で過ごしていた頃に聴いた音楽と、東京に行ってから出会った音楽がミックスされてできた曲なんです。私にとって音楽的にターニングポイントを迎えた曲になっています。その他の多くは高校生の頃に歌っていた曲で、早くCDにしたいなと思っていた曲たちを入れています。その中では、『サナギ』(M-5)『だから』(M-9)『レモンティー』(M-10)が素の私というか…(笑)。『太陽に笑え』(M-1)とか『EMERGENCY』のような力強い曲は、私の心の奥底にある、根っこになっている音楽を引っ張り出して表現している感覚ですね。伊江島にいた頃は、父が聴いていた(エリック・)クラプトンやZZトップ、CCRとかを聴いて育っていたので、ロックが自然に体の中に染み込んでいて」
 
――ちなみに、現在はどんな音楽を聴いているんですか?
 
「今一番好きなのはエド・シーランですね。新しいアルバムも聴きこんでますし、バンド系ではフォール・アウト・ボーイのようなロック色が強めのものとか、ラップも聴きます。最近はジョン・デンバーも聴いたりして、アコースティックって素敵だなぁと思って。沖縄では米軍のラジオが流れていて、『アメリカン・カントリー・カウントダウン』っていう番組を聴くのがすごく好きでした。中学生のときは母に“カントリー歌手になりたい!”って言っていたぐらい(笑)。アイリッシュの音楽も好きなので、そういう節回しとかメロディにあるいいところは、どんどん取り入れていきたいなと思っています」
 
――Anlyさんのボーカルはナチュラルであたたかみがあって、スケールを感じます。
 


「あまり意識したことはないんですけど、合唱をやっていたことがあってオペラのような曲も歌っていたので、そういうものも私の中に染み付いているからかもしれないです。高校の先生に『アヴェ・マリア』を薦められて、それがきっかけでイタリア歌曲が好きになって歌うようになったんです。私の曲の中には『カラノココロ』みたいに低音からいきなり高音に飛んじゃったりする曲があるんですけど、イタリア歌曲にもそういう起伏の激しさがあるので、その影響が出てるんだと思います(笑)。合唱の楽譜でも、“好きなタイミングで声を出す”とか、曲のテーマが不思議なものが多いんです。感情の起伏も多かったり、歌うのはとっても難しいですけど、余韻がすごく気持ちよくて」
 
――歌詞に関しては、どのように書いているんですか?
 
「歌詞を書くときはずっと自問自答してますね。聴いてくれる人に届けたい想いが一番なんですけど、自分がどう思うかも大切で。誰かに向けて歌ってはいるんですけど、常に自分に向けても歌っているので。そうじゃないと歌ってる意味がないというか…。そこから生きる活力が生まれるので、本当に生活の一部みたいなものを意識しています」
 
 
東京以外ではバンド編成でライブをやったことがないので、すごく楽しみ
 
 
――『anly one』に収録されている楽曲が作れられたのはいつ頃ですか?
 
「高校1年生の終わりぐらいから19歳までで、『この闇を照らす光のむこうに』が10代最後に作った曲ですね」
 


――この曲はスキマスイッチとのコラボ曲ということでも話題を集めましたね。
 
「本当に頑張って作ってよかったと思います。これはストーリーのある1曲を、大橋(vo&g)さんと私で分けて歌おうよということになって、デュエットというよりコラボ曲としてスキマスイッチさんと3人で作った曲ですね。曲を作るときもデータのやりとりではなく、実際にスキマスイッチさんと一緒にスタジオに入って、そこでメロディを作って歌詞を書いていったんです」
 
――この曲は子供たちへのメッセージのようにも聴こえますね。
 
「制作中に常田(p)さんとそんな話になりました。“僕たちはドラマにリンクさせて書いているけど、今、イジメですごく悩んでる子たちもいるし、歌っているうちにすごく深い曲になっていくんじゃないかな”とおしゃっていました」
 
――アコギの音色が優しくフォーキーな趣の『レモンティー』も、とても印象的です。
 
「この曲はドラムもベースも全部自分でやっていて、初めてそういうことに挑戦してみました。今後もアルバムの中に1曲は、そういうふうに全部自分で演奏する曲も入れていきたいです」
 
――ラストの『Come back』(M-14)は、故郷のことを思って書いた曲ですか?
 
「このアルバムの中で一番古い曲で、伊江島のことを思って書いた曲です。伊江島には中学校までしかないので、それからは沖縄の高校に進学して生活していたときに、島に帰りたくなって…。もしかしたら私の同級生も同じようなことを思ってるのかなって、お互いのエールになれたらいいなと思って書いた曲ですね。(アルバムを通して)いろんな曲を聴いてもらったけど、Anlyは伊江島の人ですよっていう、ルーツを最後に感じてもらいたいなと思って」
 
――この曲はちょっと民謡のような節回しで歌っていますね。
 
「私は全然意識してなくて、ただただ歌っていただけなんですけど(笑)。みんなに言われて、そうなんだって」
 
――今作が完成して、ご自身ではどんな1枚になったと思いますか?
 
「このアルバムには私が今まで触れてきた音楽の記憶みたいなものが詰まってる。カントリーも沖縄の民謡もオペラも合唱曲もブルースも全部好きなので、それが全て混ざり合ったものが『anly one』には出てるかなって思います。その中には『カラノココロ』のように2ndアルバムにつながるような新しい試みの曲もあり、ロックだけではなく、もっと面白いことに挑戦してみたいんだっていう意思表示でもあります。聴いてくれた人たちからどんな反応が返ってくるのか、すごくワクワクしています」
 
――音楽性が深く豊かなAnlyさんには、世代を超えたリスナーを引き寄せる力があるんじゃないかと感じます。
 
「嬉しいです。ライブに来てくれる方もすごく幅広くて。インストアライブでは2歳ぐらいの子がCD買いに来てくれたりするし、高校生もいれば、すごく年上の方もいるんです。もちろん同年代の人にも聴いてほしくて、一緒に成長できるような曲も作っていきたいなと思うんですけど。音楽は国境も越えるし、世代も超えていけたらいいなと思って。そういう意味では、自由にいろんな時代の音楽を取り入れながらやりたいなと思います」
 
――6月からスタートする1stツアーに向けてはどうですか?
 
「ベース、ドラム、ギターと私の4人で回ります。私もアコギとエレキとループペダルも使ったりして、いろんなセクションで楽しめるようなセットリストにしたいと思ってます。東京以外ではバンド編成でライブをやったことがないので、すごく楽しみですね。ロックな面もあるんですけど、アコースティックギター1本で見せる弾き語りのセクションもあります。基本はアルバムの曲を中心に考えていますが、最近はアコギ1本でカバーをするのがすごく好きなので、会場によって違うカバー曲を入れてやっていけたらいいなとも思ってます。楽しみにしていてください!」
 
 
Text by エイミー野中
 




(2017年6月 9日更新)


Check

Movie Comment

まさに才色兼備な佇まいにウットリ
Anlyからの動画コメント!

Release

大器の予感を宿した1stアルバムは
タイアップ曲を多数収録した充実作!

Album
『anly one』
発売中 2700円(税別)
Sony Records
SRCL-9381

<収録曲>
01. 太陽に笑え
02. FIRE
03. 笑顔
04. この闇を照らす光のむこうに
05. サナギ
06. 傘
07. カラノココロ
08. Enjoy
09. だから
10. レモンティー
11. いいの
12. Don't give it up!
13. EMERGENCY
14. Come back

Profile

アンリィ…’97年1月、沖縄生まれ。沖縄本島からフェリーで約30分、北西に浮かぶ人口約4000人、風光明媚な伊江島出身、20歳のシンガーソングライター。中学卒業までPCもインターネットも家庭にはない情報が閉ざされた南の島で、音楽好きの父が持ち帰るブルースやロックのCDを聴き、ギターをオモチャ代わりに爪弾く日々を過ごす。島には中学までしかないため、 高校進学のために転居した那覇市内で弾き語りライブをスタート。 高校を卒業した年、’15年11月にドラマ『サイレーン』主題歌に大抜擢、『太陽に笑え』でメジャーデビュー。デビュー前には黒板チョークアートで話題となった大塚製薬『カロリーメイト』CMにも起用される。アコギ1本で空気を一変させる力を持つ、今最も注目されているシンガーソングライター。‘17年4月26日には、1stアルバム『anly one』をリリース。『Anly 1st Live Tour 2017“anly one”』が6月9日(金)からスタートする。

Anly オフィシャルサイト
http://www.anly-singer.com/

Live

初の全国ツアーは完全ソールドアウト
夏にはフジロックに初出演も!

 
『Anly 1st Live Tour 2017 “anly one”』

【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月9日(金)ell.SIZE

Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼6月10日(土)18:00
南堀江knave
オールスタンディング3500円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。
小学生以上は有料。

【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月17日(土)原宿アストロホール
【沖縄公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月18日(日)桜坂セントラル
【東京追加公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月23日(金)原宿アストロホール

『FUJI ROCK FESTIVAL '17』
チケット発売中 Pコード332-968
▼7月29日(土)11:00
苗場スキー場
7月29日券19000円
7月29日券+キャンプ22000円
(キャンプサイト券は1名分/開催期間中有効)
[出演]APHEX TWIN/LCD SOUNDSYSTEM/CORNELIUS/THE AVALANCHES/小沢健二/くるり/TEMPLES/THE AMAZONS/CHRONIXX/Cocco/DAY WAVE/DEATH GRIPS/ELVIN BISHOP/The fin./ゴールデンカップス/A GUY CALLED GERALD/H ZETTRIO/Jake Shimabukuro/The Lemon Twigs/THE MARCUS KING BAND/MONDO GROSSO/never young beach/NINA KRAVIZ/PUNPEE/THE RAMONA FLOWERS/サンボマスター/石野卓球/10-FEET/WESTERN CARAVAN/他
※必ずオフィシャルHPの注意事項を確認の上ご購入下さい。中学生以下は保護者同伴に限り無料。出演者は都合により変更の可能性あり。雨天決行。他に通し券(Pコード:782-655)・キャンプサイト券(Pコード:782-654)・駐車券(3000円/1日分)もあり。駐車券は必ず入場券と同時購入。駐車券は1日1台につき1枚必要。駐車券とのセット購入の場合はにて受付。駐車券のみでの購入不可。

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Comment!!

ライター・エイミー野中さんからの
オススメコメントはこちら!

「Anlyを初めて生で観たのは’15年の秋のミナミホイールで。その情感豊かな弾き語りに一瞬で引き寄せられ、それ以来、Anlyという存在は私の中に強くインプットされたのでした。で、やっと実現した今回のインタビュー。オーセンティックな洋楽のロックやブルースなどに通じるバックグラウンドについては前知識があったのですが、10代で合唱をやっていてイタリア歌曲なども好んで歌っていたというのは初耳。フォークやカントリー系譜の牧歌的な温かみも感じさせつつ、それだけには収まらない柔軟性やスケールの大きさがあり、今まで日本にいなかったタイプの女性シンガーソングライターだなと実感しました。都会から遠く離れた伊江島という環境で育ったことも大きいようで、感受性豊かな天然のパワーを感じさせるアーティストです。弱冠20歳の彼女の音楽人生はまだまだ始まったばかり。これからどんなふうに進化していくのか、とっても楽しみです!」