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「今のKEMURIにとって一番カッコいいモノ」
今なお前進するスカパンクの王者の現在進行形を刻んだ
『FREEDOMOSH』を手にいよいよツアーも後半戦へ!
伊藤ふみお(vo)インタビュー&動画コメント

 昨年には初となる英国ツアーも行い、改めて日本が世界に誇るスカパンクの雄として国内外で精力的なライブ活動を行いながら新たな高みを示し続けるKEMURI。’12年の再結成後では4枚目、通算12枚目となった最新アルバム『FREEDOMOSH』は、海外の盟友バンドたちを招いて自らが主宰するイベント『SKA BRAVO』の開催や昨年のUK~USツアーでの経験を反映しながら、よりソリッドかつ多彩さを増したバンドの現在進行形を伝える快作となっている。アコースティックなアレンジやロック色の強いグルーヴを示した新展開なども盛り込みながらより自由度を増したサウンドで前進を続け、6月2日(金)にはいよいよ4月からスタートしたツアーで大阪なんばHatch公演を控える中、最新作で示した境地について伊藤ふみお(vo)に語ってもらった。

 
 
やっとここまで来たんだなと
 
 
――最新作『FREEDOMOSH』は、まず“もっと世界中のいろんなモノが混ざり合っていってほしいという気持ちを込めて作った”とコメントされているのが印象的ですが。
 
「前作『F』(’15)を作り終えた後に、17年ぶりくらいにカリフォルニアだけでしたけどアメリカツアーをやって、結成20周年的なところでレス・ザン・ジェイクやリール・ビッグ・フィッシュを日本に呼んで『SKA BRAVO』を行ったり、’16年は初めてイギリスにツアーに行ったりと、様々な動きがあって。イギリスにツアーに行ったときはちょうどEU離脱の選挙の翌日で、その後のアメリカツアーも僕らが入国した3日後くらいに大統領選があって。それからまたレコーディングでアメリカに行って、その合間にツアーもやって、また録音に戻って完成させていったのが今回のアルバムなんですよね」
 
――なるほど。海外の情勢が変わる時期を体感しながら作られていった作品なんですね。
 
「その1年8ヵ月ほどの間に見た景色を全て歌詞には取り込んだし、曲を作ったメンバーは次のアルバムを作るならこのリズムだ、メロディだ、グルーヴだと自由闊達に反映させながら作った感じですね。特にコンセプトを掲げるわけでもなく、みんながそれぞれの視点で今のKEMURIにとって一番カッコいいモノをやった。当然、見てきたモノや感覚は年々変わってはいるんだけど、やり方としては今まで通りだったんじゃないかな。すごくたくさんの刺激をもらったし、その刺激に満ちた日々をギュッと凝縮した感じですね」
 
――ただ、その間のバンドの動きは、例年以上にアクティブだったのではないかと。その中で最初に挙げたコメントのような心境が大きくあったというか。
 
「大阪でHEY-SMITHが『HAZIKETEMAZARE FESTIVAL』というイベントをやっていて、“混ざれ”っていい言葉だなと思って。やっぱり混ざった方がいいよなって、いろんなタイミングで思うことがありましたから」
 
――曲調は幅広いのですが一貫したテイストみたいなものがアルバム全体から強く感じられて、バンドとしての一体感も改めて増した印象がありました。
 
「メロディに関して耳ざわりはいいんだけど歌うとちょっと物足りないところがあるとか、そのギターリフはカッコいいけど、ライブで100回やって確実に100回弾けるリフにしてもらいたいとか、そういう話はすごくして。リズム的にも、今までになかったような『SHOUT』(M-11)や『DIAMOND』(M-4)のように、しっかりミドルテンポの8ビートで聴かせるような曲とか、リハーサルのときにいろんなやりとりをしましたね」
 
――そうですね。軸はスカパンクなんですがギターロックっぽいノリの曲などもあって。
 
「それぞれのメンバーが今のKEMURIでやるといいと思って曲を持ってきてくれたところは受け止めつつ、KEMURIとして俺が歌うなら、こういうグルーヴを作るなら、という部分に関してはしっかり意見を交わしながら作られていきました。ホーンアレンジも然りで、須賀裕之(tb)と河村光博(tp)が正式メンバーになって初めてのレコーディングだったんですけど、今回は須賀くんがかなり頑張ってくれて、“自分はこういう風にするのがカッコいいと思う”とハッキリと伝えながらアレンジしていましたから。今回が再結成してから4作目のアルバムなんですけど、すごくバンド的な音だし制作方法だったので、やっとここまで来たんだなと思えました」
 

ずっと観てくれている方にとっても
“新しいKEMURI”を感じてもらえるライブになると思います
 
 
――今作でもKEMURIらしさや重みは健在なんですが、バンドの芯の部分はブレないまま多様化して、いい意味でポップに聴こえる感じすらありました。
 
「ありがとうございます。KEMURIの歌詞はP.M.A.(※Positive Mental Attitude=肯定的精神姿勢)で、(音は)スカパンクで、メンバーもほぼ変わってないんですよ。再結成してからはほぼ毎年同じアメリカのスタジオでアルバムを録ってきてるんですけど、エンジニアが以前の作品をすごく聴き込んでくれているんですよね。それを踏まえた上で、“’17年に出すならコレ”と、エンジニアが新しく仕入れてきた機材などをふんだんに盛り込んでくれている。アメリカのスタジオって、行くたびに見たこともないようなインディペンデントメーカーのギターアンプがあったりして、そういうところもすごく面白い。だから、みんな変わらないっちゃ変わらないんだけど、やっぱり時代を切り取ろうとしているというか、今の時代のKEMURIを作ろうとしているんです。その結果が今回の『FREEDOMOSH』になったんじゃないかな」
 
――歌詞に関しては、日本語詞の曲を4曲交えながらアップデートされた強さに満ちています。
 
「歌詞に関しては、“時代感”のようなものを年々意識するようになっていて。もちろんP.M.A.で行きたい場所があるから頑張っている、願えば叶うと信じることを歌っているんですけど、何と言うか…同時に社会の中の一個人以外の何者でもないわけで、うまく言えないけど、そういう意味で周りのことも意識しながら書くようになっているんですよ。例えば、30年後にKEMURIの音楽に初めて触れてくれた人が、歌詞を読みながらこのアルバムが作られた’17年はどんな年だったんだろうと思ったとき、“だからこういうことを歌っているのか”と何となく分かってもらえるような内容にしたくて。なので、アメリカやイギリスに行ったときのことを自分なりに盛り込みながらも、伝え過ぎないようにというのをテーマに書きましたね」
 
――そして、『FREEDOMOSH』の発売に伴うリリースツアーで全国を廻り、6月2日(金)にはなんばHatchにて大阪公演がいよいよ行われます。
 
「今はすごく次のステージに進めた感があって、今まではなかなかやることのできなかったセットリストが組めているので、ずっと観てくれている方にとっても“新しいKEMURI”を感じてもらえるライブになると思います。もちろん、初めて観てもらう方にもKEMURIはこういうバンドなんだとしっかり伝わるような形で、今のメンバーで何をやろうとしているのかを観てもらいたいなと」
 
――新しいアルバムの収録曲に限らず、バンドそのものがリフレッシュされている点が観どころになりそうですね。
 
「再結成したときの熱量がだんだんと当たり前になってくるところはあるんですけど、自分たちがやりたいと思ったから再結成を決断したんだし、自分たちがホントに行きたい場所を、時間をかけてより明確に、去年より今年、今年よりも来年という感じで、ゆっくりと進みながら今に結び付いてきているので。ホントに今を楽しむつもりでやってます。だから、すごくいいツアーになると思います」
 
 
Text by 吉本秀純
 




音楽プロモーター・コエヅカマナブさんからのオススメ!

「3月リリースのニューアルバム『FREEDOMOSH』。結成20年を経たベテランなのに躍動感に溢れまくったゴキゲンな楽曲たち。様々な歴史があるからこそ到達する突き抜けた開放感は、気が付けば大人になっていた柵だらけの私のような人間の胸にストレートに響く! それはきっと未熟だったあの頃からずっと胸の底に在る、“情熱”とか“真摯な気持ち”が反応するんじゃないかと。そしてKEMURIのライブ会場にいるとき、なおさらそれを実感することになる。成熟した大人も未熟な若者も、みんなで“THUMBS UP!”と叫びましょう!」

(2017年5月30日更新)


Check

Movie Comment

バンドの現状報告&アガるライブの誘い
伊藤ふみお(vo)からの動画コメント!

Release

貪欲にバンドの現在を残した
爽快なる自信作にして充実作が完成!

Album
『FREEDOMOSH』
【CD+DVD】
発売中 4600円(税別)
ONECIRCLE
CTCD-20052
【CD】
発売中 3000円(税別)
CTCD-20053

<収録曲>
01. THUMBS UP!
02. GO! GO! GO! GO! GLOW!
03. CHOCOLATE
04. DIAMOND
05. My Best Friend
06. SAKURA
07. AWE
08. SPIRAL
09. Dancing in MOON LIGHT
10. RAINDROP
11. SHOUT
12. サラバ アタエラレン

<DVD収録内容>
01. THUMBS UP! -MUSIC VIDEO-
02. サラバ アタエラレン -MUSIC VIDEO-
03. I am proud (Bristol,UK)
04. SUNNY SIDE UP! (Sheffield,UK)
05. Crappy Go Happy (Birmingham,UK)
06. Dancing in MOON LIGHT (London,UK)
07. HATE (Atlanta, US)
08. PMA(Positive Mental Attitude) (Orlando,US)
09. New Generation (St. Petersburg,US)
10. サラバ アタエラレン (Tokyo,JP)
11. Heart Beat (Tokyo,JP)
12. Ato-Ichinen (Tokyo,JP)

Profile

ケムリ…写真左より、津田紀昭(b)、河村光博(tp)、平谷圧至(ds)、伊藤ふみお(vo)、須賀裕之(tb)、コバヤシケン(sax)、田中“T”幸彦(g)。’95年に結成。’97年に初のアルバム『Little Playmate』をリリース後、ツアー中の事故に伴う活動休止や’07年の解散を挟みながらも、’12年に宮城県で開催された『AIR JAM 2012』で復活を遂げ、’13年にはアルバム『ALL FOR THIS』を発表。以降はコンスタントにアルバムをリリースしながら、’15年には17年ぶりとなったアメリカツアー、結成20周年を迎えた9月にはリール・ビッグ・フィッシュ、レス・ザン・ジェイク、スカンキン・ピックルの3組を日本に招いて『SKA BRAVO』を敢行。’16年には初のイギリスツアーも行い、今年3月1日には通算12枚目となるアルバム『FREEDOMOSH』を発表した。

KEMURI オフィシャルサイト
https://kemuri.com/

Live

4月よりスタートしたツアーも後半戦!
Crossfaithを迎えた大阪公演が開催へ

 
『KEMURI Tour 2017「FREEDOMOSH」』

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード322-806
▼6月2日(金)19:00
なんばHatch
1Fスタンディング4000円
2F指定席4500円
[ゲスト]Crossfaith
SMASH WEST■06(6535)5569
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。但し、なんばHatchの2F指定席にてお席が必要な場合は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【広島公演】
▼6月10日(土)広島クラブクアトロ
[ゲスト]MOROHA
【新潟公演】
▼6月16日(金)NIIGATA LOTS
【福島公演】
▼6月17日(土)Hip Shot Japan
【静岡公演】
▼6月24日(土)Live House 浜松 窓枠
【香川公演】
▼7月1日(土)DIME
【愛媛公演】
▼7月2日(日)松山サロンキティ
【東京公演】
▼7月9日(日)STUDIO COAST
[ゲスト]THE SKA FLAMES

【石川振替公演】
▼8月20日(日)金沢AZ
【長野振替公演】
▼9月2日(土)松本Sound Hall a.C
 

Column1

「21年前“新しい”と思って始めた
音楽を今も相変わらずやれている」
変化と伝統を巻き込み今も前進する
KEMURIが世に放つ
『サラバ アタエラレン』を語る

Column2

「いろんなことに落とし前をつけて
 より前に進むべき時期が来た」
20周年ベスト『SKA BRAVO』
と復活後の最高傑作『F』を語る

Column3

今のメンバーと1曲でも多く
1分でも長く音楽を続けたい
結成20周年イヤーKEMURIが
充実作『RAMPANT』を語る