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エディット・ピアフと美空ひばり、時代を超えて
愛されるふたりのレジェンドを加藤登紀子が歌う

『加藤登紀子コンサート2017 ~「人生の始まりと終わり」ひばりとピアフ~』と題したコンサートが5月28日(日)、神戸国際会館こくさいホールで行われる。フランスの歌姫、エディット・ピアフと日本の歌姫、美空ひばりを加藤登紀子が歌い、語る。昨年生誕100歳を迎えたエディット・ピアフと、今年生誕80歳の美空ひばり。酉年の2017年に“トキ”が歌うという“とりづくし”の一夜。加藤登紀子は二人の音楽をどのように歌うのだろう?

エディット・ピアフは路上で生まれたと言われている。幼い頃から大道芸人の父親と共に歌を披露し、19歳でスカウトされて歌手になった。一方の美空ひばりは1945年5月、8歳で横浜大空襲に遭い、戦後の焼け野原で父が営む魚屋の周辺で歌っていた。ふたりに共通するのは天才的な歌い手であること。そしてふたりとも、国を代表する大スターでありながら、その私生活は決して幸せとは言い切れないものだった。

「ピアフもひばりさんも、最初から花道を歩いてきた人のように見えますが、悪戦苦闘の歴史があったことがとても興味深いですね。ふたりとも実人生はスムーズではありませんが、そこから浮かび上がってくる“歌手、エディット・ピアフ”、“歌手、美空ひばり”という星は常に燦然と輝いています。今回は、歌手としての始まりと、亡くなる前年までの歌いきったふたりの姿を、1部2部のステージで描いてみたいと思います」。

加藤は昨年、自著『愛の讃歌 エディット・ピアフの生きた時代』を上梓した。どんなに有名な人でも、いまだに知られざる一面があることがとても面白いと言う。「ピアフは表面的には強い部分が出ていますが、相当不安がりで、怖がりで、いつも震えるような心を持っていたと思います。そういうことも感じながらピアフを歌いたいですね。ひばりさんは、ただひばりさんの曲をカバーするというレベルで歌っているときには気がつかなかったストーリーが歌の向こうにあることがわかってきました。それで今、とても燃えているんです」。

その一例として美空ひばりの『柔』を挙げてくれた。1964年に放送された柔道を扱ったドラマの主題歌だった楽曲だけに、柔道一筋に生きる人物の誇り高き心情が描かれていると思っていたが、2番の歌詞には女心が描かれている。

「恋の歌だと知ったときは驚きました。だから『柔』のアレンジはものすごくシンプルにして、ベース1本でブルースみたいにしました。そのまま演奏する曲もありますが、大ヒットした曲は思い切ってアレンジを変えています。違うアレンジにしてみると曲の意味がもっと強く伝わることもあるんです。『悲しい酒』も、メロディと歌だけを取り出して、ピアノだけでバラードのように歌っています。そうすると詞から見える風景が自分の心象風景と重なってゆくのです。その心象風景も、アレンジによって変わってくるから面白いですね」。

歌い続けてわかってきたことがある。「52年、歌っていて思うのは、歌は時代に左右されなかったものが残ります。時代を気にして、“この時代にはもう古い”とか、“今はこれじゃなきゃだめ”と時代に振り回されたものは消えていく。必要にないものになってしまうんですね。不思議なものですが。ヒットソングの中には、あっという間に流れて行ってしまうものと、なぜかしら人々の心の中に種が残り続けるものとがあると思います」。

ふたりのレジェンドを歌い継ぐことで、訪れた人々の心にまた新たな種を残すことだろう。




(2017年5月24日更新)


Check

加藤登紀子コンサート2017
~「人生の始まりと終わり」ひばりとピアフ~

発売中

Pコード:320-688

▼5月28日(日) 16:00

神戸国際会館こくさいホール

全席指定 S席-6500円

全席指定 A席-5000円

※全席指定 学生席は取り扱いなし。未就学児童は入場不可。

[問]神戸国際会館こくさいホール
[TEL]078-231-8162

チケット情報はこちら

予定プログラム

【1部】
1.人生の始まりと終わり
2.星の流れに
3.悲しき口笛
4.津軽のふるさと
5.柔
6.悲しい酒~ひとり寝の子守唄
7.さくらの唄
8.愛燦燦
9.みだれ髪
10.終わりなき旅

【2部】
1.バラ色の人生
2.異国の人
3.名前も知らないあの人へ
4.ペール・ラシェーズ
5.私は後悔しない
6.響け太鼓
7.あなた次第
8.私の神様
9.愛の讃歌

※一部変更の場合あり。