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祝! 初ワンマンsold out!! 今年、FUJI ROCK FESTIVALにも
出演したDENIMSが約1年ぶりに新作『iggy&pops』をリリース
“東京でも通用することをやっている!” その言葉を確信に変える
新作について、カマチュー(g&vo)、おかゆ(g)インタビュー!

大阪を中心に活動するDENIMSが、前作『Daily use』から約1年ぶりとなるミニアルバム『iggy&pops』を7月6日にリリース。前身バンドのAWAYOKUBAは、『FUJI ROCK FESTIVAL』の登竜門・ROOKIE A GO-GOに出演するほど注目を集めていたにも関わらず解散。2012年からDENIMSとして生まれ変わり、ソウルやヒップホップ、ジャズにカントリーなどのルーツを混ぜ込んだサウンドにのせ、日常のリアルな感情を綴った日本語詞による楽曲を武器に、地元の関西のみならず全国を席巻している。今回は、これまでと違った切り口から制作したというアルバム『iggy&pops』の話だけでなく、今の音楽シーンをどのように捉えているのかについてまで、カマチュー(g&vo)とおかゆ(g)に聞いた。言葉の端々から、“売れたい”という素直な感情が滲み出たインタビューとなっている。

――前作『Daily use』から、約1年ぶりのアルバムリリースとなります。今回のミニアルバム『iggy&pops』では、制作にあたって前作と心境的に違ったところなどありますか?
 
おかゆ「前作はライブでやっていた曲が多く入っているので、僕たちがどういうバンドかという名刺的な作品だったと思います。今回はやりたいことが固まってきた中で完成した曲ばかりなので、より洋楽チックな音質が出ていたり、前回の反省をうまく取り込めて渋さや深みが出せているかなと思います」
 
カマチュー「今回は曲調こそバラバラなんですけど、歌詞には一貫してテーマがあります。“お洒落なバンド”というイメージでとらえられてしまうことが多いんですけど、歌詞はいい感じにダサい。そこが自分たちのバンドらしさなのかなとも思っています」
 
おかゆ「基本的に自分の歌やもんな」
 
――今作での、テーマというのは?
 


カマチュー「今回は先に曲ができていた『DAME NA OTONA』(M-1)からイメージを引っ張って、“どこか欠落しているけど、だからこそ惹かれたり美しいものがある”というところにテーマを決めて作りました。今までの僕だと、ひとつのテーマで歌っちゃうと全部同じような曲になってしまっていたので、今回はひとつのテーマに対して、違う人からの目線だったり違う切り口でやることで曲調も変えていきました。『DAME NA OTONA』でいえば、自分からみたダメな大人に対しての曲で、『おたがいさま』(M-3)は女の子に向けて書いた初めてのラブソングのような曲。逆に『わかってるでしょ』(M-4)は、女の子目線のダメ男に対しての曲といった感じですね」
 
おかゆ「いつもはレコーディングの当日まで歌詞ができていないなんて当たり前なぐらい、カマチューは歌詞を完成させるのが遅いんです。だけど『わかってるでしょ』に関しては歌詞ができた状態で上がってきて、女の子目線で書いたという点が新しいなと思いましたね。ポール・マッカートニーが、“I love you”じゃなくて、『She Loves You』って曲を作ったみたいな切り口だなと(笑)」
 
――なるほど(笑)。一人称視点だけでなく、二人称や三人称の視点からも描いたと。男の子視点の楽曲『おたがいさま』と、対称的な女の子視点の楽曲『わかってるでしょ』が続く曲順には引き込まれました。
 
カマチュー「曲順を考える時も、全て同じテーマなのでストーリー性を意識しました。一曲目で、“ダメな大人やからこそ惹かれるところがあるよね”とテーマを打ち出して、2曲目では、憧れているスーパースターを観に行ったお客さん目線で、常人じゃないところに憧れてしまうけれど、自分はそうはなれない、なるようなもんでもないよなという気持ちを歌っています。3曲目は、女の子に対して“自分がダメだ”と男の視点、4曲目はダメな男に対しての女の子視点で、文句をつらつら言って男を振ってしまう。次の『DIM』(M-5)はお酒で酔っ払ってる歌なんで、振られてやけ酒してると…」
 
おかゆ「その辺からはこじつけやけどな…(笑)」
 
カマチュー「それで、最後の『WALKIN'』では、やけ酒して歩いて帰ると(笑)。最初はストーリー重視で決めるのか、曲のノリの良さや流れで決めるのかで迷っていました。僕は『おたがいさま』がゆったりしてる曲なので、流して聴いた感じでは『わかってるでしょ』が先の方が凄く良かったんですよ。今とは逆の曲順ですね。だけど、『わかってるでしょ』でフラれてから、ラブソングの『おたがいさま』を歌われてもややこしいなと。そこで悩んでいたら、おかゆが“歌詞を優先した流れでいいんちゃうか”と言ってくれて、ストーリー重視に決めました」
 


――『わかってるでしょ』の歌詞は、他に比べてどうしてすぐにできたがったのでしょうか?

カマチュー「テーマに沿ったストーリーがすぐに思いついたんです」
 
おかゆ「確かに、自分が自分の彼女の立場になって文句を書き出したら、めっちゃ書けるやろうなと思います(笑)」
 
カマチュー「そういうことやと思う(笑)。想像してみて、実際に文句を言われてるわけじゃないねんけど、男としては“なんとなく分かってるねんけど…”みたいな」
 
おかゆ「自分のことを歌詞にするのは体力を使うと思うし、ラブソングが難しいというのも分かる。『おたがいさま』は逆にめちゃくちゃ苦戦してたもんな」
 
カマチュー「『おたがいさま』は何回も書き直しましたね。ラブソングは、どう頑張っても恥ずかしくて難しかったです。書いてみたらしっくりくるけど、DENIMSでこういう曲をやってもいいのかなと凄く考えたし、ライブで歌っていても照れてモジモジしてしまって…(笑)」
 
おかゆ「めちゃくちゃ気持ち悪いんですよ(笑)。歌う前に、“初めてラブソングを書いたんですけど…”とかモジモジしながら前振りをしていて、“早くやれよ!”と(笑)」

カマチュー「最近やっと、照れがなくなってきたぐらいです(笑)」
 
おかゆ「僕らは最初に見た時から、めっちゃええ歌詞やと思っていたんですけど、歌う本番になって絶妙に歌詞を変えてきたりもしてて(笑)。“ここの部分、恥ずかしいと思ってて”とか言うんですけど、ええ歌詞やから変えなくてもいいのにと思いながら(笑)。でも実際に、お客さんで泣きながら聴いてくれている子もいるぐらい、いい曲なんですよね」
 
カマチュー「愛はズボーンと対バンした時に、ボーカルの金城君が“フロアで泣きながら聴いてる子がいたで”と話してくれて、それを聞いてからはきちんとカッコつけてやらなあかんなと思いましたね。金城君もこの曲を気に入ってくれていて、彼の解釈でいえば、ラブソングやけどバンドとお客さんの立場としても置き換えられる曲なんじゃないかなと。“ダメなバンドマンやけど、俺たちが頑張って売れていくから、お前たちについてきてほしい”という捉え方もできる。そんな解釈もできるから、いい曲だと言ってくれました」
 
――“何度も期待だけさせてガッカリさせていた事も/有名になっていつか大逆転挽回させて見せるから/なんて言葉聞き飽きたかな?”という歌詞なんて、まさにそのお話に当てはまりますね。そもそも『DAME NA OTONA』のイメージは、カマチューさん個人のことを歌っているのですか? それとも、バンドマンというダメな大人のことでしょうか?
 
カマチュー「バンドマンのことですね。僕の周りにいる好きな人たちはそういう人が多いんです。もちろん、自分のことも皮肉りつつ、憧れの人やけどダメな大人たちに向けての自分の想いです。ダメな大人だけど、歌っている時だけは、他が欠けているからか凄く美しい。ダメな大人を肯定しているわけではないんですけど、何かが欠如しているからこその美しさがある、そういう人のことをずっと書きたかったんです」
 
おかゆ「作詞にあたって、ダメな大人についての曲を作りたいと言われて、みんなでダメな大人の案や周りのダメな大人の名前を出し合ったりしましたね」
 
――歌詞を相談しながら書き上げることは多いんですか?
 
カマチュー「基本的には僕がひとりで歌詞を書いているんですけど、行き詰った時はメンバーからヒントをもらうことがあります。『SUPERSTAR』に関しては、冒頭の“頭から電撃息することも忘れてた/唾がかかるくらい狭いライブハウスで”の部分は、おかゆが訂正して書いてくれました」
 
おかゆ「書きたいことは分かるんですけど、あまりにも小学生の作文みたいやったので(笑)。小説の始まりのようなものをイメージした時に、こういう歌詞の方が先の展開が気になっていいんじゃないかと思って提案しました」
 
――『SUPERSTAR』は、どの楽曲よりも初期衝動もむき出しのサウンドにグッときました。
 
おかゆ「バンドの中でもあんまりない曲調でしたね」
 
――この楽曲は、憧れのスターなど特定の人物をイメージして作られたのですか?
 
カマチュー「一応、架空の存在にしていますが、中高生の頃にライブハウスで観ていたロックンロールバンドの人をイメージしています。憧れるという意味では、奇妙礼太郎さんが、『DAME NA OTONA』と『SUPERSTAR』のモデルの一部ではありますね」
 
おかゆ「歌詞に出てくるライブハウスは、たぶん地元堺のClub massiveとかでしょうね…(笑)。ザ50回転ズをあそこで観た時は、めちゃくちゃカッコよかったもんなぁ」
 
カマチュー「そうそう! ただならぬ雰囲気を醸し出してる、ピチピチのズボンを履いたバンドマンをイメージしています。海外アーティストの様なスーパースターではないかもしれないですけど、地元のライブハウスに出ていた僕たちにとっては憧れの存在ですよね」
 
――タイトルはどのようにして決められたのですか?
 
おかゆ「これは僕がつけました」
 
カマチュー「アルバムテーマから考えていくと、難しい英語しか出てこなくてあんまり入ってきやすい単語が無かったんです。そんな中で、おかゆが“iggy&pops”を出してきて、響きがいいなあと。ネットで意味を調べたら、アメリカ人のイギー・ポップの他に、“イギー”にはスラングとして“クレイジー”とか“ぶっとんでる”という意味もあるみたいなので、ぴったりやなと。あぶなっかしいけどポップである、しかも響きがいいなのでこれに決めました」
 
おかゆ「イギー・ポップって、あれだけムキムキやのにどこか情けないじゃないですか(笑)。“俺は27歳で死ぬんだ!”と言っておきながら、死ななかったり。音楽業界において偉大な人やのに、どこか残念で、だけど愛せるというところがマッチしているなと思ったんです」
 
――今年は前身バンドのAWAYOKUBAで出演した『ROOKIE A GO-GO』以来となる、『FUJI ROCK FESTIVAL '16』出演も果たされましたね。映像を拝見して、MCでカマチューさんが“僕たちの番が来たなと思っている。これから僕たちのいい感じの時代がくると思っている”というような話をされていたのが印象的でした。
 


カマチュー「ちょうど5年ぶりステージに立てたんですけど、特に今年は大阪のイベント『Love sofa』でよく共演してきた先輩の奇妙礼太郎さんだとかワンダフルボーイズ、金 佑龍さんも出演していて、関西のメンツが『FUJI ROCK FESTIVAL』に認められている感じが嬉しかったですね。“シティポップ”というくくりは好きじゃないですが、そういう人たちが流行って、僕らみたいなソウルやブラックミュージックがルーツにあって、別にアップテンポで踊らせるような音楽じゃなくても若い子たちに楽しんでもらえる時代になってきていると思います。AWAYOKUBAの頃もそういう音楽が好きでやっていたけど、おっさんしか褒めてくれず若い子にはウケけない、だから売れにくいという時代でした。その曖昧なところで悩んでいたけど、今は遅いBPMでレゲエとかR&Bといったところを落とし込んだバンドも、若い子たちが聴いて楽しんでる時代になってきて、その流れがあるからこそ自分たちもやりやすくはなっていると思います。今人気のバンドは、若いうちからルーツのある音楽を凄いクオリティでやってることには素直に尊敬しています。だけど、だけど逆に言えば、“自分たちはもっと前からやってるけどな!”ってどうしても思ってしまったりもします。だからこそ、もっと売れたいなと」
 
――確かに、“いかに踊らせるか”というところがポイントになるフェス文化が著しくブームになりましたが、その中で騒ぐだけではない、ルーツを感じながら自分たちのスタイルで楽しむ若者も増えてきましたね。
 
カマチュー「踊る定義も変わってきていますよね。今はもう、四つ打ちだけじゃなくなってきている。四つ打ちを聴いていた子たちも、もっとゆっくりな曲を楽しめるようになってきた。女子高生がSuchmosみたいなバンドを好きで聴いてると思うと、やっぱり嬉しいじゃないですか。ちょっと前なら大人が聴く音楽というイメージだったのが、変わってきている。そういう意味でも、『FUJI ROCK FESTIVAL』では僕らの時代にしていかないといけないと伝えました」
 
――ちなみに、東京進出は考えたこともありますか?
 
カマチュー「DENIMSを結成してすぐの頃は考えていましたね」
 
おかゆ「お金もためていました」
 
カマチュー「その頃、Kidori Kidoriとかユナイテッドモンモンサンなど、周りにいたバンドが東京に行ったりしたので、僕らもDENIMSとして新しくバンドを始めたし東京で揉まれて、意識の高い人たちと一緒にやっていかないと無理やぞと言われたりもして真剣に考えていました。結局のところ、これで勝負するという曲ができないまま悩んでいるうちに、大阪にいても変わらないなと思うようになりました。東京で意識だけが高くなっても、曲もライブも変わらなければ意味がないじゃないですか。もちろん行きたい気持ちはあるので、関西に固執している訳じゃないです。やっぱり売れたいですしね」
 
おかゆ「上京するべき状況になれば、いつでも行きます。だけど、“関西インディー”と言われるのは、関西ということに誇りを持ってるように思われてるみたいなので、なんとなく嫌だったりしますね。関西は好きやし実際に関西ローカルではあるんですけど、東京とは別のものとして捉えられている言葉じゃないですか。“別に東京でも通用することやってるし!”と思いますから」
 
――いよいよ9月30日(金)には、 東心斎橋 CONPASSで初のワンマンライブですね。
 
カマチュー「人生で初のワンマンなんです。ワンマンがどういうものか分からないのでビビってますが、色々な演出を考えているので絶対に楽しんでもらえると思います」
 
おかゆ「仕掛けっていうほどのものじゃないですけどね。ワイヤーアクションとかがあるかもしれないですし…(笑)」
 
――最後に、ツアーに向けての意気込みをお願いします!

カマチュー「新しいアルバムが出て、どんどんライブのクオリティも上がってきているので、今のDENIMSを観に来てください! ワンマンは色々な仕掛けを用意していたり、懐かしい曲も用意しているので楽しみにしていて下さい!」
 
おかゆ「全部先に言うやん…。えーっと、オープンから終演まで、ドリンクを買いにいく暇もないぐらい、常に楽しめるようなワンマンにします」
 
カマチュー「ドリンクは買ってほしいけどな…」
 
おかゆ「せやな。だけど、当日は大変な混雑が予想されますので…」
 
カマチュー「終演後にはDJだったり皆で乾杯できる、アフターパーティーも予定しているので、最後まで楽しんで帰ってもらえたらと思います!」
 
 
text by 大西健斗
 



(2016年9月23日更新)


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Movie Comment

カマチュー(g&vo)&おかゆ(g)
からのハイテンションコメント!!

Release

お洒落だけど泥臭い。そんなバンドの
ネクストレベルを打ち出した2nd!!

Release
MINI ALBUM
『iggy&pops』
発売中 1500円(税別)
OSAMI studio
OSAMI-0002

〈収録曲〉
1.DAME NA OTONA
2.SUPERSTAR
3.おたがいさま
4.わかってるでしょ
5.DIM
6.WALKIN'

Profile

デニムス…2012年末、元AWAYOKUBAのメンバーを中心に結成。ソウルにヒップホップ、ジャズにカントリー、ポップミュージックを感じさせるアンサンブルに日本語詞を詰め込んだ現代のロックバンド。大阪の老舗イベント『Love Sofa』にレギュラー出演、『FUJI ROCK FESTIVAL’16』に出演を果たすなど、関西のみならず全国各地で活動を展開。デモ音源のリリースを重ねながら、2015年に初の流通音源『Daily use』をリリース。そして2016年7月6日に、セカンド・ミニアルバム『iggy&pops』をリリース。同年、9月30日(金)には、東心斎橋 CONPASSでリリースツアーのファイナルとして初のワンマンライブが決定している。

DENIMS オフィシャルサイト
http://denim-s.jp/

Live

ツアーファイナルがいよいよ今週末!
チケットはsold out!!

Pick Up!!

【大阪公演】

『DENIMS “iggy&pops”
release tour FINAL』
Thank you, Sold Out!!
▼9月30日(金) 19:30
CONPASS
スタンディング2500円
[DJ]SHOTA-LOW(ABOUT MUSIC/SCRUBBRUSH)from FUKUOKA
[Backdrop]WHOLE9
CONPASS■06(6243)1666

馴染みの深いFLAKE RECORDSの
10周年イベントにも出演!!

FLAKE RECORDS 10th Anniversary
『TONE FLAKES vol.106 FLAKE OF THE UNIVERSE!』



【大阪公演】
チケット発売中 
1DAY TICKET Pコード301-250
2DAYS TICKET Pコード782-312
▼10月1日(土)14:00
[出演]8otto/ATATA/DENIMS/金佑龍/Predawn/Rega/Sawagi/Shortstraw/UNCHAIN
▼10月2日(日)14:00
[出演]the chef cooks me/CUBISMO GRAFICO FIVE/DESMOND & THE TUTUS/Keishi Tanaka/LOSTAGE/NOKIES!/OUTATBERO/toe/YeYe
味園ユニバース
1DAY(ADULT)4500円
1DAY(CHILD)2000円
2DAYS TICKET8000円
GREENS■06(6882)1224

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