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男女混成5人組バンド、Awesome City Clubが
「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」をテーマに作る
アルバムの3作品目『Awesome City Tracks 3』をリリース!!
atagi(vo/g)、PORIN(vo/syn)インタビュー&動画コメント

 「架空の街 Awesome City のサウンドトラック」をテーマにしたハイセンスな音作りを身上とする男女混成5人組――それは、昨年Awesome City ClubがCDデビューして以来、さまざまなところで耳目にしてきたイントロダクション。けれど、バンド名の通りまさに“awesome”と評したい最新アルバム『Awesome City Tracks 3』は、“センスが良い”とか“おしゃれ”だけでは到底語り切ることのできない、喜怒哀楽に富み人間味も汗も涙も入り混じった、胸に迫る1枚になっている。その中身をひもといていくうちに語られていったのは、このアルバムにたどり着く過程でバンドが経験した変化や、意識の覚醒etc. その結果、ブラックミュージックを根っこに持つ音楽的背景の確かさやグルーヴセンスの良さはそのままに、より聴き手に肉薄する楽曲を生み出すことに彼らは成功した。街の音楽から、僕らの音楽へ。この先、最強の“Awesome Cityポップミュージック”を生み出す鍵を手にしたバンドの現状についてフロントの2人、PORINとatagiが語ってくれた。この夏は『RUSH BALL 2016』を筆頭に各地のフェスに多数出演し、秋にはおなじみ『MINAMI WHEEL』にも出演が決定。日本中、世界中の街に彼らの音楽が鳴り響く日もそれほど遠くない。

――関西っぽい話題から。毎年7月に六甲山であるフェス『ROKKO SUN MUSIC』で去年、全アクトが終わった後の最後のDJタイムで『四月のマーチ』が流れてきて。大自然の中で、夕暮れ時で、小雨がパラパラしている状況でAwesome City Clubを聴くこと自体が新鮮だったのと、たまたま自分の近くにいた人は、“この曲、誰?”って言いながらもノリノリで楽しんでいて。知らないバンドでも、良い音楽にリスナーが反応する光景をいくつも目にしました。
 
atagi「それは嬉しい。いろんなフェスがありますけど、『ROKKO SUN MUSIC』ってフェス自体にロハスな雰囲気があって、いい感じの音楽好きなお客さんが集まってきているイメージがあって。『四月のマーチ』はどちらかというとキッズ人気が高そうな印象があるから、意外でもあり嬉しいです」

PORIN「Awesomeの音楽って、最初の頃は特にDJのみなさんが広めてくれた印象がありますね」
 
――自分たちでは、Awesome City Clubの何がDJの人たちにウケたんだと思いますか?
 
PORIN「DJの方って耳が肥えているから、そういう人たちに曲だけじゃなく、自分たちの活動形態も含めて面白がってもらえてたんじゃないかな。“おしゃれでカッコいいバンドが出てきたぞ”みたいな感じで」
 
atagi「音楽を伝達するやり方っていろいろあって、ライブハウスにフライヤーを置いたり、チラシを配って“ライブに来てください”って告知をしたりする方法もあると思うんですけど、僕らはそうじゃない方法で自分たちの音楽の持つ力を広げたくて。たとえばCDを作らずにSoundCloudでネット上に曲をストックしておいてストリーミングで聴けるようにしておくとか、いろいろトライアルはしていたんですね。それ以外にもDJの方に“良かったらかけてください”って曲のデータをお渡しして実際にかけて頂いたりして。ラッキーな部分もあったけど、そういうふうに広まっていった幸せな経緯もあって」
 
――そういう経緯を経て昨年メジャーデビューされ、早くも3枚目のアルバム『Awesome City Tracks 3』が6月に発売されました。もう何十回、何百回と聴いていますがまったく飽きることがなくて、このまま一生聴き続けられる気がします。
 
PORIN「いやぁ、それはさすがに飽きますよ(笑)」
 
atagi「何やそれ(笑)」
 
――夕方、台所で炊事をしながら聴いていると、一瞬現実の辛さを忘れるような心地良さもあって(笑)。
 
atagi「あぁ。でもそういう、現実を忘れられるっていうのはすごく良いことだなと思います。僕も音楽にハマッたきっかけは、そういう逃避みたいなものもあったし。そうじゃない?」
 
PORIN「あるある。辛いことから目を背けられる、自分の居場所が音楽にはあった。みたいな」
 
atagi「暗いなー(笑)」
 
PORIN「思春期だったからね。音楽が自分に寄り添ってくれていたというか」
 
atagi「音楽って、みんなで聴いてわいわいできる音楽と、ひとりで聴いて“あぁ、いいなぁ”って感傷的になれる音楽の2種類あると思うんですけど、僕らの音楽って、みんなで聴いてわいわいできる音楽みたいなものを目指しながら、根っこにあるのは実は後者のほうで内向的な部分も出てしまっているというか。本当はその両方があればいいなと思っていて、だからさっき言われた『ROKKO SUN MUSIC』で『四月のマーチ』でみんなで踊れるのと、ひとりで料理を作っている時に、現実を一瞬忘れるっていうのは、まったく別の話なんですけど僕にとっては実は大事な2つの要素だなぁって」
 
――今回の3枚目のアルバムでは、その両方の要素が今まで以上に濃くなってきている気がしました。1st『Awesome City Tracks』(2015年)収録の『It’s So Fine』で“君とおどりたい”と歌われていた時よりも、今作の『Into The Sound』(M-1)や『Don’t Think, Feel』(M-2)のほうが、グッと距離が近付いているように感じます。
 
atagi「『Into The Sound』の歌詞を書いた時は、まさに『It’s So Fine』と同じテーマだったんですよ。例えば、すごく気になる女の子とクラブかどこかへ遊びに行って、バリバリ音楽が鳴ってる中で“踊らない?”っていう野暮ったさってあるでしょ? 野暮ったいけど、それが可愛いみたいな(笑)。『Into The Sound』は、精神性の部分ではその頃よりはちょっと大人で、音楽が鳴ってるからお互いが何も言わずに踊り出せるというか。『Don’t Think,Feel』もそういう大人の、普通に働いている人の目線も歌詞にはあって、過去の作品に比べると大人の生活感が少しあるのかもしれないですね」
 


――『Don’t Think,Feel』の作詞には、いしわたり淳治さんが参加されていますが、歌詞に関してマツザカ(タクミ)さんといしわたりさんのやりとりは実際にご覧になりました?
 
atagi「ほぼ出来上がった状態の歌詞を見せてもらいながら、メンバーの意見も聞いてくれて。2人のやりとりもちらりと見ましたけど、何かすごい作業をしてましたよ」
 
PORIN「淳治さんが赤ペン先生みたいだった(笑)。淳治さんの書く歌詞って、ストーリーとか設定がすごくはっきりしていて、“この主人公はどういう人で、年齢は何歳でどこに住んでいて…”とかもすごく掘り下げていって、フィクションなんですけどストーリーにちゃんと起承転結があって。そこから詞を作るんですけど、文字数も限られているから、その莫大なストーリーの中から言葉をはめていくというやり方で」
 
――今回PORINさんも『Vampire』(M-3)と『エンドロール』(M-6)の歌詞を高橋久美子さんと一緒に書かれていますが、高橋さんとのやりとりはどんな感じでした?
 
PORIN「すっごく穏やかなやりとりで、赤ペン先生みたいな感じじゃなくて(笑)。私の場合は完全にノンフィクションなので、自分が日々感じていることをどれだけ生々しさを消して書けるかというか。2曲とも自分の実体験を書いているんですけど、それとともにファンタジーの要素も入れたいし、私がやりたいと思っていることを久美子さんがくみ取ってくれて、一緒に考えて引き出してくれましたね」
 
――atagiさんから見て、PORINさんの歌詞はいかがですか?
 
atagi「PORINの書く歌詞って、男の人だと言い切れない言葉も言い切れていたり、意外と無骨なところが垣間見える気がしていて。マツザカが女性目線で書く歌詞と比べてみたりすると、彼はどちらかというとメランコリックな歌詞が好きで、PORINは気持ちに実直な言葉を選ぶタイプなのかなって」
 
PORIN「そうだね。真逆かも。照れみたいなのがあんまりないからね」
 
――『エンドロール』の“どこにも痛みがないのは この涙の濃度が薄いから”のところはすごくグッときました。
 
atagi「うんうん」
 
PORIN「後悔していない、未練のないお別れの曲を書きたかったんですね。“これから強く生きていきます”っていう前向きなものを書きたくて」
 
――歌詞だけを見ると別れを言い切る強さを感じつつ、曲として聴く時はPORINさんの声の持つ可愛らしさや儚さが加わって、ちょっと印象が変わるんですよね。
 
PORIN「歌録りの時はそこをすごく意識していて、歌詞の中ではどちらかというと強い女性を書いているんですけど、それをそのまま強く歌っちゃうと曲全体のイメージが崩れちゃう。どこか未熟な女の子だったり、切なさとかを表現したいなという気持ちもありつつ、曲が持っているバランスを大事に考えましたね」
 
――1st、2nd、今回の3rdときて、聴き手とバンドの距離も少しずつ近くなってきている感じがあって。『Into The Sound』の最初のほうの歌詞にある“一方通行の言葉”とか、“大事な一言は最後まで言わない主義で”のように、前作ぐらいまではもう少しお互いによそよそしい感じがあったように思います。ですが、『Around The World』(M-7)の“最後に繋ぐ手を探してる”ってところは、バンドと私たちリスナーの関係にも当てはまるんじゃないかなと思えるぐらい、距離の近さを感じました。
 
atagi「『Aroud The World』は、今自分たちが置かれている状況とか、誰もが人生に対して普段感じているであろう漠然としたことについて書いたんですね。この先の人生とかって、どれだけ考えても誰にも分からないことなんだけど、それに対して構える自分だったり、思ってることとかモヤモヤした心情を、今自分たちが抱いているものとして音楽に落とし込みたかったんですね。何か……“みんな、何で生きてるんだろう?”って考えたりして。唐突ですけど、何で生きてるんだと思います?」
 
――自分の場合は、まだやりたいことがあるんだと思います。
 
PORIN「なんで生きてるか……。存在証明、かな?」
 
atagi「僕も同じように思っていて。ただ、理由があるから正解とか、理由がないから不正解ってことでもないと思うんですけど、何となく今、バンドとしても一個人としても、最後に見る景色だったり、どんな人と最期を迎えるのか。どんな思いで人生を終えていくのかを考えたら、そこにあるのはきっと人とのつながりしかないんだろうなと思って。だから、“最後に繋ぐ手を探してる”っていうのがいいなぁと思ったんですね」
 
――よく考えるんですか?“何で生きてるんだろう?”って。
 
atagi「常に考えているわけじゃないんですけど、制作に入るとわりと考えたりしますね。同じ事務所の大先輩にウルフルズさんがいらっしゃって、前にサンコンJr.さんと話した時に、“歌詞の世界って難しい”っていう話になったことがあって。“歌詞ってパッと思いついて書いているように見えるけど、自分の中にどんだけ深く潜れるか。どこまでも深く深く潜んねん。それしかないねん”って言われて、なるほどなぁって。その通りだなぁって思ったんですね。“なぜ生きるのか”みたいなテーマって、考え過ぎるのが良くない方向へ行くこともありますけど、やっぱり自分の中のすごく深く深くまで潜って行って言葉を探り出すことが、すごく意味のあることなのかなって思いますね」
 
――その『Around The World』で歌われている“確かな事だけ見ていても仕方ないでしょう”のところは、とても深く刺さる一節でもあって。Awesome City Clubの音楽は、たとえばラジオから流れてきた時に一瞬で耳を惹きつけるようなカッコよさや気持ちよさがありつつ、それとともに、その一節に代表されるとてもリアルな心情の吐露が心をとらえる。その両方があることは、とても大きな魅力なんだと思います。
 
atagi「僕たちが憧れる音楽もきっとそういう音楽なんだと思う。今回のアルバムを作る上で大きなテーマになっていたのが、“心も体も踊れるダンスミュージックにしよう”っていうことだったんですね。今までよりも言葉を強くする、というと平たい言い方に聞こえるかもしれませんけど、耳当たりのいい言葉だけを使うんじゃなくて、生きていれば哀しいこともあるし、直視したくないこととかもあって、そういうこともちゃんと人の心に触れる言葉で伝えて、それを音楽にして聴く人に届ける。別れの曲も哀しい曲もあるんですけど、そういった感情も音楽になることで聴く人の心の部分にアクセスできて、心を躍らせることができるんじゃないかなって」
 
――アルバムを作る時は、最初にそうやってテーマを話し合うんですか?
 
PORIN「今回はいろいろあってそうなったって感じでしたね。最初に作り始めた頃は“変わる”ことにすごく執着しているところもあって。そもそもタイトルのナンバリングもやめたかったし、現状から抜け出したいっていうところからアルバムの制作が始まり、いろいろ曲も作ったんですけど、“……何か違うね”ってなって、一回アルバム1枚分ぐらいの曲を全部ボツにして」
 
――おお。そうだったんですか。
 
atagi「1回、全部ボツにして、リセットして、アルバムのコンセプトを組み立てなおすところからもう1回始めようと」
 
PORIN「メンバーとスタッフも全員含めて、“私たちは何がやりたくて、どんなお客さんにどんなことを伝えたいのか”っていうのを、初めてと言っていいぐらい深くまで話し合いましたね」
 
――さっき、“変わることに執着していた”といわれましたが、その時のバンドの状況をPORINさんはどんなふうに感じてました?
 
PORIN「自分が想像していたよりも広がりを見せれていないというか、もっと自分たちの音楽が遠くまで届くと思ってたんだけど、そうなれていない悔しさもあって、どうにかしなきゃって。そもそもこのバンド自体、同級生とか幼馴染とかルーツが一緒とかのバンドじゃないし、メンバーが出会って3年ぐらいなんですね。そういう人たちがそれぞれに“売れる”とか“有名になる”とかっていうのを目標に、一致団結してやってきたバンドでもあるので、そういう事態になったのかなって」
 
――結構、突っ込んだ話をされたんですね。
 
atagi「そうですね。定期的にそういうやりとりって必要になるんですけど、今回はアルバム制作のタイミングでそれがきて。“俺たちは何で今、何のために音楽やってんの?”とか“君はどうなの?”みたいなやりとりをしていて。メンバー間の不和があるとかではなくて、それぞれが見ている景色とか、普段過ごす環境が違う分、ちゃんとこういうタイミングですり合わせをしないと、言葉足らずのままですれ違いが生まれるんですよね。最初にアルバムを作り始めた時に、“こういうアルバムを作りたくて、自分はこの曲を作った時にこういう情熱を持って作った”とかのやりとりをしないで、“曲が出来たよ”“あぁ。ふんふん…”みたいな感じで、ルーティンワーク化した制作になりかけていて。その結果、ひずみが生じるところまではいかないけど、“これって本当にかっこいいのかな?”って疑問が湧いて。本当はそういうことって軽いノリで言わなきゃいけないのに、重い口調で言うようになっていて。ヤバい、このままじゃまずいって話になって、“1回ストップして整理しよう”って」
 
PORIN「フフフ」
 
atagi「結果、何が良かったかっていうと、音楽を通して何がしたいかとか、音楽が自分にとって何なんだっていう本当の根幹の部分を改めて話し合うことで、ちゃんとみんなにとってAwesome City Clubが自分のことになって、曲を作る、曲を演奏するっていうことが5人の共同作業によってちゃんとうまく機能し始めたってところで。おかげで制作のスピードも早くなりました。今回のアルバムも根っこの部分の再確認とか意識の共有ができてからは早くて、3か月かかってないぐらいの制作期間で全部できたんですね。“今、僕らが思ってることって何?”、“それをテーマに曲を作ろう”とか。今回のアルバムに入っている曲は、自分たちに向けた曲が多いんですね。アルバムのリード曲になった『Don’t Think, Feel』もまさにそうで、ちょっともやもやした中に一石を投じたくて、“このままじゃ良くないし、自分たちが本当にいいと思うものをちゃんと信念を持って作らなきゃ”って話をして。頭でっかちになり過ぎなんだよなぁなんて話してる時に、“Don’t Think, Feel”っていうブルース・リーの名台詞がテーマの1つにあった中でマツザカがある日、“本当に『Don’t Think, Feel』って曲を書いちゃったんだよ”って(笑)。けど、ぴったりだしイイんじゃないかってところから定まり出してきましたね」
 
PORIN「そうだね」
 
atagi「僕らのいいところでもあり、悪いところでもあるのが、音楽的なバックボーンとかこれまでそれぞれにバンド活動をしてきたキャリアがあるところで、そういう人間が、改めてもう1回バンドを作ろうって始まったのがAwesome City Clubなんですね。そういう成り立ちだから、いろんなことが器用にできる分、突き抜けられない弱さみたいなのもあって。小学校や中学時代の同級生が組んだバンドみたいに、“これしかできないけど、これだったら絶対に負けないよ”っていうストロングポイントみたいなのを僕らは持ってないなって。それがバンドとしてのコンプレックスでもあったけど、今回のアルバムを作るプロセスの中で、ちゃんと心のつながりってものができあがったことで、そういう弱みみたいなものは一切感じなくなりましたね」
 
――そういったことも関係あるのか、『Awesome City Tracks 3』はこれまで以上に、演奏している人の体温や匂い、人間味みたいなものを感じるアルバムでもありました。
 
PORIN「確かにそうかもしれない。これまでバンド内の人間関係もわりとドライだったんですよ。“プライベートは一切触れないで”って感じだったし」
 
atagi「そうだっけ(笑)?」
 
PORIN「そうだよ。1stの頃とかは確信づいたことは絶対に言わなかったし、さっき言っていた話し合いが去年の年末にあったんですけど、その時に思いっきり全部話して、そこから関係性も変わりましたね。最近は、バンドというか家族みたいっていうか、“こういう話もできるんだな”って感じになってきていて」
 
atagi「スタジオで音合わせをしていて思ったんですけど、バンドって本来、みんなでギャーンと音を鳴らして、“うわ、デカい音、気持ちイイー!”みたいなので通じる感じが根っこにあるものじゃないですか? けど、僕らの場合は、“こういう方法と、他にこういう方法もあって、どっちが自分たちらしいかな?”みたいな感じで、多分ハタから見てるとまどろっこしくてしょうがなかったと思うんですね (笑)」
 
PORIN「アハハ! そうだね」
 
atagi「そういうところは逸脱したのかもね。今まで打ち込みがすごく多かったんですけど、最近はスタジオで音を作って、バーンと合わせて“こっちのほうが気持ちイイね”って感覚で話ができるようになってきたっていうか」
 
――バンドとして機能し始めて、そしてこんなにカッコよくて気持ちいい音楽ができたら最強じゃないですか。
 
atagi「そうですね。それを最強にできたらいいし、感覚派であることはある意味すごく大事なんだなって思いました」
 
――バンドにとって3枚目のアルバムは大事だとよくいわれますが、Awesome City Clubにとって今回の3rdアルバムはマイルストーン的な1枚になったのでは?
 
atagi「ですね。僕らにとってもこの3枚目って、“何かもう、いろいろあったなぁ”って感じで、この1枚のアルバムにすっごく足踏みした痕がついている感じがあって」
 
PORIN「クリスタルのすっごくきれいなジャケなのにね(笑)」
 
――8月27、28日に行われる『RUSH BALL 2016』をはじめ、10月8~10日の『MINAMI WHEEL』、そして11月17日にはumeda AKASOでライブ『Awesome Talks』も開催されます。メジャーデビュー以降、フェスなど大きなライブの場を経験してきたこともバンドにとって良い影響があったんじゃないでしょうか。
 
atagi「ですね。ライブって、その人自身が持っている魅力がモロに出る場だと思っていて。たたずまいとか存在感もそうでしょうし、だから、人としての鍛錬が必要というか(笑)。そう言っちゃうとスピリチュアルな話で気持ち悪いけど本当にそんな感じで、薄っぺらい人間はステージに出ていった時にその薄っぺらさが観ている人たちに伝わっちゃうんですよね。だから、“人間力を高めるぞ!”みたいな(笑)。PORINはそういうところも自覚的になってるんじゃないかな」
 
PORIN「そうかもしれない。今回のアルバムで自分の言いたいことを曲で初めて言えて、言いたいことがあると歌い方とかパフォーマンスも変わってくるから、ステージでの自分が変わってきてる気はします。みんなに伝えたいって気持ちが、どんどん強くなってきてますね」
 
――ライブ=人として鍛錬して出ていく場でもあるけど、その場で鍛えられるものもあるでしょうね。
 
atagi「呼吸っていうか、お客さんとのキャッチボールみたいなもんだなと思うようになってきて。まずは、自分たちが投げたボールを、みんなが受け取ってくれるかどうか。受け取ってくれなかったら、また違うボールを投げるんですけど、それを受け取ってくれたら今度はみんなでボールを押し返してくれて、そのボールを今度は僕らがもうちょっと大きくして、みんなに押し返す。…なんかロック感溢れる説明になってますけど (笑)、ライブの良さってそういうレスポンスとレスポンスの応酬に面白さがあるのかなと思っていて。そういう意味では、ライブを重ねるごとにお客さんとコミュニケーションが取れるようになってきているし、大きなフェスもライブハウスも、ワンマンもイベントも自分たち自身、今すごく楽しめてますね」
 
――6月のアルバムツアーもとても楽しかったです。ところで、アルバムタイトルのナンバリングは今後も続くんでしょうか?
 
PORIN「まだ何も考えてないんですけど、私は数字の“4”は好きじゃないのでもう辞めたいです(笑)」
 
atagi「アハハハ! 僕らはあまのじゃくなところもあるので、何かが流行ったらそれとは違うことをやりたいいタイプなんですね。だから、たぶんみんなが“次のAwesomeはこうなるんじゃないかな”と思っているのとは違う方向へ行くんだと思います。ぜひ、これからも楽しみにしていてください!」


Text by 梶原有紀子



(2016年8月16日更新)


Check

Movie Comment

Release

街の音楽から、僕らの音楽へ
オーサムの進化が伺える全7曲

Album
『Awesome City Tracks 3』
発売中 2000円(税別)
ビクターエンタテインメント/CONNECTONE
VICL-64572

<収録曲>
01.Into The Sound
02.Don't Think, Feel
03.Vampire
04.Moonlight
05.ネオンチェイサー
06.エンドロール
07.Around The World

Profile

オーサム・シティ・クラブ…写真左からモリシー(g&syn)、ユキエ(dr)、マツザカタクミ(b&syn)、PORIN(vo&syn)、atagi(vo&g)。それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー、マツザカタクミ、ユキエにより`13年春に結成。翌年4月、サポートメンバーだった PORINが正式加入し現在のメンバーに。「架空の街 Awesome City のサウンドトラック」をテーマに、テン年代のシティポップを発信。`15年4月に1stアルバム『Awesome City Tracks』をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得。9月には早くも2ndアルバム『Awesome City Tracks 2』をリリース。11月に開催されたバンド史上初となる全国ワンマンツアーも大盛況のうちに幕を閉じ、`16年3月には配信シングル『Vampire』をリリース。6月22日に3rdアルバム『Awesome City Tracks 3』をリリース。大阪を皮切りに6月25日~7月8日にかけて行ったワンマンツアーは各地でチケットがソールドアウト。今年の夏は8月26、27日の『RUSH BALL 2016』、9月3日の『BAYCAMP 2016』ほか、大型野外フェスに多数出演が決定。10月8~10日の『FM802 MINAMI WHEEL 2016』への出演も決定。11月17日にはumeda AKASOにて対バン形式のライブ『Awesome Talks Vol.5』を開催。

Awesome City Club オフィシャルサイト
http://www.awesomecityclub.com/

Live

大阪・梅田シャングリラの
11周年イベントに出演!

『失われない音楽祭』
~Shangri-La 11th Anniversary~

チケット発売中 Pコード301-592
▼8月19日(金)19:00
Shangri-La
前売3500円
[出演]Nabowa/Awesome City Club
[DJ]板東さえか
Shangri-La■06(6343)8601

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【大阪公演】
『RUSH BALL 2016』

▼8月28日(日)11:00
泉大津フェニックス
1DAY(大人)6500円 1DAY(小学生)3500円
[出演]BIGMAMA/go!go!vanillas/indigo la End/MAN WITH A MISSION/MONOEYES/SHISHAMO/WANIMA/キュウソネコカミ/ゲスの極み乙女。/ドラマチックアラスカ/感覚ピエロ(オープニングアクト)
[ATMC出演]BURNOUT SYNDROMES/Creepy Nuts/Halo at 四畳半/lovefilm/ONIGAWARA/ココロオークション/パノラマパナマタウン/フレンズ/ヤバイTシャツ屋さん/忘れらんねえよ(クロージングアクト)
GREENS■06(6882)1224
※雨天決行、荒天中止。未就学児童は保護者同伴に限り無料。小学生以上は有料。小学生はチケットを購入の上、保護者同伴に限り入場可。出演者の変更・キャンセルに伴う払い戻しは行いません。2日通し券はPコード782-154にて販売。【オフィシャルHP】http://www.rushball.com/


【東京公演】
『BAYCAMP 2016』

チケット発売中 Pコード294-803
▼9月3日(土) 14:00
川崎市東扇島東公園特設会場
入場券8900円
テントサイト利用券1500円(1名分)
駐車券-2000円(2輪・4輪/全長6m以内)
[出演]浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS/雨のパレード/Wienners/Awesome City Club/大森靖子/Charisma.com/キュウソネコカミ/銀杏BOYZ/Creepy Nuts/group_inou/go!go!vanillas/SHISHAMO/シャムキャッツ/神聖かまってちゃん/水曜日のカンパネラ/スチャダラパー/ストレイテナー/SPARK!!SOUND!!SHOW!!/Czecho No Republic/tofubeats/Dragon Ash/NakamuraEmi/NOT WONK/THE BACK HORN/THE BEACHES/BIGMAMA/the pillows/THA BLUE HERB/フレンズ/Homecomings/My Hair is Bad/ヤバイTシャツ屋さん/Yogee New Waves/夜の本気ダンス/LEARNERS/lovefilm/リーガルリリー/LEGENDオブ伝説a.k.a.サイプレス上野/忘れらんねえよ/他
[DJ]FREE THROW/DJダイノジ/藤田琢己 a.k.a DJ SHOCK-PANG/他
※ドリンク代別途必要。18歳未満は入場不可。要顔写真付身分証明書。雨天決行、荒天中止。詳細は問合せ先まで。自転車・徒歩での来場不可。駐車券・テントサイト利用券は入場券別途必要。必ずhttp://baycamp.netの注意事項をご確認の上ご来場ください。


【大阪公演】
『Getting Better』

チケット発売中 Pコード303-611
▼9月18日(日)17:00
味園 ユニバース
オールスタンディング3000円
[出演]フレデリック/Awesome City Club/フレンズ
[DJ]片平実
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。
GREENS■06(6882)1224



LUCKY TAPES『Cigarette&Alcohol』ツアー

【仙台公演】
チケット発売中 Pコード301-841
▼11月4日(金)19:00
LIVE HOUSE enn 2nd
オールスタンディング3000円
[共演]Awesome City Club
ノースロードミュージック仙台■022(256)1000

【北海道公演】
チケット発売中 Pコード303-956
▼11月13日(日)18:30
BESSIE HALL
スタンディング3000円
[共演]Awesome City Club
スマッシュ・イースト■011(261)5569

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東阪での自主企画イベントも
11月に決定!!

【大阪公演】

『Awesome Talks -Vol.5』

9月3日(土)10:00~一般発売開始
Pコード300-331
▼11月17日(木)19:00
umeda AKASO
前売3500円
GREENS■06(6882)1224

8/17(水)11:00まで先行受付中!!
チケット情報はこちら


【東京公演】

『Awesome Talks -Vol.6』

9月3日(土)10:00~一般発売開始
Pコード304-964
▼11月24日(木)19:00
TSUTAYA O-EAST
前売3500円
ホットスタッフ・プロモーション■03(5720)9999

8/24(水)11:00まで先行受付中!!
チケット情報はこちら

ライター梶原有紀子さんからの
オススメコメントはこちら!

「Awesome City Clubのプレイリストを作るなら、『GOLD』で始まって『アウトサイダー』で締めくくろうと思う。彼らの楽曲はいいものばかりだから、最新作『Awesome City Tracks 3』の7曲以外にも『P』、『愛ゆえに深度深い』、『僕らはここでお別れさ』等々、常に心のベストテン第3位までを脅かす曲はたくさんある。ただ、最初に挙げた2曲は2016年現在、自分の中で不動の2トップ。10代の頃に出会って以来聴き続けているスタイル・カウンシルは、腐った政治に対する強い糾弾と思わずうつむいてしまうほどの内省的な心情を、圧倒的にセンスの良いサウンドとグッドメロディーに乗せていた。初めて聴いた時から30年経った今でも、イントロが鳴った瞬間に燃えたぎるような想いが蘇るその曲と等しいメッセージ、熱が『GOLD』『アウトサイダー』に息づいている。けれど、それらを塗り替え更新するグッドメロディーをそう遠くない先にAwesome City Clubが聴かせてくれることも分かっている。」