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「応援してくださる人たちと共に歩んだ10年でした」
アーティスト、役者として活躍する加藤和樹が
歌手デビュー10周年を迎え、自身の全曲ライブを開催!

音楽活動をベースにしながら、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』で主役を務めるなど、役者としても活躍する加藤和樹。歌手デビュー10周年を迎えた今年は、4月にシンガーソングライターCHIHIRO作詞・作曲による女性目線のバラードナンバー『春恋』と、加藤が作詞を手掛けた等身大のロックナンバー『夢追人』を収録したシングルをリリース。そして7月16日(土)・17日(日)には、梅田AKASOにて2日間で自身の楽曲を全曲歌うライブ『ALL ATTACK KK』を開催し、11月5日(土)には同会場で懐メロカバーのアコースティックライブ『KK-station』を行うなど、より精力的に活動する。加藤曰く「順風満帆とはいかなかった」この10年。時には歩みを緩めながらも進み続けた加藤に、音楽への想いを語ってもらった。

――歌手デビューから10周年が経った今、振り返ってみていかがですか?

あっという間だった気もしますが、順風満帆だったというわけでもないですね。音楽を始めた頃はゼロからのスタートで実力も全然なくて、最初の3年くらいまではいろんなことを覚えることに必死。ライブをするにしても、プロのサポートの方たちの中に素人同然の僕が入ることになるから、そこの葛藤もありました。でもやっぱり自分で音楽をやると決めたので、ギターも始めて、なんとなく歌詞を書いて曲を作ったりしていると、ファンの方たちも賛同してくれるようになって。ファンの方々は元々、ミュージカル『テニスの王子様』で僕のことを知ってくださった方が多くて、ライブハウスに来ること自体初めてという人が多かったんですよ。楽しみ方が分からず、最前列にいるのにただジッと見つめられているような感じで(笑)。そう考えると、支えてくださるスタッフはもちろん、応援してくださる人たちと一緒に歩んできた10年だったなとすごく思いますね。

――最初はジュノン・スーパーボーイ・コンテストを受けたことがきっかけで芸能界に進んだんですよね。未経験ながらも音楽をやることに決めたのは、どういう想いからですか?

最初はただ“テレビに出られたらいいな”くらいの感覚で、何の目標もなくて。2時間ドラマとかに出演させていただいたものの、それが本当に自分がやりたいことなのかすごく悩んだんです。思い描いていたことと違っているような感じがして、演じる魅力もよく分からなかった。それで半年くらいで辞めて、東京で1年半くらいバイトをしていると、ストリートダンスをしている友達ができて。あるとき、その子が貸してくれたザ・ベイビースターズの『去りゆく君へ』というCDにすごく感銘を受けたというか、音楽を聴いて初めて涙が出たんですよ。この気持ちは何なんだろうって。それによって自分自身が変わるきっかけになったので、自分も音楽で何かを伝えたい、誰かに変わるきっかけを与えたいなと思ったんです。

――一度は芸能界を離れたものの、新たな目標を持って戻ってくることができて。そこからのスタートは、ミュージカル『テニスの王子様』ですね。

原作が大好きでしたし、人前で歌ったことがなかったので、そこから始めようとオーディションを受けたんです。それで出演したことをきっかけに、テニミュの制作をしているマーヴェラスさんからお声掛けをいただいてCDデビューして、ライブもすることができたんですけど、その時のことはあまり覚えていないですね(笑)。何をどうしたらいいのか分からないので、ただ言われることだけをやっていて。これが自分のやりたいことなのか…?という葛藤もありました。それに、キャラクターの皮を被って舞台で歌うことと、ライブで歌うことって全然違っていて。自分自身を見られることになるので、すごく怖いなって思ったんです。MC喋るのも苦手だったので、どこで何を喋るかを暗記していくんですけど、飛んじゃったりして(笑)。

――そこからライブを楽しめるようになったり、自分がやりたいことなのかという葛藤を拭えたのは、何かきっかけがあったんですか?

いろんな意味で、自分が変わったきっかけが武道館でやった2周年のライブだったと思います。自分は自分でいいとすごく感じたし、そこに集まってくれたたくさんの人たちに、自分はひとりじゃないってすごく救われた気がするんですよね。その目の前の人たちに対して、今感じることを話さないでどうするんだと思って。だから今は基本的にそのとき感じたことだったり、思っていることを歌詞にしたり、MCも今はほとんど何も決めないですね。お客さんと会話もするし、ツッこむし、ツッこまれるし(笑)。それに5年目くらいになると、自分で曲を作って披露できるようになったり、ライブもどういうことがやりたいかを伝えられるようになって。対等とまではいかないですけど、自分の意見が言えるようになってきて、楽しめるようになりました。

――自信を持てるようになったんですね。

いや、自信は今でもないんです。でも、経験を重ねることで落ち着いて考えられるようになったんじゃないかなと思います。自分のペースでやっていけばなんとかなるって思えたというか。なんとかならないこともたくさんありましたけど(笑)。辞めたいとか、やっぱり自分には向いてないんじゃないかって思うことも何度かありましたし。

――向いてないと思ったのはどうしてですか?

単純に、自分の音源を聴いて“歌、へたくそだな”って(笑)。ライブでも、何をどう表現したらいいか分からなくなる瞬間もあったんです。“自分は何に向かって歌っているんだろう”って思ったんですよ。上手く歌うことで伝わるかというと、そうではないと思うし。自分の中のパワーバランスみたいなものがすごく崩れたときがあって。目の前にお客さんがいるのに曲にとらわれすぎる自分がいて、自分自身が楽しくなかったんですよね。それってお客さんにも伝わるし、こんなままじゃダメだなって。だから一時、ライブを休止した時期もありました。でもやっぱり、待ってくれている人たちのことを考えると、こんな自分でもやれることがあるんじゃないかなと思ったんです。僕、好きな言葉が「やればできる」なんです。“なんともならない”ことはたくさんあって壁にぶち当たることもあるけど、自分なりに“やればできる”ことだっていっぱいある。だからもう一回やってみようって。

――今はお客さんといいコミュニケーションが取れるようになったんですね。

それまで、自分ひとりで頑張ってたっていう感じなんですよね。やるのは自分だから、自分がなんとかしなければって。でもそうじゃないって気付いて。お芝居もライブも同じで、みんなで作り上げるものなんだって分かったときに、すごく楽になりましたね。それって、芝居に対してもそうで、僕、最初はお芝居が苦手だったんですよ(笑)。『テニスの王子様』はお芝居というよりは部活している感覚だったので楽しめたんですけど、それ以降はしばらくお芝居を楽しめなかったというか…、全然分からなくて。“俺役者じゃないし”って思うこともよくありました。だけど、いろんな舞台を経験していくうちに、ライブとか音楽を作る過程に似ているなって思って。結局、表現の仕方が違うだけで、モノづくりの観点で言うと同じなんですよね。作品や自分の役が“何を伝えたい”のか。根本は一緒で、そう考えると役作りも含めて、もっと掘り下げることができるようになってきて。それに、いろんな役を演じることによって、自分の中にない感情が芽生えてくるので、その役や作品をテーマにして曲を書くこともあるんです。だから今では、両方楽しんでやれているし、やっててよかったなと思いますね。

――4月にリリースした『春恋/夢追人』の反響はいかがでしたか?

『春恋』は、シンガーソングライターのCHIHIROさんが書いてくださった曲で、女性目線なんです。なので、女性の方から“共感できる”といい反応をいただいています。

――女性目線の曲を歌うにあたって、意識したことはありますか?

メロディがすごく優しいので、あまり全力で歌わないようにしましたね。もちろん、物語が展開して、最後に向かうほど気持ちはこもっていくんですけど。その物語性を持たせるのはすごく苦労しましたね。女性の曲とはいっても男の自分が歌詞を読んでも共感できたので、歌いやすかったかなと思います。

――一方で、加藤さんが作詞された『夢追人』は、ストレートな想いが詰まったアップテンポな曲で、またタイプが異なりますね。

30歳くらいの僕らの年齢って、ちょうど将来のことを考える時期で。この曲を書いた時、自分の周りにも岐路に立たされている人が多かったんですよ。大人になればなるほど、夢とか、やりたいことって言いづらくなってくるけど、好きなことは別に声に出して好きと言えばいいし、やりたことを言ったって全然恥ずかしいことじゃないと思うんです。周りに笑われたって夢を追い続ける自分でありたい。自分自身に向けた曲でもあるし、仲間たちの背中を押す曲になればいいなと思って作りました。

――7月の全曲ライブではその2曲も聴けるんですね。

今までに出ている加藤和樹名義の曲は全部やりますからね。全部で80曲ちょっと…、自分でもどうなるのか(笑)。ライブで1回しかやっていない曲もありますし、自分でも忘れちゃってる曲もありました。大変ですけど、このタイミングでやらないと一生無理だと思うんですよね。自分の頭的にももう、覚えられない(笑)。ただ、全部フルでやると5時間はかかると思うので、何曲かはアレンジして、メドレーで披露したいと思っています。

――ファンの方にとったら、すごく贅沢な時間ですね。

でもスタンディングですからね(笑)。ライブ慣れしていない方も多いと思うので、休憩しつつ楽しんでいただけたらと思います。

――11月のリクエストカバー曲のライブというのは、どういうものになるんですか?

お客さんのリクエストによるもので、ラジオの公開番組みたいなアコースティックライブをやります。こちらである程度テーマを決めて、それに沿ったお便りをいただくんです。その思い出の曲をこちらでいくつか選曲して、カバーします。各会場でメールの内容を変えるので、全ステージで曲が違うんですよ。今回が3回目になるんですが、前回だと水戸黄門の曲とか、アリスさんの『チャンピオン』を歌ったりとか。若い子たちが聴くと、“知らない曲だけどすごくいい!”って思ってくれたりするみたいで。お客さんにも新しい発見があるライブになっているのかなって思いますね。

――9月には『真田十勇士』の映画が公開され、舞台版にも出演されますね。

本当にありがたいことだなと思いますね。休みはお正月だけでいいと思っているのですが、それにしてもこれだけ音楽も役者もやらせていただけるのは嬉しいです。特にこの10周年でこれだけ大きな作品に出させていただけるというのも運命的なものを感じますし。だからこそ、もっと上を目指さないといけないとも思います。全曲ライブも舞台も、やりきったときにステップアップできるんじゃないかなと思うので、今年は本当に踏ん張りどきだなと思います。

――“夢追人”として、この先の10年、どうなっていたいなと思いますか?

もう一度武道館でやりたいなという目標はありますね。2周年でやったときは、スタッフもお客さんも含めて、周りの人たちに支えられて連れて行ってもらった感覚なんです。だから今度は、自分自身の力でそこに立てるようになりたいという想いがすごくあって。あと、ずっと目標にしているのが、全都道府県でのライブ。僕、地元が名古屋で、中学生の頃に大好きなL’Arc~en~Cielさんが名古屋に来てくれたんです。それがすごく嬉しかったのを覚えていて。hydeさんが“味噌カツ食べたで~!”とか言ってくれただけで“マジか!”ってテンションが上がってました(笑)。そうやって、地元のものにアーティストの方が触れてくれるってすごく嬉しいじゃないですか。だから自分も大阪に来たときには、たこ焼き食べたり、関西弁喋ってみたりしますし。関西の方は厳しくて“イントネーションが違う!”ってツッこまれるんですけど(笑)。だから、来てもらうというよりは、自分で音楽を届けに行くことを、何年かかってもやりたいなと思っています。

――では改めて、全曲ライブに向けての意気込みをお願いします!

本当にアツい夏になりそうだなという感じがしています。僕自身も体力を含めて万全で臨みますので、皆さんにも、覚悟を決めてこのライブに参加していただきたいなと思います。絶対に楽しいライブにすることをお約束しますので、楽しみにしていてください!」

 

取材・文/黒石悦子




(2016年7月 6日更新)


Check

●Release

通常盤(CD) 発売中

シングル「春恋/夢追人」

¥1000+税 
TECI-505

<収録曲>
01.「春恋」
02.夢追人

●Live

Kazuki Kato 10th Anniversary Special Live "GIG" 2016~Laugh & Peace~『ALL ATTACK KK』

発売中

Pコード:294-490

▼7月16日(土)18:00

▼7月17日(日)17:00

umeda AKASO

立見-5500円(整理番号付、ドリンク代別途要)

※未就学児童は入場不可。

[問]サウンドクリエーター
[TEL]06-6357-4400

チケット情報はこちら

こちらも注目!

LIVE TOUR『KK-Station2016』

今年で4回目を迎えるカバー曲を中心とした加藤和樹“1人懐メロ音楽祭”

(東京)10月30日(日) 新宿 FACE
(大阪)11月05日(土) 梅田 AKASO
(名古屋)11月06日(日) 名古屋 ダイアモンドホール
(福岡)11月12日(土) 福岡 DRUM LOGOS
(仙台)11月03日(木) 仙台 Rensa
(広島)11月13日(日) 広島 CLUB QUATTRO
(東京)11月19日(土) 新宿 FACE

●Stage

舞台『真田十勇士』

【東京公演】
▼9月11日(日)~10月3日(月)
新国立劇場 中劇場

【神奈川公演】
▼10月8日(土)~10日(月・祝)
KAAT 神奈川芸術劇場 ホール

【兵庫公演】
発売中 Pコード:450-786
▼10月14日(金)18:00
▼10月15日(土)12:00/17:00
▼10月16日(日)12:00/17:00
▼10月18日(火)13:00/18:00
▼10月19日(水)13:00
▼10月20日(木)13:00/18:00
▼10月21日(金)13:00
▼10月22日(土)12:00/17:00
▼10月23日(日)12:00

兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO 大ホール

S席-12500円 A席-9000円 B席-6000円

[劇作・脚本]マキノノゾミ
[演出]堤幸彦
[出演]中村勘九郎/加藤和樹/篠田麻里子/高橋光臣/村井良大/駿河太郎/荒井敦史/栗山航/望月歩/青木健/丸山敦史/石垣佑磨/山口馬木也/加藤雅也/浅野ゆう子/他

※未就学児童は入場不可。

[問]梅田芸術劇場■06-6377-3800

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●INTERVIEW

注目の加藤和樹、中村勘九郎と
『真田十勇士』で大暴れ!

https://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2016-06/katokazuki.html

●Profile

加藤和樹
かとうかずき●愛知県出身。2005年、ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月にミニアルバム『Rough Diamond』でCDデビュー。日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのツアーである『LIVE“GIG”TOUR』とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている『“KK-STATION”TOUR』や、日本武道館、日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。
同時に俳優としても活動しており、ドラマ『仮面ライダーカブト』『ホタルノヒカリ』『インディゴの夜』『赤い糸の女』『乾杯戦士アフターV』などに出演するほか、アニメ『家庭教師ヒットマンREBORN』桔梗役や時代劇アニメ『義風堂々』石田三成役、ゲーム『戦場の円舞曲』『イケメン戦国』『B-Project』などで声優としても活躍。
近年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レディ・ベス』や『タイタニック』など大型ミュージカルにも出演。2016年4月からは『1789-バスティーユの恋人たち-』に出演。現在、LIVEや舞台・ミュージカルなどに参加幅広いファン層に支持され、歌手・俳優としても各界で注目を浴びている。同じく2016年4月にデビュー10周年を迎え、7月に東京・大阪・名古屋で全曲80曲ライブなどを開催する。

2016年9月22日(木・祝)から劇場版「真田十勇士」全国超拡大ロードショー。2016年9月~10月はスペクタクル時代劇『真田十勇士』に出演。2017年1月にはミュージカル『フランケンシュタイン』に出演。また、TVアニメ「B-PROJECT~鼓動*アンビシャス~」(ABC)が7月2日より放送開始。愛染健十役で声優を務める。